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中国と香港 2016-2017

2017-08-08 10:26:34 | Area Studies

2017年7月1日 香港が1997年に中国に返還され20年経った。香港という社会の自由度が下がり、そのことが香港の人々の中国離れを加速している。一国2制度のはずが、国歌法の適用が全人代常務委員会で決定された(2017年9月可決 10月実施)。そして、これ(一国二制度)の例外とするように香港の立法会(親中国派が多数)で香港基本法を改正する。

香港人の香港離れを象徴するのが、李嘉誠主席率いる長江グループの動き。中国・香港の資産売却を進めて欧米でM&Aを加速する「脱中国」戦略を加速している。

香港での普通選挙の実施(18歳以上として2007年に当初導入予定)は、2014年8月全人代が2017年の香港行政長官選挙からの直接選挙と、親中国派しか出馬できない枠組みを示したため、実施に移れず民主派は「真の普通選挙」を求めて反発 雨傘運動に発展したことから頓挫している。この時の学生リーダーが後述する資格をはく奪された議員でもあるが、2017年8月、香港高等高裁は当時の学生リーダー3人に違法集会の罪で禁固刑の実刑判決を言い渡している。市民運動参加者をみせしめのように厳罰にすることは、やはり市民運動や香港独立を唱える動きを抑え込む動きに見える。香港において「思想の自由」「表現の自由」が抑圧されている。

2014年9月末からの民主派による雨傘運動と、14年11月からの上海香港の両取引所での相互取引開始とは重なるかのようだった。2016年11月15日には香港高等法院が、10月12日の就任宣誓に問題があったとして、中国からの独立を志向する香港本土派の2議員の資格を奪う判決を(全人代常務委員会の解釈発表を受けて)下す一方で、2016年12月には深圳と香港の両取引所間でも相互取引が始まった。(ただ外部から見てわからないのはこの若い二人の議員の態度である。宣誓での行動により、宣誓無効になることを考えなかったのかどうか。無効とされて、再宣誓するとしたのもよく理解できない。つまり何のために当選したのか? 立法会での活動に目的があるなら、粛々と宣誓するべきであった。宣誓する内容を問題にして辞任するつもりであれば、これも粛々と辞任するまでではないか? しかしせっかく当選したなら、立法院で長く頑張るべきではなかったか?)

その間には、中国共産党に批判的な書籍を扱う書店店主が、中国本土で失踪し、身柄を拘束されていた事実が明るみに出た(2015年10月から2016年3月)。関係者には中国本土に親族がおり、迷惑がかかることを恐れて、その口は重い。だがこれは、香港を中国公安当局が取り締まる明確な意思を示すものである。問題はこのとき関係者が香港で中国当局に拉致されたことである。これは一国二制度に対する違反になるとのこと。

こうしてみると、中国による香港への圧力は強まっており、西欧的な直接民主主義を志向する香港市民の気持ちは、憂鬱だ。そのことが、自分は香港人で中国人ではないという香港人が6割を超える現象に反映している。

他面 香港は通貨を米ドルにペッグ。金利も米国に連動させている。これは香港をアメリカの金融の動きに連動性の強い市場にしている。思想の自由を奪われながら、通貨は米ドルペッグ。金利は米国に連動。

 しかし否応なく、香港の中国化も進んでいる。香港を訪れる旅行者の4分の3は今や中国本土から(返還直前は4分の1だった)。中国国内の経済発展によって、香港の中国全体の中でのGDPシェアは18%(1997年)から3%弱(2015年)に低下した。こうなると中国本土の客のインバウンド消費に、香港の小売はかなり依存することになる(3分の1程度依存)。他方で中国本土の旅行客の旅先は多様化を始めている。・・・となると小売業界を中心に香港の独立性を声高に求める声は弱まるのかもしれない。

株式相互取引も、本土から香港への資金流入が多い(2016年後半から2017年前半)。背景には中国本土のバブル抑制や資本流出規制がある。まず香港に上場しているのは、なじみのある中国本土系銘柄(H株)。香港株を売却するときは人民元への換金を義務付けられるので、資本流出規制の対象でないとのこと。同様の傾向は不動産にも表れている。中国本土でのバブル規制を逃れて香港へという流れがある。中国本土の資金としては、公に認められた逃避場として貴重だ。

2017/08/08(2017/06/06)


中国:中成長への移行 資金流出 ネット消費

2017-07-31 21:00:15 | Area Studies

マクロ経済 中成長への移行

2005年7月 ドルについて事実上の固定相場(8.2元台)から管理変動相場制へ 

2005年 反日デモ

2008年7月から2010年6月 相場を固定

2008年11月 4兆元の経済対策 不動産へ → 限購令 2件目以降の購入を制限 → 理財商品

2012年11月 習近平が最高指導者になる

2014年1月まで元相場は約3%上昇(2014年中に6元強まで上昇

2014年 理財商品への規制強化 → 株式 → 2015年6月peakに下落(信用取引もあり2015年中国株バブル)

2015年

2015年GDPは67兆6708億元(約1200兆円) 実質で6.9%増(2014年の7.3%から減速 政府目標の7%前後に届かず)
2015年工業生産6.1%増 2014年の8.3%増から減速
2015年固定資産投資10.0%増 2014年の15.7%増から減速
2015年不動産開発投資は1.0%増 2014年の10.5%増から大きく鈍化
2015年社会消費品小売総額は10.7%増 2014年12%増より減るも堅調

人民元の下落 元安へ 資金流出

成長率ダウン(2013年Ⅳ11.2%から2015年Ⅰ5.8%)+デフレ懸念 → 元安(2016年対ドル6.6%下落)へ

2015年8月 人民銀が基準値を2%切り下げ 3日間で6.1元台から6.4元台へ(2005年の変動相場制移行からこれほど大きく下げたのは初めて)
2015年8月11日から3日連続で人民元切り下げ(中国経済の減速を反映)(基準値を前日比2%下げ 6.1-6.2元 → 6.4元) このあと元買い介入で 対ドルでの下落を避ける原則が崩れた。現在は通貨バスケットを参考にする度合いを強めているとされる。→ 元安介入 元安は中国に進出している外資に散っても収益目減り要因 人民元切り下げ+管理変動相場制 導入 15年8月から円安が進んだことで海外投資家は元を嫌うようになった 唐突な切り下げで元売りや資本流出がとまらなくなる。世界同時株安・人民元ショックとも呼ばれる。
2015年11月30日 IMFのSDRの組み合わせ通貨に元の採用の決定(理事会で7割以上の賛成 実施は16年10月から ドル、ユーロ、ポンド、円に次ぐ5番目の構成通貨 基準 貿易の量 自由に取引できるか 貿易の量 決済に占める比率では問題なし・・ドル45% ユーロ27% ポンド8.5% 元と円はともに3%弱 自由度に疑問 元外貨取引を実需取引に限定) SDR:IMFは拠出額に応じてSDRを配分 外貨が不足した加盟国はSDRと引き換えに他の加盟国から外貨の融通を受けられる
       2015年12月16日 米が9年半ぶりに利上げ決定

2016年1月から6月中国企業による海外M&A1925億ドル(13兆3000億円)+ 米中金利差縮小 → 元安圧力に

2016年中国 固定資産投資 中国国家統計局発表 固定資産投資 前年同期比 1-4月10.5%  1-5月 9.6% 
                                                        うち民間投資 1-4月 5・2% 1-5月 3.9%   1-7月 2.1%
製造業の設備過剰 過剰投資(鉄鋼 石炭など過剰な設備の解消) 民間投資の低迷 労働人口の減少 生産コスト上昇等 
独創的ビジネスが少ない 資本流出傾向 元安 中国経済への悲観(中国経済悲観論)
中国経済 GDPで3次産業比率が50%超えた(2015年) 
IMFによれば中国の企業債務はGDP比145%

2016年 

2016年1月 元 中国株が急落

       2016年2月1日 預金準備率引き下げ
       2016年2月 投機を抑えることを宣言 大規模な元買いと外貨管理に動き 元安を抑えようとする 
       金融の自由化 独立した金融政策 を進める以上 資本規制で 元相場を安定させるしかない 市場介入ヨリマシ
       元安 → (中国経済の減速が背景)中国からの資金流出加速 中国マネーによる海外不動産投資
                同時期に円は円高に振れている(125円→120円) 2016年初118円 2016年夏110円

2016年2月28日から上海でG20

2016年3月5日開幕 全国人民代表大会 13次5ケ年計画(2016-2020)の目標 実質で6.5-7%の実質成長を保つ
6.5%以上の中高速成長保つ 2020年にGDPと所得水準を10年比で2倍に 財政支出赤字幅15年の2.3%から3%に拡大
通貨供給量の伸びの目標13%前後 外資の中国離れに危機感

2016年のGDP伸び率 前年比6.7%前後 政府目標は6.5%~7% 70兆元(1170億円)

       個人に対し年5万ドル(590万円)の両替制限。投機マネーの流入 元高をいかに防ぐか

       ビットコインはビットコイン 送金上限200ビットコイン790ドル戦後(2016年12月現在)
       元安 外貨借りをしていた企業は元に切り替え(借換え)
       自由な香港市場と規制のある上海市場間で裁定取引を行うことは規制されている 
       2016年3月11日 1ドル6.493元まで 水準戻す

2016年6月 類住宅規制をめぐり上海で住民らが集まる
2016年7月18日 1ドル6.7019元 2010年9月以来の元安 当局(人民銀行)は元安容認か? 16年初 6.6元 その後6.5-6.6元 
       2016年6月1日 1ドル6.5889元(基準値)   2011年2月半ば以降5年3ケ月ぶりの元安水準
       背景:介入控えて外貨準備温存 かつて4兆ドルに迫る(2014年6月)
       2016年7月末 外貨準備3兆2000億ドル ピーク時(2014年末3兆9000億ドル)から8000億ドル減少 外貨準備の急減は注目された

       元買い介入

       2016年11月末3兆516億ドル 2016年12月末 3兆105億ドル 秋以降介入規模小さくなる

2016年10月1日 SDRの構成通貨になる

2016年10月以降 地方政府は住宅需要抑制へ 住宅ローンや購入軒数などの規制強化

2016年11月17日 1ドル1ドル6.8692元 2008年6月以来の元安

   2016年11月から 500万ドル以上の送金や両替 事前審査に。海外企業買収も1件500万ドル以上は事前審査。段階的に規制を強めていたがここで事前許可性になり元のまま海外で送金することも制限されることになった。資本流出に伴う急速な元安を嫌ったとされる。海外M&Aなど資本規制。

 資本規制の影響で国内に大量の資金が滞留して、不動産バブルになっているとの指摘がある。

 2016年1-11月 流入2.5兆ドル 流出は2.8兆ドル 2930億ドル 2016年の純流出は3000億ドル超え(2010年以降最大) 2015年は2000億ドル 2017年1月から 個人の外貨買いの際に細かく報告 消費投資が減速するなか 大量に資本が流出していることは中国政府の大きな懸念材料で人民元安を食止めることが

2016年12月 8年ぶりの元安水準 2016年末から海外への資金流出を厳しく制限

2017年

2017年に入ると威信をかけて元高を演出 1月6日前日比0.9%高上げ幅は2005年7月以来最大 1ドル1ドル6.8668元 根強い元の先安観を払拭へ

2017年4月 中国向け工作機械受注額が急増

2017年5月 中国向け輸出が2年6ケ月ぶりに米国向けを逆転。資源の値上がりもあり4ケ月ぶりに貿易赤字

2017年7月 5月以来株価は上昇基調(4月初めのpeakから5月まで下落)

2017年9月 株式の上昇基調続く(1年8ケ月ぶりの高値圏) 株価はその後高値で膠着

2017年7-9月 GDPは実質で前年同期比6.8%増(4-6月は6.9%から減速 2017年の目標6.5%超えは確実)

       背景には公共投資=インフラ投資の拡大

株価の急落 低迷の長期化(2015-2016年) 

2010年3月 信用取引始まる 銀行で借入投資に比べて証券当局の監督下という理解もあるはが 時価総額に比して信用取引のp比率が高い 日本の0.5% NYSEの2.4%に比べて中国は3.5%(2015年4月)
      2014年11月 上海と香港の株式相互取引制度始まる 
      (2015年1-4月株式売買高 上海:銀行・資源株中心 世界最大に とくに銀行の利益が占める比率高い ネットや新エネルギ^などは深圳 5月20日時価総額で深圳が香港抜く)
      2015年後半以降 売買代金が縮小して閑散している(2016年5月末 だらだら下げている状態 5月末時価総額で上海は東京の1.2倍まで膨張)
      2015年6月初旬 25社が一斉上場 → 需給悪化へ
      2015年6月peak(12日に7年5ケ月ぶりの高値)に下落(7月7日までに3割) 株価の下落(個人投資家が売買シェアで8割を占めて値動きが大きくなりやすい) → 消費に与える影響(逆資産効果) 不良債権拡大懸念 金利の自由化方針(2015年内「預金金利自由化 債務デフォルト容認姿勢など)→銀行の収益基盤低下 
     2015年7月3日 IPO中止
中国当局の政策が招いた1月の暴落
     2016年1月4日 中国人民銀行は人民元の基準値を引き下げた 2011年5月以来の安値
     2016年1月4日 取引開始日にサーキットブレーカー作動 5%で15分停止 さらに7%急落受けて 1時間早く取引は停止された
     2016年1月5日 証券監督当局は取引開始前に 上場企業の株式5%以上を保有する大株主が一定期間内に売却できる株式数に制限を設けるとした。
     2016年1月7日 中国人民銀行は人民元の基準値を前日比0.5%以上引き下げた
     2016年1月7日 前日比5%超える下落でサーキットブレーカー(1月4日に導入が)作動し取引停止 15分の停止後 売買停止恐れる個人の売りが殺到 7%超える下落で再びサーキットブレーカー作動 全売買停止 この日の株取引時間は28分間 1時間後 上場企業の大株主に一定の売却制限(2015年7月に導入された上場企業の大株主に対する持ち株売却禁止が8日に解除されるはずだった) 同日夜にはサーキットブレーカーの運用停止を発表(日本のサーキットブレーカーは先物トオプションのみで現物は対象外)
     2016年1月11日人民銀 人民元相場 複数の通貨によるバスケットを参考にする割合高める 証券当局 上場株式の株式5%以上を保有する大株主の株式売却を3毛月間で発行済株式数の最大1%とする規制適用
     2016年1月13日 上海総合指数3000割り込む(2015年6月peak 5000超えていた。
     2016年1月16日 証券監督管理委員会 肖 責任認める
      上海株式総合指数は2015年6月がpeak 16年2月末までに50%近く下げた
      上海指数 金融とエネルギーで時価総額の半分 オールドエコノミーを代表して株価不振は当然
      深圳総合指数 ITや消費財 ヘルスケアの比率が高い

     株の下落で中国株投資減る

     輸出企業 ドルをそのまま置いておく 輸入企業 ドル建て代金をなるべき早く海外へ送金

     外貨建て保険購入 海外旅行 

  中国の株式市場対策

拡大するネット消費 ネット通販
      テンセント(騰讯控股) アリババ集団 百度 いわゆるBATは香港、米国に上場・・・・背景には国内での資金調達困難もある
      アリババ集団(浙江省)のNYSE上場:2014年9月19日 時価総額2300億ドル(フェイスブック上回る) 売出価格68ドルに対し初値92.7ドル 2014年11月には106ドル超え2550億ドル 史上最大の250億ドルを調達 しかし1年後には株価は一時60ドル台に低下
      アリババ(馬雲ジャック・マー会長 2013年5月CEOを陸兆禧にゆずる) 1999年企業間電子商取引サイトからスタート(創業)。2003年個人向けオークションサイト「タオバオ淘宝网」 オンライン決済 支付宝アリペイ2004年に手がけ ネット通販で成長 2008年に仮想商店街「淘宝商城(現在の天猫 Tモール)」:2015年ネット通販の6割のシェア 「場所貸しの楽天に近い」 2013年6月 余額宝の運用開始 2014年3月末残高5412億元(9兆6000億円) 2015年8月小売2位(その後2015年1位)の蘇寧雲商集団に2割出資へ 増資283億元約5700億円引受 小売2位の国美電器は2016年4月 アマゾンドットコムと提携 中国のネット利用者は6億5000万人 米国人口の2倍
2013年6月 投資商品余額宝の発売 5%前後の金利
      百度(李彦宏CEO) 社内の低いモラル感覚で知られる検索最大手 の広告不正問題(癌治療をめぐるある病院の虚偽広告 2016年4月 大学生が死亡 これを機に医療広告での多くの不正あばかれる 医療広告は百度の売り上げの2-3割 → 百度のモラルの低さが社会問題化 政府の情報統制に従う百度の姿勢にも批判強い 百度のシェアは中国では8割で独占状態 グーグルが1割 世界全体では1割 グーグルが6割)
      テンセント(馬化騰CEO 広東省東部出身) 創業1998年 広東省深圳 SNS最大手 交流サイトQQ(2015年末の利用者8.5億人) 対話アプリ微信(ウィーチャット 2011年提供開始 2015年末で利用者は7億人近い) 有料ゲーム タクシー配車  決済サービス微信支付(ウィーチャットペイ 中国では30万店以上で利用可能16/06) 2014年3月 ネット通販2位の京東集団(京東 JDドットコムを運営 在庫や物流も自ら管理 アマゾンに近い 直販方式 返品交換保証 2015年6月日本館を立ち上げ注目される)資本業務提携 物流の協業 データの共有
2015年 中国政府は民間資本に銀行業参入を認めた → アリババ集団とテンセントがオンライン銀行を設立した。
    設立認可2014年10月24日 アリババ集団が30%出資する 浙江網商銀行に設立認可 この時点でテンセントの出資する銀行への認可済 同時に上海均瑶集団が30%出資する上海華瑞银行にも設立認可
アリババ集団が設立したのが 網商銀行(My Bank) 500万元以下の少額融資だけを扱う。電子商取引の販売店、農村の企業家、インターネット関連の新企業を融資の対象。融資の申請があればクラウドCを利用して直ちに融資できるか回答する。天猫国際グローバル
テンセントが設立したのが微衆銀行(We Bnak) 預金も貸付もすべてスマホを窓口。少額の融資のみを低金利で扱う。
テンセントは2015年7月 華強北市場の一角に華強集団と組んで華強北国際創客中心をオープンした。3Dセンター検査設備を備え、20万から200万元の範囲で創業資金も支援する 創客空間が全国で誕生している(丸川知雄「大衆の創業、成長の原動力に」日経20160225)
O2O オンラインツーオフライン ネットから実店舗に誘導するもの ネットのアプリ クーポン券など ネットでクーポン券
共同購買サイトの統合 アリババ系「美団」とテンセント系「大衆点評」 両サイト統合で合意 2015年10月
過去にも 2015年に入ってから アリババ系「快適打車」とテンセント系「滴々打車」が新会社設立へ 百度(米ウーバーテクノロジーズ)と対抗 百度 落ち目
小売での電子商取引 日本では4% アメリカでは10% 中国では2014年にすでに10%超えたとされる どこまで伸びるか 


米FRBの証券証拠金規制 margin requirements

2017-07-28 21:59:08 | Area Studies

marginは株式取引では、margin勘定で取引するときに、取引金額に対して証券ブローカーに差し入れる現金のこと。この比率を証拠金規制margin requirementといい、このように現金を差し入れて、それを上回る取引をすることをmargin取引という。現在、米国では連邦準備制度が定める当初証拠金規制は50%という高い比率であるほか、維持証拠金比率は別途定められている。このほか各取引所、ブローカーレベルの規制がある。:margin取引は、日本での信用取引に相当する。

marginの意味だが、取引している人が破綻した場合に、貸付を行っているブローカーが損失を受けないように、カバーしているのであろう。
      当初取引金額=margin+融資金額
      当初証拠金比率=(margin)/当初取引金額  
従って購入したものの価値が下落すると、下落しただけ、ブローカーにすると損失カバーが不足していることになる。
      
他方、先物取引など派生商品取引でも証拠金(margin)がある。これは取引所やブローカーが定めるものだが、取引金額に対する当初証拠金比率は3%~12%とされており、株式取引におけるmargin reuirementsとは数値の大きさに違いがある。当初証拠金、維持証拠金という組み立ては、株式取引と同じである。

株式取引の証拠金規制とは米FRBが保有する、証券市場の証拠金規制のこと。しかし数字は1974年に固定されてから久しく変更されていない。なお証拠金規制とは、日本でいう信用取引の委託保証金規制のこと(証券会社に差し入れる現金の信用取引金額に対する最低比率)。この当初比率規制権限を中央銀行であるFRB自身がもっている(Regulation T)。中央銀行が株式市場に直接規制権限を持つということ自体、とても興味深い。しかしこの規制はなお存在はするが、長年変更しないこと自身がFRBが有効性を否定しているともとらえられる。あるいは有効だとしても、FRBがこの数値を動かすのは、余程の場合と考えるのか。実は明確でない。

以下は実証研究から、規制比率が変更された場合の極めてはっきりした市場の反応をとらえて、改めて規制の有効性を確認した。

Gikas Hardouveilis and Steve Penstiani, "Do Margin Requirements Matter? Evidence from U.S.and Japanese Stock Markets," FRBNY Quarterly Review, Winter 1989-1990, 16-35

margin 規制は FRBが行っているだけではなく それぞれの取引所 各証券会社レベルで行われている。つまりFRBが決めているのは外枠の規制でFRBが規制しなくても、実際には規制が働いている、操作されているともいえる。

margin requirements(SEC)

これに対して以下は証拠金規制の有効性に疑問を呈している。証券市場で派生市場が発達して、現物市場だけの規制では有効でないこと。証券投資で借入資金を得るのは証拠金取引とは限らないことなどを上げている。

Simon Kwan, " Margin Requirements as a policy tool? ,"  FRBSF  Economic Letter, Mar.24, 2000

仮にそうだとすると、議論されるべきなのはこの規制がなお残されていることの意義である。というのもこの規制をめぐっては、1960年代に論争が記録され、そしてその末に数値の変更が停止されているからである。次の論文は、この問題の包括的な評価になっているようだ。

Peter Fortune, "Margin Requirements , Margin Loans and Margin Rated: Practice and Principles," New England Economic Review, Sept./Oct. 2000

以下の私の論稿(2003)はその1960年代から70年代にかけての論争をまとめたもの。現在の時点では、証拠金規制を業者側のリスク管理の問題として把握することを主張している。しかしこの論稿は今振り返ると、Hardouveillsの研究を文献に言及してはいるが、1960-70年代の論争のまとめに傾斜しすぎていた。サーベイとしては以上の2000年代の文献を、検討する必要があるだろう。また株式現物市場以外での証拠金規制の意義についても言及が足らない。最近問題になる、派生商品市場での証拠金規制では、規制対象は個人投資家ではなく金融機関であり、焦点は相場の変動ではなく決済問題である。したがってそれは、株式現物市場の証拠金規制の問題と連続した脈絡でとらえることはできないように見える。

市場と規制 証拠金規制をめぐって 成城大学経済研究161号, June 2003, 113-146

参考

非清算デリバテブ取引にかかわる証拠金規制 2016/05

店頭デリバテブ証拠金規制の導入延期 2015/05


 

 

 


株主総会での議決権行使 スチュワードシップコードと助言会社 

2017-07-21 23:43:24 | Area Studies

スチュワードシップコードとは。企業に対する株式投資を行う機関投資家(大口資金をプロ組織として運用しているものをいう。代表的には年金の運用機関。)の望ましい行動の準則を定めたもので日本では2014年に金融庁が開催した有識者会議においてより定められ導入された(イギリスがお手本・CGはOECDの原則がお手本。)。コードの具体的内容は、行動指針を作り公表する、親会社取引先などと利益相反が起きないようにする、対話を通じて企業の状況を把握する、議決権行使の方針をつくり行使結果を集計公表する、など。コード受入機関投資家は2016年12月までに214に達した。2017年5月に改訂され、利益相反になりうるケースの洗い出し、対応を求める、行使した議決権の個別開示求める、よりきめ細かなものに改められた。しかしその後、個別開示の内容は、コード受入機関投資家の間でも対応が分かれていることが注目される。

企業統治指針(東証―金融庁で作成 2015年6月適用開始)・・・2015年5月 改正会社法施行

機関投資家の議決権行使に絡んで、助言を業務として行う助言会社の存在が知られている。米国に2社。ISS(insitutional  shareholder services 投資家のロバート・モンクスが1985年に設立)とダラスルイスの2社である。この業務については監督官庁がない。この助言会社が行っている助言に対して、助言内容に対するその社会的関心の高まりとともに、十分な人員(レポート作成の体制)を配置しているか(議案について十分な精査をしていないのでないか)、個々の助言内容は適切か(ファンドによる提案はファンドの利害によって出されている。その提案が正しくても間違っていても、支持することがファンドへの支援になる。そうした場合、助言会社はどう判断するべきか?黒田電気の問題(2015年)でISSは旧村上ファンド:レノの提案に賛成、ダグラスルイスは反対、をそれぞれ推奨した。私はダグラスルイスがいっているように、村上ファンドが長期的投資家でない以上、こうしたファンドの主張に従うことは助言会社としておかしいと考える。ISSの判断は村上ファンドの意向に沿ったもので助言会社に対する信頼を損なうものだった。助言会社の中立性を疑わせる助言だった。

この助言会社2社の意見が対立する図式は2017年にも繰り返された。しかし2017年の戦いでは候補者を旧通産官僚一人に絞った村上ファンドの提案が通った。この結果は、黒田電気の経営の混乱そして、経営情報の村上ファンドへの流出である。助言会社ISSの助言内容が、投資家視点であって企業の長期経営という視点でなく、ファンドの利害に沿った短期的なものである可能性は高いと思われる。このような助言会社ISSから運用機関は距離を置き、長期的な視点で議決権の問題を判断すべきだと考える)などの疑問が出されている。運用機関に対しても、助言会社に丸投げするのも無責任という指摘もある。問題の背景として、株主総会で出される議案の件数が膨らんでいることが挙げられている。

 なお助言会社間の意見の対立は、DMG森精機が自己株式を同社関連の財団の譲渡する議案をめぐって、ISSが反対推奨、グラスルイスが賛成推奨したとき(2017年3月)にもあった。この場合も明らかなのはISSが、これを安定株主作りとみて反対、グラスルイスが事業計画や資本政策は取締役会に任せることが好ましい(財団に自己株式を譲渡しても株主に経済的損失は発生しにくい)として賛成であった。明らかにISSは、投資家視点、グラスルイスは経営者視点で、対比的だ。そしてここまで露骨であれば、ISSの助言の仕方も、そうしたものだと判断して、評価した方がよさそうだ。そして望ましいのは、あくまで助言会社の助言をあくまで参考意見として、運用機関は自分自身の見識、判断力をもつことだ。

 株主総会 議案の提案権は 総議決権の1%以上の株を6ケ月以上保有する場合に与えられる 株主提案権制度は1981年に少数株主の意見を経営に反映させるため導入。英独では5%以上の保有が必要にくらべゆるやか。米国も1%以上(または2000ドル以上の株式保有)だが、提案を1人1案に限り、取締役選任や配当などの提案除いている。厳しくすることと、2015年の企業統治指針の矛盾を指摘する意見もある。2014年度で株主提案を受けた上場企業は34社。5年前の5割増し。

 問題:一人の株主が大量の提案を出して、提案の精査や株主への通知で企業に過度の負担を与える例がある。総会の進行が滞る→企業側は乱用防止求めている

  公的年金・企業年金 の 運用機関 はつぎのように分かれている。 

 運用機関 信託銀行など 90兆円;生命保険会社 20兆円;損害保険会社 7兆円;外国法人 155兆円

 

以下は、問題とされる総会議案の例

経営者報酬の在り方

・大きさの適切性

・業績や株価に関わらず支払われる基本報酬の大きさは 日本とかイギリスは小さい

・株式連動型報酬 促進するべきとの考え方がある

社外取締役の在り方

・全体の3分の1以上とすること(シンガポールは3分の1以上 欧米では半数超える 東証1部では3分の1超えるのは23%

相談役・顧問の扱い…会社法に規定がない曖昧な日本特有の制度・・しかし6割の企業で在任者がいる(上場企業に対する経済産業省調査。正確には62% 544社 経済産業省の調査では 現経営陣への指示・指導 業界団体や財界での活動が制度がある理由)。株主に対して説明責任のない人が経営に影響力をもち報酬や待遇が開示されない → 一般の社員が定年で退職するなか、相談役・顧問という形で元経営者を厚遇し、老害を広げるこの制度は速やかに廃止するべきという意見は社会的にも強い。

企業防衛策

・必要性合理性説明できるか

 

 


蔡英文政権への支持率が2017年にかけ一時減少

2017-07-15 09:54:54 | Area Studies

 2016年5月20日  蔡英文氏が総統に就任した(民進党政権は8年ぶり 2014年から民進党主席)。就任演説で対話による現実路線、中華民国の現行憲政体制維持を掲げた(中国からの観光客が減るのを懸念する意見もある)。台湾大学法学部卒 ロンドンスクールオブエコノミクスで博士 政治大学教授のあと政治に転じた。民進党は立法院で過半数をおさえたものの(113のうち68)、安全を証明したうえで米国産豚肉の輸入解禁する(TPP参加を目指す)、沖の鳥島を岩との主張を取り下げる(日本の排他的経済水域EEZを認める)、ヒマワリ学生運動に対する告訴取り下げ、などの蔡英文政権の主張に、国民党は激しく反発したとされる。

 2016年5月の就任時50%近くあった蔡政権の支持率が、その後低下し2017年6月には半分以下の21%まで低下した(他方 不支持率は3倍の63%に上昇)。IT産業を中心に、経済は好調 株価も上昇であるなかでの不支持率上昇は不可解だ。

 2016年末に実施した労働基準法改正(週休2日制の完全実施、時間外手当の引き上げなど)に経済界から反発でている。これには手取りの減った労働者にも不満があるとされる。年金制度の改革では高齢者の離反を招いたとされる。

 台湾の外からの解釈に過ぎないが、中国の圧力が強まることで、台湾の将来に懸念が高まったこと、これが支持率低下の一因ではないだろうか。2008年の馬英九国民党政権誕生の翌2009年からオブザーバーとして参加していた国際機関への参加から連続して外されることになった。国際民間航空機関ICAO総会(2016年9月)、国際刑事警察機構ICPO総会(2016年11月)、そして世界保健機関WHO総会(2017年5月)と出席が認められなかった。中国の空母が台湾を1周して圧力をかけた問題と合わせて、中国による圧力が露骨であるだけに、台湾の将来への懸念が(支持率の低下という形で)広がることも理解できる。しかし他方で、あまりに露骨な圧力は、台湾の人たちの独立心に火をつけ、蔡英文政権への支持を高める逆の可能性もあることを中国政府は考慮するべきだ。

 そもそも台湾の企業の中国との蜜月関係も近年変化がある。台湾の企業が中国の赤いサプライチェーン網から締め出される、あるいは中国を生産拠点とする経済モデルが、技術情報漏えいリスクがあるとの指摘もあるなか、中国の人権費高騰によって、中国の低廉な労働力を使うモデルに限界にきている。つまり中国で工場を展開するという台湾企業の在り方はすでに曲がり角にある。

 2017年に入って、タッチパネルのTPK、金属ケースの可成科技catcher technologyなどが アップルの恩恵で急速に業績をのばし、株価(加権指数)が2017年に入って半年で9200台から10000台に一気に上昇している。この状況での、蔡英文政権の支持率急減は、この株価指数の動きと相反している。はっきり言えることは、台湾経済はともあれ好調を維持していること。つぎに中国との緊張は不安材料で支持率低下の一因だが、それが台湾国民に与える影響は、蔡英文政権に対する支持率低下に常になるとは限らないということであろう。露骨な圧力は、中国への嫌悪感を高め、蔡英文政権支持率を高める可能性がある。

 もともと蔡英文政権の誕生をもたらしたのは、国民党の馬英九が、対中融和を急ぎ過ぎたことに原因があったことに思いを致すべきだ。

 馬政権の対中融和策(2008年就任 2008年中国との直行便実現 2010年経済協力枠組み協定締結等を次々に実現。台湾の域外投資の6割が中国。過度に中国に依存した経済は後戻りが利かない状態になった。しかし他方、中国では人件費が急増、投資環境は悪化。こうした中国との関係の見直しが課題になっていた。こうした中で馬は中国との協定の採決を急いだ。

台湾版天安門事件 2014年3月24日馬英九政権(2008年に総統に就任。2010年6月に中国と経済協力枠組み協定締結 2012年1月総統選挙で再び当選 13年6月にはサービス貿易協定を締結)は中国とのサービス貿易協定に反対する学生たちを行政院の建物から強制排除。多数のけが人をだした。これを台湾版天安門事件と指摘する声がある。「ひまわり学生運動」ともよばれる。
 馬政権は3月17日に同協定を立法院委員会で強行採決。これに抗議する学生が18日夜から立法院の議場を占拠する事態になった。(おそらくはこのことを手土産に国民党の連戦名誉主席は中国を訪問。習近平国家主席と3月18日午後に会談している。この訪問には台湾の企業人などが同行し約80人の訪問団をなしている。また19日のイエレン米連邦準備制度理事会議長が来春にも事実上のゼロ金利政策解除する可能性への言及は外国人投資家のリスクマネー引き上げにつながるとの指摘もあり、19日以降台湾株価は下げが続いた)さらに委員会での審議やり直しを求める学生との対話を拒否したうえで3月24日に強制排除を行った。
 馬政権そして馬英九のイメージはこの強行策で内外で決定的に傷がついた。それは国民との合意形成を軽視した非民主的独裁政権というもの。背景には、中国との関係については、現状維持を大多数の国民が支持している現実がある。馬政権が、この国民の意識に比べ行き過ぎたのだ。
 その後 行政院が中国との協定を結ぶ際に情報公開と立法院などによる監査(監督)を義務付ける監督条例草案をまとめ、決定。王金平立法院長が、4月6日 監督条例草案が成立しない間は、協定審査のための与野党協議を開かないことを、条件に学生に退去を促した。これを受けて学生は7日に退去を決めて10日に立法院から退去した。
 馬総統は監督条例の早期成立を強調した。馬政権(2008年誕生 2010年中国と実質的自由貿易協定締結)が進めてきた対中融和策のスピードをダウンさせる必要がでてきた。馬総統は経済成長率6% 失業率3% 一人当たりGDP3万米ドルかかげたが実現できなかった。2015年の経済成長率は約1%(1%割れとも) 一人当たりGDPは2万2400ドル。この後の2014年11月の統一地方選で国民党は大敗し民意を失っていることが明確になり、14年12月馬英九は与党国民党の主席を辞任した。経済の停滞 格差の拡大や対中融和策への不満 が大敗の理由とされる。

 2016年1月の総統選・立法院選での国民党の大敗はそれに続くもの。明らかに国民党の対中融和政策に対する不安が一因である。中国による台湾への露骨な圧力は、蔡英文政権が理性的な対応を繰り返す限り強権による横暴に見え、台湾国民の中国への反発を高め、蔡英文政権への支持率を高める方向に働く可能性が高い。

  2017/07/15
  2021/09/14   書き直し 

 


朴槿恵(パク・クネ)から文在黄(ムン・ジェイン)への政権移行に伴う不安

2017-07-10 19:26:40 | Area Studies

2017年3月10日 韓国の憲法裁判所は、韓国国会の弾劾訴追を受けた審理で大統領朴槿恵(パク・クネ)の一連の行為を違憲違法行為と認定。朴槿恵(パク・クネ)は大統領を罷免された(2013年2月に政権を引き継いだパククネは2014年4月のセウオル号事件までは国民の支持を得ていたようにみえる。またその後も2016年2月に、北朝鮮による弾道ミサイル発射に対して開城(ケソン)工業団地閉鎖で対抗する姿勢を取ったことは、北朝鮮への圧力強化を望む日本政府としては、支持できる行為だったことは疑いがない。

 パク・クネ政権と日本は長年の懸案であった従軍慰安婦問題で2015年12月28日に日韓合意にたどり着いた。少なくとも日韓関係を改善しようという方向性において、日本にとっては好ましい政権であった。また対北朝鮮では2016年1月の核実験のあと、2016年2月、開城(ケソン)工業団地の閉鎖を決断するなど、強硬姿勢を取った点でも、外交姿勢については共感できた。パク・クネ政権と日本は長年の懸案であった従軍慰安婦問題で2015年12月28日に日韓合意にたどり着いた。少なくとも日韓関係を改善しようという方向性において、日本にとっては好ましい政権であった。また対北朝鮮では2016年1月の核実験のあと、2016年2月、開城(ケソン)工業団地の閉鎖を決断するなど、強硬姿勢を取った点でも、外交姿勢については共感できた。それだけにパククネ政権の退場に失望感が日本側にあることは事実だろう。

2017年5月9日 韓国の大統領選挙で文在寅(ムン・ジェイン)が選出された(得票率は41.08%)。大変日本から見ていると不思議だが、北朝鮮との緊張の高まりにも関わらず、韓国株は2017年に入ってから上昇基調。内政混乱、対中関係悪化、北朝鮮問題の三重苦を意識していないかに見える。半導体、携帯、液晶パネルなどの輸出がバネになっているようだ。北朝鮮問題には慣れているのか(シリア空爆時の緊張を除くと)、少なくとも過敏ではにない。おおむね同様の動きを示すのがウオンである。2017年に入ってからウオン高の基調が続き、株価も1-6月の間ほぼ一貫して上昇した(韓国の場合は2016年1月から2017年半ばまで株価上昇が続いた。)。

文在寅の政策は、労働者寄りであったり(大統領選で非正規労働者の待遇改善を主張した、当選後 最低賃金の引き上げ、公共部門の非正規職員の正規職員化等を実施)、反原発の推進といった点で、台湾の 蔡英文民進党政権と似ている。政治の混乱にもかかわらず株価が上昇を続けた点(半導体メモリーやディスプレーや需給がひっ迫した)も韓国と台湾は似ている。ところでやはり日本から見て気になるのは南北融和政策であろう。韓国と中国の関係が米軍のTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)の配備を懸念して緊張。対韓感情の悪化から中国で展開する韓国系スーパーの多くが営業停止に追い込まれたとされる。また韓国への団体ツアーも3月から禁止されたとされる(これらの問題もパククネを追い詰める一因になった)。文在寅はどうも対北融和政策の機会を探っているように見える点が気がかりである。たしかにそれは韓国にとっては、北朝鮮そして中国との関係を緩和することになるだろう。しかしもしもそこまで進めば、米国はもはや韓国を同盟国とは見れないのではないか。問題は韓国という国がどちらを向くのかということに関わっている。

 2016年4月13日開票の総選挙で 与党セヌリ党が大敗した。これは、対北朝鮮への強力な姿勢(南北協力事業の開城工業団地の全面中止・・・2016年2月)。在韓米軍の地上配備型ミサイル迎撃システムTHAAD配備問題(ここでこれまでの親中路線とは違う路線を選択したように見え、事実中国はnに伴い、2016年10月、中国からの観光客急減になって現れる。この動きは翌年2017年にかけて続いた。現代自動車の販売が落ち込む。スーパーのロッテが休業に追い込まれる。韓国向け団体旅行が中止されるなど。2017年3月段階)Korea 中国の韓国いじめ

中韓自由貿易協定締結2014年11月 低い水準での自由化の評価 締結という外交的成果急ぐ。中国経済への過度の依存が中国停滞のリスク(チャイナショック)を韓国にしわ寄せしている。国内では消費の落ち込み 低インフレ 少子高齢化など。中国減速の影響のほか、中国では中国企業との競争激化(半導体、デイスプレー、携帯電話のいずれもがふるわない。中国が中間財の自給率を高める戦略にシフトした結果、中間財を供給して伸びてきた韓国企業の輸出が減少。しかし韓国では輸出内容の切り替えが進まないとされる。

 韓国経済は2016年7-9月まで4四半期連続で0%台の成長率を続けた(GDPの5割が輸出とされ最終需要は中国と米国。中国の伸び悩みが韓国を直撃している。財閥企業中心の経済体制。サムソンが2016年8月に発売したギャラクシーノートセブンの発火問題でつまづいた。最新型の高級機種:大型の有機ELパネルを使用、瞳の虹彩を使った個人認証機能など最先端機能を盛り込んだ・・・でアップル追撃を考えた投入だったが失敗に終わった。 これは電池の不具合で発熱 各地で火事を引き起こした 9月にリコール、10月に生産停止に追い込まれた。この原因については サムソンは電池に原因説だが 回路設計ミスも大きい。電池に対する負荷多すぎた などでまだ解明されていない。いずれにせよ電池が充放電を繰り返す中で加熱それが原因でショートした。これと同様の事故は2006年にソニーのパソコン電池をめぐっても起きている。本体の設計に問題があるばあい、サムソンのノートセブンでの回復は今後遠のくと考えられる。いずれにせよ、サムソンのブランドイメージは全世界的に傷ついたといえよう。背景にあるのはアップルとの関係。アップルは競争をしかけたサムソンを供給者から外し、iPhone 7では台湾のTSMCに半導体を任せるようになった。ギャラクシーノートでの躓きはサムソンの戦略を崩すもので、 大きいことなのではないか。サムソンの事業は半導体と携帯の2本脚であるが、半導体だけの一本足になったと評された。なお液晶 有機ELパネル部門も好調。その後 米国で発売する洗濯機の一部で不良品が見つかり2016年11月回収においこまれた。 韓国躍進の象徴、世界で販売5位の現代自動車も12年ぶりの2016年9月全面スト、一時的に引き下げられた個別消費税が本則に戻った結果、国内売上高が減少した等の結果、大幅に稼働率を落とし、業績を悪化させた。米国では人気車種との自社の商品との食い違いも失速の大きな理由。傘下だが人的交流のない起亜の方が国内販売好調とのこと。)。

 パク・クネ大統領はその後、友人崔順実(チェ・スンシル)によりマインドコントロールされ、国政判断をしていた疑いが急浮上した(2016年10月)。最初は国政情報を私人チェ・スンシルに流した疑いであったが、やがて国政に介入させ、不当に利益を上げさせたのではないか、国政の判断をパク・クネ自身がゆがめたのではないかと指摘されるようになった。大統領就任直後の清新なイメージは霧散してしまい、国民の支持率は5%にまでさがったとされている(2016年11月)。

パク・クネ政権と日本は長年の懸案であった従軍慰安婦問題で2015年12月28日に日韓合意にたどり着いた。少なくとも日韓関係を改善しようという方向性において、日本にとっては好ましい政権であった。また対北朝鮮では2016年1月の核実験のあと、2016年2月、開城(ケソン)工業団地の閉鎖を決断するなど、強硬姿勢を取った点でも、外交姿勢については共感できた。

2014年 韓国への直接投資額は20億弗前年比3割減 2014年 韓国の対中貿易は2353億ドルで10年前の3倍 韓国を訪れる日本人観光客 22013年前年比22%減 2014年17%減

2015.5-7 MERS(5.20-7.4 計168人の感染者)の影響で観光減

2015.4-6 GDP伸び悩み 実質前期比0.3%増〔年率〕1.2%程度 前期は0.8%増から減速 中国景気鈍化など

2015.6.11 韓国銀行 追加利下げ 過去最低の1.5% 家計の債務残高 GDPの7割

2015.3.12 韓国銀行 利下げ 1.25% 0.25%下げ 政策金利1%台は初めて 2月のCPIは0.5%で1999年7月以来の落ち込み ウオン対円で7年ぶりの高値

2014年 GDP 3.3%増

2014年12月支持率 40%割れ 円安ウオン高に韓国で危機感

2014年10月15日 韓国銀行 利下げ0.25%下げ 年2% 9月のCPI前年同月比1.1%

2014年4月16日のセウオル号沈没直前の韓国
韓国1人あたりGDP2万5000㌦。2013年のGDP伸び率実質2.8%。不動産市況の低迷⇒逆資産効果。家計負債大きい。家計負債は2013年6月末で980億ウオン(90兆円)。名目GDPの8割
日韓関係冷え込みから対韓直接投資減少(2013年 3年ぶりに前年比マイナス
サムソン電子一強とも(たとえば株式時価総額でダントツの大きさ)。2番目が現代自動車
2013-15年の物価安定目標はCPIで年2.5-3.5%(2012年10月発表。3年ごとに発表)

セウオル号の事故は、対応の不始末から韓国政府 パク政権の支持率を大きく下げる切っ掛けになった。乗員乗客476名 救出172名 死亡295名 行方不明9名とのこと。注目されるのは乗組員15名が救出される一方、乗客の多くが犠牲になったこと。批判されるべきなのは、乗組員は制服などを脱いだり着替えて乗客を偽装し、乗客の救護活動することなく逃亡したこと、当時操舵にあたっていた3人全員が乗客を捨てて逃亡していること。多くの乗客が船室に残るようアナウンスで指示されて死亡に至ったこと。事故の原因が過積載にあることなど。他方、救出する側の作業員にも8人の犠牲者が出ており、救出活動が危険を伴うものであったことが理解される。

2014年4月のセウオル号沈没以降の韓国
セウオル号沈没後の自粛消費不振。外食、宿泊、交通などサービスがすべて不振に。
ウオン高による輸出型企業の収益悪化(先行き不安から利上げ観測。2014年7月半ばからウオン下落に転換は介入の効果)
経常黒字が増える中での介入を米財務省は批判2014年4月(先進国の金融緩和が原因というのが韓国側主張)

2013年前半 イミュンバク前大統領(2012年竹島上陸で日韓関係冷え込み)と違い外交姿勢で人気を保っていたパククネ政権
2013年前半から後半へのウオン高で韓国企業の業績がさえない。2013年のGDPは12年比2.8%増(内需が1.3% 輸出が1.5% 伸び率は3年ぶりに前年上回る;13年のGDPは名目1134兆ウオン(110兆円;日本の4分の1;対米姿勢で失点した前政権とは違いパククネは2013年2月の政権発足後、高い国民支持率を保っていた。外交分野での高得点が背景。4月の北朝鮮による開城工業団地中断のおどしに屈せず8月再開合意にこぎつけたこと。5月の訪米;6月の訪中にも成果を上げたことなど。
経済の悪化と支持率低下 発足直後支持率60%前後
しかし経済状況が次第に悪化したことから支持率は低下。公営企業改革をめぐる混乱が加わり、2013年12月に大統領への支持率は50%を割ったとされる。 ウオン高による輸出の伸びの停滞。株価低迷;8%前後の若年失業率など経済がマイナス要因となっている。 リーマンショック以降;外国人保有の株式債券保有額は300兆ウオン増えた。2013年5月末で512兆ウオン。 韓国株の30%超を外国勢が保有。外国勢が売りに転じると韓国株はたちまち崩壊する可能性もある。外国マネー流出が株価低迷(北朝鮮リスク顕在化;中国経済減速も背景)米国の量的緩和から脱却の影響も日本より強く受ける。金融取引税を検討とされるのもこうした外資に弱い経済体質が原因だ。 韓国経済のもう一つの特徴は家計資産に占める不動産の比率の高さ。8割弱が不動産(金融資産の割合は日本の3分の1)。人口の4分の1が首都圏に集中。首都圏の不動産市場の影響(景気後退のなかでの不動産市況悪化)が景況を増幅。
2012年にも韓国通貨当局の為替市場介入は当然のように語られた。おそらく2013年も介入を続けたはずだが、ウオン高の勢いを止められない。国際決済通貨でないことが、このような介入の容認につながっているとの指摘があるが、日本としては韓国の市場介入には不満の残るところ。
ところで2013年11月韓国政府は電気料金の引き上げを打ち出した。韓国の安い電気料金(OECDの平均より3割;日本より6割安い)は韓国の国際競争力の一つの要因とされてきたが、韓国電力公社の赤字に帰結していたほか、電力需給がひっ迫する懸念が高まっている。2014年11月に発表されたエネルギー基本計画では、原発の新設を続ける方針を決めたが(電力需要予測を引き上げるとともに原発依存率を26%:2012から29%:2035に引き上げる)、電気料金の上昇につながる、原発廃止路線をとれない判断があったとされる。

外交で親中路線を明確化
2013年のGDP実質成長率は2.8%(2014年1月23日発表速報値。内需が1.3% 輸出が1.5%)。2013年のGDPは1134兆ウオンで110兆円。日本のGDPの4分の1の水準。2012年の実質成長率は1.9%(内需が0.6% 輸出が1.3%)。2012年より回復したものの低成長。 輸出はIT大手の半導体、スマホが伸びているほか自動車、石油化学製品も堅調。中国向け輸出が増えている(2013年9月中韓FTA交渉が進展し2014年中の妥結が見込まれるなど韓国は親中路線を歩んでいる)。懸念材料はウオン高。2014年1月29日の韓国総合株価指数終値は1941.2013年末の2000台の推移に比べ停滞感。(現代自動車やポスコの業績低下。サムソン電子の販売減速。背景には海外生産比率の違いもある。サムソン電子などは海外生産比率が高く為替変動に耐性がある)先行きへの不安広がる。

財閥(チェボル) サムソン 現代自動車 SK  LG ロッテ ポスコ 現代重工業 GS 韓進 ハンファ
地域研究

2017年7月10日更新


連続公開講座「中国の経済と人の歩み 」

2017-06-24 16:19:12 | Area Studies

なお以下は、公開講座「中国の経済と人の歩み」を、2017年6月5日から7月3日まで(毎週月曜日午後6時半から7時50分まで80分)連続5回 成城大学 コミュニティカレッジで行なった時の資料です。

第1回 中国経済の過去と現在ー市場化に向けた議論の生成と展開  2017年6月5日 月曜日 午後6時半開講

福光寛「中国経済の過去と現在 市場化に向けた議論の生成と展開」『立命館経済学』64巻5号, 2016年3月, 194-222
藤鉴「中国の改革開放後における市場移行政策の展開」『岡山大学経済学会雑誌』48巻2号, 2016年, 39-54
陈健民 钟华编:《艰难的转型:现代化与中国社会》中文大学出版社,2016
任建树:《陈独秀与近代中国》上海人民出版社,2016
王丹:《中华人民共和国史 十五讲  二版》聯经出版,2016(王丹 加藤敬事訳『中華人民共和国史十五講』筑摩書房, 2014)
中共中央党史研究室:《中国共产党的九十年》全三卷,中共党史出版社,2016
曹文宏《建国以来政府与市场关系:基于政治和经济的二维解读》东南学术2014年6期,52-58
林毅夫,蔡昉,李周:《中国的奇迹:发展战略与经济改革   当代经济学文库》格致出版社:上海人民出版社,2014
孙大飞,张春和:《新中国成立以来中国共产党生产力思想发展研究》西南交通大学出版社,2014
阳雨:《“大跃进”运动纪实》东方出版社, 2014
ロナルド・コース 王寧共著 栗原百代訳『中国共産党と資本主義』日経BP社, 2013
温铁军等:《中国的真实经验 1949-2009 八次危机》东方出版社,2013
朱嘉明:《中国改革的歧路》聯经出版,2013
李锐:《李锐口述往事》2013
张岂之主编:《中国历史新编 中华人民共和国史》高等教育出版社,2012 
羅欢镇「中国高度経済成長及びその制度的要因」『東京経大学会誌(経済学)』第271号,  2011年,173-190
胡安全《1950年代计划体制中国化的基本经验》安徽师范大学学报(人文社会科学版)39卷4期,2011年7月,379-385
武云薄《三代经济学人在八十年代光荣绽放》新京报2010/11/01 文史频道转载(柳红的八十年代的中国经济学人的光荣和梦想)
汪东兴:《汪东兴日记 再版》当代中国出版社,2010
薛暮桥:《中国社会主义经济问题研究 中国文库2009年版》人民出版社,2009
関志雄『中国を動かす経済学者たち』東洋経済,  2007
宗凤鸣:《赵紫阳软禁中的谈话》开放出版社,2007
席宣   金春明:《“文化大革命”简史 增订新版》中共党史出版社,2006  
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沉立人 戴园晨《我国“诸侯经济”的形成和其弊端和根源》经济研究1990年3期, 12-19, 67

第2回 悲劇を選んだ財政学者 馬寅初(マー・インチュ 1882-1982) 2017年6月12日 午後6時半開講

福光寛「中国の経済学者 馬寅初(マー・インチュ 1882-1982)について」『成城大学社会イノベーション研究』12巻1号,2017年2月, 273-298 
马寅初   维基  马寅初 维基 試訳马寅初 百度百科 馬寅初 百度百科 試訳 马寅初 百度百科 画像
动画  大师马寅初 上 2015/06/07更新
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2015年末 中国は一人っ子政策を廃止 すべての夫婦に第2子の出産を認めた
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赵家明:《北京大学光荣与耻辱》明镜出版社,2010
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马玉淳:《马寅初的故事》浙江古籍出版社,2006
若林敬子「中国の人口政策をめぐる諸問題」『人口問題研究』157号, 1981年1月,52-78

第3回 再評価される鳥籠理論 陳雲 (チェン・ユン 1905-1995) 2017年6月19日 午後6時半開講

福光寛「鳥籠理論そして陳雲(チェン・ユン 1905-1995)について」『成城大学経済研究』214号, 2016年12月, 37-72
陈云 维基陈云 百度百科 陈云 試訳陈云 百度百科 画像
动画 陈运的故事 共和国 红色拿柜 也得穷
宋月红《陈云对学习的认识和处理》前线2015/10,63-65
湛风涛《延安时期陈运的学习观论析》上海党史与党建2015年3月号,15-17
叶永烈:《历史的注脚》中华书局,2014
叶永烈:《他影响了中国-陈云全传》四川人民出版社华夏出版社联合出版,2013
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刘国胜《陈运的宝钢调查》上海党史与党建2011年8月号,1-3
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朱佳木 谈谈陈云对计划市场关系问题的思考 党的文献 2000年3期 8-20
陈云:《陈云文选 全三卷 第二版》人民出版社,1995
国分良成「中国復興期における経済官僚制(1949-52年):財政経済委員会を中心として」『法学研究』60巻1号,1987年1月,269-297

第4回 農政で主張を堅持 鄧子恢 (トン・ツーホイ 1896-1972) 2017年6月26日 午後6時半開講

福光寛「農政で主張を堅持 鄧子恢(トンツー・ホイ 1896-1972)」『成城大学経済研究』第218号,2017年11月 掲載予定。
邓子恢 维基   邓子恢 维基ほか訳邓子恢 百度百科邓子恢 百度百科 画像
动画 邓子恢 我的中国心 农民统师 邓子恢 2012/03/24
    → 我的中国心
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50年代中国农业社会主义改造失误的理论根源的探讨 视角 4卷4期 2004年10月31日
邓子恢:《邓子恢文集》人民出版社,1996

第5回 中国経済学の父 孙冶方 (スン・イエファン 1908-1983) 2017年7月3日 午後6時半開講

福光寛「中国経済学の父   孙冶方(スン・イェファン 1908-1983)」『成城大学経済研究』第217号 2017年7月 掲載予定。
孙冶方 维基孙冶方 百度百科 孙冶方 百度百科和维基百科全日译
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参考 薛暮橋 (シュエ・ムーチアオ 1904/10-2005/07)
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改革开放中的薛暮桥 中国改革信息库参考 

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福光寛 中国のシャドーバンクをどうとらえるか さまざまな定義の並存 肯定説と中小企業金融への貢献説 成城大学経済研究所研究報告68号, Nov.2014, 1-19 
福光寛 中国経済入門「図解中国経済」を読む 成城大学経済研究206号 Nov.2014 65-111
徐一睿『中国の経済成長と土地・債務問題―政府間財政システムにおける「競争」と「調整」』慶応義塾大学出版会, 2014
高原明生・丸川知雄・伊藤亜聖編『東大塾 社会人のための現代中国講義』東京大学出版会, 2014
藪内正樹編著『ビジネスのための中国経済論』JETRO, 2014
柯隆『暴走する中国経済』ビジネス社, 2014
Joe Zhang, Inside China's Shadow Bankig:The Next Subprime Crisis, Enrich Professionl Publishing:2014
国家行政学院经济学教研部:《中国经济新常态》人民出版社,2014
宋学哲:《银行行长不告诉你的理财经》立信会计出版社,2014
郑永年:《关键时刻 中国改革何处去》东方出版社,2014
王尔德:《改革 新经济政策向何处去》上海财经大学出版社,2014
川村雄介監修 日本証券経済研究所編『最新 中国金融・資本市場』金融財政事情研究会, 2013
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徐万发:《宋庆龄与延安时期的中国共产党》光明日报出版社,2013
吴敬琏 郑永年 基辛格等:《影子里的中国》江苏文艺出版社,2013
成思危  厉以宁  吴敬琏  林毅夫等:《改革是中国最大的红利》震撼出版社,2013

東洋文庫(駒込)蔵書検索システム JETRO統合蔵書目録(アジア経済研究所図書館:海浜幕張)
東方書店(神保町) 内山書店(神保町) 書虫書籍検索

変動の時代を生き抜いた人々の評価は難しい。たとえば周恩来(1898-1976) は毛沢東の考えを常に注意してそれに従うことで権力を維持した。周恩来は文革中、要人を守った功績もあるが、反面、(そもそも文革を食い止めずその流れに乗って)要人迫害を主導した面もあり、たとえば劉少奇に重罪の罪状を着せて死に追いやったのはほかの誰でもない周恩来自身だとされる。解秘时刻毛泽东的忠臣周恩来 


インド 経済

2017-06-24 13:44:25 | Area Studies
2014年春 選挙でインド人民党が圧勝 ナレンドラ・モディが首相に就任(2014年5月) 2019年に再び総選挙

2016年度 7%台の実質経済成長率(2015-2016年中国を抜く) 中央銀行 2015年1月 金融緩和に転換 2016年4月 2016年9月 総裁にラグラム・ラジャン氏に代わりウルジット・パテル氏(ともにエコノミストとしても有名 インフレ抑制は継続か) 10月利下げ 政府と協調姿勢 物価上昇率2%台(17年5月) 
2017年に入り株価は過去最高を更新(17年5月) 政府は法人減税に着手(30%を2019年度までに25%へ)
株価は2015年1月の過去最高値から16年初めまで下落したがそこから上昇(16年後半少しさげるものの・・高額紙幣廃止の影響?) 
2017年2-3月地方での与党圧勝 海外マネーの回帰 17年7月 物品サービス税GST導入→複雑な税制廃止で企業活動促進 2016年には破たん処理円滑にする破産倒産法も成立 外資規制の緩和 インフラ整備の加速=メーク・イン・インデア構想

ムンバイにムンバイ証券取引所(1875年設立)とナショナル証券取引所(1994年設立 オンライン取引主体 デリバテブに強み) 2015年7月末で時価総額はともに1.6兆ドル規模

インドネシア 経済

2017-06-24 13:16:59 | Area Studies
ルピア 2011年~15年 下落 ルピア安 16年ルピア相場安定とともに株価上昇
2015年 実質成長率4.79% 5年連続で伸び鈍る
石炭 パーム油(最大の生産国)など一次産品
産油国でありながら石油の輸入国
主要輸出先 の中国経済への不安
内需大国
インフラ建設 ジョコ・ウイドド政権 2014年10月就任
 第七代大統領
16年7月 元世銀専務理事 スリ・ムルヤニ・インドラワティ 財務相就任 7月 租税恩赦制度tax amnesty 外国に資産を移した企業個人に数%の税金で追徴課税刑事訴追免除するというもの 海外資産の国内還流期待高まる
物価のおちつき(物価上昇率)で3~5%の下限割り込む 金融緩和による景気刺激余地 度重なる利下げ(16年に入り6回 16年11がつ現在)→通貨安とは矛盾
タイ ベトナムなどの石炭火力発電用石炭の引き合い 石炭価格の回復 16年10月
2017年1月~7月 株価 最高値で推移 財政健全化も進む

Case Study on Amazon

2017-06-18 14:10:04 | Area Studies
アマゾンドットコム(1994年書籍のネット販売で創業 現在ネット通販最大手 顧客は高所得階層が多いという指摘もある 2016年度のクラウド事業除く売上高1240億ドル 同社の躍進急拡大が既存の小売業、百貨店やモ―ルの経営にマイナスとなっている側面もある・・・それはREIT CMBSの値下がりの原因となっている)による米高級スーパー ホールフーズマーケット(高級スーパー 460店舗 有機野菜などこだわりの生鮮食品を販売)を2017年後半に137億ドルで買収決定(2017年6月)のニュースを見ていて ネット通販のネックになる物流配送と最後の受け取りの問題に改めて関心があつまっている。米国人も大きな店舗を歩き回るよりネットの方が快適だとおもっているようだ。ウオルマートが行ってきた鮮度を強みとする食品・生鮮品でもアマゾンが今後主導権を握る可能性がある。アマゾンはプライムサービスについて低所得層向けの価格帯を設けた(2017年6月)これも、低所得層に強いウオルマートを狙ったもの。またネット通販の顧客データを生かした書店を2015年から開業をはじめている。

Case Study : Mitsubishi Motors

2017-06-03 15:14:18 | Area Studies

Mitsubishi Motors

1999 日産とルノーの業務提携 カルロス・ゴーン

2000 三菱自 組織的なリコール隠し発覚

2003 中国東風汽車と合弁設立

2004 三菱自 新たなリコール隠し発覚

2007 ルノーがロシアのアフトワズに出資

2010 日産のEVリーフ発売

2011 日産と三菱 軽販売の開発会社設立 2013 共同開発した軽を販売

2014 タカタ エアバック欠陥発覚

2015 フォルクスワーゲン 排ガス試験で不正

2016 三菱自動車 燃費改ざん発覚

2016年4月軽自動車4車種で燃費データ不正が判明 

4月半ば 救済要請(益子社長からゴーン氏へ) 中印からの買収避ける

日産が34%出資(10月)

2016年5月 日産が三菱自との資本業務提携発表 新たに5車種で不正が判明

9月に三菱G3社と日産が合意 日産34% 三菱3社(三菱商事 三菱重工業 三菱東京UFJ銀行)で17% 計51%以上を今後10年保有する(現在は三菱3社で34%) 日産は株式取得の条件として三菱G3社との協力構築求める 9月2日付け株主間契約

日産が2016年10月内に34%出資2370億円 会長にカルロス・ゴーン社長 4人の取締役派遣 取締役から三菱自出身者を一掃 社長は益子修会長兼社長(6月に相川哲郎社長引責辞任のあと兼務 燃費改ざん問題で責任取らないことに批判あり)が留任 すでに開発部門に山下光彦氏(元日産副社長)が着任すみ 燃費不正に伴う特別損失 岡山県倉敷市の水島製作所は大幅な生産減少 など将来発生しそうな損失の一括計上 17年3月期に計上

提携による相乗効果 次世代技術開発(電気自動車の共同開発) 部品の購買・販売金融 生産面での協業(三菱ノインドネシア工場で小型多目的車MPVを日産へ 三菱のプラグインハイブリッド技術PHVを日産ルノーへ) 新興国戦略(三菱はASEANで実績 フィリッピン タイ インドネシアなど)工場間競争(工場間で競わせ最も合理的な工場に生産を移すというもの 競争力のない部品会社は容赦なく切り捨て)

なお2017年5月9日発表の2017年3月期決算 1985億円の赤字(前期の725億円黒字から暗転)

燃費不正事件 2016年4月から8月

提携先の日産自動車の指摘で発覚した三菱自動車の燃費不正はお粗末な事件だ。全く理解できないのは、三菱自動車の国内売り上げは同社の売り上げの1割だから、仮にそれが激減しても、多分三菱自動車は生き残ることだ。また仮に顧客補償や日産への補償で三菱が行き詰まっても、三菱Gがおそらくまた三菱自動車を支援すると思われることだ。さらに納得できないのは、日産は今回の不正にもかかわらず軽専門の工場を持たないため、三菱との提携がなお魅力的なので続けるとされていることだ。日産が三菱自動車の企業改革に乗り出すのも一案だが、三菱自動車の経営陣を残しての自立再建を認めるべきではないのではないか。

不正は最初は4車種について、国交省に提出する燃費試験データを改ざんていたというもの。国交省は改ざんは気が付かなかったようだ。また相川社長は不正は知らなかった、4月13日(2016年)に初めて知ったとした。日産には18日に報告したとのこと。そして20日に記者会見を開いて公表と相川社長はいかにも誠実であることを装った。でも本当に知らなかったのだろうか? 燃費の改ざんについては社内会議が繰り返され、実際の燃費の悪さについて顧客からクレームが殺到していたという報道もある。この報道が正しければ、社長は本当にデータの不正を知らなかったのかどうか。

4月26日には 25年間にわたり全車種で国が定めた方法とは異なる方法で燃費計算していたことを国交省に報告した(対象は62万5000台)。1991年から惰行法で測定が義務つけられているのに「高速惰行法」で提出していたとのこと。2001年には惰行法と高速惰行法(アメリカで使われ 短時間で可能)の比較試験をしていたというから完全に確信犯にみえる。しかし両者で大きな差は出ないともいうので ここはあくまで国が定めた方法に従っていなかったことが問題という理解でよいだろう

また問題の発端の日産自動車に提供した2車種については走行試験自体を行っていなかったことを明らかにした。これは弁護のしようがないが、これは名前が違うだけだという本音から出た行為だろうか。

他方で国交省の無能さは責任が重い。なかでも国交省交通安全環境研究所は今回の不正を見抜けなかった。走行試験を行う設備がなく、走行試験をメーカーに依存,台上試験のみ これではそもそも燃費検査能力がないといわれても仕方がない。走行試験で得られたタイヤや空気の抵抗値に虚偽申請があり、結果として台上検査の結果がゆがんだようだ。ところでこの研究所と検査法人が割れていて、研究所の方は小人数。両者の関係そして実際の検査を担う検査法人が人数面で大きいというのはいびつな感じを受ける。この「研究所」が本当に検査機能を果たせる研究所になることも、今回もとめられているのではないか。

国土交通省が作成したこの研究所の論点のまとめがある

国交省側がメーカーを検査する姿勢が必要なのに国交省はメーカーを信用しているようだ。検査をするのは、国民のために検査しているのに、そこで問題がおきたことに、この研究所は危機感や反省がないようにもみえることだ。事件発覚で最も責められてよいのは三菱自動車ではなく、実はこの研究所なのに、報道をみていると、検査で不正を見抜けなかったことに当事者としての反省が全くないことが不思議だ。

三菱自動車の2016年3月末の自己資本6876億円。自己資本比率は48%だという。ロイターの報道では顧客補償で1000億円前後が必要になるようだが、これだけ資本に厚みがあると、不正をしてもすぐには倒産しないのではないか。ところで2000年と2004年 三菱自動車はリコール問題で経営危機に陥ったにもかかわらず企業体質は改まっていなかった。現在の財務力の秘密は2004年に三菱自動車は約6000億円の優先株を発行、それを三菱東京UFJ 三菱商事 三菱重工が中心になって引き受けたという三菱Gの支援体制にある。今回も三菱Gはこの企業を守るのだろうか。支援するより、経営体質を改めるにはどうするかを三菱Gは議論するべきではないか。今回もこの会社の体質に目をつむって救済するとすれば、三菱G(なかでも支援に積極的な三菱商事)の責任は極めて重い。

三菱自動車 → 三菱G(三菱重工業・三菱商事・三菱東京UFJ銀行など)の責任(6000億円の優先株を引き受けて腐りきった三菱自動車を救済):世界で競争する技術力もなく、コンプライアンス意識が全くない三菱自動車を延命させた。三菱自動車:2度にわたるリコール隠しの反省は社内になかった。コスト改革と企業倫理を同じ役員が担当:実際には法令順守する気はなかった(商事出身の益子会長のもとで事件が起きたことは注目される 商事の垣内社長の三菱自動車との協力を継続するとする発言は注目される こうした商事の姿勢が三菱自動車の徹底した改革を妨げているのではないか)。 

国(国土交通省)は業界と癒着しメーカーが出す試験データをそのまま利用して燃費検査をおこなってきた。性善説に依拠→虚偽申告に厳罰(担当者・役員に対する刑事罰・実害を上回る懲罰的罰金など)が必要。

日産自動車が対応を決定(5月12日正式発表 トヨタ VW GM に次ぐ4極の誕生へ 日産は2011年から三菱からOEM供給受ける この提携のため先行するダイハツのミライースに対抗できる 燃費の良い軽の開発を急がせたことがデータの不正につながったとの説明がある。提携ブランド「デイズ(三菱での名前はekワゴン)」は2013年から日産で発売された)。三菱自動車に経営再建に自主性を認めるとのゴーン社長の発言(5月16日)。5月24日(三菱自動車は6月24日以降の経営体制を発表 商事出身の益子会長は日産の出資まで暫定の会長兼社長 副社長に日産、商事、三菱東京UFJから各1一人の計3人。)5年間の協業の効果を踏まえて開発・購買の統合。基本合意書の締結(5月26日)。2373億で第三者引受、出資比率を34%まで引き上げるとのこと(8月末までに資産査定 10月をめどに出資)。 

5月18日 スズキの燃費不正の発表(計測方法が国の定める方式と違い問題はあったが、燃費そのものに不正はないと説明した。。。。わかりにくい。三菱の場合は数値自体の改ざんもあったことが罪深いことは確か。スズキが屋外路上のテストをしなかったのは、テストコースに必要な投資を倹約したためとも批判された)

5月期 三菱と日産の軽自動車販売が落ち込む(対象車種の販売停止 ブランドイメージ低下が響く)。問題発覚後 ホンダ ダイハツ スズキが伸びたとのこと。しかし5月18日のあとは スズキも激減へ。

6月17日 三菱 燃費の改ざんがあった4車種の顧客に一律10万円を賠償(ガソリン代の損失を補償) 過去10年についてのの新たな調査でみつかった軽以外の5社車種については一律3万円支払うとのこと、2017年3月期に約500億円の特別損失を計上。

6月24日の株主総会で生え抜きの社長(相川) 開発担当副社長(中尾)は退任。日産から開発担当副社長に山下(日産の元副社長)。三菱UFJから財務担当副社長(池谷) 三菱商事からはも副社長(白地)を迎える。3社で三菱を支えることを明確にした。大変奇妙なのは責任が大きいはずの益子会長(三菱商事)は日産の出資が完了するまで暫定的に残り社長を兼務すること。コンプラの意識が低かった原因が追究されるべきだが、問題を引き起こした益子会長が社長を務めることで、社内意識の改革は可能だろうか? 

8月末(8月30日)には国土交通省の燃費確認試験の結果 カタログ値と実際の検査結果とのかい離も明らかになった。問題は実際の結果がほとんどの場合でカタログ値より悪いということ。意図的なデータの選択があったとされる。

2017年6月3日更新(2016年10月26日up)

 


Volkswagen and Deutsche Bank Scandal 2015-2017

2017-06-02 08:48:02 | Area Studies

フォルクスワーゲン問題は他の欧州自動車メーカーに波及

以下に見るように2015年9月にフォルクスワーゲンをめぐる排出ガス不正が発覚した。手口は試験のときだけソフトを使って試験を実態より下で通すというもの。2016年に問題はそのほかの欧州自動車に拡大。2017年に入ると、ルノー、ダイムラー、FCA(フィアットクライスラーオ-トモービル)についても不正の拡大が一層明らかになった(2016年に調査したところ、各社で不正が発覚した。2017年1月にフランスでルノーが摘発される。5月にはダイムラーが検察により家宅捜索受ける。また米司法省がFCAを連邦地裁に提訴。7月にはオランダの検察当局がFCA調査に乗り出す→大量の窒素酸化物を排出することが判明)。問題は欧州自動車業界全体に広がり始めた(なおFCAはスズキと提携。スズキのデイーゼル車にはFCAの問題のエンジンが搭載されている)。つまり欧州のデイゼル車は、排ガスの点では信用できないと見た方がよいのではないか。

トランプが地球温暖化対策を見直すこと(2017年3月28日温暖化規制の見直しの指示する大統領令に署名、2017年6月1日パリ協定からの離脱を表明)を批判する欧州の排出ガス規制が、この程度のものだったとなると拍子抜けだ。なおトランプの意見表明に関わらず、省エネや太陽光や風力など再生エネルギーへの転換の勢いはとまらず、当面はコスト的な理由で石炭からガスへの転換が進むとされる。

また市場として大きい中国が、今後技術的主導権を持つことになるとの予測もある。

VWは 長期間不正 米国で巨額の和解金支払い にも拘わらず世界販売台数首位

2016年の販売台数はデイーゼル車がなく不正の影響の少ない中国で大幅増(12.2%増の398万台あまり 中国のシェアは全体の39% 15年に始まった小型車減税がVWに有利に働く 中国でのトヨタはVWの3分の1)と欧州(4%増 420万台あまり)で販売台数増やす 

2016年世界全体では 3.8%増の1031万台あまりで世界販売台数首位 トヨタは1009万台 VWにとっては米国市場は全体の6% トヨタにとっては利益の4割前後 2017年1月11日 米政府に43億ドル(4960億円)支払いで和解(刑事上の罰金など)不正は2006年から15年まで続いた。一部の経営陣従業員は承知していた。

刑事上の罰金が28億ドル 民事上の制裁が14億5000万ドル 不正車をローンやリースで販売した金融関連法違反で5000万ドルの制裁金

民事上の和解150億ドル(車の保有者に約100億ドル 環境当局に環境関連費用やEV普及に47億ドル)

VWはEVへのシフト急ぐ 背景欧州連合の燃費規制強化 CO2排出量を大幅に減らす必要 ➡ 日本のトヨタ ホンダは燃料電池車FCVを次世代エコカーとしている。

ドイツ銀行をめぐる問題の重複  2015年から2017年

 このVolxwagenの問題と重なる形で ドイツ銀行の2015年決算で過去最大の68億ユーロ(9000億円)の赤字計上が話題になった、発行している偶発転換社債Contingent Convertibles=CoCo債に不安の声がでた。2016年9月15日には米国内で住宅ローン担保証券の販売でリスクの説明が不十分だったとして、米司法省から140億ドルの罰金支払いを求められていることが明らかになった。

2017年3月5日 ドイツ銀行は約80億ユ-ロ(9700億円)の大型増資と国内リテール重視への回帰を軸とした新たな経営計画を発表している。投資銀行に傾斜した経営が、世界各地で不正取引を生み、それを清算するための和解金が経営を圧迫する構図。リテール回帰の象徴は、中所得利用者の多い、グル0プ会社のポストバンク(旧郵貯)の売却を辞めて、本体に吸収するというもの。

フォルクスワーゲン スキャンダルの発覚 2015年9月

2015年9月18日EPA発表によれば、VWは不正ソフトを使い 走行性能を落として排出ガス規制の逃れていた(走行時の排出量は最大40倍)問題が発覚した(排気量2リットル 販売期間は2009年から2013年)。この事件がVW scandalと呼ばれるようになった。その後、VWでは10月以降世界レベルでの販売減少が始まった。問題は当初は窒素酸化物だけであったが、その後11月にはいると問題は拡大した。まず11月3日の自社調査の結果報告で、車両の型式認証での燃費 二酸化炭素についても不正が明らかになった(その前日11月2日EPA発表によればこれまでの2013年までの排気量2リットルクラスに加えて 排気量3リットル 14年以降の新型モデル含むでポルシェを含むなどに不正ソフト問題は大型車や新型車に拡大した)。また不正はディーゼルエンジンにとどまらずガソリンエンジンを積んだ車でも行われていた(VWは11月2日のEPAの発表内容をただちに否定)。しかしVWは11月4日には指摘を受けた全車種の米国での販売を停止した。

VWは11月20日 2リットル車についてリコール計画届け出

カリフォルニア州大気資源局CARBは11月25日 3リットルのデイーゼル車についてリコールを命令

不正は2005年に米国でデイーゼル車拡販を決めてから10年不正続く(販売開始は2009年 排気ガス基準クリアのため意図的に不正ソフトを搭載)。発覚でブランドイメージは日米で低下。失望広がる。技術的ミスではなく、top指示による意図的不正であることが問題

ドイツの企業に詳しい多くの人が社内ぐるみの不正でtopが知らなかったとは考えにくい(ヴィンターコーン社長を含む経営Top上層部主導による全社をあげた不正の可能性 オーナー一族による支配続く)と証言しているが、VWはそれを否定している(topが知っていて主導した可能性が大きいが 米国議会では技術者だけが関与と証言。次期社長としてVW子会社ポルシェ社長のマテイアス・ミュラー氏が就任。なおヴィンターコーンはなおVW内の要職を維持。自身の不正への関与、なんらかの罪を認めない姿勢を貫いている)。

内部昇格のミュラー氏に改革できるかは疑問。

しかし2007年にボッシュは問題のソフトをVWに提供するに際して内部のテスト用であり、規制対策に用いるのは違法であると文書で警告。2011年には社内の技術者が違法性を指摘したがこれを社内で無視した疑い。さらに2013年にEUも試験に対応した違法ソフトの存在を指摘(調査で不正ソフトを発見しながら追及せず:EUは不正を把握しながらディーゼル車を普及させるため長期間不正を放置ししてきた EUの環境規制は厳格に行われていない疑いがでてきた)。以上からマルテイン・ヴィンターコーンが主導しかつ極めて多数の幹部が共謀した全社ぐるみの詐欺事件の疑いは極めて濃厚だがVWはそれを否定している。同社がこうした態度を続けたばあい、真相が明らかにならない可能性も高い。確実に残るのはVWについてブランドイメージの低下だろう。

リコールの対象車はVWの発表で1100万台(2009年以降販売のゴルフ、ビートル、旧型パサートなど。うち欧州販売分が800万台)。EPAの制裁金は最大180億ドル。対策費用は総額で300億ドルを上回るとされる(9月22日)。リコールや訴訟で多額の費用が必要。

9月末時点で株価は4割減少株価で最大330億ドルをすでに失った。このほかブランド価値の減損も100億ドルを超える(2015年9月末)。欧州ではエコカーとしてディーゼル車が普及していた。欧州販売新車の5割(BMW プジョーシトロエンPSA、ルノーなども力を入れていた)。ディーゼル車は燃費性能は高いが窒素酸化物が多いことが改めて明らかになった。

2015年10月の日本での販売は前年比48.0%減と半減した。
 
 VWと傘下のアウデイが2008年以降の販売していたゴルフ、パサートなど5車種で不正。VW(アウデイ、ポルシェが主たる収益源)は2015年にトヨタを抜いて世界首位となる観測もあったが不正ソフト問題で失速が確実になった(2015年前半期世界販売台数 トヨタG:ダイハツ、日野含む 509万7000台前年同期比3.8%増 VW497万台5.9%増 GM492万台1.4%増 ルノー日産427万台。トヨタは3年連続首位 VWの販売台数の4割弱は中国でのもので181万台 GMの中国での販売台数は173万台 2015年半ばの時点ではトヨタとVWの年間販売台数1000万台超えが見えていた)。この問題以前から、中国やブラジルなど同社が強かった市場で、市場低迷の影響を受けていたが(新興国に食い込んでいる分 新興国リスクを受けやすい VW BMW ダイムラーともに)、不正ソフトでブランドイメージが悪化し世界的に販売の減速が見込まれている。問題は、不正がどこまで広がっているのか、終着点がまだ見えないことである。
 
2016年4月21日 司法省との間で対応策の大筋合意。一部車の買取り(買取りはめずらしい):排気量2リットルの不正車48万2000台についての買取り、リース契約の途中介助に応じる。和解金の支払いにも応じるなど。これによる引当金が162億ユーロ(約2兆円)。リストラとして、投資額の圧縮のほか、役員報酬や配当の削減。刑事訴追リスクはまだ残る。欧州の不正車対応との違い(欧州ではリコールのみ)も残る。主力のデーゼルエンジンへの信頼が低下するなか、次世代車対策を電気自動車EVに切り替えることを推進するものの(ダイムラーとともにEVの開発もすすめてきた また他社同様に自動運転車の開発も進めている)、ブランドイメージの低下は隠せない。
 
2015年にメルセデス・ベンツに抜かれるまで15年連続輸入車首位。それが一時半減へ。2016年5月17日大幅値下げ発表(日本では不正対象車種は売っていないがブランドイメージ傷つく)。

中国政府が今回のVW(第一汽車集団と提携)の排ガスでの不正にどのように対応するかは注目点。厳しく対応するか、国内自動車メーカーへの配慮から甘く対応するか。VWは中国シフト強める。大幅値引きで中国ノシェア首位守る。2位gはGM 3位は現代、

11月3日にはガソリン車含むCO2排出でも同様の不正。排ガス性能を高めると走行性能は落ちるとされる。実走時と試験時との差は従来から関係者の間ではしられていたとされる。

⇒その後 リコール開始は2016年1月からとされた

⇒VW ドイツの技術イメージは低下(ドイツの国内生産の43% 自動車産業雇用の34%がVWグループ 欧州最大手) ダイムラー BMW ともに欧州ではデイーゼル車に傾斜 ダイムラー BMWに対しても不正行為を疑う報道(両社は否定) ⇒ ドイツ経済は失速へ

⇒VWは電気自動車開発EV PHV開発にシフト 欧米向けでは 高機能排ガス装置を全面採用 不正によるイメージ悪化は致命的なレベル

⇒日本ではマツダがディーゼル車主力(マツダはVWとは構造が違うと主張)

 デイーゼル車触媒の白金(プラチナ)の価格下落。ガソリン車の触媒につかうパラジウムの価格上昇等の影響もでている。

2015年11月 韓国環境保全省はVWと傘下のアウディが韓国で販売下12万台超のリコールと課徴金141億ウオン(約14億円)の支払いを求めた。

2015年11月25日 独連邦自動車局KBAはVWのデイーゼル車のリコール計画を認可した。ソフト更新で走行時のNOx排出量を抑制。走行性能や燃費の悪化可能性を回避できるかをVWは明言せず。保護政策のため、KBAが 走行性能や燃費の悪化を容認した可能性がある。()

2016年1月4日 米司法省はVWを民事提訴した。アウデイを含む約60万台のデイーゼル車が対象で1台当たり最大で3万7500$(約450万円)の制裁金支払いを求める。

2016年1月10日 ミュラー社長 訪問先の米デトロイトで謝罪。われわれは犯罪集団ではなく顧客や規制当局を欺く意図はなかったと強調。→この発言は反省していないことを事実上表明したとして批判あびる。1月11日に再度の記者会見でようやく法令違反を認める。

2016年1月11日 ミュラー社長 金銭補償1000ドル(プリペイドカード2枚 1枚は汎用 1枚はVWデイラー専用)の対象を11月段階の2リットル車から3リットル(米当局はここでも違法があったとするがVWは否定している)に広げる。対象は56万7000台 負担額は680億円程度。

2016年1月12日 米カリフォルニア州大気資源局CARBは VWが提出した2015年11月に提出したリコール計画を法的基準を満たしていないとして却下。CARBは性能を落とさず排ガス値を正すことを求めている。EPAの関係者はCARBの見方に同意を表明。⇔ 欧州では850万台をリコールするがソフトウエアを更新するだけのもの(欧州での失速回避の狙いか。同様の問題は中国でも。中国の自動車産業の発展にVWを深く関与。VW失速回避に強いバイアスが中国ではかかるとのこと。これらの結果、欧州と中国では排ガス不正発覚後 販売量が伸びているとのこと。結果としてVWは極めて深刻なコンプラ違反を犯しながら存続を続ける可能性が高い)。
2016年1月19日 韓国環境省はVW社韓国法人社長を大気環境保全法違反で刑事告発。同社提出のリコール計画書が不誠実で、大気環境保全法に違反すると指摘。欠陥の発生理由を説明せず、改善方法も記述せず。
2016年1月21日 欧州委員会産業政策担当委員がミュラー社長に対して 米国並みの金銭補償求める。米国についてVWは1台あたり1000$の金銭補償を表明しているとのこと。対象は850万台。
2016年2月25日 米国で集団訴訟手続き始まる。原告は全米で約50万人。

分類:Business Focus 

2017年6月2日更新(2016年10月28日)


Case Study : Softbank  ソフトバンクビジョンファンド

2017-05-21 15:37:12 | Area Studies

この会社の投資は事業会社のそれではなく、投資会社のようなものだと解説されるがそれに賛成である。事業会社であれば本業があり、その本業にとって利益があるかを考える。しかしこの会社の本業は、ソフトバンクという携帯電話会社だが、今それは投資のためのキャッシュを稼ぎ出す道具にされている。様々な投資は、本業のために行われているとはどうも言えない。今 トランプ政権発足がこの会社の過去の投資で、失策ともみえるスプリントについて、新たな希望となっている。ソフトバンクはオバマ政権下のFCCにより、子会社のスプリント(2013年に1兆8000億円かけて買収 8割出資)によるTモバイルUS(親会社はドイツテレコム)の買収を阻止された(2014年 同年末 ソフトバンク社内でスプリント売却を検討のうえで売却案撤回し今日まで経営再建を模索してきた)が、2017年1月に発足したトランプ政権はこのFCCの方針を見直す可能性がある。これにより米国携帯電話市場で、AT&T、ベライゾンに次ぐ第三勢力形成が孫氏の野望だ。2017年5月には、Tモバイルにソフトバンクはスプリントとの経営統合を正式に提案し、その結果が注目される。

2016年9月に英半導体設計のアームHDを3兆3000億円で買収。そのあと10月14日、最大1000億ドルの巨大ファンド運用の計画(その後明らかになった名称はソフトバンクビジョンファンド)を明らかにした(今後5年でサウジアラビアの政府系ファンド公共投資ファンドPIFが450億ドルを出資 ソフトバンクも250億ドル出資とスケールは大きい)。投資分野はIT分野の有力企業(2016年12月6日 孫氏とトランプ次期大統領との会見で表明された、今後4年間に500億ドル米国に投資するというのはこのファンドからのもの)。孫氏の投資の勘の冴えは1999年にアリババ集団に2000万ドル出資を即決したときにも示された。背景には格安スマホへの顧客の移動で、ソフトバンク本体の稼ぐ力が落ちていること。ファンド経由の買収は、巨額買収を続けてきたソフトバンク本体の負担を軽減する、賢い選択になる可能性がある。それを示唆するのが2017年3月に明らかになった、保有アーム株の25%約80億ドルをファンドに移管する計画だ。巨額買収は今まで有利子負債の増加となって、ソフトバンク本体の経営の負担になっていた面がある。アーム株の移管に示されるように、ビジョンファンドの運営は、これまでのソフトバンク本体の投資負担を軽減しつつ、その投資戦略を、一段と大規模に展開することも可能性にするかもしれない。

 


米追加金利上げ(2017年3月) 米国の金融政策

2017-04-23 07:18:24 | Area Studies

 

 

 2017年3月15日 米FRBは2016年12月に続き 3ケ月ぶりに 0.25%の追加利上げを決めた(事前の予想より早かった)。2008年9月のリーマン危機後 FRBが利上げに転じたの2015年12月。トランプ政権が大型減税と巨額インフラ投資(1兆ドル:背景には公共インフラの老朽化がある)を公言するなか(インフレ圧力の高まりのなかで)、FRBが牽制に動いた形は教科書通り。

他方5月3日のFOMC(連邦公開市場委員会)は金融政策の現状維持を決め、市場に6月の利上げのサインを与えている(ドル高 円安 市場は6月と9月の利上げを予測している)。背景には物価水準の傾向(2017年2月にエネルギーと食品除くコアで前年同月比1.8% 目標2%近い)。失業率の低下(同3月で4.5%と下がっている)がある。中西部の失業問題を考えると不思議だが、米国の平均では失業率は低下している(10年ぶりの低さで完全雇用との評価:中西部の労働者が怒るのも当然か)ようだ。

他方、米国株の過熱の指摘は、米国株から債券への流れを促す面がある(金利低下 円高 リスク回避 株安)

FRBの保有資産は4.5兆ドル(497兆円 金融危機前2008年の半ばまでは1兆ドル未満だったが)に膨れ上がり、長期金利上昇は多額の含み損になる(保有国債の平均利回りは3%弱 米国債10年物利回りは3月に一時2.6%に上昇)。保有資産縮小(金融政策正常化)の道を探っているとする。その手法としては再投資の縮小あるいは停止が議論されている(市場に売る戻すことは影響が大きい 満期まで持ち切ってゆるやかに減らすことも選択肢)。

移民政策でも、イエレンは移民を労働力増 経済成長率増の要因とみて、トランプの移民制限政策に明確に反対。ある意味牽制の役割を果たしている。イエレンは任期が2018年2月までで、トランプはおそらく再任しないとしている。

ただこれで日銀の金融政策はかなりむつかしくなった。背景にあるのは物価水準で日本では物価水準の低迷が続いている。2016年末にCPI上昇率はプラスに転じたがなお1%以下(2017年2月)。米国が2-3% 欧州も2%という中で上昇率はなお低い。

加えて米国が日本の金融政策を為替操作だと批判する可能性もある。これは貿易収支の不均衡が日本の円安誘導によってもたらされている(中国の場合はより露骨な為替操作とダンピング)。円安誘導の手段として金融緩和政策がとられているという主張。たしかに為替介入操作を行っていなくても、形式的に言えばこの批判はあたっている。安倍政権が円安誘導で景気を立て直そうとしたのは周知の事実だからだ。

これは通貨安誘導を批判するもの。金融緩和政策というが通貨安という輸出促進政策なのではないか。この批判は意外にあたってちるのではないか(2017年3月 北朝鮮情勢 4月6日 米軍によるシリアへのミサイル発射:シリア攻撃 4月12日ドル高をけん制するトランプ発言 などから円買い 円高に転じる面も これに伴い株価が下落)。

トランプ登場による円安(2016年11月 101円台⇔113円台後半 2016年6月の英国のEU離脱に次ぐ衝撃 110円台から一時99円台)

ただ米国の利上げは結果として日米金利差を広げて円安をもたらす(日米金利差の拡大はドル高・円安要因 1ドル115円台 3月17日)。逆にいえば日本は現状以上の金融緩和策をとれないといえる。為替相場については、購買力平価 経常収支 内外金利差 地政学リスク などの要因が指摘される。最近の注目は金利差。

米金利上昇 新興国からの資金引上げになる側面

トランプ政権とFRBとの今一つの焦点は、トランプが掲げる金融規制緩和政策。過剰な金融規制の緩和を求める業界の声にこたえたかたち。とくに2010年オバマ政権下制定されたドッドフランク法(金融規制改革法)の見直し(ストレステストがとくに重荷になっているとの指摘がある テストの対象を総資産500億ドル以上の銀行に限定する案がだされている 金融業界は資本水準の引き下げや規制緩和を求めている)が焦点になっている。トランプは規制が中小企業向け融資を妨げていると主張している。ドッドフランク法の目玉は、金融機関に高リスク取引を禁じるボルカールール。しかし1999年に廃止されたグラスステイ―ガル法の復活をトランプは支持しているので、銀行リスクの遮断という考え方とトランプは無縁でもない。結果として、中小金融機関向けの規制緩和は実現する可能性がある。


人手不足

2017-04-09 22:27:46 | Area Studies

人手不足 2017年2月の完全失業率は2.8% 前月比0.2ポイントの下落(1月3.0% 12月3.1%) 1994年6月2.8%以来22年8ケ月ぶりの低水準 有効求人倍率1.43倍が前月と同じ(1月1.43倍 12月1.43倍) 15歳から64歳までの生産年齢人口は1997年8699万人がpeak 2017年2月7620万までおよそ1000万減少 女性や高齢者の就業者の増加賀この減少を一定程度補っている

物流危機とも。ヤマト(宅配便シェア国内5割 年間20億個とされる 佐川・日本郵便で90%以上の寡占なのに競争激しく運賃低下招く 宅配便全体では15年度で37億5000万個前年度比3.6%増 ヤマトじゃ7.9%増)値上げ方針固める(2017年3~4月→9月にも実施)→ 米国もUPS,フェデックス、米国郵政公社の寡占は日本と同じ。しかし毎年UPSとフェデックスは収益を重視して値上げしている ⇒ 値上げに応じない顧客の切り捨てが必要かもしれない。

宅急便 ネット通販(2015年13兆8000億円 小売全体の4.8% 割引料金で採算も悪い 米国のネット販売は16年に3939億ドル42兆9000億円 前年比15%増 小売全体の8.1%

 )の拡大 ➡ 宅急便 高頻度高速輸送に人手不足(⇔労働環境の悪化、全産業にくらべ賃金安く 労働時間長い 従業員の長時間労働 残業代未払い サービス残業問題)の壁 再配達の割合は20% 米国は再配達せず置いてゆくとのこと  利便性の追求 重さ サイズにあわせ料金の適正化が課題 ヤマト:佐川や日本郵便に比べサービスの質に評価 日本通運:企業間物流に軸足

           ヤマトは6月19日から昼の時間帯指定サービスを廃止。ヤマトの宅配便を利用する各社に影響が及んだ。各社では自社配送を含め、代替策を検討している。

    時間指定サービス 

    当日配送サービスからの撤退 ヤマトがアマゾンの当日配送受託からの撤退を表明 徐々になくして将来は撤退へ(2017/04)背景:大口割引のため運賃を割り引いており採算が悪い。配達員の長時間労働の一因になっている。

    背景 長距離運転手(大型免許取得者の不足深刻 物流業界で取り合い 背景に高齢化 平均賃金が低いことから若い人材が少ない)だけでなく 配達・仕分けでも人手不足(主婦層も含む女性も動員したものの 熟練作業員のニーズ高い) 

    メーカーの間(味の素 カゴメ ハウス食品 日清フード)での共同配送会社設立(2017に共同出資会社 2019年にも物流子会社統合へ2016/12)も一つの背景はドライバー不足(共同配送拠点 配送の効率化)

    一方では 値上げ交渉 ポイントは大口客の割引率縮小 

    初回受取にポイントを付与して再配達削減を促す 楽天―日本郵便(2017/04)

    再配達サービスの有料化 再配達の場合の料金を高くするべきとの意見は多い

           宅配ロッカーを駅や商業施設に整備する

    マンションにはすでに普及している宅配ロッカーを今後は戸建てにも普及させる 

    コンビニなどで受け取れるようにする ヤマトーファミリーマート アマゾン―ローソン、ファミリーマート

駅ビル レストラン 外食産業 など 営業時間の短縮

レストラン ドリンクバーへの切り替え

ホテル ロボットの導入

    自動両替機の導入