私の研究日記(映画編)

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『卒業の朝』(CATV)

2009-03-24 11:17:26 | さ行
監督 マイケル・ホフマン
撮影 ラホス・コルタイ
音楽 ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演 ケウ゛ィン・クライン,エミール・ハーシュ,エンベス・デイウ゛ィッツ,ジェス・アイゼンバーグ,ハリス・ユーリン
製作 2002年(アメリカ)
時間 109分

 自宅CATVにて鑑賞(2009年3月6日)。

 あらすじ。「全寮制の名門男子校でギリシア・ローマ史を教えるウィリアム・ハンダートは、歴史を通して生徒に人生への良識を身につけさせようと、熱意を燃やしていた。素直で勤勉な生徒達はハンダートの熱意に十分応えていたが、上院議員の御曹司セジウィック・ベルの転入で状況は一変。ベルは何かにつけハンダートに反抗し、他の生徒まで悪事に巻き込み始めたのだ。ハンダートはベルの勝気さを勉学に向けようと、伝統ある学内コンテストへの参加を持ちかけた」(『映画生活』からの引用)。

 主人公のハンダート(ケウ゛ィン・クライン)は、真面目で常識的な教師。他の教師からも信頼され、次の校長にと嘱望されている。元ヤンキーや元ロックミュージシャンなど、型破りな教師が問題児たちを導いていく。そんな最近のテレビドラマや映画にありがちな学園ドラマなら、主人公(型破りな教師)に理解を示す先輩教師といった脇役が似合うだろう。どちらかといえば、教育に対して静かに情熱を注ぐタイプの先生だ。

 物語では、そんなハンダートの信念と過ち、そして挫折が描き出される。笑いを誘うようなドタバタがあるわけではなく、物語はむしろ静かに展開していく。だが、問題児セジウィック・ベル(エミール・ハーシュ)の裏切りなど、物語の展開に意外性があるし、ハンダート-セジヴィックの緊張感のある関係からは目を離すことができなかった。思わず胸が熱くなったのは、かつての教え子の息子が入学してくる最後の場面。思わず涙してしまうほどうれしい場面だった。

 ケヴィン・クラインの抑えた演技なくしては、この作品の良さは得られなかったであろう。ハンダートの滲み出るような怒りと悲しみ、信念を揺さぶられるような挫折感がよく演じられている。余り知られていない映画だと思うが、素晴らしい作品だった。個人的には『今を生きる』とともに、学園ドラマのツートップとして並べておきたい作品だ。


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