相棒たち

smash・桜子・ポロ・カフェラテ・knee・「あゆ」は天寿を全うし、独りになった相棒「カプチーノ」。

轍(わだち)・・・昔こんな「詩」があった:その82

2020年12月04日 | 詩・唄・歌・曲
♪ あの日 湯島聖堂の白い 石の階段に腰かけて
♪ 君は陽だまりの中で盗んだ檸檬 細い手でかざす
♪ それを暫く見つめた後で きれいねと言った後でかじる
♪ 指の隙間から蒼い空に かなりや色の風が舞う

♪ 食べかけの檸檬 聖橋から放る
♪ 快速電車の赤い色が それとすれ違う
♪ 川面に波紋の拡がり 数えたあと
♪ 小さな溜息まじりに 振り返り
♪ 捨て去る時には こうして出来るだけ
♪ 遠くへ投げ上げるものよ

♪ 君は スクランブル交差点斜めに 渡りながら不意に涙ぐんで
♪ まるでこの街は 青春達の姥捨て山みたいだと言う
♪ ねぇほらそこにもここにもかつて 使い捨てられた愛が落ちてる
♪ 時の流れと言う名の鳩が 舞い降りてそれをついばんでいる

♪ 食べ掛けの夢を 聖橋から放る
♪ 各駅停車の檸檬色がそれを噛み砕く
♪ 二人の波紋の拡がり数えたあと
♪ 小さな溜息混じりに振り返り
♪ 消え去る時には こうしてあっけなく
♪ 静かに落ちて行くものよ

詩・曲・唄:さだまさし「檸檬」

YuoTubeへのリンク
https://www.youtube.com/watch?v=z04TUbpjI5s


 盗んだ檸檬、
 食べかけの檸檬、
 かなりや色の風、
 青春たちの姥捨て山、
 使い捨てられた愛、
 時の流れと言う鳩、
 食べかけの夢、


聖橋から放った檸檬は、川に波紋を広げ静かに沈んで行った。
青春たちの姥捨て山みたいな街のスクランブル交差点で涙ぐみ、
捨て去る決意と共に、放り投げた檸檬が造った波紋と、
二人の間の波紋を重ねて数えながら、ため息を付いた。
青春時代の苦い別れを見事に文学的な詩にしている。