Re:SALOON & VBA

ある会話

ひとが泣いている
わたしだ
ひとが黙ってそれをみている
わたしだ
スポットライトのなかで
真夜中に朝がうつしだされて
枯れたつたの葉がゆれている窓が
たったひとつの背景

一羽の鳥が赤い目をしばたたいて
のぞきこんでいる
羽根をすこしばかりふるわせている
赤い目はわたしの目だ

ヨシッと指をならして
泣いているわたしに近づく
わたしを
みあげる目に涙はなく
鳥にむかって笑いかけながら
合体が終わって
わたしがわたしで
わたしがわたしだ

鳥がまっすぐ地面におちて
赤い目がこぼれたところ
花が咲いて
すぐに散って実はないままに

幕間だ

おだやかな顔をしたわたしが
つらがらない言葉を踏みつけて
ひとと別れようとしている


塚原将『消せない時間』より
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