日本時間の今朝、オーストラリアのパース(Perth)沖合にいた「調査捕鯨」団の片割れである第二昭南丸(Shonan Maru No.2)に、『Forest Rescue』という団体だか何だか(Sea Shepherd が支援してたらしいが)に所属してる3人が乗り込んだ。
これに対し、「調査捕鯨」団は3人を拘束したのだが・・・。
・捕鯨監視船無断乗り込み 事情聴取(2012年1月8日 nhk.or.jp)
・日本の調査捕鯨船に豪活動家3人が乗り込む(2012年1月8日 afpbb.com)
・Australian Activists Being Held on Japanese Whaling Ship(2012年1月7日 ecorazzi.com)
・Japanese whalers issue jail threat to activists(2012年1月8日 smh.com.au)
色んな意味でリアクションに困るこの話。
さしあたっては、2012年1月8日分 nhk.or.jp『捕鯨監視船~』を全文(略
---- 以下引用 ----
日本の調査捕鯨に同行してオーストラリア沖を航行していた水産庁の船に、日本時間の8日朝、反捕鯨団体「シー・シェパード」の関連団体のメンバー3人が無断で乗り込み、現在、この船に同乗していた海上保安官が事情を聞いているということです。
水産庁によりますと、日本時間の8日午前5時半すぎ、オーストラリア南西部にあるバンベリー港の沖合およそ40キロの海上で、調査捕鯨に同行している水産庁の監視船「第二昭南丸」にゴムボートが急接近し、3人の男が無断で乗り込んできたということです。
「第二昭南丸」は、反捕鯨団体「シー・シェパード」の妨害活動を防ぐために水産庁が派遣した船で、現在、この船に同乗していた海上保安官が3人から事情を聞いているということです。
この3人について、「シー・シェパード」は、関連団体のメンバーだとしていて、このうち代表とみられる男は、インターネット上に声明を出し、「オーストラリア政府がこの海域での捕鯨をやめさせないので、代わりにわれわれが乗り込んだ」としています。
水産庁では、海上保安庁と連携して引き続き3人から事情を聞くとともに、今後の対応を検討することにしています。
水産庁の監視船に乗り込んだ男3人は、オーストラリアの環境保護団体「フォレスト・レスキュー」のメンバーです。
この団体ではこれまで、反捕鯨団体「シー・シェパード」が行う日本の調査捕鯨船などへの妨害活動に賛同してきましたが、実際に活動に加わったのは今回が初めてだということです。
団体の広報担当者は、NHKの電話取材に対し「この海域での捕鯨はこれ以上容認できない。調査捕鯨船が海域を去り日本に戻ることを望む」と訴えました。
そのうえで、日本が調査捕鯨を今後続けた場合、「さらに強力で大規模な行動をとるだろう」と警告しました。
---- 引用以上 ----
で、拘束した3人の処遇について、日本鯨類研究所お抱えの広報担当こと Glenn INWOOD 氏は妙な表現を使って述べていた。
以下、2012年1月8日分 smh.com.au『Japanese whalers issue~』から、INWOOD 氏のコメント部分を8略
---- 以下引用 ----
(中略)
"No decision has been made yet on the fate of the men who boarded the vessel," ICR spokesman Glenn Inwood said.
"But they risk being taken back to Japan to face charges and possible imprisonment.
"What these guys don't understand is that the government of Japan's tolerance for Sea Shepherd and its supporters is extremely low and they risk facing that back in Japan."
(以下略)
---- 引用以上 ----
INWOOD 氏のコメントから妙な小物臭が漂うのは俺だけか?
一応、第二昭南丸上で起きたことの主権は日本政府が持ってるので、拘束した3人の処遇をどうするかは日本政府の自由なんだろうが・・・。
この件をややこしくしてるのは第二昭南丸がいた位置。
つーのも、第二昭南丸がいた場所ってのがオーストラリアの経済的排他水域(EEZ:沿岸から 200海里、約370km)内なのよね。
EEZ はあくまで経済的主権の保護とかが目的だけど、一応国家主権の問題になるし(日本の EEZ に中国の船が入ってきた際の日本政府の対応がいい例)。
しかも、拘束された3人はオーストラリア国籍とくれば尚の事・・・。
仮に、オーストラリア政府がこの件を放置した日には、オーストラリア国内で、日本政府のみならず「調査捕鯨」団の船を EEZ 内に入れてたオーストラリア政府への非難が高まるのは必至だべさ。
その辺を読み取ったのか何なのか、緑の党(The Greens)はオーストラリア政府が日本政府に対し3人を解放するため働きかけるよう求めていた。
・Japanese ship sails with protesters on board(2012年1月8日 abc.net.au)
以下、2012年1月8日分 abc.net.au『Japanese ship sails~』から、国会議員の Rachel SIEWERT(緑の党所属)氏とと Sea Sheherd の総帥こと Paul WATSON 船長のコメントを(略
---- 以下引用 ----
(中略)
But Steve Irwin's Captain Paul Watson says this has not been the case.
"They are still continuing to pursue us but I find it absolutely extraordinary the Australian Government will allow an armed Japanese vessel to come in and take Australian citizens out of Australian territory in fact to Japan, but we'll see what happens," he said.
Mr Watson claims the Japanese crew has confiscated radios from the protesters.
The Greens are calling for Federal Government intervention.
The Greens senator Rachel Siewert says the Prime Minister should contact the Japanese Government to ensure the safety of the protesters.
"Our concern is that they could be taken elsewhere they could be taken back to Japan or heaven forbid taken down to the Southern Ocean if the boat continues to pursue the Steve Irwin," she said.
(以下略)
---- 引用以上 ----
こういう非難を避けるためじゃないんだろうが、オーストラリア政府も3人の解放に向けて一応交渉する姿勢を見せている。
ただ、 Nicola ROXON オーストラリア司法長官は 3人が日本に連行される可能性を認識してるけど・・・。
・Government in talks to free whaling activists from ship(2012年1月8日 abc.net.au)
以下、2012年1月8日分 abc.net.au『Government in talks~』から、中盤部分を(略
---- 以下引用 ----
(中略)
Whaling boats are banned from docking at Australian ports, but Ms Roxon says the Government could make an exception for the Shonan Maru 2.
"Because it is a boat that appears to be assisting whaling boats although not a whaling vessel itself," she said.
"At this stage the boat hasn't sought to come into port. We may of course in coming days want to have discussions to do just that."
Ms Roxon says Government officials are in talks with Japanese authorities to try to get the activists safely returned to Australia.
"We are in diplomatic discussions, we hope there will be an opportunity to ensure their safety and well being soon," she said.
(以下略)
---- 引用以上 ----
とはいえ、「調査捕鯨」団への反発の高さを踏まえると、第二昭南丸をオーストラリアの港に入れるわけにいかないだろうしな~。
現実問題、拘束された3人を引き渡すとしたら、オーストラリア政府が第二昭南丸の所まで船を派遣するってのが線かと。
ただ、これをやると、今度は「日本政府は何で3人を日本に連行しなかったんだ?」なんてのたまう人達が出てくる悪寒。
# この騒動、明日になったらどういう展開になるのやら・・・。
これに対し、「調査捕鯨」団は3人を拘束したのだが・・・。
・捕鯨監視船無断乗り込み 事情聴取(2012年1月8日 nhk.or.jp)
・日本の調査捕鯨船に豪活動家3人が乗り込む(2012年1月8日 afpbb.com)
・Australian Activists Being Held on Japanese Whaling Ship(2012年1月7日 ecorazzi.com)
・Japanese whalers issue jail threat to activists(2012年1月8日 smh.com.au)
色んな意味でリアクションに困るこの話。
さしあたっては、2012年1月8日分 nhk.or.jp『捕鯨監視船~』を全文(略
---- 以下引用 ----
日本の調査捕鯨に同行してオーストラリア沖を航行していた水産庁の船に、日本時間の8日朝、反捕鯨団体「シー・シェパード」の関連団体のメンバー3人が無断で乗り込み、現在、この船に同乗していた海上保安官が事情を聞いているということです。
水産庁によりますと、日本時間の8日午前5時半すぎ、オーストラリア南西部にあるバンベリー港の沖合およそ40キロの海上で、調査捕鯨に同行している水産庁の監視船「第二昭南丸」にゴムボートが急接近し、3人の男が無断で乗り込んできたということです。
「第二昭南丸」は、反捕鯨団体「シー・シェパード」の妨害活動を防ぐために水産庁が派遣した船で、現在、この船に同乗していた海上保安官が3人から事情を聞いているということです。
この3人について、「シー・シェパード」は、関連団体のメンバーだとしていて、このうち代表とみられる男は、インターネット上に声明を出し、「オーストラリア政府がこの海域での捕鯨をやめさせないので、代わりにわれわれが乗り込んだ」としています。
水産庁では、海上保安庁と連携して引き続き3人から事情を聞くとともに、今後の対応を検討することにしています。
水産庁の監視船に乗り込んだ男3人は、オーストラリアの環境保護団体「フォレスト・レスキュー」のメンバーです。
この団体ではこれまで、反捕鯨団体「シー・シェパード」が行う日本の調査捕鯨船などへの妨害活動に賛同してきましたが、実際に活動に加わったのは今回が初めてだということです。
団体の広報担当者は、NHKの電話取材に対し「この海域での捕鯨はこれ以上容認できない。調査捕鯨船が海域を去り日本に戻ることを望む」と訴えました。
そのうえで、日本が調査捕鯨を今後続けた場合、「さらに強力で大規模な行動をとるだろう」と警告しました。
---- 引用以上 ----
で、拘束した3人の処遇について、日本鯨類研究所お抱えの広報担当こと Glenn INWOOD 氏は妙な表現を使って述べていた。
以下、2012年1月8日分 smh.com.au『Japanese whalers issue~』から、INWOOD 氏のコメント部分を8略
---- 以下引用 ----
(中略)
"No decision has been made yet on the fate of the men who boarded the vessel," ICR spokesman Glenn Inwood said.
"But they risk being taken back to Japan to face charges and possible imprisonment.
"What these guys don't understand is that the government of Japan's tolerance for Sea Shepherd and its supporters is extremely low and they risk facing that back in Japan."
(以下略)
---- 引用以上 ----
INWOOD 氏のコメントから妙な小物臭が漂うのは俺だけか?
一応、第二昭南丸上で起きたことの主権は日本政府が持ってるので、拘束した3人の処遇をどうするかは日本政府の自由なんだろうが・・・。
この件をややこしくしてるのは第二昭南丸がいた位置。
つーのも、第二昭南丸がいた場所ってのがオーストラリアの経済的排他水域(EEZ:沿岸から 200海里、約370km)内なのよね。
EEZ はあくまで経済的主権の保護とかが目的だけど、一応国家主権の問題になるし(日本の EEZ に中国の船が入ってきた際の日本政府の対応がいい例)。
しかも、拘束された3人はオーストラリア国籍とくれば尚の事・・・。
仮に、オーストラリア政府がこの件を放置した日には、オーストラリア国内で、日本政府のみならず「調査捕鯨」団の船を EEZ 内に入れてたオーストラリア政府への非難が高まるのは必至だべさ。
その辺を読み取ったのか何なのか、緑の党(The Greens)はオーストラリア政府が日本政府に対し3人を解放するため働きかけるよう求めていた。
・Japanese ship sails with protesters on board(2012年1月8日 abc.net.au)
以下、2012年1月8日分 abc.net.au『Japanese ship sails~』から、国会議員の Rachel SIEWERT(緑の党所属)氏とと Sea Sheherd の総帥こと Paul WATSON 船長のコメントを(略
---- 以下引用 ----
(中略)
But Steve Irwin's Captain Paul Watson says this has not been the case.
"They are still continuing to pursue us but I find it absolutely extraordinary the Australian Government will allow an armed Japanese vessel to come in and take Australian citizens out of Australian territory in fact to Japan, but we'll see what happens," he said.
Mr Watson claims the Japanese crew has confiscated radios from the protesters.
The Greens are calling for Federal Government intervention.
The Greens senator Rachel Siewert says the Prime Minister should contact the Japanese Government to ensure the safety of the protesters.
"Our concern is that they could be taken elsewhere they could be taken back to Japan or heaven forbid taken down to the Southern Ocean if the boat continues to pursue the Steve Irwin," she said.
(以下略)
---- 引用以上 ----
こういう非難を避けるためじゃないんだろうが、オーストラリア政府も3人の解放に向けて一応交渉する姿勢を見せている。
ただ、 Nicola ROXON オーストラリア司法長官は 3人が日本に連行される可能性を認識してるけど・・・。
・Government in talks to free whaling activists from ship(2012年1月8日 abc.net.au)
以下、2012年1月8日分 abc.net.au『Government in talks~』から、中盤部分を(略
---- 以下引用 ----
(中略)
Whaling boats are banned from docking at Australian ports, but Ms Roxon says the Government could make an exception for the Shonan Maru 2.
"Because it is a boat that appears to be assisting whaling boats although not a whaling vessel itself," she said.
"At this stage the boat hasn't sought to come into port. We may of course in coming days want to have discussions to do just that."
Ms Roxon says Government officials are in talks with Japanese authorities to try to get the activists safely returned to Australia.
"We are in diplomatic discussions, we hope there will be an opportunity to ensure their safety and well being soon," she said.
(以下略)
---- 引用以上 ----
とはいえ、「調査捕鯨」団への反発の高さを踏まえると、第二昭南丸をオーストラリアの港に入れるわけにいかないだろうしな~。
現実問題、拘束された3人を引き渡すとしたら、オーストラリア政府が第二昭南丸の所まで船を派遣するってのが線かと。
ただ、これをやると、今度は「日本政府は何で3人を日本に連行しなかったんだ?」なんてのたまう人達が出てくる悪寒。
# この騒動、明日になったらどういう展開になるのやら・・・。
>オーストラリア国内で、日本政府のみならず「調査捕鯨」団の船を EEZ 内に入れてたオーストラリア政府への非難が高まるのは必至だべさ。
EEZは「経済活動(操業)」を規制するのであって「通行」を規制するものではないですから、そういう非難は的外れです。
「領海侵犯」とは違います。
>日本の EEZ に中国の船が入ってきた際の日本政府の対応がいい例
尖閣諸島沖の「領海侵犯」事例とEEZでの「違法操業」事例をごっちゃにしてませんか?
ついでに言うと豪州政府が「調査捕鯨」を批判するのは南極海の一部を「領海」だと主張しているせいもありますよね。
>EEZは「経済活動(操業)」を規制するのであって「通行」を規制するものではないですから、そういう非難は的外れです
えぇその通りです(←馬鹿)。
私の知識不足でした・・・。
というか、日本政府は自国の EEZ 内での行動を制限してるようで・・・。
中国海洋調査船がまたEEZ内に 海保が警告(2011年12月6日 MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111206/chn11120616480002-n1.htm
>尖閣諸島沖の「領海侵犯」事例とEEZでの「違法操業」事例をごっちゃにしてませんか
これも私の知識不足で(略)
EEZ内での「調査活動」てのは「経済活動(操業)」と同等なので制限して当然です。
例えば他国のEEZ内で勝手に「資源調査」なんかしたら、宣戦布告と受け取られる可能性すらあります。
東シナ海のガス田や尖閣諸島周辺海域の資源の開発を中国と日本での共同開発が提案されたりしてますよね。
「勝手に」やれば紛争の種になるからです。
また確か以前に中国の調査船が日本の周辺海域(確かEEZ外)の「測量調査」を行って問題になったことがあったはずです。
これは「(海洋/海域/海底の)測量調査」が軍事的側面をも持つからです。
こういう「(他国のEEZに隣接した地域での)調査活動」てのは条約で周辺国に事前通報しなければならない事になっているので、記事中にもありますが、中国側は日本に調査内容を(事前)通報してるんですね。
だから、その通報に基づいて、この事案では「通報海域外であり、調査は認められない」と海保が警告しているわけです。