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100118研究法:因果

2010-01-19 10:29:08 | Weblog
心理学研究法受講生のみなさん、あけましておめでとう。

18日も過ぎてからの新年の挨拶で授業は開始しました。

昨日・一昨日のセンター試験を終えたあとなので、私たち教員は総じて疲れが残っていましたが、受講生のみなさんはいたって元気でしたね。

17日が阪神・淡路大震災から15年という伏し目だったので、そのようなムードで授業を組み立てました。

因果がテーマ。

これまでの調査研究のお話では、多くが相関関係を探すアプローチでしたが、これから3回は科学の真髄、因果関係をめぐるアプローチです。

そういうことで、震災などの出来事が原因となって、後々の心身の健康に影響が及ぶというようなお話をしたかったわけです。

阪神・淡路大震災で私たちが関わった事例のお話をさせてもらいました。

西宮市内のある学校3校と、大阪府F市内の学校3校で1995年の3月から1年間にわたって実施した「自分を知ろうチェックリスト」をつかった震災ストレス反応(不安、うつ、混乱、そして愛他)の3回の結果をみてください。

震度7が西宮。震度4がF市。

不安は震度が強い地域ほど強く表れ、半年後には沈静化しているのがわかります。

うつと混乱は、女児でこそ震度の影響がありましたが、男児では差がありません。

いずれの症状も半年後には低下しているのに、1年後に少し増加しているのが気になりました。

これは、記念日効果といって、マスコミの報道が激化して、いやな体験を想い出すのが影響しているといわれています。

不安やうつ、混乱などのストレス症状とちがって、他者への慈しみの気持ち(愛他性)が震度7の地域の子どもたちで増したのは、ボランティアの人々から受けた優しい対応のおかげでしょうね。

震災でけがをしたこどもは、けがをしなかったこともたちよりも不安症状は強く出ていましたが、うつや混乱はそれほどでもありません。

どうも、震災による直接被害だけではなく、生活全般への影響が震災ストレスに影響しているようですね。

震災直後は、ASD(急性ストレス障害)と定義されている症状が多くの人たちにみられます。

通常1月もすると落ち着いてくるのですが、症状が残ったり、増ます人もいます。

こういうケースはPTSD(外傷後ストレス障害)という心の病と診断されます。

ASDからPTSDに移行しないように、早期のケアが必要であることが私たちの活動からわかりました。

来週はそのような話から、実験計画法というテーマでお話する予定です。

では、試験勉強ぼちぼちしておいてください。

2010/01/19・記


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