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Entrance for Studies in Finance

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シムズ理論、ヘリマネ論

2017-03-15 09:26:33 | Area Studies

シムズ理論 物価水準の財政理論FTPL(fiscal theory of the price level):政府債務をインフレで増税ではなくインフレで帳消しにすることを宣言する:インフレ期待を上げるという政策 (あるいはそれを支えている 金融政策ではなく財政政策が物価水準を決めているという理論FTPLのこと:クリストファー・シムズ プリンストン大學教授が提言)大胆な財政支出 将来財政収支調整がないという予想(財政支出が効率的であることは必要) 恒常的な所得増大 民間消費の拡大が生じる。

日銀の金融緩和政策にかかわらず 14年4月の消費税増税(物価上昇率が2%に届くまえに消費増税を強行) 資源価格の下落などの結果 物価水準上昇率の低水準続いている。これは金融政策が効果を失っているだけでなく 財政再建のための増税・歳出削減がデフレの原因になっていることを示している。そこで 政府が増税・歳出削減をしないと約束して、通貨を増発すれば(つまり減税し財政を拡大する)物価水準は上昇する 財政規律を一時的に放棄する インフレが生じて実質債務(公債の実質価値)が減り債務は返済され、財政は再建され、デフレからも脱却できる

➡ 政府が政府債務の一部をインフレで帳消しにすると宣言する 2%の物価上昇目標を掲げて達成するまで消費税増税を延期する →人々のインフレ期待を高める 人々を国債を持ちたくないと思わせること

➡ 批判 インフレによる預金者・年金生活者の損失をどう考えるか インフレでかえって消費をおさえるのでは

➡ 批判 政府の信用を損ねるのでは

ヘリコプターマネー論 日銀が保有する国債の一部を無利子の永久債にする(たとえば償還をしないと政府が宣言する これは政府紙幣を空から撒くのと同じ効果があるとされる) その分財政は自由度を回復する インフレ目標実現すればヘリマネは打ち切る アデア・ターナー氏 2008-2013英国FSA長官 の提言 財政規律失わせる:財政支出にはどめかからない との批判がある 日銀保有の国債を永久国債にして塩漬けにするというもの  2017年1月末 日銀の保有残高は358兆円余り 発行残高894兆円あまりの40.05%で4割超えた 年80兆をめどとする大量購入続く

➡ 日銀が保有する政府債務の無効化(キャンセリング) 債務を永久債あるいは長期債に組み替える 米スティグリッツ コロンビア大学教授の提言(20170314諮問会議) 政府債務を瞬時に減少できる  

➡ 非ケインズ効果 財政悪化が進むと将来の財政再建に備えて支出を抑制 貯蓄を増やそうとする 公的債務が増えると消費が減るという非ケインズ効果 逆に緊縮財政が消費を増やすとも

➡ パブリックデットオーバーハング 公的債務がある水準を超えると経済成長の低下が起きる しかしこれに適合するのは実質金利が上昇するケース(クラウディングアウト) 日本のように実質金利が低水準で安定しているケースは説明できない

➡ 現在の低金利は成長率そのものが低下した事態だとか考えられる (労働人口の減少 高齢化など)自然利子率(期待収益率)そのものの低下(生産性が下がり将来の成長期待も低下したとされる) 実質利子率を下げても効果が生まれない たとえば物価上昇率があがれば実質利子率は下がる そして実質債務削減へ

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健全財政主義をどう考えるか

財政法4条 国債非発行主義 建設公債の原則➡ 健全財政

特例公債法による空文化

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金利の変動と国債費 

金融緩和 金利低下で国債費は減少

しかし上昇すれば国債費も増加 今後医療や介護など社会保障費が増加する

低金利政策に対しては トランプ氏による円安誘導(資金供給による円安誘導)との批判を考慮する必要

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2013年4月 異次元緩和導入

2014年10月 国債の買い入れを年80兆円に

2016年1月29日 日銀 マイナス金利政策導入 マイナス0.1%

2016年6月24日 英国が国民投票でEU離脱決定 円相場急上昇 夏には一時1ドル99円

2016年9月21日 総括的点検 政策目標を国債買い入れの量(年80兆円)から金利に転換 長期金利をゼロ%程度に誘導する

   イールドカーブコントロール 長短の金利利回り曲線のコントロール

   オーバーシュート型コミットメント 物価目標を超えても緩和し続ける意志の表明

2016年11月 日銀 物価2%目標を18年度に先送り

2016年11月9日 米大統領選でトランプ氏が勝利 米長期金利は2.5%前後に上昇 ドル高から円安に(2017年1月末で115円)

2016年11月17日 日銀が指値オペを始めて実施

日銀による金利誘導の失敗 日銀に対する市場の不信感高まる

2017年1月25日 1-5年国債の購入回数 5回の見通し 市場見通しの6回下回る 日銀は国債を買わなくなる

2017年2月2日 日銀があらかじめ予定した指値オペ見送り

2017年2月3日 金利が乱高下 長期金利跳ね上がる ➡ 市場実勢より高い値段で無制限に買う 2ケ月半ぶりの指値オペ実施で金利上昇抑える 応札殺到 低金利政策 超長期債利回り上昇容認(超長期債の買い入れを減額 2016年12月末)の間に矛盾


電機メーカー各社と日立の構造改革加速

2017-01-30 13:49:47 | Area Studies

電機メーカー各社の構造改革:ハードの切り売り(機器販売)からサービスの提供へ。事業の入れ替え進む。背景:新興国メーカーの台頭 コモデティ(日用商品)化 付加価値低下

GE アルストムのエネルギ―事業買収 家電事業は売却

シーメンス 原子力事業手放し 米産業用ソフト大手を買収

フィリップス テレビ音響事業売却 医療機器 ヘルスケアに集中

パナソニック  テレビのパネル生産辞めて 自働車と住宅を経営の柱に

ソニー デジタル機器やエンターテンメント事業で攻勢

東芝 構造改革進まず 会計不祥事や巨額損失で投資家の不信のなかにある。虎の子の医療機器部門を売却。これからは売るべきものもなく リストラ費用も出せない。

日立 イタリアの鉄道車両製造事業を買収(2015)などインフラ事業に力入れ リースや物流は連結対象外へ 限られた経営資源を得意分野に集中 相乗効果引出狙う

日立:事業構造改革加速へ 営業利益率で5%でない事業の撤退を考えろと指示(2016年度からの中期経営計画)

2017/01/13 日立製作所 東証一部上場子会社の日立工機を米投資会社KKRに売却へ(保有は4割超) 日立は社会イノベーション事業を中核 非中核事業に対しグループ経営に甘えを断つ このほか日立国際電気の売却でも。

2016   日立物流株をSGHDに一部譲渡(約半分 外部資本受け入れ) 2017/01SGHDと物流分野で資本業務提携

2016/05  日立キャピタル株を三菱UFJFGに一部譲渡(27.2% 外部資本受け入れ 日立持ち分は33.4%になる) 三菱UFJFGと金融分野で資本業務分野で提携 今後は経営統合協議へ 世界ノインフラ市場は180兆円 資本提携で国内2位連合形成        

2016/10  日立工機 日立国際電気 売却で交渉中

2016/09  2020年代目標として鉄道で1兆円の売上高目標 ITとの組み合わせで差別化(運行管理システムとビッグデータの融合)IoT時代のイノベーションパートナーになる

2016   東原敏明CEO 中西氏は退任へ

2015   空調事業 米ジョンソンコントロールズと統合

2015   イタリヤフィンメカニカから鉄道事業を2500億円で買収へ。

2015年度以降 改革が停滞しているとの指摘も

2014    ABBとの合弁設立発表

2014  三菱重工業と火力発電事業(重電事業)を統合 三菱日立パワーシステムズ(MHPS)

2014   中小型液晶パネル事業をジャパンデイスプレイに統合(産業革新機構主導 日立 東芝 ソニー)液晶パネル事業分離。

2014   日立マクセルの再上場 持ち分適用会社に

2014   東原敏明(徳島大学工学部卒 ボストン大学院修了)社長 中西氏が会長兼CEOに就任

2013   日立金属と日立電線が合併

2012    HDD事業子会社を米企業に売却

2010    東証上場の5社(日立プラントテクノロジー 日立情報システムズ 日立マクセルなど)を完全子会社に。

2010    中西宏明(1946- 東大工学部電気工学卒 スタンフォード大学院修了)社長のもとで構造改革 V字回復

2009/05 2009/03に製造業で過去最悪の7873億円の最終赤字計上

 


タタグループの内紛

2017-01-13 19:07:27 | Area Studies

タタグループのタタ・サンズで6代目会長サイラス・ミストリー氏(18%保有の大株主パロンジ家出身 2011年に継承 親族でラタン・タタ氏と同じパルシー=拝火教徒であることが後継者に選ばれた理由とされる 拝火教ゾロアスターは厳格な教義で知られ、その教徒は世界で10万強いしかいない)を追い出す動きに、ミストリー氏が抵抗して話題になったタタグループの内紛は、2016年12月19日にミストリー氏が主要上場企業の全役職からの辞任を表明した後、2017年1月12日、グループ統括会社タタサンズの新会長にタタコンサルタンシー・サービシーズCEOのナタラジャン・チャンドラセカラン氏の就任が内定して決着した。就任は2月21日。創業家と家族関係にないTOPの誕生でタタ財閥は新たな段階に入る。アジアに多い財閥の、TOP継承の在り方として注目される。

パルシーが率いるタタは、長期利益の重視、地域共生、社会還元の理念を掲げるのは宗教的理念や少数者としてのパルシーの自覚が背景にある。反面、タタは

ラタン氏が進めた急速な事業拡大、グローバル化により負の遺産を抱えている。

統括会社タタ・サンズ(10月24日 創業家のラタン・タタ氏が総帥に復帰 大株主はラタン・タタ氏の影響下にある慈善団体)、

タタ・グローバルビバレジズ(11月15日)がタタ・コンサルタントサービシズに続き会長職解任(取締役にとどまる)

他方 タタ製鉄(11月11日)とタタ自働車(11月15日)は結論を出せず

インデイアン・ホテルズ(11月4日)とタタ化学(11月10日)では、社外取締役がミストリー氏を支持する声明をだした。

背景はラタン氏の時代の2007年に120億ドル(1兆3500億円)で買収した英蘭コーラスの経営不振。その事業を売却しようとしたミストリー氏(2012年会長職に就任)はラタン氏の不興を買ったとのこと。当初は英国事業そのものの売却を目指したが(2016年3月29日)、その後7月に方向転換。英国を含む欧州の主力事業をドイツのテイッセン・クルップとの事業統合を検討するが、非中核事業の特殊鋼事業は売却するとした(11月28日)。

注目されたタタの内紛は12月19日 ミストリー氏がグループの主要上場企業の全役職からの辞任を表明したことで20日から始まる株主総会での対立は回避された。しかしタタの内部の実情が外に出たことや、ミストリー氏の後任選び、などタタの今後を懸念する声がある。

英国事業ではポートタルボット製鉄所の赤字垂れ流しが1日140万ポンド(2億2000万円)に及んでいる。背景にあるのは施設の老朽化。生産効率化に向けた巨額投資が必要。従業員に給付する年金も重荷になっている(16年5月27日報道)。中国から大量に安価な鋼材がはいることで収益が圧迫されているとのこと。タタ製鉄はインド国内で大型製鉄所を保有。海外事業を大幅に整理する必要に迫られている。

タタの内紛と合わさって、インドで話題になったのが、高額紙幣の廃止問題。

2016年11月8日夜 モディ政権が始めた旧高額紙幣の廃止(11月8日夜 大統領選挙結果発表の少し前)は、現金の比重の高い中国経済に打撃を与えた(人々は交換のため銀行に殺到した)。1000ルピー札と500ルピー札の廃止を決めたが、これが流通紙幣価値の9割にあたる。しかし新札の供給が追い付かず、これが流通紙幣価値の9割にあたる。ために現金不足が生じ、庶民は商品購入を控え、販売額減少 生産額減少 労働者解雇 の負のスパイラルが起きた。庶民は高額紙幣をためて生活していた。

この改革は不正資金の流れを断つため実施されたのが高額紙幣の配属。アングラマネーがあぶりだされて税収も増えるという観測もある。新旧紙幣の交換(銀行での直接交換を1か月以上前倒しして打ち切ったとされる)で庶民にも不便を強いた改革を意外に庶民は支持しているとのこと。野党の側からは、紙幣廃止撤回の動きがあったが力で抑え込んだとのこと。


公的資金による買い支え

2016-12-31 19:06:42 | Area Studies

日銀による株式・ETF購入・国債買い入れ

 1)期待に働きかけるフォワードガイダンス=時間軸政策 中央銀行が将来の方針を示し人々に期待に働きかける 1999年2月 ゼロ金利政策~ デフレ懸念払拭できるまで短期金利をゼロ%に近づける(ゼロ金利政策 長期化を約束する時間軸政策 開始) 2000年8月 政府の反対を押し切り ゼロ金利政策解除 2000年11月から景気後退 2001年3月 ゼロ金利に復帰

 2001年3月 量的緩和政策~ 物価が安定的にゼロ%以上になるまで 日銀当座預金残高を目標に資金供給(マネタリーベース拡大の量的緩和 開始)

 2002年11月から2004年9月の安値の時期に大手行などから買取り 2007年10月以降10年かけて処分

   

2006年3月 福井総裁 岩田副総裁 再び政府の反対を抑え量的緩和解除決定を強行する重大な政策判断ミス犯す ➡ 日銀への信頼低下 2007 定率減税廃止の効果もあり、2008年2月から景気後退へ

 2010年10月 包括緩和政策~ (ETF REITの購入開始 リスク性資産の購入:質的緩和が加わった包括緩和 開始

 2010年12月からETF買い入れを実施。2011年7月以降買い入れ額増やす。

 非伝統的金融政策について

 インフレターゲットの設定という政策(追い詰められた白川日銀 白川総裁のもと、日本銀行の政府や国会からの独立性を維持しようとした。重大な問題は日本銀行は政策を誤ることが現にあるのに、なぜ独立性を主張するのかという疑問だ。日本銀行の過去の失策は明らかであり、政府に抵抗することをもって中央銀行の独立性の象徴とみるのは明らかに間違っている。白川日銀は、2013年1月に2%の物価上昇目標を掲げ、日銀と政府はデフレからの脱却に一体的に取り組むとした。日本版アコード。アメリカのアコードは1951年3月でむしろFRBの政府からの独立を示したものだった 内容は連銀の買いオペの縮小・・・・マネタイゼーションの最小化)

 2013年4月 ETF 年間1兆円 REIT 年間300億円(いわゆる量的質的緩和 長期債の購入規模は異次元の規模に拡大 2%の物価目標を2年程度で達成するとした 異次元緩和=量的質的緩和政策QQEの開始

   量的緩和政策+リスク性資産を購入する質的緩和政策 資産効果を通じた景気刺激

  時間軸。インフレターゲット。量的緩和。質的緩和 ➡ 人々のインフレ期待に働きかけるフォワードガイダンス

 2014年4月 消費税増税(3%➡5%) 消費税は1989年度3%で導入 1997年度5%

 2014年10月 追加緩和 ETF 年3兆円 に引き上げ 長期国債買い入れ額を年50兆円から年80兆円に増やす 民間のポートフォリオリバランスを促す政策 年80兆円をメドに保有残高を増やす

 2014年11月18日 消費税増税(2015年10月)の延期(2016年4月へ)を発表(1回目の延期)

 2014年12月末 日銀のETF残高3兆3482億円

 2015年12月18日 ETF 年間3兆円から3.3兆円に引き上げ(銀行保有株売却を2016年4月に開始を相殺する側面)年間80兆円は維持

 2016年1月29日 マイナス金利政策導入 ➡ 自然利子率が0%k近傍まで低下しているので金融緩和のためにはマイナス金利が必要との主張がある(短期金利のマイナス化 マイナス金利付き量的・質的緩和 開始)量的質的緩和政策を補完

 2016年6月1日 消費税増税(2017年4月)再延期(2019年10月へ)を発表(2回目の延期)

 2016年7月10日 参院選挙 参院でも改憲勢力は改憲に必要な3分の2以上を確保した

 2016年7月29日 ETF 年間購入額を3.3兆円から6兆円に倍増すると発表(6月の英国のEU離脱に対し追加金融緩和を迫られたもの)

          円担保にドルを引き出せるようにする 2012年に始まった制度の拡大 120億ドル⇔240億ドル

 2016年9月20日ー21日 総括検証 政策の転換 長短金利を誘導目標に(長短金利操作導入 長期金利の過度の低下抑える)。長期金利 現状程度(ゼロ%程度)。短期金利をマイナス0.1% 。指値オペの導入。通常のオペでは買い入れあるいは売りつける国債の額が示され、入札される。指値では買取り価格(利回り)指定で無制限の買取り(売りつける) 長短金利操作付き量的質的緩和 物価上昇が安定的に2%を超えるまで資金供給を拡大する。長短金利操作(ゼロ金利政策と共に)量的質的緩和政策を補完 量から金利に変化 長期金利を0%程度に誘導 以降日銀の資産拡張ペースは鈍るようになる 反面政策変更と取られて円高になるリスクが恐れられている。

 マイナス金利政策微調整 金利を構造をやや立たせる マイナス金利の弊害 イールドカーブコントロール(期間10年国債利回りを10%近辺に誘導・・・国債運用に配慮)で運用難にも対処

 2016年9月29日 2年物国債の入札がやや不調。中期債の利回りに低下圧力。

 2016年9月30日 超長期債を含む国債買い入れ減額を申請

 10月に入る途中起債に利回り上昇圧力。生保各社は国債を避けて外国債券に振り向ける動き強める

 2016年10月末 民間銀行の持つ国債は2013年3月末比で半減した。166兆6255億円➡84兆4419億円

 2016年10月31日 物価上昇目標の先送りへ

  2016年11月1日 誘導目標 ゼロ%程度。2%物価目標(2013年4月のマイナス0.4%から14年4月にはプラス1.5%程度まで改善。その後下落。2015年半ばから再び前年比マイナス化。2016年9月に入るとマイナス0.5%まで。人々のインフレ期待によって物価が上昇するなら、同様に人々のデフレ期待が物価を押し下げているという解釈も成り立つ。GDPの250%あるとされる政府債務がもたらすリスクへの恐怖が、デフレ期待を拡大している。他方で原油減産で原油価格の上昇が始まり、円安で輸入価格があがることは、) 2017年度中から2018年度頃に。5度目の先送り 国債買い入れ額を据え置き。

 2016年11月7日 長期金利を市場に任せることが重要としてきたHPの説明を変更 長期金利の操作は可能と見解を変更

 大統領選挙後 長期債利回りの上昇圧力。

 2016年11月17日 日銀が2年債と5年債について指値オペ初めて実施(利回り指定で無制限に買い入れるというもの  金利の上限について日銀の意向を示す効果 9月に導入 オペの量の増額でなく指値を選択 市場が有利なため応じた金融機関はなかったものの2年債と5年債で金利を下げる効果あり 背景として長期金利で上げ圧力 大統領選挙後10年物はプラスに浮上。19日には9年以上がプラス 地銀は保有国債の年限を伸ばす:残存期間の長期化を検討。しかし金利上昇時のリスクも増える。長期金利上昇を抑える日銀の政策が頼り。日銀はコントロール力があるといえるかどうか)

 2016年12月14日 日銀が国債買い入れ増額実施 価格は低下) 10年超について従来の合計3000億円から3200億円に増額 金利上昇をけん制

 2016年12月20日 誘導目標 ゼロ%程度。景気について景気判断「一歩進めた」と発言し上方修正。緩やかな回復基調続けている。為替は行き過ぎではない(20日 1ドル118円台⇔円安容認と取れる発言)

   2017年4月30日時点 日銀の総資産は500兆円近い497.7兆円 うち424.6兆円が国債 米国とGDPは違うのに同規模なので 米国より大きいともいえる

 年80兆円を購入ペースはしたまわるようになった。雇用情勢は改善し一部の資産価格に割高感 → 量的緩和の継続に疑問符

   金融政策だけでは物価が上昇しないことは明らか。

 2017年9月頭を底に彫金金利上昇。10月3日 一時0.080%

2017年9月 安倍首相 基礎的財政収支黒字化の先送り発表 消費税増収分を社会保障の充実や教育無償化の財源㈡

  2019年10月消費税10%に引き上げ → 不況入りへ 株価 不動産価格崩壊 国民の怨嗟のなかで安倍自公政権瓦解

GPIF(世界最大級の年金基金)

 同様に2011年 日本株買い入れ増やす

 2014年 日本株の運用比率を12%から25%に引き上げる運用に変更

 

銀行等株式取得機構(大手行や地方銀行が出資して2002年に設立した認可法人 購入資金は民間金融機関からの借入 元利払いを政府保証 買取りは2002年2月から2006年9月まで実施 持合い解消の受け皿となり銀行経営を株式変動リスクから切り離すとした)

  2002年2月から2006年4月 大手行等から買取り 2006年秋以降 十分な時間を費やして処分

公的資金の比重 高すぎないか(一部の銘柄 10%から20%近く)

官製相場でないか

業績に関係がなく市場の選別機能を弱めないか

浮動株が減り小口の売買で株価が振れやすくなるのではないか

先行 銀行への公的資金注入 保有株 貸出債権の買い取りなど

   1992~ 預金保険機構

   1998/10  金融早期健全化法 金融再生法

   2000  預金保険法改正 

   2002~2004   銀行等保有株式取得機構 銀行からの保有株買取り

         2003  りそなに預金保険法による公的資金注入 実質国有化

   1998-2003 合計12兆3809億円を投入

   返済 普通株に転換して売却 あるいは銀行が買い入れ消却

   2004/08 金融機能強化法 2008/03までの時限立法

   2002~2004  銀行から保有株買取り

   2003~2005  銀行からの保有債権買取

   2006  三菱UFJFGが公的資金完済 追って みずほFG 三井住友FG 

   2008年12月 金融機能強化法(2012/3末までの時限措置 貸し渋りを防ぐため予防的注入認める) 金融機能強化勘定

   2011/07 大震災で被害を受けた金融機関向け特例措置を金融機能強化法に盛り込む(震災特例 経営責任を問わないことを明確化 預金保険法:金融危機の恐れがあるときに発動に対して予防的に発動可能 最初は2004年は不良債権促進処理 2008年12月に貸し渋り貸しはがし防止 地域金融機関の地元企業への融資後押しする仕組みになる 危機防止から成長融資の拡充へ)

   2013    三井住友トラストHDが完済 

   2015     りそなが完済 公的資金返済 峠越す

政府系金融機関:投融資に国会の議決が不要、政府に都合がよい。財投債は日銀も市場で購入できる

政策投資銀行 民営化時期明示せず(2015日本政策投資銀行法改正案:日本開発銀行と北海道東北開発公庫が1999に統合 2005民営化方針 2008株式会社化 金融危機のあと民営化は再三先送り 民間金融機関がとれないリスクを取って低利融資 危機対応融資で存在感)

国際協力銀行 日本輸出入銀行と海外経済協力基金が1999年に統合 一度2008年10月に日本政策金融公庫に統合後、2012年4月に分離独立

日本政策金融公庫 2008に国民生活金融公庫 農林漁業金融公庫 中小企業金融公庫が統合

商工組合中央金庫

官民ファンド 財務省が出資方法のファンドが事業の成長で出資分が戻ると財務省が安倍政権(2012末発足)の緊急経済対策の目玉にすることを認めた(2013春) 出資金は産業投資特別会計 原資は政府系法人からの配当金 一般会計から補助金を増やす余地乏しい

産業革新機構(約2兆円 13年間) 2009

政策投資銀行 競争力強化ファンド(3000億円 10年間) 2013/03

企業再生支援機構 2009/09  2007に解散した産業再生支援機構(ダイエー カネボウなどの懸案を解決 発足から4年で解散)の地域版 経営不振に陥った中堅・中小企業の再生に取り組む 民間企業に限って支援する 日本航空持ち込む その後 2013/03に「地域経済活性化支援機構」に改組 その後 ヘルスケア(健康・医療)投資に乗り出す

PFI推進機構(3640億円 存続15年) 2013/10

クールジャパン機構(600億円 存続20年) 2013/11

耐震・環境不動産形成促進事業 2013/03

 


イタリア モンテパスキ銀行の救済の是非を巡る混乱

2016-12-23 19:11:58 | Area Studies

イタリア モンテパスキ銀行の破たん 1472年創業で現存する最古の銀行 資産規模でイタリアで3位 200702008に準大手のアントンベネタを買収 2009年政府の資金注入 2012年政府の2度目の注入が決定されたものの2013年にデリバテブ取引で損失隠し発覚 イタリアの銀行不良債権は3600億ユーロ(44兆円):ユーロ圏全体の4割 うち455億ユーロガモンテパスキのもの イタリアでは欧州債務危機のあと、不況が長引いたことで銀行の不良債権〔不良債権を抱える銀行の貸し渋り、不良債権の増加 さらなる貸し渋りの連鎖という悪循環になっているとされる)が次第に膨らんだ。最大手のウニクレディトも自己資本比率の低さが指摘されている。

預金の流出進む 政府(モンテイ政権 2011年秋から1年強 その後 レンツイ政権による不良債権買取を銀行支援にあたるとして欧州委員会が難色 欧州委員会による株主や銀行債保有者(高利回りの劣後債を発行 小口投資家が6割超くを所有)に損失条件:銀行再生破綻処理指令(2016年1月)に国民の反発多い EU懐疑派は欧州委員会の指令を無視して国有化主張)の歳出削減と増税で消費の縮小 失業率の増加招いた

12月4日憲法改正案(上院を地方の代表者として、その権限大幅縮小、中央集権の強化も意図)の国民投票否決(反対59.6% 賛成40.4% 投票率67% 国民は景気回復の遅れ 独断の多いレンツイ首相の権限強化に不満)でレンツイ(EU論者 労働市場の改革主導 景気回復遅れに責任)が首相辞任 反ユーロ唱える五つ星運動が勢い ジェンテローニ暫定政権発足 21日までに銀行支援予算200億ユーロを確保

12月8日 欧州中央銀行はイタリアの混乱を横目に、量的金融緩和の終了(2017年3月)を9ケ月先延ばしすること、買い取り額を200億ユーロ減らして毎月600億ユーロとするとした。OPECの石油減産が8年ぶりにきまり、エネルギー価格が上昇する懸念が強い中、大変わかりにくい行動であった(ドイツ国債が品薄の為との指摘がある)。金融緩和を終える方向なのか。規模を変えた延長なのか。欧州中央銀行はこれはテーパリング(段階的縮小)ではないとした。9ケ月延長で5400億ユーロは6ケ月800億ユーロで4800億買取りという市場予想より、緩和策強化という主張だ。たしかにそうもいえるので、これは政策として何を目指すのかよみとりにくい。金融緩和が続いているとも、縮小に入ったとも、いずれの主張も可能だ。

12月22日 自立再建できず(7月発表の50億ユーロ増資計画失敗 DES:債務の株式化を狙ったが失敗 カタールの政府系ファンド動かず) イタリア政府は救済を閣議決定 投資家を保護するイタリア政府の方針と欧州委員会の方針が対立。正確にはイタリア国民と欧州委員会が対立する構図。ヨーロッパの中でギリシャのついで公的債務の対GDP比率が高いとされる。

他方、ジェンテローニ政権の後ろにはなおレンツイがおり、この新政権の基盤は弱い。欧州委員会が増資問題でイタリア政府と対立すれば、イタリア国民はEU離脱を決断することになるだろう。

 


2017年度一般会計予算案決定

2016-12-23 17:46:45 | Area Studies

2017年度予算案 歳出総額97.4547億円 0.8%増 2016.12.22

政策経費 73.9262 1.1%増

社会保障費 32.5兆円 32.4735  年5000億増に抑制 中高所得者の医療介護負担増やす 1.6%増

  うち医療11.5010億円 年金11.4831億円

  改正国民年金法 現役の賃金が下がったら年金の水準を下げる

  70歳以上の中所得者の外来医療費上限を2000円引上げ1万4000円に(17年8月)1万8000円(18年8月)

       入院は44400 57600 57600など 

  年収370万以上の高所得者には別表あり

  扶養されている後期高齢者の保険料軽減特例見直し 現在月380円9割軽減 7割(17年度) 5割(18年度)  

地方交付税交付金 15.5671億円 1.9%増

公共事業  6.0兆円 5.9763  5年連続増 0.0%増

文教科学技術振興費 5.4兆円 微減 

防衛費   5.1兆円 過去最高

農林水産関係費 2.3兆円 微減

国債費   23.5兆円 想定金利を1.1% 過去最低としたため16年度当初の23.6兆を下回った -0.4%

   金利1%の上昇で国債費は1兆円ふえる。17年度末の国の長期債務は898兆円 前年度比23兆円増

税収 57.7兆円  57.7120  0.2%増 1080億円増にとどまった 円高のため企業業績ふるわず 57.6兆円という16年度見込みより減る16年度は2兆円近く減る見通し

税外収入 5.3729  14.7%増 外国為替資金特別会計の運用益2.5兆円全額を一般会計に繰り入れた

新規国債 34.3698 -0.2%減

     16年度比マイナス622億円

関連して政府経済見通しがある(2016年12月20日閣議了解)。実質で1.5%増 名目で2.5%増である。民間見通しの平均は実質で1.1%増、名目で1.4%増であった。外需は海外が減速すれば影響を受けるほか、製造業の海外移転(これには生産ノウハウの移転という無形資産の移転が重要とされる)で寄与度が下がっている。原油減産決定(2016年9月から12月)による原油価格上昇はコスト増要因。消費の減速は、税や社会保険料の増加に対し消費者が支出を手控えているためと考えられる。トランプ円安(2016年11月)の持続性には疑問があるが、仮に円高に転じても企業は価格戦略で抑制的(Pricing to Market:PTM戦略)で輸出は増勢を維持(これには価格を抑制するだけでなく付加価値の高いあるいは生産性の高い製品にシフトしているという解釈もある)。

16年度見通しは実質1.5% 個人消費0.7% 住宅投資5.4% 設備投資2.1% 外需寄与度0.3point 名目GDP1.5% 消費者物価0.0% 失業率3.1%

17年度見通しは実質0.8% 個人消費0.8% 住宅投資0.1% 設備投資3.4% 外需寄与度0.1point 名目GDP2.5% 消費者物価1.1% 失業率2.9%

研究開発費を投資としてGDPに加えるという新基準の数値が発表された。2015年度の名目GDPは新基準値で532.2兆円(内閣府2016年12月8日発表)。旧基準だと500.6兆円だから上振れ効果は30兆円以上とのこと。内訳は研究開発費19.2兆円、特許使用料の加算が3.1兆円、不動産仲介手数料の加算が0.9兆円 防衛装備品0.6兆円など。これまで経費としてきたものが投資とみなされる。国連が2008年に作った基準に従った見直し。

2016年11月の失業率は低く(3.1% 2014年前半には3.6%を超えていた 2013年から2016年まで息の長い回復過程が続いている ただ大きくは労働力人口の減少が続いているので雇用指標の改善は当然とも思える)、有効求人倍率は高い(1.41倍 2013年には1倍を切っていた 混乱を極めた民主党政権下に比べて改善は明らか)が、消費支出は抑制気味だ。人口構成の高齢化が進む中で、高齢者の負担を引き上げる政府の政策がつぎつぎに発表されれば、原油価格、ガソリン価格が上がる状況fで、消費が抑制されるのは当然でないだろうか。消費が食料や衣類が買い控えられるというが、年金生活者が必需品を手堅く買うのは当然、その年金生活者の年金の削減を進めているのは政府自身だ。若い人たちも、自分たちが齢を取った時の生活に不安があれば、貯蓄を高めざるを得ない。


中国 核心となった習近平

2016-12-21 09:35:27 | Area Studies

インドに加え中国経済が内需で持ち直している(17年2月)。アジア諸国 それに連動して日本も。日本国内では介護、医療(日本の医療を受けたいニーズ)、農業(日本食人気)も伸びる余地。2016年GDP伸びりるtは実質6.7% 増 名目8.0%増の74兆4127億円(1240兆円)は世界2位 1990年以来の低い伸び率 17年の目標を6.5~6.7%に抑える方針 卸売り物価指数が上昇に転じデフレ和らぐ。15-16年の金融緩和で企業個人の借金依存進む(ほかの国に比べて借入比率高い)。金融緩和の下で企業は不良債権が増加。うしろ向きのつなぎ融資。

習近平氏(2012年11月より総書記 前任は胡錦濤2002.11-2012.11 江沢民1989.6-2002.11 趙紫陽1987.11-89.06  胡耀邦1982.9-1987.01 1987より趙紫陽が代行)は6中全会(18期中央委員会第6回全体会議 2016年10月27日閉幕)で習近平氏は「核心」と位置付けられた。これまでは毛沢東、鄧小平、江沢民の3人だけが「核心」と呼ばれていた。憲法上、国家主席や首相の任期は2期10年。政治局常務委員は68歳以上が退任する慣例。

中国国務院は2016年2月 2020年までに鉄鋼で1億から1億5000万トン(粗鋼の生産能力は4億トン) 石炭で5億トン前後の生産能力を減らす計画を公表。この数値は2016年9月3日 杭州で習近平が行った演説にも表れた。2016年10月19日の中国統計局の発表では7ー9月期のGDPは実質で前年同期比6.7%増となった。なお前期比は1.8%。これを年率換算すると7%程度とのこと。

財政支出と減税。とくに2015年10月に導入された小型車減税(年末まで)。1600CC以下の小型車の取得税を10%ー5%引き下げ。10万円程度の値下げ効果。反動減が懸念されている。

2016年3月 全人代 13次5ケ年計画(2020が最終年度産業の高度化と環境対策に力点)の発表。2015年の実質成長率は6.9%(2014年7.3%) 卸売り物価指数ー5.2%(2014年はー1.9%)。1990年以来25年ぶりの低水準。平均で6.5%以上の経済成長が目標とされる。4-6月のGDP伸び率は前年同期比6.7%と1-3月期に比べ横ばい。

成長の鈍化が不採算企業の増加 さらに失業の増加につながるリスクがある。公共投資で下支えを図るものの、生産設備の削減は鉄鋼石炭などの価格上昇を招くおそれがあり、大都市での不動産バブル(高利で民間資金を集め不動産開発投資が各地で進んだ)の抑制(住宅ローン規制の導入)は不動産価格崩落のリスクにつながる。元安は資本流出の加速につながる。

中国を為替操作国と批判する、トランプの大統領選出で中国人民元安進行(これは世界貿易協定と絡んでいる。為替や生産活動を政府が統制している国は非市場経済国であり、反ダンピングの対抗措置をとりやすくなる。中国は2001年のWTO加盟時に当初15年間は非市場経済国の扱いを受けた。2016年12月11日以降、中国が市場経済国かどうかは各国の判断にゆだねられる。これに対し中国は自動的に市場経済国に移行したと主張している。だが2016年に入って人民銀行は、企業の外貨送金や外貨両替を抑制する行政指導を強化、2016年6月には貸出と預金の金利規制を事実上復活。資本流出を懸念する中国政府は為替取引や資本取引の自由化に踏み込めないでいる。台湾や香港の投資家が不動産を売却する動きがひろがっているとされる。個人の両替は5万ドルまで、500万ドル以上の両替は事前審査)。

トランプは中国とメキシコからの輸入品に高い関税を課すといい(メキシコ製品に35% 中国製品には45%の関税をかけて雇用を取り戻すとしている これはWTO協定違反で報復関税を受ければ、米国の対外輸出も困難になる)、1994年に発効したNAFTA見直しを唱える。ドッドフランク法については廃止するといっている。

人民元の下落は(人民銀行が介入を控えている結果ともされる)、一面で外需の停滞を著している。また人民元の国際決済通貨化を狙う中国には痛手だ。トランプは12月2日には台湾の蔡英文総統と電話で協議。12月4日には、南シナ海での人工島建設や為替操作をツイッターで公然と批判(米国内には中国の軍事的台頭を警戒する意見があるが、オバマ政権のもとでこうした意見は抑え込まれていた。トランプの動きは中国の対米投資:米国での雇用創出を促す動きとの指摘があるがそうだろうか。中国への警戒感を示すものであれば、そもそも米国での中国のプレゼンスの高まりを望まないように思える。逆に中国との対立を米国が決断すれば、トランプの内向き志向と結果は別物になってゆく。)。2016年に入り1ドル6.6元台前後から下落。2016年10月1日、SDR構成通貨に人民元採用(国際通貨に仲間入り)。

中国企業による」M&A(2016年10月 海航集団がヒルトンWWHDの株式25%を65億ドルで取得)に加えて、株式投資を通じた流出。上海から香港。中国国内で株式軟調、不動産に当局が過熱抑制策。

資本流出以上に中国の自由度(香港や台湾に対する強硬な態度が象徴的だが)が低下停滞することで、留学生が中国に戻らないという形で「頭脳流出」が進むことが問題との指摘もある。

 


自動運転車

2016-12-18 16:03:56 | Area Studies

周囲の状況を判断して、システムが加減速 ブレーキをかけるといったすでに実用化されているレベルから、高速道路での追い越し合流、さらに完全自動運転まで実証実験が進んでいる。自動運転車と配車仲介サービスを結びつけることも熱心に研究されている。興味深いのは車のメーカーだけでなく、グーグル(2009年開発に着手 2014年5月に試作車公開)やアップルが熱心に研究していることだ。つまり人ではなく人口知能(AI)に運転が任される時代。車に乗っている間も運転から解放されて、ネットと接続されて音楽や通信を楽しめることが予想されている。スマートカー、コネクテッドカーとも。

欧州で自動ブレーキの有無が2014年から安全格付けの対象に。米国では自動ブレーキ搭載車の保険料が下がるように。日本では富士重工業などが自動ブレーキ「アイサイト」(富士重工業は2010年に実用化で他社に先行)に積極的。搭載の有無が販売に影響するようになったとされる。アメリカではNHTSAの要請を受けて新車について、日米欧10社が自動衝突回避ブレーキの標準搭載が決まった(2015年9月)。その後2016年3月には世界の自動車メーカー20社との間でNHTSAは2022年までに米国で売る全車種に衝突回避の自動ブレーキを搭載することで合意した。これは車の安全性について、重要なサインだろう。タカタのエアバック問題GMの欠陥スイッチの問題。自動車メーカーの姿勢が問われているのではないか。
なおトヨタはシリコンバレーにTRIを2015年11月設立してAI研究を本格化させている(予算規模は5年間で約10億ドルとされる)。  ところでシェアリングエコノミーがこの問題に絡んでいる。車についてもライドシェア(相乗り 自家用車配車)のほか、カーシェアリングの普及が始まっている。これらのアプリサービスにさらに車の自動運転技術が加わることで、車の多様で効率的な利用が可能になるとされる。車のメーカーが配車アプリのメーカーと組む動きが広がっている。トヨタが配車アプリのウーバテクノロジーズに出資。ウーバはライドシェアサービスも手掛けており、トヨタはリースでの車の提供を考えている。VWはおなじく配車アプリのゲットに3億ドルを出資。GMはおなじくサイドカーを買収、またリフトへの5億ドル出資を決めて自動運転EVの開発を進めている。
日本の各メーカーでは自動運転車の商品化は2020年頃とみているが、これには法整備(自動運転時の責任を車のシステムへ)の問題も絡んでいる。

自動運転のメリット 交通事故減少 渋滞の緩和 CO2削減など 開発のメドは2020年 その後量産化へ

関心を寄せられる問題に自動運転中に事故があった場合の責任問題がある。16年6月に日産が自動運転車を200万円台の普及価格帯で売り出したことは同社の戦略としても注目された。

 東洋経済 2016/07/22

グーグルはドライバーレスカーの早期実用化を目指している。2016年5月 テスラモーターズの車が自動運転中に車と衝突する死亡事故が発生し、レベル2での安全性をなお疑問視する声が出ている。これはテスラが手を放して運転しても警告音を無視して走り続けられる仕組みにしていたことが原因。テスラは人命軽視を厳しく非難され、ソフトの刷新に踏み切った(2016年9月)。この転換はしかし当たり前のことではないか(テスラは電気自動車ベンチャーとしてしられる。2008年に高級車ロードスター発売開始 2010年にトヨタと資本提携 ナスダックに上場 2012年新型セダン 量販型 発売開始。自動運転システムの搭載に熱心。一人の工員が多くの工程をうけもつ生産ラインを作り上げた)。

自動運転の段階 ➡ サイバーリスクが指摘されている 乗っ取りの可能性

第一段階 アクセル ハンドル ブレーキのいずれか一つ車側が自動運転(すでに実用化)

第二段階 複数の操作を自動運転(一部は実用化済) 自動で車線を変更して追い越す 合流するなど 2018年 日産がセレナで変更可能

第三段階 通常は自動運転 緊急時はドライバーが対応 この第三段階以降 責任を運転者からシステム側へとされている

     ドイツのアウデイが2017年秋にも発売する(2017年7月)中央分離帯のある高速道路を時速60キロ以下で走行しているとき

     トヨタ、ホンダは1920年目標。グループのフォルクスワーゲンは排ガスでイメージ最悪。全世界で販売ダウン。(道路上での人間の運転手とのやり取りに課題があるとされる)

第四段階 CPがすべてを自動運転 (現在の日本政府の目標は2025年に完全自動運転) グーグルが公道で実証実験 フォードが21年までに量産

     2020年に地域限定で無人の自動運転車解禁。2025年国内で完全自動運転車の市場生まれる。

自動車の将来:燃費技術とともに消費者が重視する自動運転技術 交通事故という問題の解決 

まずは自動ブレーキから始まったがこれは高齢化を背景に消費者のニーズにあったようだ。予想よりも搭載率が高い結果となっている。

富士重工業:2008年に国内でほかのメーカーにさきがけて独自の安全技術アイサイトを実用化。2010年から新型車に搭載。ステレオカメラで歩行者や障害物を感知。自動ブレーキで車両を減速停止させるもの。2020年代に自動運転の実用化目指す。
 現在は時速30km以下ら衝突前の停止可能(2014年中にも時速60kmでも衝突回避可能を目指す カギは画像処理技術 現在の技術でも50kmであれば自動停止可能ともされる)
 2012年以降 マツダやダイハツ工業が類似機能搭載車を発売。
 ダイハツのシステムの名前は「スマートアシスト」。検知できる対象物を限定することで価格上昇幅を5万程度とした(他社は10万程度アップ)。
 車載器のみで走るものを自律型。高速道路交通システムITSで取得する渋滞情報など外部情報も利用する「協調型」に大別される。

この自動ブレーキからお話しは自動運転に移っている。大規模な実験施設が作られつつある。

 交通事故の犠牲者を減らし 自動車に乗っている時間の有効利用が可能になる。商用車では運転手は長時間運転の負担から解放 受発注処理 商品の搬出入 駐車場所の確保などに専念。

 カメラとミリ波レーダーで白線と前方車両の走行位置を割り出し、車線内での最適走行位置を割り出すもの。無線技術を活用。前後の車両を無線でつないで走行情報をたがいにやりとりすることで車間距離を保つ(ACC:adaptive cruise control)。 自動車周辺の情報を高性能コンピュータで瞬時に解析して自動運転するというもので、ビッグデータ(自動車が生み出す位置や速度についての膨大な情報)の活用問題。あるいは自動車がネットとつながるsmart carの問題と重なっている。独力で自動運転技術の開発を進めていたグーグルが2014年1月、ホンダやGMなど自動車4社とのシステム開発での提携を発表している。車とネットの融合が、メーカー間の提携という形で現実化してきたことが注目される。ホンダは世界で初めて時速60㎞で走行していても止まることのできる技術を開発したとされ(2014年1月)2014年内にも国内販売の高級車に搭載を予定している。。

 トヨタ:高速道路での自動運転を2010年代半ばに実用化。安全運転支援システム(レーンキープアシスト機能 車線の中央を維持するシステム)。すでに高級車に一部導入しているが2015年をめどに自動ブレーキを大半の車種(量販車)で導入の方針。車両間通信の開発(事故や渋滞の解消につながるとされる)。

 デンソー:ミリ波レーダー(対象物の位置や相対速度を検知) 画像センサー(対象物の種類を検知) 走行支援ECU(検知情報をもとにクルマの動きを制御)などの開発を進めている。

 日産:自律型自動運転を2020年までに実用化。2015年以降 ハンドルを自動操作し障害物を回避するシステムを搭載した車の市販を表明。こうした各社の動向の背景には、高齢化という社会背景のもとで消費者と社会のニーズが想定以上に高いということがるようだ。

 燃費の改善 渋滞の解消にも有効とされるが 配車された車で自動運転で目的地に到達。その後車はまた自動運転で格納されるとすれば、自家用車を不要とする時代がすでにきているのかもしれない。→ 自動運転技術 運転支援システムや自動運転技術を前提にした法改正が必要 → 責任はシステムを提供するメーカー側に

 効率改善に生かす 3台以上連結して走らせた隊列走行させる:法整備必要 ・ 無人運転のバスでの高齢者送迎

自動運転とライドシェア(相乗り)との関係も注目される(日本では一般的には白タクとして道路交通法で禁止。過疎地、戦略特区で認めている)。米ウーバーテクノロジーズ(スマホで呼び出すと近くにいる運転者が目的地まで送るサービス 世界70ケ国で展開 2016年6月 サウジの政府系ファンドPIFが35億ドル出資して話題になる  だが急成長した同社はパワハラ セクハラの宝庫でもあった。)は米サンフランシスコで自動運転車の試験的な提供を始めた(2016年12月 シェアと自動運転とがむすびつくとされる)。日本では自家用車での有償運送が原則禁止されていることがライドシェアが開始されない壁になっている。

ライドシェアは一面で自動車需要の減少、車離れにつながるとされる。他方で自動車の稼働率が高まり、運転コストが低下する、ライドシェアビジネス(広くもビリティサービス)に自動車メーカー自身が参入余地があるとの意見もある。つまりライドシェアの影響は多面的で、いろいろな可能性を含んでいる。→ カーシェアリングを提供できるか。

世界経済フォーラムが呼びかけ、グローバル企業27社(トヨタ、日産、GMなど)が連携して実証実験を開始される(2016年12月)。大規模な国際的な企業の連携として注目される。世界共通の基準などが話題になると考えられる。

コネクテッドカー(インターネットに常時つながる)

2017/07/18(2016/12/18更新)

 

 


三菱商事によるローソン子会社化発表

2016-09-26 14:10:06 | Area Studies

2016年9月1日 ファミリマート(2016年7月末の店舗数11,872 2016年2月期全店ベース1日あたり売上高51.6万円)とユニーGH(同左6,251 サークルKサンクス 同左43.1万円)が経営統合してユニーファミリーマートHD(合計店舗数18,123)が誕生した(共通ポイントはTポイントに一本化 ブランドはファミリーマートにっ順次転換 規模拡大で仕入れ配送の効率化 商品開発のテコ入れにより収益力拡大目指す)。店舗数1万8,000超え(18,123)によりセブンイレブン(18,860)に店舗数で肉薄。今後は収益力の大きな格差を如何に埋めるかが課題される。

経営力格差の一因として、水道光熱費負担や弁当などの廃棄損失を、店舗側に押し付けるファミマのFC契約の存在が知られる。今回 経営統合に合わせて水道光熱費や廃棄損失について、セブンイレブン同様に一定割合を負担するように変更するとのこと。

他方 この経営統合でローソン(12,537店 54.0万円)は業界2位から3位に転落した(2014年12月 中国地方地盤のポプラに5%出資 2015年8月 神奈川地盤のスリーエフと資本業務提携交渉入り)。ローソンはもともと三菱商事系(33.4%)。伊藤忠がファミマに出資(33.4%)していることとならべて、商社のコンビニへの関与はよく議論されてきた。なお セブンイレブンモもわずかに三井物産の影響下にある1.8%。

ローソンに対してこれまでも三菱商事は社長を送り込むなど、影響力を行使してきたが(その結果 ROEの高さなど 資本効率を追及した経営で知られる反面 規模では立ち遅れが目立ち 今回店舗数でついに3位に転落した)。コンビニ業界では、セブンイレブンでの鈴木敏文氏の退任、ユニーファミマHDの誕生などを受けて、新たな展開が求められる局面で、三菱商事がローソン子会社化を打ち出した(2016年9月16日)。しかし三菱商事系との連携強化で果たして、ローソンの経営力が変わるか、疑問が多い。子会社化すれば、ローソンを連結決算に加えて、商事の規模は大きくはなる。それは確かだが、しかしそれ以上の変化は何かあるのか?

背景には非資源分野の強化という経営課題がある。商社はもともと資源分野に強く、そのため資源価格の影響を受けがち。16年3月期 非資源分野に強い伊藤忠商事が 商社の中で利益額首位になったことに対して 三菱も生活関連事業強化を打ち出す狙いがあるとされる。しかしローソンへの投資額は1400億円超とはいえ、それほど大きなものではなく、また出資比率を上げればすでに商事の影響下にあった経営がにわかに変化するとはとても思えない。子会社化に、商事出身の役員を増やし連結会計で商事の規模を増やす以上の意味はあるだろうか?。小手先の投資に思えてならない。

 

 


The Panama Papersと有名企業

2016-09-17 16:19:52 | Area Studies

パナマ文書とは:パナマにある法律事務所モサック・フォンセカの内部文書 同社は24万社のオフショア企業づくりを手伝う 1977-2015年の間の顧客1万4000人の内部文書1000万件あまりが流出(約21万を超えるpaper companiesに関する情報)。税金逃れや資産隠しにどのような企業や個人が関係しているかに関心が集まった。南ドイツ新聞が入手 国際調査報道ジャーナリスト連合ICJJが検証 2016年4月3日文書の存在が公にされた。 依頼先は1万4000法人 金融機関や法律事務所 とのこと。 

日本については 400を超える個人と企業(日本在住者約300人)が明らかになった。中国の2万5000 が突出して多く 香港1万3000 英国5000など 目的として節税のほか 現地政府の介入排除 日本籍を隠すなど 英領バージン諸島:島内で事業をしていれば法人税なし パナマ:海外収益は非課税 バハマ:法人税がない (このほか モナコ リヒテンシュタイン モルデイブ ニューカレドニア 香港)

アイスランド グンロイグソン首相(2007年 妻と共有名義でバージン諸島に投資会社ウイントリスを設立 大手銀行3行の社債に5億クローナ=4億5000万円を投資 2009年国会議員に選出されたときに持ち分を1ドルで妻に譲渡) バージン諸島の企業を使い巨額投資 租税回避 国民の恥 ⇒ 4月7日辞任へ

アゼルバイジャン 親子2代大統領ノアリエフ氏の娘らがパナマ企業を介して金鉱山の権益にぎる

アルゼンチン マクリ大統領 バハマとパナマの企業2社に関与の疑い

イギリス キャメロン首相 株式ブローカー立った亡父がパナマに2000万ドルの投資ファンドを設立 2013年のサミットで企業の租税回避対策強化を打ち出すが自身がこのファンドに投資し売却益を得ながら租税回避をしていた。当初は個人的な事項として事実を隠し、7日になってようやく過去に行った行為(1997年に1万2497ポンドを投資し、2010年1月に3万1500ポンドで売却 売却益に対する課税は課税対象以下のため払っていないとしている)を明らかにした。

イラン 政府系企業

ウクライナ ポロシェンコ大統領

北朝鮮の大同信用銀行DCBのフロント企業DCBファイナンス

シリア アサド政権 アサド大統領のいとこラミ・マクルーフ 推定資産50億ドル 米の制裁対象 バージン諸島に法人設立

中国 習近平主席 親族(実姉の夫)がバージン諸島にペーパーカンパニーを保有

パキスタン シャリフ首相の一族が英領バージン諸島に会社設立 ロンドンにも不動産所有

マレーシア ナジブ首相の息子がバージン諸島のペーパーカンパニー2社の役員

ロシア プーチン大統領 友人らがオフショアの英領バージン諸島などを通じ20億ドルの金融取引

UCCホールデイングス 上島豪太

伊藤忠商事 銅関連のトレード拡大が目的 バージン諸島の投資会社に出資している。

丸紅 銅原材料の納入など商取引拡大が目的 1994年以降 台湾のメーカーが中国で銅製品を生産するために英領バージン諸島に設立した投資会社レナウンドインターナショナル経由に出資している。出資比率約8%。

ソフトバンク 中国IT企業の要請で事業に参加したがすでに撤退している

セコム科学技術振興財団 日本の税務当局から求められた必要な情報は開示している

セコム セコム創業者や親族 飯田亮 戸田寿一 なおこの問題をめぐっては、セコムの会長 社長の交代につながったとの報道がある。報道によると、火消し的対応だけで十分かを懸念する発言を、前田修司会長と伊藤博社長がしたことを、飯田亮最高顧問が激怒して、指名報酬委員会を設けて退任に追い込んだとされる。この退任劇はセコムの業績が好調であることからも、異例として注目された。後任の中山氏は日銀出身。この解職劇が取締役会で僅差のバトルがあったことを告白している。解職の理由は自由闊達な雰囲気を回復するためとしたが、解職により、創業者をも批判する、自由闊達な雰囲気が損なわれるようにも見える。

またセコムで登場した指名報酬委員会はイトーヨ―カ堂の鈴木敏文会長退任劇でも大事な役割をした。鈴木氏の出した社長交代案を否決したのである。世間的には社外取締役がその役割を果たしたと評価されている。しかしそう言い切れるか。問題は指名報酬委員会を誰が構成して、どのような議論を行うかだが、場合によっては経営者を追い落とす手段になりうることをこの2つのケースは示している。

着目点は社外取締役に適切な人材がいるかどうか。法的な位置付けのない(委員会設置会社でない会社が設置する)任意の指名委員会の評価。委員会内部の議論が公開されるかなど。

電通 電通 NHKについて 電通 NHKはそれぞれ無関係と主張している。このほか以下の企業名が見られた。 
バンダイ 大日本印刷 大和証券 ドリームインキュベータ ドワンゴ ファストリ ジャフコ JAL  石油資源開発 商船三井 日本製紙 双日 Orix 日本郵船
パナマ文書に挙げられた日本人 日本企業名リスト
パナマ文書に挙げられた日本企業 日本人名リスト
なおアグネス・チャンについて アグネス・チャンが別人だといったお話しもでている

楽天の三木谷っさんって名前もはいっていたとのこと。楽天創業前に英領バージン諸島の法人に出資。すでに法人は存在しない。
日本関連回避地法人 270社個人 大都市圏中心に32都道府県約400人

国外財産調書制度 2014年1月導入 海外で5000万超の財産を持つ人に報告を義務付け 14年分前年比47%超8184人(47%増) 3兆1000億円強(2割強増えた)。日本で純資産100万ドル超える富裕層は212万人。

財務省は2016年5月23日 パナマ政府と富裕層の税務情報を交換する協定をむすぶことで実質合意を発表した。国税庁が日本人がパナマにもつ預金や証券などの金融口座や金融取引明細を定期的に取り寄せられるというもの。

租税回避地を利用する大企業:注目されたスタバ、Apple、アマゾン

こうした個人の行為は、人を興奮させるが大企業の行為も問題だ。EUの欧州委員会は、アップル子会社がアイルランド政府(法人税率12.5%)から2003年から14年にかけて受けた税優遇措置は個別特例的で違法なものだったとして認定し、アイルランド政府に130億ユーロ(1兆4800億円)の追徴課税を指示した(2016年8月30日)。米国政府は、この措置が米国での税控除、税収減につながることと、米企業を狙い撃ちしてみえることと、遡及課税になることに、反発し撤回を求めた。他方でこの問題は、国際企業の課税逃れを許していることを暴露もしている。

同様の問題は2015年10月 スタバがオランダで受けていた優遇措置について既に発生。ルクセンブルグによるアマゾンドットコムへの優遇で生じている。14年6月から調査入り、15年10月スタバの違法性認定。16年8月 アップルの違法性認定。

今回はアイルランド子会社に欧州の利益が流れ込むようにしたうえで、税負担をさらに引き下げ、米税法の下、納税の繰り延べという複雑な方法で蓄え「税逃れ」をしていた。これに対しアップルだけでなくアイルランド政府もEUに対し争う構え。

2016年9月16日今度は日本で東京国税局が、アップルジャパンが、アップルのアイルランド子会社に支払った、2年間で600億円を「使用料」と認定。120億円の追徴課税と認定し、これはすぐに納付されたとのこと。

問題はこのような、大企業による「脱税」や「資産隠し」は、国家内において公平感を著しく損なうことだ。問題を複雑にするのは、一部の国(どちらかといえば弱くて小さな国)はこうした行為を手助けし、それを国策ともしていることだ。また複雑であるのは、たとえば、アップルやスタバの企業イメージはよいということだ。明らかに一つの方法は、こうした企業の悪徳行為を暴き、税金をそれぞれの国に収めさせることだ。

2016/09/17

 

 


Social Finance,  Social Business, ESG投資

2016-09-15 11:28:35 | Area Studies

個人の貸し借りをネットで仲介する仕組みをSocial Finance あるいはSocial Lending(個人間融資)と呼んでいる。世界の市場規模2015年に8兆円弱 前年の7倍

Crowd Fundingと似ている。Crowd FundingあるいはCloud Fundingはネットを通じて企業が不特定多数の投資家から資金を調達することを指している。寄付型、購入型、金融型(貸付型、投資型 2015年エクイテイ型が解禁)があるとされる。詐欺まがいのインチキなものも混在しているので投資家保護の必要性もある

Social Buinessに資金を調達する方法としても、このクラウドファンデイングが注目される。ファンドを作る、銀行を作る、債券を発行するなどの動きがこれまでもあった。 ベンチャー企業だけでなく大手企業も事業の推進に活用。2015年の国内クラウドファンデイング市場の規模は283億円(14年度比40%以上伸びる 今後も急成長か)

環境の配慮した事業資金の調達に発行する債券をグリーンボンドあるいは環境債 あるいは社会貢献債(social bonds)、社会貢献型債券と呼ぶことがある。社会貢献型債券 グリーンボンド:環境関連プロジェクトに投融資する ワクチン債:新興国の子供の予防接種事業 発行体は高格付け しかるに利回り高い。 

ソーシャルインパクト債 → ソーシャルインパクトボンド(みずほ総研)  

Social Business ⇔ 2008年のリーマンショックの反省 社会的課題・・・貧困 環境 差別などにビジネスの手法で立ち向かう企業を意味する

2006年 国連 責任投資原則PRIを提唱 → GPIFによるPRI署名のインパクト(大和総研) GPIF

2015年 パリ協定の採択

2015年3月 SDGsの採択

消費の側面:エシカル(道徳的)消費 化学肥料を使わない有機栽培の農作物 リサイクルに配慮した 環境への負荷が少ない商品を購入消費することを指している

貿易の側面:フェアトレード → フェアトレードの定義(fair trade Japan)

ESG投資(サステナブル投資とも) 環境E(温暖化対策 省エネ 生物多様性など) 社会S(女性の活躍 ワークライフバランス 健康・安全対策) 統治G(法令順守 取締役会の構成 ステークホルダーへの責任) → グローバルなESG投資の潮流(三菱UFJ信託銀行)   成果の機関投資家がESG投資(非財務情報に着目)を拡大している。運用によって社会に与える影響や責任を問われるようになった(大ベストメント=化石燃料企業やたばこ企業から投資撤退 機関投資家としては、事業規制にらんで投資リスクを減らす レピュテーショナルリスク減らす)。対応して環境債(グリーンボンド)を発行する動きがある。国連は2006年に、投資家に世界の持続可能な発展を求める責任投資原則PRIを採択。2015年パリ協定採択。2015年9月にはSDGs(持続可能な開発目標 貧困と飢餓に終止符 質の高い教育の機会 持続可能なエネルギー 持続可能な農業 持続可能な生産と消費 気候変動に対し緊急対策)が国連総会で採択(グローバル経済の原則へ)。ESG投資の流れを拘束している(企業に持続的成長の観点から環境・社会問題への対応促す)。このほかESGm投資を取り入れた投資信託の設定。2016年で世界のESG投資の規模は22兆8000億円(2012年の13兆ドルから拡大)。これは世界の運用資産の3分の1にあたる規模(こうした動きは欧州 豪州・ニュージーランド 等で強くこれらの地域では2016年現在 投資の半分がESG投資。アメリカやカナダでは2-3割。これに対し日本ではなお3%程度で著しくずれている。つまりESGに無関心だとこれらの資金が日本に入ってこないことにもなる。)。環境問題・人権問題など。日本の年金積立金管理運用独立行政法人GPIFも2017年度ESG活動報告書を2018年8月13日に発表した。しかしこれがこの種の報告書の最初。つまり日本ではようやく始まったところだといえる。

スクリーニングの手法 ネガテブスクリーニング ポジテブスクリーニング

ダイベストメント(投資撤退) パリ協定やSDGをにらんで不適切企業への投資を売却すること 対象例 環境に負荷を与える→石炭石油関連企業など 健康に悪い→たばこ企業 犯罪につながる→銃器製造企業

インベストメント 環境関連企業 再生可能エネルギーへの投資 女性の活躍を支援している企業 社会貢献している企業 株主還元余力のある企業 環境債(環境に配慮した事業に使い道を限定するもの 第三者機関の認証にコストや時間 グリーンボンドとも)

企業も日常の企業活動で環境・人権基準を設けることが必要

 

 


損保 国内市場の縮小とリスク分散のめの海外展開加速  

2016-09-15 06:03:06 | Area Studies

国内市場の縮小とリスク分散の観点から海外展開加速

 東京海上HD(2008年英キルン買収1000億円 2008年米フィラデルフィア買収 2012年米デルファイ買収2160億円) 米保険HCCインシュランス(企業向け保険に強い)買収 73億3000万ドル9413億円(2015年6月) 完全子会社化 手元資金(1兆4000億円)で賄う→収入保険料の4割、利益の5割を海外で稼ぐ体制に...…東京海上16年3月期保険料収入に占める海外の比率はすでに3割

 三井住友海上(2015年3月仏再保険大手スコールに出資1100億円 2014年英キャノピアス買収950億円 2011年7月インドネシアのシナールマス生命に670億円出資 2012年6月インドのマックスニューヨーク生命に390億円出資など アジアシフト) 英損害保険大手アムリン(海上保険に強い)を買収6420億円(2015年9月発表):自動車保険をはじめ国内市場は頭打ち 再保険市場で世界第27位から世界第15位へ

  三井住友海上はあいおいニッセイ同和損保トMS&ADグループを形成している。

 損保ジャパン日本興亜(NKSJ 傘下に損保ジャパン 2013年英損保キャノピアス買収 約1000億円 過去には2013年にブラジルのマリチマ、2011年にマレーシアのベルジャヤ・ソンポ、2010年にトルコのフィバシゴルタに270億円出資 2009年ブラジルのマリチマに150億円出資・・・海外買収で遅れる アジア重視は将来性では堅実ともえいる)は介護事業に乗り出している(東京海上やMS&ADでも子会社ではじめている) シダーに出資(2012年)、メッセージに出資(2015年) 老人ホームに顧客紹介 介護サービスを現物給付する保険の開発など

 大手3社の順位 東京海上 MS&AD NKSJの順番

 ネット大手 ソニー損害保険

主力の自動車保険は人口減で縮小 その他も人口減少で国内市場は縮小 他方で 国内に集中すると 災害時のリスク分散ができない → 海外展開は必至

風水害・・・・・・・・火災保険(住宅の損壊)、自動車保険(車の水没や故障を補償)、利益保険(操業停止時の損失を補う)・・・・災害の多い日本でだけ業務をしているとリスク分散に限界がある。事故がおきたときに収益の振れが大きい。,また人口減で国内市場の縮小続く。若年層の車離れも。各社とも海外展開 国際化を急いでいる。

 阪神大震災 1995年1月17日

 米同時テロ 2001年

 東日本大震災 2011年3月11日

  2011年 タイの大洪水

 2012年 米ハリケーン サンデイ

 2015年8月 天津での爆発事故(組み立て済完成車 輸入車などが破損)

 
正確に算定できるリスク・・・・・保険料率低くなる傾向

正確に算定できないリスク・・・・・・保険料率高くなる傾向

不確実性の増加…・・・・・・・・保険料率の上昇につながる

大きな災害や事故・・・・・・・・テールリスクの増加

損害保険会社自身のリスク分散・転嫁の手法としては 再保険や大災害債がある

再保険 大きな災害があると上昇 災害がないと料率下がる傾向

大災害債 運用難のなかで人気(円建てで3%台の利回り・・・2016年) 発行条件としては有利に。

リスク・災害の把握など

 災害後の把握・・・・・・・・・・・・ドローンの試験導入が2015年頃より始まり、2016年各社で使われている 損害・損傷・腐敗の程度 短時間で把握できる 人が入りにくいところ立ち入りが禁止されたところもしらべることができるなど。

ビッグデータの活用・・・・・・・・保険の引き受け 価格設定に反映させることで合理的で納得感のある商品を提供できる アクサ(フランス保険大手)は自動車保険や医療保険ですでにスイスやフランスで商品を開発販売しており、日本でも販売される可能性がある(2015年10月)

テレマティクス保険 個別の運転情報もとに保険料算定するもの 安全運転促す効果も指摘される 車載情報通信機器で得た運転情報(運転速度 急発進など)保険料に反映 今後は運転情報と事故の相関性を分析 より細かい商品設計につながる可能性もある

貨物保険 荷物ごとに事故に合う確率を正確に算定するモデルの開発が急がれている

個別の保険の話題

火災保険 火事や台風 豪雨大雪などによる建物の損害を補償する 建物の老朽化のため保険金支払い増える傾向 2014年に個人向け火災保険(10年超の契約を廃止して実質値上げ) そして2015年10月から企業向け保険料が8年半ぶりに改訂された 保険金の支払い増加を反映 多くの地域で引上げ

海外旅行保険 高齢者の利用増加 医療事故増加 円安支払額増加 収支悪化 保険料引き上げへ

マンション保険 老朽物件増加 水漏れ事故増加 資材価格上昇 収支悪化 保険料引き上げへ

地震保険 普及が進み料率引き上げが続いている 2013年度末保有契約件数1583万件 世帯加入率27.9%(2013年末) 2015年企業向け地震保険引上げ 家庭向けは東日本大震災後の巨大地震リスクの高まりをうけて(1兆2000億円を超える保険金支払いが発生した) 2012年そして2014年に引き上げたが 2016年以降2-3割引き上げる 政府の首都直下型地震の発生規模想定引上げに伴い(東日本大震災をうわ回る可能性高い 被害想定は220兆円)再度値上げ

自動車保険 景気悪化 交通量減少 事故率低下 保険金請求減少 収支改善 

以下のような保険もある

利益保険

製造物責任PL保険

海外危機管理費用保険 緊急時の宿泊費交通費などを補償するもの

テロ保険 休業を余儀なくされた期間の利益をほてん 建設中の施設の被害など。

 


生保 手数料開示問題 銀行窓販 国内市場縮小への対応

2016-09-14 13:34:22 | Area Studies

生保 販売ルートの多様化 透明性の低い保険商品

銀行の手数料収入として投資信託とともに保険の手数料が注目されている。2001年以降 保険の銀行窓口が始まると銀行窓口で販売される貯蓄性商品(変額年金や一時払い終身保険)の市場が急拡大。その売れ行きが生保各社の保険料収入を左右するようになった。生保側にとって貯蓄性商品は収益率は低いが、顧客との取引を広げる糸口として拡大された。

またいわゆる保険ショップも拡大した。保険ショップは従来型の営業の限界を補う存在になっている。

しかしこれらの貯蓄性商品は運用環境の悪化のなかで、継続がむつかしくなっている。顧客からみても利回りの低下のなかで、商品性の魅力は低下。これは、手数料の開示を進めるには、好ましい環境ではないか。販売が伸び悩んでいるいまだからこそ、手数料の開示を進めて、顧客の信頼を確保するべき。ところが開示に一部の地銀が抵抗。 → 時代錯誤にみえる地銀の抵抗

1998年に投資信託の販売が解禁

2001年4月に団体信用生命保険、損害:海外旅行傷害保険が解禁

2002年10月個人年金保険(定額、変額)、損害:年金払い積み立て障害保健

2005年12月 一時払い終身保険 一時払い養老保険 損害:積み立て火災保険 →一時払い終身保険 貯蓄性が注目され急速に伸びる 退職金の運用先としても人気 → 中途解約のリスクが理解されず 2010年以降(窓口販売件数 2009年度23万件 2010年度55万件) 苦情が急増(預金との混同 解約金の減額などの説明不足)

2007年金融商品取引法の完全施行とともに、2007年にはすべての保険商品(平準払い終身保険 医療保険 介護保険 損害:自動車保険)の銀行窓口販売が解禁された。

ネット専業保険(2008年開業のライフネット生命保険など) 外資(アフラック:アメリカンファミリー生命保険など)の攻勢 既存契約に逆ザヤ問題(予定利率2.75%以上の契約を指す バブル期は6%程度の予定利率を約束) → 2013-2014 一時逆ザヤ解消 死亡保険の需要が減り 医療・年金への対応が必要 消費者は格安保険に流れている

2013年4月 標準利率の引き下げ 個人年金 一時払い終身保険などで保険料引き上げ 2013年4月―9月 2001年の数値公表開始以来初めて「逆ザヤ」(予定利率>運用利率)解消 9生保の合計値で なお予定利率はバブル期には5-6% 2014年初で1%程度

他方で2014年 生保の販売は 円安 株高で(運用利回りが上がった)投資信託などに資金が流れ 一時払い保険の販売(利回りが下がり)は不振となった。逆に外貨建て終身保険は人気を集めたとされる また保険会社自身は 国内債券(2014年10月末 日銀の追加金融緩和)から外債に資金を振り向けたとされる

2012年度に保険商品の販売手数料は、販売手数料の4割程度、投資信託が6割程度だったが、2015年度には約半分が生命保険になるなど、保険の比率が増えている。なかでも外貨建て保険は平均7%弱という高い手数料

保険ショップ(乗り合い代理店):2社以上の保険会社の商品を扱う 大手4社 ほけんの窓口 保険クリニック 保険見直し本舗 みつばち保険 など 全国で2000店以上(大手4社で2014年9月末で1050店 ここ5年間で急増) 各社を比較したい 自宅訪問外のニーズを拡大

ネット販売にも限界。スマホでは時間がかかる。ネット専業の保険会社(アクサダイレクト生命保険、ライフネット生命保険:2008年開業など)にも窓口販売のニーズあり。

ライフネット:保険料の手数料の内訳を公開した。同社の手数料に比率は約2割(30歳 期間10年の死亡保険 3500円弱)。大手の保険料7000円の6割が手数料で消えていることを示した。

手数料収入 医療保険で初年度3-6割 翌年度以降1割程度 中立を装って実際は手数料の高い保険を売りつけている疑惑

生保の販売時手数料は 円建ての保険で2-3%

外貨建てや変額保険では4-7% ものにより10%

外貨建て保険の手数料 平均7%弱 6-7% ものによって10%とされる

投信の手数料 3.2% に比べかなり高い

2016年5月29日 改正保険業法施行で顧客の意向の正確な把握 必要な情報提供などの義務付け 保険ショップに対して金融庁に対して各保険会社別の手数料・契約件数の報告を義務付け。⇔ 前年の契約額が多いほど手数料が多くなるようにされている。販売が多いと初年度6割手数料をはらうところ、販売が少ないと1割台まで下がるとのこと。結果として保険ショップは特定の保険会社の特定の商品を集中して売ることになる。
5兆3000億円の銀行窓販のうち保険と変額保険の販売額は1兆8000億円全体の3分の1

保険には手数料の開示義務がないことも問題。株式や投資信託は開示されている。

金融庁 金融機関に対して顧客利益の優先を求め 2015年9月 フィデュシュアリ―デューティー(受託者責任)を求めた。 2016年年初より 変額年金(円建て) 外貨建て保険(定額年金 定額終身)について 手数料開示を生保業界に求めた。生命保険業界では2016年10月より開示の方針・・・メガバンクも開示の方針 大手地銀も開示 しかし一部地銀は開示に抵抗したとされることには本当に驚かされる。一部地銀にとって、生保の販売手数料が貴重なドル箱になっており、手数料の減少につながることを恐れたとされる。 

他方で 2016年1月末以降 円が円高に転じたこと しかし他方では 一段と金利が下がり、国内の資金運用環境は厳しい。このため生保では一時払い終身保険の販売停止 予定利率引き下げ=保険料引き上げの動きが広がっており(2016年2月末) 一時払い終身保険の販売の低迷 その収入の減少にもつながっている。つまり、顧客にとっての有利さは減少し、販売も落ちている。手数料などの情報開示を進めるには、良いタイミングではないか。

2016年4-6月 円高 株安 マイナス金利 という環境のもとで資産運用収益は減少 他方 契約者の約束する利回りが低下するなか 売上にあたる保険料等収入も減少。生損保マネーは 外債 インフラファンド 社債 VC 未公開株 航空機ファイナンスなど 脱国債化を急いだ。外債投資の規模は年間ベースで4-5兆円 中心は米国債とされ そのほか インフラ 環境 医療 物流 発電など今後の成長分野への投融資もが拡大されている こうした外債・インフラへの運用シフトは2014年円安 株高 低金利 局面でも盛んに議論されたが、今回2016年の局面でも 議論されている。

生命保険協会 投資性の強い商品について開示を言明 20160415

手数料開示に地銀が抵抗 20160526

手数料開示にあたって留意すべき事項 生命保険協会 20160901

パンドラの箱 保険手数料問題 20160905

他方で 生保は大きな流れとして 国内市場縮小に対応して 海外展開を急いでいる。背景1996年頃から市場は縮小(1997年のpeak 1500兆円:死亡保険総契約高 2014年11月末で859兆円) ピーク時の6割の市場に縮小している

アジア展開が先行するが出資規制が厳しく少額出資しかできない

第一生命 2010年12月豪タワーオ-ストラリアG(TAL)を1000億円で買収(2011年完全子会社化)。この買収は利益安定効果(2013年にTALがオーストラリア首位に 2008年時点では4位 その後個人保険伸ばす)

住友生命が12年12月にベトナムの保険最大手バオベトHDに18%280億円出資 すでに2007年に現地生保を買収

日本生命が12年 インドの資産運用大手リライアンスに200億出資 14年10月にインドネシアセクイスライフの株式20%を440億円で取得 インドネシアは生保市場は2ケタ成長 

しかし2015年に米国市場への進出があらわになる

住友生命 2015年8月 米シメトラファイナンシャル(ワシントン州)を4650億円(4666億円 個人・団体向け網羅的に扱い)で

明治安田生命 2015年7月 米スタンコープファイナンシャルグループ(中堅生保 団体保険に強い)を6250(6246)億円で

第一生命 2014年6月 米プロテクテブ生命(オレゴン州ポートランド市 個人保険 個人年金保険が主力 過去40年あまりで47の買収を繰り返して規模を拡大全米で20位前後に浮上)を5800(5750)億円で(第一生命は2010年に株式会社化 これが大型買収を可能にした この買収のため第一生命は2000億円規模の公募増資を行う予定:2014/06時点) さらに このプロテクテブ買収で第一生命は保険料収入に日生に並ぶ規模となった

 2015年3月期決算 保険料収入で日生を第一が抜く 第一 日生 明治安田 住友の順に。

准大手として プルデンシャル(米系) T&DHD メットライフ アフラック(ガン保険に強い日本郵政と提携) ソニー

三井はさらに下の中堅

日生による三井生命買収 2015年9月発表 これでふたたび保険料収入で第一を抜くことに(3000億円弱とされる)

2015年ナショナルオーストラリア銀行傘下の生命保険買収で大筋合意(2000億円規模)

 2013年4月 円建て保険の標準利率引き下げ(15年7月さらに16年7月にも引き下げ 金融庁が決定)

終身保険の保険料上がる 結果として商品の魅力は低下 販売休止に踏み込む生保も増える

長期金利の低下 運用利回りの定価 → 一時払い養老保険 定額年金保険販売中止へ(2015年初)

2015年 一時払い年金保険や養老保険の標準利率の引き下げ 1%から0.5%へ

 2014年4月―6月の保険料収入順位

日生 第一 明治安田 住友の順位

外債投資へのシフト

2013年1月末で 国内生保の運用資産は332兆円 国債に43.9% 外国証券15.4% 貸出12.2%

20年国債利回り 2014年3月末1.5% 2014年8がつ1.3%台  外債やインフラへ

2008年度以降 生保は外債投資の比率を上げている 2015年年度当初 米国10年債2%程度 日本の20年債1.05% 契約者に対する予定利率は1%程度

資金運用 脱国債 外債 海外の社債 インフラファンド 航空機ファイナンス