散歩路地《サンポロジー》      毎日が発見! 身近な自然が見えてくる!


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痕跡! カワセミ探索と・・・。 おやぁ?

2014-02-04 | フィールドノート(多摩丘陵)
「おや、カワセミだ」
2月3日立春。仕事で、多摩丘陵の、ある丘陵地公園に出かけました。
この公園内の一角にある樹林地の概況を確認しなければならないのです。
しばらく見ていると、ツミという小型の鷹が飛ぶのが見えました、すぐに追いかけてみたのですが、見失ってしまいました。
しかし、その先にある池が目に入り、ついでに覗いてみたのです・・・。
『チャポン!』いきなり水音が聞こえました。音のする方に目をやると、コバルトブルーのカワセミが飛び去るのが見えました。そして池畔の小枝に止まりました。双眼鏡を向けると、小魚を加えており、あっという間に飲み込んでしまいました。


カワセミ 2014-02-03 多摩丘陵-川崎市

どういうわけか、昨年後半から、カワセミと顔を合わせることが多いのです。今年に入ってから、見に行った水場、あるいは仕事の途中で立ち寄った公園などが5カ所のうち、4カ所でカワセミと出会ったのです。
とにかく、どこへいてもカワセミがいる。このところの僕の印象です。

さて、池などに出かけると、そこにカワセミがいるかいないか…。僕は無意識のうちに、水場周りの石などに残る、糞の跡を探してしまいます。


護岸に残されたカワセミの糞の跡 2014-02-03 多摩丘陵-川崎市

糞の跡は、必ずしもカワセミとは限りません。シギやチドリのものであったり、大きなものは、カモメやカワウなどのこともあります。慣れると、かなりの精度で見分けられるのですが、最初は大変でしょう。
しかし、もっと簡単にカワセミの有無が確認できる方法に気が付きました。ほかの何カ所かにもあったのですが、今回の池にもありました。さて、その証拠が、わかりますか?


カワセミのいた池の端 2014-02-03 多摩丘陵-川崎市

どうでしょうか。
実は、池畔の木の枝なのです。
カワセミは人気者です。居ると分かれば、バードウォチャーが足を運んで、撮影に適した場所に木の枝などを設置するのです。さすがに、カモメやカワウをとめる場所を一生懸命作る人はいないでしょうから、糞より正確です。

 
池畔に設置された木の枝 2014-02-03 多摩丘陵-川崎市

最近は、かなりアップの映像を見慣れてしまっていますので、本物を見ると、「あんなに小さいの」といった感想をよく聞きます。色は派手でも、体は小さく長い嘴を含めても17㎝程しかありません。


10mほど先の枝に止まるカワセミ 2014-02-03 多摩丘陵-川崎市 

望遠レンズで納めた映像 2014-02-02 多摩丘陵-川崎市

さて、この公園には、ほかにも池があります。仕事を終わらせ、そちらも覗いてみることにしました。
残念ながら、こちらの池には、木の枝が設置されていませんでした。
とりあえず、一番奥まで回ってみると…。
池畔のコナラの枝に、ヤママユガのまゆが付いていました。

 
ヤママユガの繭 2014-02-03 多摩丘陵-川崎市 ヤママユガ成虫 1994-10-00 多摩丘陵-町田市

さらに行くと、今度は、鮮やかな緑色が…。「今度はウスタビガのまゆかな」と思って近づくと、それは釣り用のルアーでした。
辺りを見ると、ほかにも得体のしれない、ルアーが…。

  
   
  
池畔の木に引っ掛かっていた数々のルアー 2014-02-03 多摩丘陵(川崎市)


この池の周りにルアーが! 2014-02-03 多摩丘陵(川崎市)

この池はもちろん釣り禁止。違反をするとどうなるのか、僕は知りませ。でも、責任持って、取り外させてもらいたいですね。
冬枯れの枝に咲く異形のオーナメント。何とかしてもらいたいですね。





 

その17 秋の気配。 アカトンボ、黄金色の田んぼ、ヒガンバナ。そして案山子の盆踊り!

2013-10-02 | フィールドノート(多摩丘陵)
ムラサキツバメの騒動で、ブログにアップするのを後回しにしたが、9月28日は、久しぶりに多摩丘陵を訪れた。そろそろ秋の気配が感じられるはずだ。
最初の谷戸で、いきなりオオタカが現れた。今日はコンパクトカメラしかないので、とりあえずパチリ!


オオタカ。結構低い位置を旋回sてくれた 2013-09-28 多摩丘陵

まずは、久しぶりの訪問者に、挨拶と言うところか…。
僕の頭の中の秋の気配は、赤トンボ、野菊、木の実と言ったところだった。
予想通り、赤トンボが沢山いる。最も多いのはマユタテアカネ、その次が、ヒメアカネかアキアカネ、そしてナツアカネ。同行した、里山初心者の友人に、見分けるポイントなどを説明すると、「赤トンボってそんなに沢山いるんですか」と感心してくれた。

  マユタテアカネの連結(左)とヒメアカネ♂ 2013-09-28 多摩丘陵

その他には、シオカラトンボとオニヤンマが目立つ。オニヤンマが、ゆっくり水路上を移動してくると、手の届きそうなところを通過して行く。しかし、如何にゆっくりでもそこはトンボ、コンパクトカメラでは、なかなか写し込めない。友人は、かなり悔しそうだった。
谷戸の奥まで進み、今度は雑木林の中を、尾根に向かった。
いきなり、無重力的な動きで、フーッと眼の前を横切ったのは、オオアオイトトンボ。う…。アオイトトンボかな。見分けるには、体側の模様と、腹端の白い部分なのだが、どちらがどちらだったか混乱してしまった。その時は、結局アオイトトンボと言ってしまったと思うのだが、後で確認したら、オオアオイトトンボだった。友人には、メールしておこう。
よく見ると、林の中に。まだ何頭もいる。

 
オオアオイトトンボ 2013-09-28 多摩丘陵       アオイトトンボ 2008-09-08 栃木

尾根超えて、隣りの谷戸につくと、黄金色の水田の脇で、やや盛りを過ぎたヒガンバナが色を添えていた。やはり、公園にあるヒガンバナとは違う。青い空と、緑の林と、黄色い田んぼ。そして赤いヒガンバナ。これが秋の兆しかな。
谷戸の斜面には、ノハラアザミにヒョウモンチョウがたくさん来ていた。よく見ると、ミドリヒョウモン、メスグロヒョウモン、オオウラギンスジヒョウモン、ツマグロヒョウモンの4種類が確認できた。

 
谷戸の景観にヒガンバナが映える 2013-09-28 多摩丘陵    メスグロヒョウモン 2013-09-28

秋を感じさせてくれるものがもう一つあった。谷戸の入口へ来ると、そこに奇妙な案山子が…。回り込んでみると、案山子の盆踊りだった。


案山子の盆踊り 2013-09-28 多摩丘陵


その15 脱殻-子供服回収! オニヤンマ・コシボソヤンマ・ヒグラシ…。

2013-07-20 | フィールドノート(多摩丘陵)
昨日は、僕が「多摩丘陵最奥地」と呼んでいる所に出かけた。
狙いは、オニヤンマ、ミルンヤンマ、コシボソヤンマなど大型トンボ類だったのだが…。
相棒のY君と共に、みじめな思いの1日となった。基本的に釣りはやらないが、気合十分で出かけて、坊主だった時の釣り人は、きっとこんな心境なのだろうと思った。

大型トンボ類を見たのは、種の確認もでき無いスピードで目の前を通り過ぎた1頭と、とても手の届かぬ遠くで旋回するクロスジギンヤンマを双眼鏡で確認しただけだ。Y君とこの地へ来るのは3回目だが、これまで良い思いをしたことがない。――やっぱり相性というものがあるのだろうか…。
「次にここへ来る時は、もう誘わないよ」なんて、つまらない冗談を言いながら早めの昼食にした。

あまりの成果の無さに、早めに上がり多摩丘陵のいつものコースへ戻ることにした。前回見事なオオムラサキの求愛行動がみられたので、今回は、比較的近場の樹液を見て回り、オオムラサキの再来をと期待したのだ。
しかし…。これまた期待外れに終わった。樹液に顔を出していたのは、常連のカナブンと、角の小さなカブトムシ、コガタスズメバチ程度だった。
疲れのドッと出る1日だった。

早々に事態を察知した僕は、お土産代りに脱殻集めを始めていた。

この日採集した抜け殻 2013-07-19 多摩丘陵

オニヤンマの脱殻に風変わりなものがあった。採ってから気が付いたのだが、オニヤンマの背中に、小さな抜け殻がくっついていたのだ。

 
写真左 おんぶしたような脱殻 下:オニヤンマ 上:オオシオカラトンボ 2013-07-09 多摩丘陵
写真右 コシボソヤンマの脱殻 2013-07-09 多摩丘陵 

同じ種の脱殻の場合、良く、折り重なるように、いくつも付いていることがあるのだが、こんな風に、おんぶするようなのは初めて見た。川と池の間にある杭についていたので、川で生育するオニヤンマと池で育つオオシオカラが出合ってしまったのだろう。

その他の脱殻は、以下の通り。

  
左:オニヤンマ 中:ヒグラシ 右:ニイニイゼミ 2013-07-19 多摩丘陵

脱殻集めは、結構楽しい。採集本能を、そこそこ満足させ、しかも、資料としての価値も高い。抜けガラだけで、種類も、雄雌も、みなわかってしまう。さらに、自然へのインパクトもほとんど無い!
こんな時のために、僕のザックに中には、いつも、2,3個の密閉容器が入っている。
100円で、数個買えるくらいのものでかまわない。ほっとけば朽ち果てるだけの子供服を、回収してみるのはいかがだろう。親の写真と、脱ぎ捨てられた子供服から、神秘的な成人式の様子などを思い浮かべてみる…。あるいは、子供服をセクションケースに並べてみる。
こんなことで楽しめるのは、僕だけなのだろうか…? 



その14 恋人たちの昼下がり

2013-07-09 | フィールドノート(多摩丘陵)
東京は梅雨が明け、猛暑日が二日続いた。その翌日。7月9日。無謀にも、多摩丘陵へと向かった。
そして、今日もやはり・・・。猛暑日となった。

猛暑の多摩丘陵は静かだった。
時々ガビチョウがうるさく鳴く程度。あまり音は聞こえない。陽炎の上がる、谷戸の景色の中に、動く物の姿も少ない。
元気でいるのは、オオシオカラトンボと、ヒメウラナミジャノメくらい。あとは、ひっそりと、姿を隠しているようだ。
谷戸の奥のクリ畑では、ニイニイゼミの抜け殻が沢山見つかった。ついでに羽化したばかりの成虫も1頭。クリの幹に、ジャコウアゲハのメスが止まっていた。後翅にしわが多く、羽化したてで、翅が伸び切っていないものと思われる。

暑さのせいか、脚が重く感じた。いつもよりゆっくりと坂道を上り、尾根道脇に見付けてあるクヌギの樹液を目指した。なんといっても、今日の一番の目当ては、樹液を吸う国蝶オオムラサキだ。その姿を思い浮かべ、何とか尾根道に出た。
最初に目に入ったのは道脇のヤマユリ。白く大きな花がが咲き誇っていた。その中で、先端に2輪の花を付けた、見事なシンメトリーな株が目を引いた。僕は、そのヤマユリに引き寄せられ、いつの間にかシャッターを切っていた。――この花何かある!


ヤマユリ 見事なシンメトリーだ 2013-07-09 多摩丘陵

残念ながら、樹液には、ほとんど虫が来ていなかった。オオムラサキどころか、カナブンもいない。見られたのは、シロシタバというガくらい。残念。しかし、これは、僕が到着する前に、誰か下来て、追い払っていったのではないかと考え、他の樹液を探しまわった。
結果は…。もう続きを書きたくない。

諦めて、谷戸へ下った。いつもの涼しい木陰で、早めの昼食を取る。
口には出さないが、「さすがにこの暑さでは、虫たちも動きたくないのだろう…。」と思った。この段階で、オオムラサキはほとんど明らめていた。

それでも、食後は、何か面白いやつはいないかと、いくつかの谷戸を歩き回った。しかし、めぼしいものは見つからない。あまり多くはないが、水の張られた田んぼは涼しそうには見えるのだが、とにかく炎天下、暑いことこの上ない。
涼しそうな田んぼの水に指先を付けた。が、すぐに手を引いた。心の準備ができない僕の脳に、指先が「熱い」と言ったのだ。意に反した感覚に、僕の脳は混乱した。


田んぼの水は、風呂並みだった。 2013-07-09 多摩丘陵

気を取り直して、再び手を入れる。
やはり熱い。これはどう控えめに言っても、「熱い風呂」だ。間違えなく40度は越えている。
すぐ脇の素掘りの水路に手を入れる。こちらは流水だし、そんなに熱いはずはない。・・・と思った。
温い風呂だった。僕の感覚では、38度くらい! こんな中で、オタマジャクシや、トンボのヤゴは生きていけるのだろうか…。
携帯電話に温度計が付いていることを思い出した。気温を見てみる。なんと38.5度を示した。日向であるとはいえ、何という温度だ。

さしたる成果もないまま、谷戸の奥の大エノキの木陰で休息した。先週アナグマと遭遇した場所だ。もちろん今日は出てこなかった。――そんな甘いものじゃない。
温度計を、そのまま放置しておく、数値は下がってゆくが、33.4度下降は止まった。涼しいと感じる木陰でも、この温度だ。

ほとんど、諦めて、いつもより早目に帰るることにした。途中に、樹液があるのだが、もう期待はしていない。
この暑さだから、仕方がない。自分に言い聞かせ、尾根道へと向かった。体はさらに重くなっていた。

尾根道を帰り始めると、それは突然飛び込んできた。
道脇のコナラの幹に、蝶ネクタイのように浮かび上がるものがあるのだ。一瞬の空白があった。そして、その直後、僕はカメラの電源スイッチを入れた。目の前の蝶ネクタイはオオムラサキなのだ。国蝶のオオムラサキなのである!
しかも、雄雌が頭を突き合わせ、何か語り合っているような姿だ。


昼下がりの恋人たち(オオムラサキの求愛行動) 2013-07-09 多摩丘陵

3日続きの猛暑は、最後にとんでもないプレゼントを用意してくれていた。これまでの疲れは一気に消え去った。
帰りがけにある最後の樹液にも、さしたる成果はなかった。しかし、落胆はない。「熱いし、仕方ないね」と余裕で見送れた。恋人たちの昼下がりを見守っれたのだから…。




その13  トンボソウとトンボ  意外な7月2日-第3幕

2013-07-03 | フィールドノート(多摩丘陵)
7月2日。ミドリシジミの姿を求めて歩いた多摩丘陵では、まだまだ楽しい出会いが待っていた。今日はその第3幕だ。

オオミドリシジミを求めて、尾根道を下る。この時間だと、うまくすれば、林床の陽だまりなどで翅を休めている可能性がある。オオミドリシジミは、翅を閉じていると、ほぼ白く見える。僕は、緑色の中に浮かぶ、白い影を探していた。きょろきょろと視線を動かす中で、ちょっと違和感のあるフォルムが浮かんだ。通り過ぎた視線を戻すと、そこに緑色の花を付けた、オオバノトンボソウの株があった。

  
オオバノトンボソウ 2013-07-02 多摩丘陵

オオバノトンボソウは、雑木林に生える野生ランの一種で、多摩丘陵では、概ね7月に開花する。ランの花は、花弁が立体的で、その形から、トンボソウ、チドリ(鳥)、サギソウ、スズムシソウなど、動物に見立てた名前を付けたものが目立つ。
僕も、久しぶりの対面にうれしくなり、上から、下から、寄ったり、引いたりと、数枚の写真を撮らせてもらった。でも、家でじっくり見ると、とてもほめられた画像ではない。この花は、どうもうまく撮れない。今までに満足ゆく写真が撮れたためしがない。
オオミドリシジミはあきらめて、先に行くことにした。目指すは、第2のポイント、谷戸のハンノキだ。そこで、ミドリシジミを探すことにした。

谷戸に出た僕たちは、ミドリシジミを探し始めた。
「いないですね。」S君の声が聞こえる。「今年はもう終わったかな…。」と僕。
最も遅く発生するミドリシジミが居ないとなれば、今年のゼフィルスは終わりということになりそうだ。捜し歩くと、時々ふわっと舞い上がるとんぼがいる。ヒメアカネという小型の赤トンボだ。翅がまだキラキラしていて、羽化したばかりだとわかる。そしてまたヒメアカネ。どうやら、ヒメアカネが大量に羽化しているようだ。


羽化後間もないヒメアカネ 2013-07-02 多摩丘陵 

この場はとりあえず休戦。早めの昼食にすることにした。
昼食直後。空模様が怪しい。一瞬雨がぱらついた。しばらく木の下で待機。そして天気の回復を見て、出発することにした。

S君は、まだあきらめきれず、以前にオオミドリシジミを見つけた道を行きたいという。僕も、再び色気を出して、その意見に同意した。

その道は、人家が近く、あまりオオミドリシジミが見られる場所だとは思えないのだが、なぜか、昨年、今年と、2年続けてそこで見付けてしまったのだ。思い出してみると、ほかにも、ムカシヤンマにであったりと、意外な生き物と遭遇することが幾度か…。 そこで、この道を『意外性の道』と名付け、3匹目のドジョウを目指して歩く事にした。

突然、足元の舗装路から、大型のトンボが飛び出した。少し先のトタンの波板に止まる。その止まり方から、コオニヤンマだと確信した。まあ、オオミドリシジミやムカシヤンマほどではないが、これも意外な遭遇と言えそうだ。

舗装路から飛び立ったコオニヤンマ 2013-07-02 多摩丘陵 

結局、オオミドリシジミの姿を見ることなく、僕たちは意外性の道を通過し隣の谷へと至った。S君も、これであきらめがついたようだ。
とりあえず、目的を見失ったまま谷戸内を歩きはじめる。すると、道脇の草に、またまたコオニヤンマが止まっていた。
コオニヤンマは、川の中流域で繁殖するため、多摩丘陵の小さな谷戸には少ない。それが、今日は、これで2頭目。そして、その後さらに2頭が至近で確認できたのだ。

 コオニヤンマ 2013-07-02 多摩丘陵 左右の目が離れている(左写真)

谷戸の中で、1日にこんなにたくさんのコオニヤンマを見たのは初めてだ。
 
ちなみに、コオニヤンマは、ヤンマとは付くが、ヤンマ科のトンボではない。サナエトンボ科のトンボである。大きな体と、オニヤンマに似た模様からこの名がつけられているが、サナエトンボの仲間らしく複眼は小さめで、左右が離れている。このあたりは、5月22日「大きなトンボ」を参考にしてもらいた。

ゼフィルスの旬は終わった。今日は、ヒメアカネとコオニヤンマの2種のトンボが目立つ。よく考えると、今日のトンボとの遭遇はは、オオバノトンボソウに導かれていたのかも…。


その12 マイペースなアナグマ  意外な7月2日―第2幕

2013-07-03 | フィールドノート(多摩丘陵)
「あれ、タヌキですか?」一緒に歩いていたS君が指差した。
大きなエノキの下に座り込み、涼しい風で、体のほてりを取っているときのことだった
彼の指先には…。 藪から顔を出したアナグマの姿があった。


突如現れたアナグマ おやおや脱糞したかな? 2013-07-02 多摩丘陵

僕は小声で「動くな!」とS君を制した。
「アナグマは、目が悪いので、派手に動いたり、大きな声を出したりしなければ、こちらに気が付かない。」と続けた。そして、アナグマに視線を送りながら、ゆっくりとカメラに手を伸ばした。
アナグマは、草原脇の窪みに沿って、小走りで移動してきた。我々にきずくこともなく、5mほど前を通り過ぎ、その先で脱糞するようなポーズを2回。それから林の中の道を上っていった。


アナグマの現れた場所 樹の下に我々(2名) 赤線がアナグマの移動ルート 2013-07-02 多摩丘陵

この間、ほんの30秒。いや15秒ほどだったかもしれない。
写真を取ろうとするがレンズキャップがなかなか外れない。外しはしたが、今度は、興奮していてカメラの設定が合わない。やっと撮ったが、今度はシャッター速度が遅くブレブレ。


興奮状態で撮った移動中のアナグマ(ブレブレ) 2013-07-02 多摩丘陵

冷静を装ってはいたが、やはり興奮していたのだ。
何とか撮影できる状態になり、動画撮影で後を追った。あとで見ると、録画時間はわずか9秒! 平常心に戻ったのは、アナグマが見えなくなった5秒くらいしてからだと思う。

「今の撮れた。」
「ちょっと興奮していて、うまく撮れなかったので、あまりズームアップしないで撮りました」
見せてもらうと、小さいが、ちゃんと写っている。S君の方が冷静だったのかもしれない。
「俺、すぐに動画にしちゃったんで、まともな静止画を取ってないんだ、これ、ブログに使わせてもらっていい。」
「ああ、いいですよ。小さいですけど!」
というわけで、最初の写真になったわけだ。最近のカメラは性能がいい。かなりトリミングしたが、それでもまずまずの画質でみることができた。
「Sクンありがとう…。」

アナグマには、これまでも数回出くわした。たいがい、林道などで向かいから歩いてくると言ったものだ。多くの野生動物は、人間より先に、こちらの動きを察知して、先に逃げて行ってします。しかし、アナグマは鈍感なのか、とにかく、マイペースで歩き続けるのだ。異常に気が付いた時も、視線を定めるのではなく、鼻先を持ち上げ、しきりに上下左右に振り、匂いの情報を集めているような動きをしたのを見たことがある。目が悪いというのは本当のようだ。

何の本だか忘れたが、――山の中で胡坐をかいて座り込んでいると、そこにアナグマが現れ、どんどん近づいてきた。そしてついに、胡坐の上に片足を乗せて、初めて人の存在に気が付き、驚いて逃げて行った。―― というのを読んだことがある。

最後に、アナグマの脱糞跡を確認したが、何も見つからなかった。脱糞したのではなく、お尻をすりつけ匂い付けでもして行ったのだろう。

僕は、姿を消したアナグマの後ろ姿を追うように、同じ道を登り始めた。

その11 セレブが集まる樹液酒場 多摩丘陵店             意外な7月2日―第1幕

2013-07-02 | フィールドノート(多摩丘陵)
昨日、樹液酒場世田谷店を紹介した。そして多摩丘陵店にセレブ客が沢山いると書いた。
そして今日、多摩丘陵店に行ってみると…。 いた、いた、セレブが。既に来店し、飲み始めているではないか!

7月2日。2週間ぶりに、多摩丘陵へ行く。ミドリシジミ、オオミドリシジミと出会う今年最後のチャンスだ。
同行した仲間に、「昨日のブログで、樹液酒場多摩丘陵店では、そろそろ、オオムラサキやカブトムシが出てくる頃と書いておいた」と話しながら林の中の道を進む。すると…。
『ブーン・・…。』
セスナ機のような翅音が聞こえてきた。「おっ。おそらくカナブンだ。音を追え! たぶん樹液が出てる所へ行くぞ」と私。
しばらくふらふらと飛んでいたが、その虫は道脇のクヌギにとまた。高さが5mほどあるが、双眼鏡で眺めてみると、一瞬白っぽい翅が動くのが見えた。僕の興奮は、いきなり120%に達した!
突然ののセレブの登場だ。現れたのは、セレブの中のセレブ、オオムラサキだった。いつもの年より来店時間が早いようだ。
その脇にはコクワガタと、翅音で、ここまでの案内をしてくれた、カナブンの姿があった。


カナブンに導かれた樹液 そこにはオオムラサキの姿があった 2013-07-02 多摩丘陵

その後も、何カ所かの樹液を見つると、客の顔を確かめて回った。
ノコギリクワガタ、カナブン、カブトムシ。 さすがは、セレブが集まる多摩丘陵店だ。 


カブトムシ♀とカナブン 2013-07-02 多摩丘陵

樹液を見つけるコツは、五感を働かせること。中でも、聴覚、嗅覚、視覚が重要。
ブーンという音を追う(聴覚)。甘酸っぱいにおいがしたら風上を探る(嗅覚)。黒っぽいチョウが樹の周りを飛び回っていたら(視覚)、そこに目指す樹液はある。

しかし、無神経に近づいてはいけない。クワガタは、人影に驚いて、手足を丸めて地面にダイブ。その後は、あっという間に姿を隠してしまう。オオムラサキやゴマダラチョウは、急いで飛び立ち、他の店へと河岸を変えてしまう。
そして、何より、管を巻くスズメバチと鉢合わせする危険もあるのだ。


スズメバチにはご用心 2013-07-02 多摩丘陵

結局、ミドリシジミ、オオミドリシジミは、全く見られなかった。里山は既に次の季節へと変貌していたようだ。その分、予想外の出会いも沢山あった。差し引きすると、間違えなくプラス。満足の行く1日だった。

※ その他の出会いは、後日。「マイペースなアナグマ」、「トンボとトンボソウ」を紹介予定。



その10 ハチ・クモ・ベジタリアン

2013-06-18 | フィールドノート(多摩丘陵)
6月17日。梅雨の晴れ間を待ってましたとばかりに多摩丘陵に出かけた。
梅雨時は、毎年、臨戦態勢。毎日、1週間先までの予想天気図を眺めては、仕事の予定を調節する。
さて、11日ぶりの多摩丘陵だ。ミドリシジミ、オオミドリシジミの翅を開いた写真を撮ること。ヤンマ類の発生状況を確認すること。などなど、目的はたくさんあったが、やや期待外れに終わった。
注目するべき事柄は、、カキラン、オオバギボウシの開花と、久しぶりにサシバという鷹の仲間が見られたことなどだった。
ちょっと疲れ気味で体が重かったこともあり、足を引きずりながらの帰り際に、路上を何かが動いているのが見えた。近づくと、それは、ハチがクモを運んでいるところだった。昆虫の天敵であるはずのクモが、ハチに運ばれているのだ。


クモを狩りしたオオモンクロベッコウ(狩人蜂) 2013-06-17 多摩丘陵

狩人蜂である。きっと一度くらい話しに聞いたことがあるだろう。クモや、芋虫などを捕まえて、体が動かなくなる麻酔を打ち、巣の中に運び込み、卵をうみつけるというハチである。孵化した幼虫は、獲物を食い進みすくすくと成長するというものだ。
ここまでの話しを読み、とても先を読みたくないという方もいるだろう。
しかし、まあ、「しっかり食えよ。よ~く太ったところで食べてやるからな。」と言わんがごとくに育てられる、ブタやニワトリのことを考えてもらいたい。人間のやることも、たいして変わらないと思うのだが…。

さて、ハチである。巣穴まで運びこむところを見たかったのだが、それは叶わなかった。車が来てしまったのだ。狭い山道、車はあまり通らないのだが…。あまりにも間が悪い。車をよけている間に、ハチは藪の中に入っていってしまった。よい写真も撮れず、煮え切らない思いは増すばかり。――つまらない終わり方だな。

しかし、話しはまだ終わっていなかた。
翌日午前中、いつもの散歩道を歩いていた。道脇のアカメガシワという樹の花を見ていると、そこに黒いハチがいるのだ。そう、昨日見たばかりのオオモンクロベッコウだった。2日続けて対面するとはなんか因縁めいたものを感じる。しかし、今日の彼女には、狩人の姿はなかった。

 
アカメガシワの花粉を食べるオオモンクロベッコウ 2013-06-18 世田谷

このハチ、幼虫はクモを食べる肉食系だが、成虫は花を訪れるベジタリアンなのだ。花粉を食べる平和そうな姿からは、昆虫の天敵である大きなクモを狩る姿は想像できない。「昨日は昨日。私、そんなに怖いハチじゃないのよ」なんて言っているような気がした。

その9 ガビチョウの郷愁  里山の原風景に思う

2013-06-11 | フィールドノート(多摩丘陵)
久しぶりに、鳥の話をしよう。
僕の行動は、春3月中旬~5月の連休明けまでは、主に花を。5月~8月までは虫を。9月~11月は、ドングリや木の実を。そして12月~3月は鳥を中心に見ていることが多い。街中の緑地や里山では、夏場より、冬の方が鳥の種類が多く、しかも見易いのだ。
というわけで、春~夏にかけては、鳥の話題が少なくなる。

さて、ガビチョウという鳥を知っているだろうか?
もともとは、中国や東南アジアに生息する鳥だが、飼い鳥として持ち込まれ、逃げて野生化した鳥だ。その特徴は、何といっても鳴き声。大きな声で鳴くので、とにかく目立ってしまう。よく「この鳴き声は何ですか」と聞かれる。「ガビチョウと言います!」と答えると、「いい声ですね~。」などと返事が返ってくる。そして僕は一瞬違和感を感じてしまうのだ…。

違和感の原因は、ガビチョウが外来種だからなのだろう。そこに、一種の嫌悪感がないと言えば嘘になる。
しかも、特定外来生物として指定されているのだ。特定外来生物とは、環境省のホームページより引用すると、

この法律の目的は、特定外来生物による生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害を防止し、生物の多様性の確保、人の生命・身体の保護、農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、国民生活の安定向上に資することです。
そのために、問題を引き起こす海外起源の外来生物を特定外来生物として指定し、その飼養、栽培、保管、運搬、輸入といった取扱いを規制し、特定外来生物の防除等を行うこととしています。


というものである。

冷静に鳴き声を聞くと、ややきつ過ぎるものの、確かに美しい声である。しかし、その声を聞いた途端、本来生息すべき「ウグイスやオオルリ、キビタキなどの鳥に影響を与えないだろうか。」と考えてしまう。そんな思いが、ガビチョウの鳴き声を、美しい声→うるさい声 へと変貌させているように思う。

人間が持ち込み、逃げて野生化した鳥を疎ましく思う。 ――勝手だな…。

6月6日。多摩丘陵の谷戸で、ガビチョウとの接近遭遇があった。大きな声で鳴くその姿が、モウソウチク(孟宗竹)の枝先にあった。写真を撮りながら、ふと思う。 ――里山の日本的な景観の中に堂々と入り込むとは!

 
ガビチョウ 2013-06-06 多摩丘陵

しかし、よく考えると、モウソウチクは中国原産。諸説あるが、日本には移入され広まったのは、1000年ほど前のことだという。ガビチョウからするならば、遺伝子の中に生き続ける故郷への思いを感じ、ホッとしているところかもしれない…。
事の良し悪しはともかく、我々が、モウソクチクを日本的な景観と感じるということは、何十年、何百年先には、ガビチョウの声は《日本の里山の原風景》と思えるような日が来るのだろうか。