Entrance for Studies in Finance

Case Study on Skymark

1996年設立 国内航空第三位。独立系を維持。航空機をすべてリースで調達する実質無借金経営 そのため担保資産に乏しい 持たざる経営:いざという借入能力の不足

航空会社をすべてリースで調達(ドル建てで資産計上:円安になると利益出る)
燃料代は円安では収益圧迫 いずれも収益を不安定化させるが
企業規模に比べてコストがかかるとしてヘッジ取引をしない → 合理的?経営
LCCの登場で価格面の魅力低下 競合路線で利用率低下 2012年11月期 4-5割台に低下
2013年1月からLCCに対抗して全路線で1万円の最低割引価格「フリー」を席数限定で毎日用意
2013年3月末 LCCと競合する関空2路線を廃止へ(12年3月に就航したばかりの関空発着路線を撤退
経営効率のいい羽田発着便に経営資源を集中)。また国際線への参入を2014年に行うと表明(まずはニュヨーク便 続いてロンドン便 エアバスの大型機A380を使用して運賃を大幅に引き下げる構想):こうした経営構想はユニークだった。

そして2011年エアバスとA380購入6機1915億円(現在価格)契約(2014年10月に1号機引き渡し予定) 格安長距離国際線という新しい市場の開拓を狙った:戦略は正しいかも(アイルランドのライアンエアがロンドンNY便片道10ドル構想を打ち出すなどLCCが中長距離に乗り出す動きがある)A380はボーイング777の収用客数は1.5倍NYまでの運行コスト 777は2000万程度 一人8万の計算 250座席

A380は2400万程度 400座席一人6万円 大型機のため中古市場がなくリース会社はリスクを取りたがらない。そのためリースはできず購入契約結ぶしかなかった。ところが国内LCC 2012年に就航ジェットスタージャパン(日本航空系)ピーチ(関空拠点 ANAが38.67%)バニラエア(ANN100%系 2013年末就航)国内の観光線でLCCと競合のためピークで8割  それ以外では7割まで搭乗率低下した。このほか燃油費もあり手元資金が減り、2014年3月末の手元資金70億円 自己資本442億円2014年4月支払の前払い金億円が未納となった(支払い済み265億円 1号機については70億円を支払い済み)

スカイマークの2014年6月末の手元金は72億円。14年3月期は18億円の最終赤字。

契約見直し交渉(購入機数の削減 引き渡し時期の延期など)で折り合えず7月28日までに エアバス社が解約通知をスカイマークに送った 違約金は最大で7億ドル(710億円)規模.購入断念により解約確定となれば、前払金250億円あまりが資産ではなくなり損失へ。2014年10月引き渡し 2014年末成田NY線就航予定だった。エアバスが損害賠償を求めていることもあり、2014年3月期大幅赤字へ転落。7月30日終値216円(一時209円)7月31日発表事業短信での4-6月期単独決算(最終決算57億円の赤字 前年同期12億円の赤字)発表で事業継続に重大な疑義があると開示7月31日終値209円8月1日終値187円別にA330の羽田福岡で3ケ月の就航の遅れ8月14日 10月下旬から国内路線の2割削減 大人普通運賃の引き上げ

その後LCCと(2012年にピーチアビエーションやジェットスタージャパンなどが就航)の競争や円安による燃油費上昇 さらに搭乗率の低下が加わりスカマークの業績の悪化と手元資金減少が進む。

8月にはマレーシアのLCC大手エアアジア(マレーシア アジア最大のLCCとされる)との資本業務提携を模索したが(エアアジアがエアバスの大口顧客であることが背景。)、経営権をめぐり交渉は難航(外資は3分1未満という規制あり)。国土交通省も難色を示したと考えられる。エアアジアハスカイマークがもつ羽田発着枠(470枠の8割を全日本空輸と日本航空が保有。スカイマークは3番目)に注目。羽田枠を持つ航空会社が外資の傘下に入るのは想定外とされた。

なおエアアジア(トニーフェルナンデスCEO)は楽天(三木谷浩史社長)、さらにはノエビア、アルペン、投資ファンドのオクターブジャパンと組んで新生「エアアジアジャパン」を2014年7月1日に資本金70億円で立ち上げている。楽天は航空券予約システム開発で連携するほか、楽天トラベルとの相乗効果をねらっているとのこと。2015年夏に日本の空に再参入する方針を示している(2011年にANNと組んでエアアジアジャパンを立ち上げるも方針をめぐりANNと対立。2013年6月合弁解消を発表。2013年10月運航休止。)。
なお12月28日 インドネシアのスラバヤ空港からシンガポールに向かったエアアジア機(乗客乗員162人)が消息を絶った。2014年3月8日クアラルンプールから北京に向かったマレーシア航空機乗客乗員239人が消息を絶ち、7月17日にはアムステルダムからクアラルンプールに向かったマレーシア航空機乗員乗客298人がウクライナ上空で撃墜される事故があった。やや事件が重なっている印象が強い。国営マレーシア航空は2つの事件のあと経営危機にあると指摘されていた。

スカイマークは2014年6月にエアバスの中型機A330を導入。これを利用して羽田発着便(36便 1枠で20-30億の収入 提携による増収効果は最大160億程度)について日本航空(2016年度まで国土交通省の監視下 エアバスの大口取引先であることがスカイマークには都合がよい)との提携(共同運航便)を進めようとしたが(2014年11月)、自民党からは民主党政権下で公的支援を受けながら経営再建を果たし地方路線を廃止した日本航空との提携(たとえ資本提携がなくても)は反発を受けた。また、国土交通省もスカイマークを第三極として育成して競争促進を図ってきた政策が破たんしたと受け取られることを恐れて、スカイマークの独立性維持をベストと考え、提携先としては日航と全日空と合わせた共同運航便か全日空による単独支援をベターとした。その後 日本航空が共同運航便で歩み寄ったことから、全日空に対して共同運行での歩み寄りをもとめている(2014年12月)。

2015年3月期は136億円の最終赤字見通し(前期赤字は18億円)が出る中、施設の売却(セールスアンドリースバック)を進めているほか、路線網の見直し(2014年10月に成田発着便から撤退。米子路線からの撤退の検討。羽田路線に集中)に進む見込みだ(2014年12月)。

一般的には原油安で世界の航空会社の収益は改善に向かっているとされるがスカイマークに原油安の恩恵だけでは十分でないのかもしれない。

2014/08/14 更新 2014/12/24 再更新

ビジネスモデル  

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