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ホロコーストを忘れてはいけないとはいえ

2008-12-26 20:23:37 | パレスチナかイスラエルか
今回は、国連人権高等弁務官こと Navanethem Pillay 氏が行った発言の紹介・・・。
・The anti-racism debate(2008年12月15日 Haaretz.com)

事の起こりは、2009年4月に行われるダーバンレビュー会議をイスラエルが欠席すると伝えたところにある。
っていうか、ダーバンレビュー会議ってのは、2001年に南アフリカはダーバンで行われた会議で採択された宣言と行動計画について、実行状況とかについて検証する会議なんだけど・・・。

ただ、2001年の会議で採択された宣言については、一部の国々から「イスラエルを狙い撃ちにしてる」という批判もあった。
問題のダーバン宣言と行動計画ってのは↓
・人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議 宣言と行動計画(ヒューライツ大阪)
・Durban Declaration and Programme of Action (unhchr.ch;.pdfファイル)

一読した限りだと、確かにイスラエルに関する項目もあるんだけど・・・。
実際には、ネオナチやネオファシズムの台頭についても懸念を示してるんだよな。
訳わからん。

ってことで、2008年12月15日分 Haaretz.com の記事『The anti-racism debate』を訳文にしてみた。
例によって、訳文の正確性は一切保証しな(略)。
ただし、途中の[宣言/行動計画 第n項]はダーバン宣言と行動計画中の項目。

------ 以下訳文 ------
反人種差別に関する議論


私は、非白人に対し白人達と同じ市民権を否定することと人種差別が制度化されたアパルトヘイト体制下の南アフリカはダーバンという都市で育ちました。
後に、殺害に次ぐ殺害、民族同士の憎悪が虐殺へと向けられた想像もつかない人間性の破壊に関する痛ましい詳細を知る事になったルワンダ軍事裁判の判事につきました。
差別・不平等・不寛容を認めることの先には、虐殺を招くだけ、ということです。
しかし、南アフリカでの経験は、政治的意思と活動への関与により、差別・不平等・不寛容は乗り越えられることを示しています。
人種隔離政策が私にとっても鮮明な記憶に残っている米国で、初のアフリカ系米国人大統領が生まれた選挙を目撃しているのです。


悲しいことに、今年の1月、カナダはダーバンレビュー会議を欠席する、と伝えました。
そして今月、イスラエルも同じことをしました。

こうした決定の背景には、レイシズム・人種差別・外国人嫌悪・それらに伴う不寛容に対する2001年のダーバン会議が機能不全になったことと、会議に平行して一部 NGO がとった反ユダヤ的行動による疑惑があります。
それでも、会議でまとめられたダーバン宣言と行動計画(DDPA)という文書では、分裂を生んだり不寛容である手法へ対抗することを明確にしました。

DDPA では、より効果のある反差別法と政策の適用を呼びかける一貫した国際的枠組みを提示しています。
少数派・移民・先住民達への差別に焦点を当て、被害者の立場を強めることで認められるか否定された行動への説明責任を求める市民社会を支援するものです。

DDPA は、このように明確に宣言しています「ホロコーストは決して忘れてはいけない[DDPA 総論第58項]」。
中東における暴力を終わらせることを呼びかけ、イスラエルの安全に関する権利を認めています[DDPA 総論第63項、行動計画第151項]。
イスラエルとパレスチナの人達に和平プロセスの再開を求め、イスラム教徒嫌いも含んだ宗教による先入観への警戒と同じように、世界中に広がる反ユダヤ主義の台頭に深い懸念を示しています[DDPA 総論第61項、第63項]。

2009年4月の、ダーバンレビュー会議では、行動と実際の影響を改善する具体的な方策を明確にするように、[宣言での]目標と2001年に交わされた合意の実行状況とのズレに関する調査結果の提出が各国家に望まれています。
検証には、人種差別主義・人種差別・外国人嫌悪・それらに伴う不寛容に対する、良い実践を共有し広めるという意味もあります。
私達の共通の目標に対する世界的な関与を改め、その目標に向かう努力を再び行うための重要な機会なのです。
国家ごとの政策と実践が、国家間の溝を広げることは良くあることです。
それでも、人種差別・不寛容との闘いにおける進歩は、世界全てで必要とされてるのです。

ダーバンレビュー会議は、非差別という原則を再確認し、DDPA に基づきそれを打ち立てる絶好の機会なのです。
この目標で合意し、実行状況に関する溝を埋めることを国家に対し保証します。
全ての国家がこのプロセスを支持しなければ、目標達成は依然厳しいかもしれません。
それゆえ、レビュー会議がイスラエルを批判する基盤になるだろうとカナダとイスラエルが示した懸念は、払拭されねばなりません。
7年前、異なる宗教とかによる憎悪と反感を乗り越え会合の結果を向上させ、人種差別と不寛容と闘うための必要な基準に基づき幅広い合意に達することでそれを成し遂げました、
会議から撤退するより、積極的な参加を通して再び共通認識にたどり着かなければならないのです。

私達には、真摯な議論と差別・不寛容・人種差別による被害者達への具体的な行動を取る責任があります。
このような行動を否認する動きに対しては、[差別などへの]闘いに新たな動機をいかに与えるかに焦点を当てることで摩擦を避けることもできます。
国家は、人種差別・不寛容に対する指導力を発揮する責任を負っているのです。
人種差別主義により被害を受けてる人達に対し、この会合をボイコットする国家はどのようなメッセージを伝えているのでしょうか?人種差別主義にかかわってる人達に対し、そのことは何を伝えてるのでしょうか?
この争いは、広がっていく多文化・他民族社会において私達全てが関わっているのです。


Navanethem Pillay 氏は国連人権高等弁務官。

------ 訳文以上 ------

ホロコーストは忘れてはいけない、か。
ただ、2001年のダーバン会議については、行き過ぎた部分もあるという批判もあるんだが・・・。
・POLITICS: Israel Deeply Wary of 2009 Anti-Racism Meet
(2008年12月21日 IPSNEWS)

いずれにしろ、イスラエルやカナダ等が次回の会合に参加しないってのは、人種差別が社会に根深く存在するってことの一端か。
そういえば、カナダは、先住民に関する権利条約も反対してるっけ。
こりゃ、日本並みかそれ以上の人種差別国家っぷりだ。
なんせ、日本はこの手の会議には(内容に反対していようが)一応参加するからな・・・。
もっとも、参加しても足を引っ張るよりはまし、という意見もあるだろうが。


それにしても。
なんたって、イスラエルやカナダ等は来年4月のダーバンレビュー会議に参加しないのやら。


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