不思議活性

トアール星と地球 3



        3

    『空の郵便ポスト』

 きみは知っていますか?空(そら)の郵便ポストを・・・。この宇宙のどこかにあるという、空の郵便ポストを。
 実は、きょうは、その空の郵便ポストの配達日なのです。そして、どういうわけかぼくが、空の郵便ポストに投函された手紙を届ける配達人なのです。それも、夜が明けない前に・・・。なぜか、夜が明けてしまえば、その手紙は虹のように空へ消えてしまうのです。

 オリオンが西の空低く、北斗は北の空高く・・・、○○光年からの光が届いています。きょうは、深い眠りについているジョバンニ少年の枕元に手紙を届けます。もちろん、ぼくは単なる配達人。手紙のなかみはわかりません。

  『空(そら)の郵便ポスト』

真っさらな 一面の銀世界を 下弦の月明かりのなか 
歩いても 歩いても いつまでもついてくる ひとつの影がありました。

誰もが 自分の影に ドキッとしたことはあるでしょう。

それは 自分が光に照らされて出来たものです。

そして 影を捕まえようとしても 捕まえることはできません。

それは わたしという実体から投影された 影だからです。

でも なかなか わたしという実体を掴むことも難しいです。

まるで おとぎ話のようでありますが
幸せ 不幸せの原因が わたしという心の中にあることに気付けば
ほんとうの幸せに 出会うといいます。
 
天使の髪のように 波打つしじまのなかに 
静かに 願いが叶うという空(そら)の郵便ポストがあります。

星がちらちらと瞬く寒い夜 ぼくは 孤独なひとりぼっちなきみの枕元に
ひとつの手紙を届けるのです。

願いが叶うという 空(そら)の郵便ポストより・・・。

       * * * * * * 

 さて、空の郵便ポストよりジョバンニ少年への手紙ですが、そっと、月の鏡が映し出していたのです・・・。

 
 前略

 ジョバンニさま

 覚えていますか。たわわに実った黄金色の稲穂が風に揺れるなか、台風が幾つか過ぎた後ののどかな野原でお会いしたことを。
 
 わたしはあなたと友だちになるためにやってきたのでした。

 そう わたしは 一人旅の途中でした。

 あなたは わたしの灰色の瞳をじっと見つめながら
 言いましたね 声にならない心の声で。

 あなたは プレアデス星から
 やってきたのですかと。

 懐かしいおもいを抱きながら
 わたしは しばし あなたと 
 テレパシーで交信したのです。

 あなたの星にも 生まれ変わりがありますかと
 わたしに たずねましたね。

 はい わたしの星でも生まれ変わりはあります。
 
 それから あなたの星でも 愛という言葉はありますかとたずねましたね。

 はい わたしたちの星プレアデスでも
 ハート 心と心の交流を大切にしますと。

 秋の陽が傾くのは早かったですね。

 わたしは迎えの船がやってきたことに気づき 別れのあいさつもそこそこに
 お別れしました・・・。

 どこかで また 会えたらなと・・・。

 そう、遠くに見えるアルプスの山並の上の白い雲が、マジェンタ色に染まっていましたね。
       
 ステファニー より                                        
 
 
 ぼくは月の鏡に映し出されたジョバンニ少年への、プレアデス星の少女ステファニーからの手紙を、そっと盗み見してしまったことを誰にも知られないように、東の空が明るくなるまえに、ジョバンニ少年の家の小さなポストに投函したのです。

 くらかけ山に雲がかかり、ちらちらと雪のかけらが影絵のような木立にも舞ってきました・・・。まもなく、残りのカレンダーの一枚も風にめくられようとしていました・・・。

・そう、このお話は、トアール星でのぼくが見たお話の一つです・・・・。

     * * * * * *
 
 一方、トアール星から一億光年離れた地球での、一人・ぼくのブログより・・・・。

 『空(そら)の郵便ポスト』  

真っさらな 一面の銀世界を 下弦の月明かりのなか 
歩いても 歩いても いつまでもついてくる ひとつの影がありました。

誰もが 自分の影に ドキッとしたことはあるでしょう。

それは 自分が光に照らされて出来たものです。

そして 影を捕まえようとしても 捕まえることはできません。

それは わたしという実体から投影された 影だからです。
 
天使の髪のように 波打つしじまのなかに 
静かに 願いが叶うという空(そら)の郵便ポストがあります。

ぼくですか もちろん ぼくもこの願いが叶うという空(そら)の郵便ポストに
手紙を投函したことが 一度だけあるのです。

その願いは 空(そら)の郵便ポストの配達人になりたいな というものでした・・・。

ああ 間もなく 夜が明けます・・・。


・星がちらちらと瞬く寒い夜、ぼくが見た、「空(そら)の郵便ポスト」の
お話です。

 コメントとして。

「ふーちゃん、こんにちは。
「願いが叶うという郵便ポスト」有ったら良いですね。
有ったら、沢山手紙を書いて投函するのに・・・と思いました。」
                   Kinnoiruka 2010年01月08日

「古い言葉で「道中一人」という言葉があって、
その言葉の意味を聞いた時ゾクっとした事を思い出しました。

フランスのシャンソンの「私の孤独」という曲も、同様のシチュエーションで描かれており、
「もう、一人じゃない。お前と友達だから・・・。」と歌う「お前」が、
自分の影であると聴いた時にも、再びゾクっとしました。

自分と陰・影・・・・・・・、
永遠に切れない関係の最初で最後の友達なのかもしれない・・・と。」

                      レミエル2010年01月09日


・この『トアール星と地球』のお話、続きは次回のお楽しみに・・・・。



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コメント一覧

ふー
とおこさん、ご返事ありがとうございます。
自分はこの春リタイアとなり、ゆっくりと過ごせるようになりました。「詩と私」の他の仲間も、他のブログで、書き続けています。もう、十年も前のことですが、時間は関係ないような気もします。
これからも、よろしくお願いいたします。
とおこ
ふーちゃん、お久しぶりです。
こちらから、失礼します。お手紙ありがとうございます。


ごぶさたしております。お元気そうでなによりです。
懐かしいです。
飛んでのブログが終了となって、もういいかなあと思っておりましたので、驚いています。

書いてくださっていいですよ。
わたし的には、書き換えて変更したいところも、多いのですが。
それでも、この世から消えてゆく わたしの作品を
取り上げてくださる方がいるのは、嬉しいです。

ときどきおじゃましますね。
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