僕は、紳士だから人を威嚇したり、猫パンチを繰り出すことはいままでになかったんだ・・・
何しろ、大人ばかりのいえだから、脅威を感じることはこのうちに来てまもなく10年が来ようとしているけれど、いちどもなかった。
ところが、我が家に手負いの怪獣が来た。
彼は、ここに来ておねしょもはじまったり、あらゆることに反抗した。
かあさんは、ばぁば修行だったなぁと、大きな贈り物をもらったなぁと、つくづくいっていた。
その怪獣君もちゃんと人間の子供になって、赤ちゃんは5キロに増えて、ママは釣りあがった目が優しい顔になって、かえっていった。
冗談で言っていた「バァバ修行」が、本物の修行になったこの二ヶ月だったなぁ。。。。。
男の子を三人育てた知り合いに言わせると、「この怪獣ちゃんは普通よ、フツー。だから怪獣なんかじゃないよ。」と笑ったんだなぁ。
そうなんだぁ。へーーーーー。
かあさんは、男の子を育てた人へのまなざしが変わるなぁと言ってる。
かあさんは、一つのことしか出来ないので、全ての時間を娘と孫二人の世話に明け暮れた。
年賀状は、頂いたのをありがたく読むのみだった。
仕事も、2月復帰らしいし。
昼間は、のんびり静かに昼寝の日が一日おきに来るようになるんだ。
かあさん、お疲れ。
とうさんは、週末を定期を持つ強みで、電車大好きちゃんを連れ出した。
電車の車庫と大学の工事をしているところが見学できる駅のホームで、飽きることなくいろんな電車や重機を見せた。
だから、じぃじは彼の二番目のヒーローだ。(もちろんヒーローナンバー1はパパ。)
いちばん楽で、一番幸せだったのはとうさんだった。
ぼくは、最初の一ヶ月は物陰で、怪獣と目を合わせないようにしていた。
二ヶ月目になると、かなり怪獣から発するトゲトゲ光線が和らいだので、俺様のテリトリーを今だけ貸してやるからなと言いに行ったら、腰が引けながら大声を上げて威嚇してきた。
俺様の沽券に関わるけど、大人気ないから、スルーしてたんだけど、とうとう、威嚇音『シャー』と痛くない猫パンチを出さざるを得なくなった。
お姉ちゃん(怪獣のママ)が起こるかと思ったら、僕の味方をしてくれて、怪獣をたしなめた。
うれしかった。家族だねぇ~。
これからは、のんびりあくびもできるようになったし。平和だぁ。
母さんは、かなりさびしそうだけどね。
気を取り直して、彼との外遊びでせっかく付いた筋肉と体力を落とさないようにしなくちゃとけなげにも言ってる。