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ダマ(無許可)で教科書を使うのは良くないんだろうが

2010-09-27 20:49:18 | パレスチナかイスラエルか
何か知らんが、イスラエルの Sderot 地区(Gaza 地区からロケット弾が飛んでくることで有名)の高校でダマ(無許可)で使われてる教科書(歴史)が、イスラエル教育省から使用中止を求められたとか。
その理由は、「教科書がパレスチナ側の見解を掲載してるから」ということらしい・・・。
・Education Ministry bans use of text book that offers Palestinian narrative(2010年9月27日 Haaretz.com)
・משרד החינוך הורה לתיכון להפסיק ללמד את הגרסה הערבית לסכסוך לצד הגרסה הציונית
(2010年9月27日 Haaretz.co.il;ヘブライ語)

Haaretz.com の記事の画像が、他の記事の使いまわしなのはともかく(ヘブライ語の記事で使われてる画像を使って欲しい所)。
この話は、色んな意味で

なんでも、問題の教科書を使っていたのは Sderot 市の Sha'ar Hanegev(שער הנגב: Negev [砂漠]の近く、という意味)高校でのこと。
教科書の内容としては、イスラエルとパレスチナの(力の差は歴然としてるとはいえ)紛争の歴史を双方の見解から解説してるブツ・・・らしい。
ご丁寧に(?)、19世紀後半(シオニズムの台頭)~イスラエル建国前(Nakba 前)についても解説しているとか。
ちなみに、この教科書は、Ben-Grion 大学 Negev 校所属 Dan Bar-On(דן בר-און )教授と Bethlehem 大学所属 Sami Adwan(סאמי עדוואן)教授の主導でイスラエルとパレスチナの歴史講師達が編纂し、去年公開された。
日本と朝鮮Sと中国の間で行ったら、出版前に計画破綻必至のプロジェクトだ(謎)

ただ、イスラエル教育省は、去年イスラエルのアラブ系(ややこしい)学校でも『Nakba のことを教えるな』という決定を出している。
無論、そうでない学校では、以前から Nakba のことは教えてはいけないのだが・・・。
この辺は以下参照(手抜き)
・5月14日にNakbaの事を言うな?4+Δ (2009年7月23日 fagburner's blog(仮))

そんな事情から、Sha'ar Hanegev 高校では、件の教科書をダマで(無断で)使うことになったとか・・・。
真っ当に申請すれば、多分使用禁止になるのは目に見えてるからな~。

ともかく。
この件に関しては、現場側とイスラエル教育省の見解は見事にズレていた。
以下、2010年9月27日分 Haaretz.com『Education Ministry bans~』から Sha'ar Hanegev 地区長(?)の Alon Shuster 氏とイスラエル教育省側の見解部分を(略
ただし、ヘブライ語版からもそこに対応する部分を引用しとく。

---- 以下引用 ----
[以下ヘブライ語版]
(中略)
ראש המועצה שוסטר תומך בלימוד הספר. "לא ייתכן שנוכל להעשיר את התלמידים שלנו במוזיקה או בכימיה, אבל לא תהיה אפשרות לחשוף אותם לכתבים ולנקודות השקפה אחרות", הוא אומר, "שאלתי את התלמידים מה עשה להם הלימוד. כולם אמרו שחשיפת הנרטיב הפלסטיני חיזקה אצלם את ההשקפה הציונית".

ממשרד החינוך נמסר בתגובה כי "מדיניות המשרד הינה לאכוף למידה בבתי הספר, בכל המקצועות, מספרי לימוד מאושרים בלבד. לפני חמש שנים נפסלה התוכנית על ידי משרד החינוך, וכך גם ספר הלימוד אשר על פיו נלמדת התוכנית. אשר על כן, יו"ר המזכירות הפדגוגית, ד"ר צמרת, ומנהל המחוז לחינוך התיישבותי, ד"ר יחיאל שילה, זימנו את מנהל תיכון ?שער הנגב' לשיחת בירור לאחר חג סוכות".

[以下英語版]
(中略)
Shuster said he supports the use of the textbook. "It is inconceivable that we can enrich our students with music and chemistry, but we do not grant them the opportunity to expose them to other writings and viewpoints," he said.

The Education Ministry said in response: "It is the ministry's policy to enforce school instruction only from textbooks that are approved. Five years ago, the [expanded course] and the textbook upon which it is based were rejected. As such, the head of the pedagogic secretariat, Dr. Zameret, has summoned the principal of Sha'ar Hanegev for clarifications after the Sukkot holiday."
(以下略)
---- 引用以上 ----

う~ん。
どこかの国で使うことを認められた歴史(に限らないけど)教科書ってのは、その国の(間接的な)公式見解とも言えなくもないからな~。
要は、そこから「外れた」見解を教えることが難しくなるわけで。
そういう見解を現場の教員たちが教えようとすると、必然的にダマ(無許可)で別の資料を用意するしかないし。
(そういう見解について「生徒達に自習しろ」といっても、中学・高校生の段階ではそこまで余裕はないかと)
イスラエル教育省としては、イスラエル政府の公式見解と全く異なる視点を提供してる教科書を教育現場で使って欲しくないんだろうけど・・・。

たださ。
イスラエルに限らないけど、建国の過程では死人を大量に出してることが多いしな~。
今存在する国の国民の建国時に住んでいた人に限らず、建国された場所に元から住んでいた人達に支配権を持っていた国の人達も死んでるわけで・・・。
そうした人達の存在と視点を忘れる(教えない)ことは、結局その国の歴史について無視を決め込むようなモンだ。
そんなんでいいの?


にしても。
どうして、歴史教科書の内容ってのは何かと騒動になりやすいんだろうか?


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