flagburner's blog(仮)

マイナーな話題を扱うことが多いかもしれません。

Why did Wolf foundation give Wolf prize to Mr.YAMANAKA and Mr. JAENISCH?

2011-05-30 20:40:48 | パレスチナかイスラエルか
なんか知らんが、京都大学所属の山中 伸哉教授が iPS細胞の研究に貢献したとして、イスラエルのウルフ財団(Wolf Foundation:קרן וולף)から2011年分の医学部門を受賞していた。
・iPS細胞 山中教授にウルフ賞(2011年5月30日 nhk.or.jp)
・ウルフ賞:山中・京都大教授に授与(2011年5月30日 毎日jp;共同)
・American, German and Japanese scientists win prestigious Wolf Prize in Israel(2011年5月24日 washingtonpost.com;AP)
・iPS cell developer, researcher win Israel's Wolf Prize+(2011年5月29日 breitbart.com;AP)

この話を聞いて、2年前に村上 春樹氏がエルサレム賞(文学)を受け取った後の騒動を思い出した俺。
しかし、この賞を山中氏が受賞したのが広く知られたのが授賞式後だったことから、残念ながら(?)それほどの騒ぎになってないようだが・・・。
以下、2011年5月30日分 nhk.or.jp『iPS細胞 山中教授にウルフ賞』を全文(略

---- 以下引用 ----
体のあらゆる組織になるとされるiPS細胞を、世界で初めて作り出すことに成功した京都大学の山中伸弥教授に、ノーベル賞の行方を占うとも言われるイスラエルのウルフ賞が贈られました。

ウルフ賞は、イスラエルの財団が世界的に優れた業績を挙げた科学者や芸術家を選んで、33年前から毎年贈っているもので、29日、エルサレムでことしの授賞式が行われました。
6つある部門のうち、医学部門では京都大学の山中伸弥教授とアメリカ・マサチューセッツ工科大学のルドルフ・イエーニッシュ[Rudolf JAENISCH]教授に賞状が贈られました。
山中教授は、体のあらゆる組織になるとされるiPS細胞を世界で初めて人の皮膚から作り出すことに成功し、再生医学の進歩に貢献したことが評価されました。
授賞式に出席した山中教授は「これまで有効な治療法がなかった病気の人でも、今後、新しい治療法がどんどん出てくると思うので、希望を捨てないでほしい」と述べ、iPS細胞を利用した難病の治療薬の開発などに意欲を示しました。
ウルフ賞は、ノーベル賞の行方を占うとも言われていて、過去にウルフ賞を受賞した日本人8人のうち、小柴 昌俊さんと野依 良治さんが、後にノーベル物理学賞とノーベル化学賞をそれぞれ受賞しています。
---- 引用以上 ----

上で紹介されてる山中教授の発言、面白味も何もない発言だな(苦笑)
参考までに、wolffund.org.il の過去の受賞者リストから、この賞を過去に受賞した日本人の名前を引用しとく(敬称略、: の後は受賞年)。
・THE WOLF PRIZES(wolffund.org.il)

・伊藤 清(Kiyoshi ITO:1984)
・小平 邦彦(Kunihiko KODAIRA:1987)
・早石 修(Osamu HAYAISHI:1986)
・西塚 泰美(Yasutomi NISHIZAKA:1994-1995)
・南部 陽一郎(Yo-ichiro NAMBU:1994-1995)
・小柴 昌俊(Masatoshi KOSHIBA:2000)
・野依 良治(Ryoji NOYORI:2001)
・佐藤 幹夫(Mikio SATO:2002-2003)

随分錚々たる顔ぶれな事・・・。


つーか、これで終わると問題がありそうなのでもう少し続ける。

今回、山中教授と共に医学部門で受賞した JAENISCH 教授は、思わぬ形でイスラエルと関係を持っていた。
実は、JAENISCH 教授が所属する研究所で修業だか研究とかをやっていたパレスチナの研究者(?)こと Jacob Hanna 氏が今年4月からワイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science:מכון ויצמן למדע)で自前の(・・・)研究室を立ち上げる、なんて話が・・・(去年の11月の時点だが)。
・Turning point: Jacob Hanna(2010年11月10日 nature.com)

上の記事によると、Hanna 氏はヘブライ大学で修士号+博士号を取得した後、JAENISCH 教授が所属する研究所に移籍したとか。
(おそらく Hanna 氏は、イスラエル国内で暮らしていたパレスチナの人だと思われる。西岸地区出身という可能性も否定できないが・・・)
そこで Hanna 氏は、JAENISCH 教授から研究のイロハを学んだらしいが・・・。
以下、2010年11月10日分 nature.com『Turning point: Jacob Hanna』から、前半部分を(略

---- 以下引用 ----
Why did you choose to return to Israel to start your independent lab?

There were two major factors.
The Weizmann is a great multidisciplinary centre that offers strong financial and organizational support.
And on a personal level, as a Palestinian who grew up in Israel, it is meaningful to do science there.

Do you plan to encourage more scientific exchange between regions?

I am a scientist, and research is my priority.
But building a diverse group of students and collaborators at the Weizmann is one way to have a positive impact.
Palestinians are underrepresented in academia, in part because there is little academic infrastructure in the area outside Israel, and if I can encourage Israeli and Palestinian scientists to join my lab and work in an integrative environment, I will be happy.

You have focused on stem-cell research projects with a high risk of failure.
Why?


The Whitehead has a risk-taking culture.
My mentor, Rudolf Jaenisch, encourages us to take on high-risk ideas and not to be constrained by technical limitations.
That support taught me to work hard and be adventurous.
He also tells us not to lower standards by overlooking complexity.
In this field, there is a tendency to rely on concepts that are not yet well defined.
I'm realizing how important it is to do quantitative experiments to get conclusive answers.
(以下略)
---- 引用以上 ----

Hanna 氏の発言ってのは、JAENISCH 教授を研究者として見てるってのを前提に考える必要があるんだろうな。
結果、「研究以外」のことについて、JAENISCH 教授がどういうスタンスなのかは一切不明なまま・・・。

とはいえ、Hanna 氏が Weitzman Institute of Science に行って研究室を立ち上げることが、別の意味を持つのは言うまでもない。
具体的には、イスラエルは「ユダヤ系の人達とパレスチナの人達が対等の立場で共存する社会」、という宣伝に使われる可能性だ。
実際のイスラエル社会は、全く逆の方向に向かっているのにね。
それ以前に、Hanna 氏も JAENISCH 教授もこの危険性について認識してるか、って疑問もあるけどな・・・。


それにしても。
なんで Wolf財団は、山中教授と JAENISCH 教授に医学部門で賞を授与したんだろうか?


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。