台風30号比直撃
死者は1774人に、1万人超の可能性も 大統領が国家非常事態宣言
【マニラ=吉村英輝】フィリピンの国家災害対策本部は11日、同国中部を直撃した猛烈な台風30号で1774人が死亡したと発表した。大きな被害が出た中部レイテ島タクロバンの警察幹部は、「レイテ島だけで死者が1万人を超える可能性がある」と語っており、犠牲者がさらに増える可能性もある。各国政府や国際機関の支援活動も本格化しつつあるが、道路や通信網は寸断され、活動は難航しているもようだ。
フィリピンの警察幹部は、タクロバンでは「台風が通過した地域の70~80%の家屋や建物が壊滅した」と述べた。国家災害対策本部によると、少なくとも国内の950万人が被災し、60万人以上が避難した。同国中南部は12日、悪天候になると予想されている。
ロイター通信によると、フィリピンのアキノ大統領は国家災害事態を宣言、救援活動などに全力を挙げる意向を示した。政府はタクロバンでは商店などで略奪が起きているとして、治安回復のため軍兵士8百人を現地に派遣した。
外務省海外邦人安全課によると、中部のレイテ、サマール両島には約130人の在留邦人がいる。レイテ島では安全が確認された人もいるが、通信網が寸断されているために連絡が取れない人がいるという。
英紙ガーディアン(電子版)は、米軍合同台風警報センターがフィリピンに上陸した際の台風30号の最大風速を秒速87・5メートル、最大瞬間風速を同105メートルと算定していると伝えた。