Entrance for Studies in Finance

インサイダー取引の禁止

インサイダー取引の禁止prohibition of insider trading
Hiroshi Fukumitsu

インサイダー取引の禁止とは、役職員、大株主などの「会社関係者」と会社の関係者から直接情報を聞いた「第一情報受領者」について、株価に影響を与える重要事実を知り、その事実が公表される前に売り買いすること(未公表の重要事実を知って、その公表前に株券等の売買を行うこと)を禁止というもの。重要事実には合併、公開買い付け、新株発行、業務提携含むなどが含まれる(金融商品取引法第166条で具体的に列挙。またそのほか、投資判断に影響を及ぼすものは重要事実にあたるとする包括条項basket clause)。
 対象は特定有価証券等(株券以外の社債券 新株予約権証券含む)の売買等(売りつけ及び買いつけ含む)。利益の有無は無関係に規制される。 
 インサイダー取引が規制される重要事実としては ①自社株買い ②合併 ③新事業の開始 ④会社分割 ⑤固定資産の取得 ⑥業務上の提携や提携の解消 ⑦破産手続期の申し立て ⑧行政処分 ⑨親会社の異動 ⑩主要取引先との取引停止 資本金額の減少 株式無償割当 会社の分割 解散 主要株主の異動等の重要情報 重要情報の実現可能性の高低は関係がないとの解釈がある(→対象が広がることに批判あり)
 常に投資者の視点に立った迅速、正確かつ公平な会社情報の開示を徹底する 情報伝達の意思が必要とされるが 誰かが聞いているという認識で十分との解釈がある(→伝達する意思が必要との指摘もある)
 重要な経営情報は証券取引所を通じた公開が必要 
 近年、活発化している企業買収に伴って、企業買収の発表前の不自然な価格の動きがみられる。このような経済環境からもインサイダー取引への関心が高まっている。
 会社関係者 契約締結者 情報受領者
経済学的には市場における情報の自由入手に問題があるから(つまり市場が効率的市場として完全ではないから)、インサイダー取引が成立するのだとされる。情報格差の放置→証券市場に対する信頼を損なう
 5年以下の懲役か500万円以下の罰金 またはその両方
 また証券会社など金融機関の役職員は取引先企業の重要事実を知ることがある。また社内のアナリストの分析により重要事実を知ることもある。これらの事実が公表される前にこれらの情報を利用して、売買することは、個人的な利得が目的の場合はもちろん、その勤め先の金融機関のためであっても、当然にインサイダー取引に該当する(front running フロントランニングは取引が増えているという情報を利用してトレーダーが、買いポジションを取ること。厳密に言えばこれもインサイダーで倫理的問題はあるが、市場でのありふれた風景ともいえる。そこでインサイダー取引規制では、摘発の対象を重要事実を利用したケースに限っている)。
 またインサイダー取引は重罪であるが、意図せずにインサイダー取引規制にひっかかってしまうリスクも高くなっている。たとえば企業買収の事実を知ったうえで防戦買いに協力→重要事実の公表前に取得しているとインサーダー取引規制にひっかかる可能性。取締役会で要請を決議してその文書をもらっておけば(適用除外規定があり)違反にならない。安全策としては売り手情報格差がなかった証明としてこの書面を添付した相対の売買契約を結ぶ。
インサイダー取引規制がこわくて企業や社員による自社株買いが萎縮するのは、問題だとの指摘がある。しかしインサイダー取引が犯罪という認識がももしあるのなら、担当役職員に自社株買いを禁止させることは当然の予防措置。証券会社社員、報道機関の職員については、情報管理と倫理規定の順守ができないのなら、株式取引をそもそも全面的に禁止するべきであり、予防措置として株式取引の禁止を求めるのもやむを得ないことであろう。

 金融庁は2006年12月1日顧客企業のインサイダー取引を見逃していたとして大和証券に対して大和証券姫路支店に2日間の株式の売買受託の禁止を命令した。大和証券本体に対しても業務改善命令の発動を通して法令順守体制の抜本的強化もとめる。このように行為を見逃した証券会社も監視責任を問われている。
 近年の摘発事例の一部をみよう。

 日産デイーゼル社員事件(2007年2月) 日産デイーゼルの専務が部下の女子社員にボルボによる日産デに対するTOB情報(2007年2月20日)を伝え(2007年2月13日)、これをもと女子社員の夫である同社社員の口座で公表前に大量に買い付けた疑い。さいたま地検特捜部が2009年7月14日に二人を逮捕。

 あおぞら銀行行員事件(2006年12月) あおぞら銀行の融資業務担当の行員が、業務上の立場で入手できるた、企業のTOBや決算情報などをもとに日常的に株式取引繰り返していた極めて悪質な事件。銀行では当該部署所属行員に株式取引を禁止していたが、知人女性名義の口座で日常的に勤務時間中に株式取引を行っていた。あおぞら銀行ではこの行員を懲戒解雇したが、情報管理や職員の管理がずさんだった可能性は高く、同行が失った信頼は計り知れない。直接の逮捕容疑は2006年12月の東証マザーズ上場のアニメ製作会社の第3者割当増資という重要情報を利用した取引。監視委員会のよる強制調査(2009年6月4日)、東京地検による逮捕・強制捜査(2010年4月)。なお東京地裁での裁判のおいて元行員は、起訴された5件のうち4件について自らが知った情報は重要事実かわからないとして争ったとのこと(2010年9月15日 東京地裁)。

 旧テレウエイヴ株事件(2006年11月) ジャスダック上場のテレウエイヴ(現SBR HP作成支援会社)の2007年3月期決算の下方修正を事前に知った同社子会社の元役員が、外資系知人会社社員とも共謀して、同社員の名義や、自身の知人名義で、空売りをして儲けた容疑。2009年11月26日に東京地検特捜部が逮捕。

 日経広告局社員事件(2006年7月25日) 2006年7月25日に上場企業5社の株式分割の法定広告が掲載されることを公表前に把握し、各社の株式を不正に購入し、5銘柄で不正利益は3000万円(2950万円)を得たとして容疑者を逮捕。日経は同日付けで懲戒解雇。2006年12月24日に東京地裁は懲役2年6月、執行猶予4年、罰金600万円、追徴金1億1600万円(求刑2年6月 罰金900万円 追徴金2億7000万円)を言い渡した。なお検察側の論告によれば起訴事実以外の不正取引を含む利益の総額は9715万以上。

 ライブドア事件(2004年11月8日) 村上世彰被告は、ライブドア事件の堀江貴文被告にニッポン放送株購入を持ちかけ(2004年9月15日)、2004年11月8日にニッポン放送株を5%以上取得する意図(インサーイダー取引規制の対象となるTOBに準ずる行為)を聞かされた上でで、買い進めインサイダー取引違反を問われた。不正利益は約30億円。2007年7月19日に東京地方裁判所は実刑判決を言い渡した。懲役2年。追徴金11億4900万円。罰金300万円の実刑を言い渡した(求刑 懲役3年 追徴金11億4900万円 罰金300万円)。また法人としてファンドの管理・運営会社、MACアセットマネジメントに求刑通り罰金3億円を言い渡した。

プロネクサス事件(2005年4月から2006年9月) 証券関連印刷大手(IR関係印刷の最大手)の元社員は、最終検査の立場を悪用。上場企業の株式分割など未公開情報を夫、夫の父母、兄弟に電話や電子メールで伝えインターネットで株式取引をさせた容疑で2007年6月7日に逮捕された。05年4月から06年3月にかけ18銘柄で15万9000株を売買。約1億1000万円を得た。容疑者は1990年から06年9月まで勤務していた。
 →2008年1月には上場会社の開示書類の製作・印刷をてがける宝印刷社員からTOB情報をききだしてインサイダー取引をした2人について証券取引等監視委員会が金融庁に課徴金納付命令が勧告されている。また2008年3月には今度は宝印刷の元社員が営業所内の端末を利用してTOB情報を入手して重要情報公表前に買いつけを行ったとして逮捕されている。この2つの事件から推測すると宝印刷内部に、取扱いに慎重であるべき情報を扱っているという緊張感がないのかもしれない。 

NHK記者によるインサイダー取引事件(2007年3月8日) 2007年3月8日の外食大手ゼンショーと回転ずしチェーンカッパクリエイトの業務資本提携の報道に際して、岐阜放送局の記者、水戸放送局のディレクター、記者がそれぞれ社内で閲覧できた情報を利用して勤務時間内に取引し実際に利益をえていたもので2008年1月に公表された。当時の橋本元一会長が引責辞任し、3人は懲戒免職となった。この事件はNHK地方局の規律の乱れや緊張感のなさを示している点で注目された。
その後2008年5月27日に、真相究明のための第三者委員会が、勤務時間中の取引実態についての報告書を福地茂雄会長に提出した。この調査は、調査について本人が了解したものに限定されている点で不十分なものだが、勤務時間中に株取引を行っている職員がいたものの、インサイダー取引と認められるものは確認できなかったとした(このような曖昧さなくすには、報道機関に勤務する人々について株式取引を一律に禁止することも一案である)。

 新日本監査法人会計士によるインサイダー取引事件(2006年から2007年) 国内最大手の新日本監査法人に所属していた公認会計士が、同監査法人に所属中、自ら監査することで得た公表前の財務情報を利用して2006年から2007年にかけて、知人の女性の借名口座を使い、信用取引の空売りで儲けた事件。2008年3月に公表。社内ルールや公認会計士協会の自主ルールでも監査に関与している企業の株式取引は全面禁止されている(株式取引を禁止していない点に甘さがある)。そこでこの会計士は、知人の借名口座を使い、知人の携帯電話を使ってバレナイように取引していた。会計モラルを説くべき立場にある会計士が立場を利用し、かつ不正が露呈しないように取引していた点で悪質だといえる。→2009年5月21日に証券取引等監視委員会は30歳代の公認会計士が友人である大手証券社員からM&A情報を聞き出して株式取引をしていたとして金融庁に対し課徴金を課す処分を勧告した。なお重要情報を流出させた大手証券社員は処分勧告の対象とされなかったのは、疑問が残る。

野村證券社員によるインサイダー取引事件(2006年7月と2007年4月)
 最大手の野村社員(中国人)がM&Aに絡む内部情報を入手して不正売買を繰り返していたことが08年4月21日までに明らかになった。疑われているのは全部で21銘柄。売買益の合計は4000万円。具体的には07年4月の富士通による富士通デバイスの株式交換を利用した完全子会社化を利用した富士通デバイス株の取得売却(490万の利益)。容疑者は企業情報部に所属するこの案件の直接の担当者。そして06年7月の王子製紙の北越製紙へのTOB情報を利用した北越製紙株取得売却。企業情報部では株式取引を全面禁止していたが、第三者(知人の中国人とその弟)と結託していた。
 証券取引等監視委員会は、2008年5月30日に関係する3人を東京地検に告発した。告発された内容は、インサイダー取引に該当する4銘柄(1370万円の不正利益)に絞られた。その後、東京地検は2008年6月2日にそのうち2人を起訴、一人は起訴猶予とした。社内のボードなどから同僚の行く先から知った企業名での売買は、M&Aの詳細を把握しなかったとして、インサイダー取引に当たらないとして立件されなかった。しかしこの扱いは、インサイダー取引対象となった企業にすれば疑問が残るところだ。
 2008年6月6日に野村證券は、この事件を受けて、社長・会長を減給処分にするほか、社外の有識者で構成する特別調査委員会がまとめた再発防止策を公表した。具体的には案件情報の管理について部内でもアクセス制限をかけ、定期的に検証する。プリンターを共有しない。打ち合わせは会議室で行う。などだが、これで十分だろうか。社内処分をみると、社長・会長が減給処分になる一方、担当専務が厳重注意、前担当部長が譴責、担当課長が訓戒である。
 確かに処分だが、トップが実質的に責任をとり、現場は注意処分だけのように見える。企業情報部の士気が落ちないようにとの配慮を感じてしまうが、これでよかったのだろうか。
 主犯の中国人社員は2002年に京都大学(薬学)を卒業。他企業を経て2006年2月に野村に入社。野村はこの若者を企業情報部に配属。一説には野村入社直後から2007年12月に香港に配転になるまでインサイダー取引をやりまくったとされる。
 ではなぜこうしたことが可能だったのか。仕事として契約文書の作成を担当していたというのがおそらく鍵になる。作成および作成の補助でアクセス権限を拡大して、その情報を利用した疑いがある。つまり文書作成補助であるゆえに、部内の資料を幅広く披見できたのである。
このあと2008年7月4日に金融庁が野村證券に対して内部管理体制の強化を求める業務改善命令を出すが、野村はその翌日の7月5日に業務改善報告書を提出して受理され、業務への影響を最小限にしている。野村が2003年にも元社員がインサイダー取引で告発されたとき、金融庁が行政処分を見送った経緯がある。つまり事件の再発を防げなかった責任を問われた形だ。
 野村はこの事件を教訓に経験が不十分な社員を企業情報部に配属しないとしたがそれはあたりまえのことだ。2008年12月25日の東京地裁判決は、執行猶予つきながら実刑判決と罰金刑、さらに得た不正利益の4倍近い課徴金という重いものになった。

 野村は2007年度中にサブプライム問題であわせて2600億円の損失を計上。07年4-12月に1100億円。さらに08年1-3月にCMBSの評価損が200億円に、金融保証会社の取引に関して1300億円の計1500億円。これを受けてこれまでも問題を繰り返したアメリカの関連事業からの撤退をようやく判断したとされる。しかしインサイダー事件表面化が4月になることを想定して08年3月末に首脳陣の入れ替えを公表したが、新設のポストに旧経営陣を移して誰も責任を取らない形を貫いたことは理解しにくい。巨額損失を出したことへの責任追及のアイマイさが、インサイダーを容認する社風にもつながっているのではないか。
 →顧客の取引における法令順守を推進・確認する立場にある証券会社社員の義務や責任が重いのは当然である。カブコム証券社員が社内で証券取引の不正を監視する立場にありながら,社内で知り得た三菱UFJ銀行による同証券TOB情報をもとに同証券株を買い付けたことが問題になった。課徴金勧告(2009年6月5日)。なおこの問題をめぐっては社内に設置された特別委員会報告書(2009年7月28日)が齋藤社長の役職員への過剰な締め付けが、独断専行の社風につながったと社長個人を批判して注目された。

金融商品取引法の一部施行(2006年7月4日) 
 罰則規定の見直しなど(カッコ内は法人への罰金額)
違反行為改正前改正後
風説の流布・相場操縦・有価証券報告書の虚偽記載懲役5年以下または罰金500万円以下(5億円以下)懲役10年以下または罰金1000万円以下(7億円以下)
インサイダー取引懲役3年以下または罰金300万円以下(3億円以下)懲役5年以下または罰金500万円以下(5億円以下)

 2008年6月の改正では課徴金の水準を引き上げ、再犯者は1.5倍に重くする加算制度を導入(厳罰化)。反面では、自社株買いでのインサイダー取引を当局の調査前に報告した場合には課徴金を半額することにした(悪意のない犯罪には緩やかに対応)。

 課徴金制度 2005年4月導入と見直し 
 不正利益を得たかどうかに関わらず株購入時の株価と事実が公表された翌日の株価の比較で決めるもの。刑事告発するほど悪質でない違反行為をとりしまるため導入。厳密な立証が必要な刑事処分に比べて、より多くの事案に迅速に対応して違反をけん制する狙いもある。課徴金勧告は06事務年度の9件から07年度は21件。インサイダー取引摘発(刑事告発+課徴金)は、05年度14件、06年度18件、07年度23件。
 金融庁はインターネット上の情報収集・分析を手がけるガーラの社員3人が、2005年7月に同社と電通の資本・業務提携の事実を知り、その発表前に自社株を買ったとして課徴金の支払いを初めて命じた(2006/01/13)。31万ー32万。このケースが課徴金支払いを求めた最初のケースで課徴金が次々に課せられてきた。
 しかしその後の事例から、実際の利得に比べて課徴金が少なすぎ、抑止効果が十分出ないとの指摘がでている。そこで課徴金の計算方法の変更方針が固まった(2008年2月段階)。これは取得時の株価と比較する株価を重要事実を公表した翌日の株価から翌々日以降の株価上昇分も反映するものに変更というもの(具体的には重要事実公表後2週間の最高値と比較するというもの)。これは課徴金を実質2倍以上引き上げる効果があるが、なお抑止力が不十分との批判が残っている。
 現在の課徴金は利得額相当額を不正利得として召し上げる考え方になっている。独占禁止法にも同様の制度がある。これに対して抑止力を期待する意見は、利得よりも大きな課徴金を求めているといえる。いわば罰金としての機能をも課徴金に期待する考え方である。抑止機能をもつ水準まで課徴金を引き上げるに課徴金についての考え方を整理する必要がある。そこで不正な利得額の範囲内での引き上げに踏み切ることになったものである。
 インサイダー取引は、形式的要件を満たすだけで犯罪になるので、課徴金は低く設定されていた。ところが課徴金が重くなったため、インサイダー規制の見直し(緩和)を求める声が一部にでている。

インサイダー取引以外の証券犯罪の事例
風説(事実と異なるウワサ)の流布や偽計(人を欺くようなはかりごと)の禁止:相場の変動を目的として、不正行為(風説の流布や偽計)を行ってはならない。
相場操縦の禁止:他の投資家の売買を誘う目的で、取引が頻繁に行われていると誤解させたり、相場を変動させようとしたりする売り買いや注目の委託・受託の禁止

 売り買いの注文を同時に出す馴れ合い売買 成立させる意思のない高値の注文を出して取り消す行為(見せ玉) 大量の買い注文を出しながら売買が成立する直前に取り消す行為(見せ玉)
 英語では一人の人間が売り注文をA社、買い注文をB社に出して売買を成立させる手法(仮装売買)をwash salesとかwash tradingと呼んでいる。極めて似ているが、売り手と買い手が実際に別の人格で存在して、示し合わせて同一金額の売買注文を出し合うこと(馴れ合い売買 馴れ合い相場)はghostingという。
 金融庁は2006年1月31日に日本協栄証券に対して、顧客が約定するつもりのない大量の注文を出す見せ玉(ぎょく)を繰り返しおこなっていたのに放置していたとして売買監理を総点検し監視強化策を作ることなどを求めた。

丸八証券による相場操縦事件
丸八証券は名古屋の証券会社。大阪の冷凍食品会社が名古屋証券取引所第二部に2006年3月に新規上場した際、初めて主幹事業務を担当。2006年4月から5月にかけて公募価格と同価格で買い注文を入れ、株価を固定した容疑で、2008年2月13日に同社の前会長らが逮捕された。そして2008年3月4日までに名古屋地検は、前会長や法人としての丸八証券などを相場操縦罪で起訴する方針を固めたとされる。この事件は同証券と幹部二人に有罪判決が出て確定。前会長に対しても2008年9月9日 名古屋地裁は懲役1年4月の実刑判決を言い渡した。前会長側は控訴。

証券犯罪を監視・取り締まる組織のあり方
 証券会社や証券取引所も、異常な取引を監視して、自ら調査している。そして不正を発見した場合には所轄官庁に通報の義務を負っている。その官庁の一つが証券取引等監視委員会である。委員会では調査をして、犯罪の容疑が固まったものについて、警察に通報している。また金融庁の行政処分が必要なケースについては、行政処分を金融庁に勧告している。 
 証券等監視委員会(地方の財務局を含め約550人本体は300人強・・・2006/01
 証券会社への検査権限のほか、疑わしい個人や組織への捜索、差し押さえ
 などの犯則調査権をもつ
 委員長 佐渡賢一4代目07/07/20~(高橋武生3代目~07/07/19)

 米国のSECは約3900人・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2006/01

日本米国
証券会社数2845900
投信運用会社数63982
国内上場会社数38054650
証券会社従業員数87,913804,000
監視当局の人数5503,878

2005年末 上場会社数 東証1部2部 ジャスダック 米国はNYSEとNASDAQ
 このような証券犯罪取りしまりを強化するため、証券取引等監視委員会の強化が指摘されている。証券取引等監視委員会は国家行政組織法8条による8条委員会 いわゆる審議会などと同じ。直接 行政処分を課すことができず行政機関の代表者に対して意見を述べることができるにとどまる。許認可などの行政処分を直接下すことができる3条委員会(公正取引委員会など)にするべきだという議論がある。

文献
「経理マンが注意すべきインサイダー取引規制における注意点」『経理情報』07/02/10
「特集 証券市場の透明性は向上するか」『金融財政事情』07/07/02
「金融機関には厳格なインサイダー取引防止体制が求められる」『金融財政事情』07/07/23
「インサイダー取引の現状と上場会社における体制整備上の留意点」『商事法務』07/10/01
経済産業省幹部インサイダー取引事件の悪質性
大手証券からみのインサイダー取引事件への摘発続く(2012年)

Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
Originally appeared in Mar.22, 2008.
Corrected and reposted in Jul.17, 2009 and Dec.5, 2010.
 
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「Securities Markets」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2024年
2023年
人気記事