ドラマのとびら

即興の劇や身体表現で学ぶ、教える、浮き沈みの日々とその後

チームワーク―看護師のためのワークショップ

2008-01-31 10:31:13 | ワークショップの報告

ある病院の病棟開設に当たって、看護師さんのチームワークづくりのワークショップを依頼されました。

事前に看護師長Mさんと打ち合わせ。開設までの経過やどのようなチームをつくりたいのか、Mさんの思いを聞きました。その中で、むしろ仕事を離れて、普段のそれぞれを知り合うワークショップにしましょう・・・ということに。

当日。会場へ行ってみると、すでに集まった何人かで、和気あいあいと肩こりを治す体操をしていました。私も一緒に体操。身体が伸びる気がしてとても良い気分。

そのままのなごやかな雰囲気の中、Mさんに紹介されワークショップがスタート。13人のうち、4人は他の仕事があり不参加でした。

簡単な自己紹介のあと、「Mさんの師長としての願いは『質の高い医療を提供するために、質の高いチームワークをつくりたい』ということだと伺いました。話し合った中で、この時間は仕事を離れて、普段のお互いについて知り合うことにしました。またその中で、ひょっとしたら自分自身についても気がつかなかった面を発見するかもしれません。ちょっと子ども気分に戻って、ゲームを楽しみながらチームワークをつくっていきましょう」。

最初は自己紹介。名前と現在住んでいるところと好きな食べ物。

フルーツバスケット。「私は○○です」と自分に当てはまることを何か言って、同じ人は動きます。休んでいる人の分も椅子を用意し、荷物を置いておきます。最初は「できるだけ多くの人が動きそうなこと」、次は「一人か二人しか動かないようなこと」、そして「仕事を離れた生活に関すること」とテーマが変わっていきます。笑い声や足音がうるさかったらしく、途中で覗きに来る人があり、スローモーションで動くことに。

今度は好きな食べ物で「わたし・あなた」。それぞれが何か一つ食べものを決めます。私は味噌汁。「味噌汁、もち」と自分の食べものに続けて他の人を指しながらその人の食べものを言います。言われたら、また「もち・焼肉」と次へつなげます。相手の食べものが分からない時は、「もち・なに?」と相手を指しながら、聞きます。繰り返しているうちに、相手の食べものを覚えてしまいます。これは、名前を覚えるときにも使えます。みんなが覚えた頃に、こんどは言葉ではなく、視線を繋いでいきます。視線を送るときの表情がそれぞれ豊かで笑ってしまいます。

ひとしきりやったあと、出身地で北から南へ順に並びかえ。看護師はまだまだ女性の職場で、参加者のうち男性はMさんともうひとりだけ。その二人だけの男性と私が県外生まれ。他は県内でした。

ここで三人一組に分かれ、Aさん、Bさん、Cさんを決めました。それぞれが順に1分ずつ、「私がほっとするとき」を語ります。趣味でもいいし、ホッとするような状態のときでもいい。1分ずつとは言ったものの、話がはずむので、実際はすこしずつ時間を延ばしていきました。グループ代表が三人のホッとするときをみんなに披露します。

誕生日順に並び替え。

二人一組で背中でおしゃべり。背中を合わせて立つ、座る。パートナーを変えて、三回やりました。「やってみてどうでしたか?」「背中が温かい」「相手にゆだねたほうがうまくいく」「背中で話すことなんてないので親近感が湧く」などなど。

今度はA・B2グループに分かれて、相手にイヤと言わせることをいろいろ出し合います。つまり、自分が嫌なことでもあります。もとのペアに戻って、相手にイヤを言わせます。イヤをいう練習です。「イヤだけで終るのはどうかなあ」と思い、イヤをたっぷり言った後、今度はOKと言うこともしました。

円になって、誰かが「○○しよう」ということに、「いいね!いいね!」と言ってそれをする真似をしました。一通り回ったところで、「では今度は自分の本音にしたがって、やりたくないことは『うんうんうんうん』と言いながら後ろへ退いていきましょう」。それぞれの興味のありどころが分かります。

名前のアイウエオ順に並び替え。

三人一組で「チームワークにとって大切だと思うこと」の話し合い。全員で輪になってシェアリング。

「では、さっそくチームワークを発揮してみましょう」。三人で見えない縄跳び。

「じゃあ、今度は全員のチームワーク」。新しいA・B2チームに分かれて、見えない綱引き。

第1回目の勝負。どちらも勝つ気満々で、綱がどんどん延びていく結果にみんなで大笑い。

「綱は延びないよ。相手のチームを良く見て、もう一度」。お互いが前に出たり、後ろに下がったりするものの、どうも今度はチームがばらばら。

3回目。今度は、「前へ。後ろへ」と号令をかける人が出てきて、それなりに格好はできてきたものの、「なんだかうそっぽ~い。もう一度やってみましょう。今度は、各グループでこの人に注目して動こうという人を決めてみて」。ということで、最後には押したり退いたりの綱引きをやったのでした。勝負はどちらともいえないなあ。やはり負けたくはないようで。

最後に円になって、この2時間を振り返っての感想と、未来への不安や希望をひとりずつ語り、ちょうど2時間で終了しました。「うまくいかないことがあっても、何度も経験を重ねていけば、うまくいくようになるんだと思いました」とMさん。1月28日午前、参加者9名のワークショップでした。

看護師という職業柄か、みなさんとっても穏やかなやさしい雰囲気。この職場は初めてというOさんが、「未来は?」という私の問いに「明るい!」ときっぱり言われたのが印象的でした。

もし何かあって入院しなければならないとしたら、この病院に入院したい。

実は、時々人が覗きに来るので、私たちの笑い声がよほど大きいのかと思っていたら、マイクのスイッチが知らない間にONになっていたのでした。予想もできないことが、いつも何か起こります。

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東京でワークショップ

2008-01-30 10:36:36 | お知らせ

東京で「学習に使えるドラマの技法」というテーマでワークショップをすることになりました。

「学びの即興劇」http://www.drama-ee.net/を紹介したいと思っています。

日本ドラマセラピー研究所主宰「ドラマフェスティバル」の一環です。

*****
日本ドラマセラピー研究所・第一回ミニカンファレンス
「ドラマセラピーフェスティバル~Drama is Everywhere~2008」

プログラム
2008年3月9日(日)10時~20時  芸能花伝舎(新宿駅より徒歩15分)にて
10:30~12:30 午前WS1,2(同時開催)
13:10~14:10 ドラマセラピー事例発表・活動報告など
14:20~15:20 講演
15:30~17:30 午後WS 3,4(同時開催)
18:00~20:00 ドラマフェスティバル(懇親会とパフォーマンス)

参加費 8000円(懇親会の参加費を含みます)
事前申し込みが必要。(定員60名まで。参加費にはドラマフェスティバル参加も含まれます。)
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獲得型教育研究会

2008-01-28 17:02:48 | 日記・エッセイ・コラム

1月26・27日は、獲得型教育研究会の合宿(東京)に参加しました。

獲得型教育というのは、単なる参加体験型グループ学習をさすのでなく、リサーチ、ディスカッション・ディベート、プレゼンテーションを含む総合的な学びを獲得する教育をさします(私の理解によれば)。

研究会の主宰者であり、獲得型教育なる言葉をつくりだした渡部淳先生(日本大学)によると、「一人ひとりの集めた情報を共同の学びの中で生かし、パフォーマンスを含む表現活動を通して身体化、内在化しようとするのが、獲得型授業である」。(渡部淳 2001年 教育における演劇的知―21世紀の授業増と教育の役割 柏書房)

13時40分から始まった研究会は翌日12時20分まで、盛りだくさんでした。

アイスブレーキング、中学の新任先生による国語と社会の模擬授業、ドラマワークショップの体験、授業実践報告、アクティビティの体系化を視野に入れた渡部淳先生の報告と質疑。

どれも私にとっては刺激的で、学ぶことがたくさんありました。

特に、模擬授業は久々の体験で、授業中は生徒の心理を体験し、授業後の皆さんのディスカッションから自分自身の日頃の授業をふりかえり、淳先生のコメントにその体験の豊富さと理論的裏づけの厚さを垣間見たのでした。

高校教師時代は、若手を中心にお互いの授業を見るということをしたものですが、考えてみれば大学では無い。それぞれが自分の城を守っている。これで良いのだろうか。

私について言えば、教職総合演習は外部から見に来てもらうことがありますが、人間環境論のほうはめったにない。せめて同系統の授業担当者が、お互いの授業の内容を知るということが必要なのでは・・・などと思ったのでした。

それにしても、日頃の授業について考え直すところがあるなあ。学生が興味を持てることをテーマにしていく事も大切ながら、自分の専門性をもっと大切にする必要もある。

獲得研に集まっている先生方は、熱心で賢くて温かい。こんな先生方がまだまだいるのだと思うと未来に希望が持てます。けれどやはり大変そうです。子どもたちにとって豊かな教育環境をつくるには、先生方にもっと豊かな環境を保障する必要があるのでは?

夜は早めに寝たつもりだったのに、帰りの飛行機の中ではぐったり。うたた寝しては自分のいびきで目が覚める・・・の繰り返しでした。ご近所の座席の方に、ご迷惑おかけしていたのでしょうね。

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会話・対話・ひとりごと

2008-01-24 23:26:57 | 日記・エッセイ・コラム

平田オリザ氏の「演劇入門」(講談社現代新書)に、「話言葉の地図」というのがあって、話し言葉を分類しています。現代演劇をなりたたせるのは、主に対話(ダイアローグ)なんですって。親しい人の間で交わされる会話(カンバセーション)は他人にはほとんど意味不明で、それでは劇にならないのだそうです。

今日は沖縄にしてはやけに寒い日。道を歩いていたら、まったく人気のないところで突然「温かい飲み物もあるよ」と声をかけられ、びっくり。何と、自動販売機がしゃべっていました。思わず「機械のクセにしゃべらんといて~な」と返事してしまいました。

これって会話? 私のモノローグ?

うちの夫婦は良く話します。毎朝毎晩食事しながら、あるいは時々走りながら、歩きながら・・・。でも夫に言わせると、一見ダイアローグに見えるお互いのモノローグだそうです。

自動販売機と私も、お互いのモノローグだったのかなあ・・・?。

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「伝え合う力」話し合えるクラスに―第10回「学びの即興劇」研究会報告

2008-01-19 13:59:53 | 研究会報告

1月18日(金)19:00~21:00。進行役はゆうこう。高校に正式採用されて1年目。そのまえに3年間の非常勤経験。教科は国語。

1年生の担任ですが、「クラスの男女がもっと仲良くなって欲しい」という願いから、「川を渡る女」を取り上げました。クラスでやる前に、試してみようというわけです。これは構成的グループエンカウンターで用いられるエクササイズらしい。

なかなかメンバーが集まらず、まずは雑談から。自己紹介をかねて同じ探し(一歩前)。何でもバスケット。結局、ゆうこうも含めて参加は7人。

「川を渡る女」の文を読んで、登場人物5人を悪いと思う順にランク付け。まずは個人で。次にグループの中でそれを発表しあいながら、3人で順番を決めます。登場人物にどうランク付けするかはとても難しく、あれこれ理由を述べながら、それぞれの意見に納得。話し合って、やっとグループでの順番が決まりました。

「では、グループでの順番とその理由を話してください」となって、さゆりが順番を述べ、理由を説明しようとしたとき、すかさずひろとが「説明を聴く前にこちらの順番を発表したい」と言いました。似たような順でしたが、微妙に順番が違っていました。ひろとは良いタイミングで発言し、それをちゃんと拾ったゆうこうも良かったと思いました。

このワークは、「どの順が正しい」ではなく、それをお互いに話し合うことによって、いろいろな考え方があることに気づくことに、意味があります。高校生なら、話がはずみそうです。「自分も使ってみたい」「友だちとやってみよう」と、みんなに好評でした。

エクササイズの後は、クラス内でおこったケンカについて、暴力についてどう指導するか、ひとしきり話し合いました。

場所を変えて新年会。中華料理ですが、10品ぐらい次々と出てきました。

この研究会は、沖国大の卒業生が、校種や年齢の違いを超えて集まれること。劇でなくても、やってみたいことが試せるので、これからも続けたいということになりました。ドラマ教育研究会ができたので、そちらも参加することとし、「学びの即興劇」研究会は卒業生が自分たちで何かを試してみる会として、ドラマ教育研究会のない月に実施することになりました。

次回は、よっぴ~が。3月19日水曜日。場所未定。

毎回メンバーが変わる事も話題になりました。せめていつも10人前後集まれて半分は同じメンバーが集まれれば。ということで、定着する人を求めて、呼びかけることに。

今回は、センター試験のために大学が使えず困りました。さらに新年会に予約していた店が(店の名前は変わらないのに)知らないうちにオーナーが変わっていて、予約が消えていたことが直前に判明。おまけに閉店時間も早くなっていて、それを延長してもらうために前もって料理を予約したもののドタキャンがあいついで、赤字になるのではとハラハラ。結果的には、万事OKでした。よかった、よかった!

コメント (2)
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