[5] will[would]の用法
前回の続きです。「助動詞は動詞の原形をともなう」と文法書には書いてあります。しかし今まで誰も「それが日本人の英語音痴を作り出している」とは指摘しませんでした。確かに高校や大学入試などに登場する文法問題やTOEICでも同じで、他の単語の意味が分からなくても、ただwillやwouldなどに導かれる動詞の形さえ見分けたら、それで正解を導けます。例えば、willの次には絶対hasやhadは続かないとか、doesやdidはこないといったことです。
しかし、ことばというものは単に動詞の変化だけでとらえることができません。ことばというものはフレーズ(意味ある単位)でできていて、その全体の意味を定着・蓄積しなくてはいくら文法問題をこなしても英語はことばとして身につきません。
例えば、子どもが学校に行くとき、Take care.(気をつけてね)どとママは言い、これに答えて子どもは、Yes, I will.と答えます。子どもには、I will(私、そうするよ)という自分の意志を宣言しているのです。それを「助動詞will+原形の動詞」と解明したところで、Yes, I will take care.ということばの意味はいつまでも定着しないのです。
私が、発行している教材やブログなどの記事で、動詞フレーズを青文字表記している理由はここにあります。
つまり皆さんがこれらの文例を読まれるときは、単に「助動詞の次には原形の動詞が来る」といったおよそことばの学習とはほど遠い見方はしないてください。
常にこのような視点を持っていたら、それが未来形で登場しようが、現在形、過去形、あるいは完了形でも簡単にSpeakingできるし、そのことがListening, Readingにも通じます。
また、下の例文にあるIt will be on your head.でも、多くの人はwill be=「~になるだろう」と覚えていると思います。しかしこのとらえ方も間違いです。
あくまでも、be on your headが基本なのです。つまりwillとbeを結びつけてしまうから以下のような文もすんなりと同じしくみを持ったものとしてとらえることができない。
現在形 It is on your head.
過去形 It was bon your head.
未来形 It will be on your head.
このようにとらえると。同じ「未来志向」の表現が簡単にできます。
It has to be on your head.
それは、あなたの責任であらなければならない
(1) will: 単純な未来(~だろう」、意志(~つもりだ)、傾向(~するものだ)、現在の不規則な習慣
If there is an accident, it will be on your own head.
もし事故が起これば、あなた自身の責任になるだろう
She said she would go home.
彼女は帰宅すると言ってた
The meeting will break up at about twelve.
12時に散会するだろう
I will give a ring to her.
彼女に指輪を贈るつもりです
Accidents will happen.
事故は起こるものだ
He will often sit up all night.
彼は徹夜することがよくある
(2) would: 過去の習慣(~したものだ)など
I would sometimes be scolded by my father.
私は時々父親に叱られたものだ
The door would not shut.
ドアがなかなか閉まらなかった
I would like to ask some questions.
あなたにいくらか質問したい
Would you mind my bags for a few minutes?
ちょっと私のかばんを見ててくださいませんか?
(3) willとbe going toとの関係
be going toは「~するつもりだ」「~する予定だ」と意図や予定を表します。「~するつもりだった」は過去の意図や予定を表す場合は、be going toを使います。
Something dreadful was going to happen.
何か恐ろしいことが起こりそうだった
What were you going to do?
何をするつもりだったのですか?
[6] shall[should]の用法
(1) shall 義務(ねばならない)、命令(~しなくてはならない)
Those who violate the regulation shall be punished.
この規則を破ったものは処罰される
You shall be done by tomorrow morning.
明日の朝までには終わらせなくてはならない
※Shall I+原形動詞フレーズ(相手の意向を聞く)、Shall we+原形動詞フレーズ?(勧誘)
Shall I have her call you back when she is home?
彼女が帰りましたら、こちらから電話させましょうか?
“Shall we go out for supper?"―“I'd rather stay at home."
「夕食を外で食べようか」「私は家にいるほうがいい」
(2) should:義務(すべきだ、ただしmustより強制性が弱い)、「~するはずだ」
You should not smoke yet; you are under age.
君はまだタバコを吸ってはいけない、君は未成年だ
The exam should be easy for you.
この試験は君にはやさしいはずだ

ON LINE受講の方には、文例を用意しました。ぜひごらんください。
例えば、ここではbe surprisedやbelieveを使った文例をあげておきましたが、これらのことばは案外限られています。
強調(驚き、万一、ぜひ)のshould
(a) 驚きのshoud
I'm surprised that Bill should have a powerful vocabulary like college students.
ビルが大学生のような豊富な語彙力を持っているとは驚きだ
I can't believe that she should say so.
彼女がそんなことを言うなんて信じられない
(b) 万一のshould
If you should have any problem, feel free to call us.
もし万一何か問題がありましたら、お気軽に電話をください

(c) 提案、命令。決意の意味を持つ動詞(propose, request, recommend, suggest, require, command, insistなど)の目的節では「should+原形動詞フレーズ」を用いるが、この場合shouldは省略されることが多い。shouldを使うのはイギリス英語。
I insisted that he (should) stay for dinner.
ぜひ食事までいるように私は彼に強く勧めた
[7] その他の助動詞
(1) need (~する必要がある)とdare(敢えて~する)は、否定文、疑問文でのみ助動詞として用いられる。ただし、needが助動詞として使われるのはまれで、主にイギリス英語。
She need not do it at once.
彼女はすぐにそれをする必要がない
Need I go at once?
すぐ行かなければならないのか?
※dareが助動詞として使われるのはまれで、主にイギリス英語。
I dare not be angry with my wife.
私は妻に向かって腹を立てる勇気がない
How dare you speak to me like that?
よくも私にそんな口がきけるもんだ
※本動詞としての用法
You don't need to carry an umbrella today.
今日は傘を持って行く必要はないよ
He did not dare to be angry with his wife.
彼は妻に向かって腹を立てる勇気がなかった
(2) ought to (~すべきだ)
最近ではあまり使われない。shouldで用が足りる。
You really ought to apologize.
君は本当に謝るべきだ
You ought not to tell a lie.
嘘をついてはならない
There ought to be more parking lots.
もっと駐車場があってしかるべきだ[あったほうがよい]
(3) used to :規則的な習慣(~したものだ)、過去の状態(今はない)
She used to work for an oil company.
彼女は以前石油会社に勤めていた
There used to be a bridge here.
(今はないが)元ここに橋がありました
ON LINE講座に登場する文法の全体像をごらんください
