診察室でのひとり言

日常の診察室で遭遇する疑問、難問、奇問を思いつくままに書き記したひとり言

3週間間隔接種は愚か!

2021年08月06日 | 新型コロナウィルス

5 / 19 から開始した新型コロナワクチンのクリニックにおける高齢者の個別接種は、昨日 8 / 5 を以って終了しました。合計 1,380 回の接種を行いました。看護師および事務スタッフの慎重かつ丁寧な作業により、1 回分のミスや無駄もなく無事任務を終えることができました。スタッフには感謝の念に堪えません。当院は国が推奨する 3 週間後の 2 回目接種を敢えて避け、他の先陣接種国のデーターを踏まえて、5 6 週間に 2 回目の接種を行いました(厚労省で許容される最大週 6 週)。幸いにも、最近欧米から報告されたデータでは、ファイザー製のワクチンでは 1 回目の接種後 11 日~ 2 回目接種までに 91.7 %の有効率がある(俗に 1 回目接種で 70 %程度の有効性があると言われていた)と報告され、2 回目接種から 1 週間~2 ヶ月後には 96.2 %の有効性があると報告されています。また、接種により得られる中和抗体の量は、3 週間後が最低で(残念ながら私は医療従事者として 3 週間後に接種されました)、12 週間後まで空けた接種を行った英国のデーターでは 3.5 倍もの抗体価を得たと報告されています。もっとも、3 週間後でも、有効な免疫反応を得ています。しかし、抗体価が多い方が感染予防や重症化の防止効果は優れており、更に長期にわたる免疫を得られるということです。2 回目の間隔をあまり空けすぎると、1 回目で得た免疫力が一時低下するため、英国やスペインなどのヨーロッパ諸国は12 週間後ではなく、8 週間後に 2 回目を接種しているようです。日本では未だに 3 週間後の 2 回目接種を推奨していますが、これはファイザー社の治験において、2 回目接種が 3 週間後であったという、只その理由からで、筋肉注射も別に皮下注射でも大きな問題はないものの、治験で筋肉注射であったからというまさしく、お役所的考えが貫かれている愚かな国といえます。世界の多くの国ではこの間隔を空けた 2 回目接種の効果は報道されているようですが、日本では、相変わらず低俗なマスコミが国に忖度してか、国からの報道規制があるのか、全く報道していません。5 月ごろに千葉大学が 3 6 週間後の 2 回目接種で同じような結果を得たというニュースが一晩だけ流れましたが、翌日からピシャリと報道されなくなりました。今回の新型コロナ感染症は人類史上初めての出来事で、医学的な教科書など存在しないにも拘わらず、なぜ先陣を切って報告してくれている他国のデーターを参考にしないか頭を抱えてしまいます。本当に、愚かな国に住んでいることに情けなく思う毎日です。東京は 1 万人以上、大阪も 5 千人程度の感染数は 8 月末までに起こってしまうことでしょう。前述の如く、1 回接種だけでも 91 %の有効性があるならば、より多くの人たちに 1 回でも早くワクチン接種をすべきであって、 2 回目の接種は先送りする方向転換を検討するべきと思われます。しかしながら、逆にワクチンの供給量が減少したからと、新規の予約を中止し、1 回目を接種した人の  2 回目接種を 週間後に優先接種するなど、馬鹿な大臣や役人どもの判断には怒りを通り超え、呆れ返ってしまいます。結局は、理論を説明することに努めるより、今までやってきたことを訂正することで多くの国民が騒ぎ立てることを防止する方策を選択している小心国家なのだと思います。当院でも、不満をいう方もちょこちょこおられ、2 回目の接種を集団接種で 3 週間後に予約した方が何人もおられました。 無駄な選択をしたことになりますね。


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