ここ数年日本人のTOEIC試験受験者の成績はアジア諸国31位、つまり最下位から2番目です。これに対して、誰も文句も言わず、自分の努力が足りないのだと思いこんでいる人は多いと思います。それも私が予備校時代からの経験で言えば、これだけ駅前留学やネイティブによる指導に接する機会は以前よりもずっと多いのに、英語力は確実に低下しています。
ものごとというのは、ある原因があるから結果があります。私はこの原因は、すべて学校で教えている文法、あるいはTOEIC用の多くの文法書にあると考えます。
これらは英文をどのように日本語に訳したらいいのか、という時代に作られたものなのです。これが、いまだに生き続けているのは、私にとっては不思議でなりません。どうして、読解がそれほど大切なのか、これに答えるのはとても簡単です。大学というのは、自分の頭で考えて研究する人よりも、海外の文献をいかに翻訳しそれを紹介するのが学問だと思っている人のほうが多いからです。だからその大学入学で判断されるのは、読解能力てあり、進学校と言われる高校の先生もそれにあわせて教える、つまりいまだに読解のための英文法が生き続けていることになります。
どうして、この文法理論はSpeakingやListeningに向かないのか、それについて説明しましょう。
皆さんが習った英文法やTOEIC用の文法書には、次のような文法用語とその説明がなされています。
(1) 現在形
S V O
I + help + my wife +very day. 毎日妻を手伝う
(2) 進行形とは、be動詞+動詞の現在分詞形
I + am helping + my wife. 妻を手伝っている
(3) 受身形とは、be動詞+動詞の過去分詞形
My wife + is helped + by me. 妻は手伝われる
(4) 完了形とは、have+動詞の過去分詞形
I + have never helped +my wife.妻を手伝ったことはない
(5) 未来形とは、will+動詞の原形
I + will help + my wife. 妻を手伝うつもりだ
(6) to不定詞とは、to+動詞の原形
I want to + help my wife. 妻を手伝いたい
(7) 動名詞とは、動詞のing形
My work is +helping my wife. 私の仕事は妻を手伝うことです
まず、(1)(2)(4)(5)の文に注目してください。見事にS+V+Oという文型にまとめられていることがわかります。こうするためには、(2)では分詞(分かれていることば)という文法用語が作られ、be動詞+現在分詞としてhepという動詞の進行形への変化としてつらえられています。このことは(3)の受身形でも同じです。
くわしいことは省きますが、このように英文をとらえると、簡単に日本語に変換することが可能となります。つまりまず主語を訳し、後ろのことば(目的語)を訳し、動詞部を訳す、これが読解のための英文法です。
でもここで大切なことが、抜け落ちていることに気づいてください。「妻を手伝う」というひとまとまりの行為や状態が分断されていることです。ファンクションメソッドでは次のようにとらえます。ひとまとまりのものということで、例えば、動詞のing形で始まる動詞フレーズをing形動詞フレーズ、原形で始まるのを原形動詞フレーズ、動詞のed形で始まるのをed形動詞フレーズと呼んでいます。
(1) 現在形
I + help my wife +very day. 毎日妻を手伝う
(2) 進行形とは、be動詞+ing形動詞フレーズ
I am +helping my wife. 妻を手伝っている
(3) 受身形とは、be動詞+ed形動詞フレーズ
My wife is +helped by me. 妻は手伝われる
(4) 完了形とは、have動詞+ed形動詞フレーズ
I have never + helped my wife.妻を手伝ったことはない
(5) 未来形とは、will+原形動詞フレーズ
I will + help my wife. 妻を手伝うつもりだ
(6) to不定詞とは、to+原形動詞フレーズ
I want to + help my wife. 妻を手伝いたい
(7) 動名詞とは、ing形動詞フレーズ
My work is +helping my wife. 私の仕事は妻を手伝うことです