梅雨前線以前として南岸に停滞
「睡蓮」 (すいれん)
借景の池面にゆらぐひつじぐさ
(しゃっけいの いけもにゆらぐ ひつじぐさ)
「睡蓮」(すいれん)が咲いています。
蓮(はす)に似たこの花は昼咲いて夜閉じるためにこの名が
あると言われます。
また未の刻頃に咲くので「ひつじぐさ」と呼ばれるとも言われて
います。スイレン科の多年生の水草です。
果実は球形で、結実すると花柄が螺旋状に短縮して
水中に没します。
池面には2羽の夫婦鴨が悠然と遊んでいました。
自然を利用したこの借景の池は静かに世の塵を払う風情です。
「蛇の鬚」(じゃのひげ)
池端の日陰には「じゃのひげ」が静かに咲き誇っています。
淡紫色の小花をつけています。冬に紫紺の実を結びます。
竜の玉と呼ばれ、子供達が弾みだまで遊んだものです。
読売新聞・編集手帳より。6月24日
酒場を訪れた客は玉ネギを買い、小さな俎板と包丁を借り受ける。
席につくと無言で玉ネギを刻む。ギュンター・グラスの長編「ブリキの
太鼓」(集英社)に描かれた”玉ネギ酒場”の夜である
◆刻むことで涙を流し、忘れてしまった泣き方を思い出す。「ぼくたち
の世紀は将来、涙なき世紀と命名されるだろう。あれほどたくさんの
悲しみが至るところにごろごろ転がっているというのに」
◆子を持つ母が近所の子供を殺す。高校生が自宅に火を放ち、家族
を焼死させる。心が凍り、涙を流ことも忘れるような事件がつづく。
小説の酒場を現実のものにしたくない
◆きのう、いくつかの涙を見た。国内で唯一,住民を巻き込んだ地上戦
となった沖縄戦が終って、今年で61年になる。「慰霊の日」の追悼式
に、ハンカチで目がしらをぬぐう人々の姿があった。遺族の表情に
刻まれた年齢は深い
◆青い浴衣姿の女性たちが「また4年後」と書かれた幟を掲げ、顔を
ゆがめて泣いていた。日本がブラジルに敗れ、サッカー・ワールドカップ
(W杯)の決勝トーナメントに進出する夢が断たれた朝である
◆砲声と爆音の代わりに観客のどよめきが聞こえ、焼け野原の代わり
に美しい緑の芝がある。いくらか眠い目を悔し紛れにこすりつつ、「涙
ある世紀」に身を置く幸せを胸に刻んだ。