『一枚の絵画と詩』
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『舞台の踊り子』 1878年
エドガー・ドガ (1834~1917)
このドガの『舞台の踊り子』 は、なんて美しいのだろう。右足で体全体を支え両手を広げ上向いた顔から、踊り子は夢の世界にいるようです・・・・。
この一枚の絵画『舞台の踊り子』に何の説明もいらないでしょう。
ただ、解説として。
ドガはすぐれたデッサンの名手であり、舞台の踊り子や、疾走する馬など、激しい運動を見せる対象をきわめて明確に捉え、画面に定着させ、油絵においても、形態はつねに明確であり、しばし明暗のコントラストによって、ことさらくっきりとその存在を主張するように描かれたと。
また、ドガの描く女たちの肉体には、耳をすませば息づかいが聞こえてくるのではないかと思えるほどに、生命力のほとばしりが感じられる。
ドガの絵を見ていると、表面的な美醜とはかかわりなく、女が自分の肉体を、自己表現の媒体としてのびやかにとき放っているさまが、まざまざとみてとれるからだろう。わたくしの肉体も、それに呼応して、のびやかさを取り戻していくのが知覚されるのだ。