私の研究日記(映画編)

ここは『智に働けば角が立つ』の姉妹ブログ。映画の感想や、その映画を通してあれこれ考えたことを紹介しております。

『ビッグフィッシュ』(CATV)

2009-08-30 12:35:54 | は行
監督:ティム・バートン
脚本:ジョン・オーガスト
原作:ダニエル・ウォレス
撮影:フィリップ・ルースロ
音楽:ダニー・エルフマン
美術:デニス・ガスナー
出演:ユアン・マクレガー、アルバート・フィニー、ビリー・クラダップ、ジェシカ・ラング、ヘレナ・ボナム・カーター、アリソン・ローマン、
製作:2003年(アメリカ)
時間:2時間5分

 自宅CATVにて鑑賞(7月)。
 
 あらすじ。「エドワードは自分の人生を、常にロマンティックなおとぎ話のように語る。魔女や巨人、そして村の伝説だった“大きな魚”との出会い─。誰もが彼の話を楽し み、彼を愛していた。ただ一人、ジャーナリストになった息子ウィルを除いて…。子供の頃は父の話に夢中だったウィルも、今は父の本当の姿を求めていた。だ がその思いをぶつけても、エドワードは一向に事実を話そうとしない。しかたなくウィルは、ホラ話に隠された父の人生を探り始める」(『映画生活』からの引用)。



 この作品を見るのは2度目。前回は映画館での観賞だった。

 自分には、父親との関係が冷えきってかなり危うかった時期があり、この作品のように父と息子の対立と和解を描いた作品にはどうも弱い。二度目の観賞だったが、ラストはしっかりと泣かされてしまった。

 ちなみに、子供の立場からすると、ただの男性と女性だった頃の両親というのはなかなか想像しにくいものである。だからこそ、昔の両親がどういう若者だったのかというのは、子供にとってとても気になることだ。物語の背景として、そうした恐らく子供なら誰でも親に対して抱くであろう好奇心を置いたところが、この作品の魅力の秘訣だろう。

 ティム・バートンというと『スリーピー・ホロウ』や『PLANET OF THE APES/猿の惑星』、『チャーリーとチョコレート工場』のようにメリハリのきいた独特な映像が私好みで、好きな映画監督の一人だが、この作品ではどちらかというと映像よりストーリーが魅せてくれる。ティム・バートンの作品の中で最も人気があるのは、おそらく『シザーハンズ』だと思うが、私は『ビッグ・フィッシュ』をぜひお薦めしたい。素敵な作品である。


『ハリーポッターと謎のプリンス』(Theater)

2009-08-26 23:28:19 | は行
 シネプレックス幕張にて鑑賞(2009年7月15日)。

 あらすじ。「ついに人間界にまで広がり始めた、闇の帝王ヴォルデモートの脅威。ダンブルドア校長は、かつてホグワーツで魔法薬学を教えていたホラス・スラグホーンを復職させる。「ホラスだけが知っているヴォルデモートの弱点を聞き出せ」とダンブルドアに命じられたハリー・ポッターは、ホラスに気に入られようと計画的に近づく。一方、ホグワーツの校内では思春期ならではの恋わずらいが多発。ハリー、ロン、ハーマイオニーらも恋の甘美さと苦しみを経験する」(『映画生活』からの引用)。

 このシリーズの醍醐味は、魔法を使って難題を突破していくところだと思うが、今作では問題が解決されず、むしろ大きくなったところでエンディングを迎えてしまう。ラストへの序幕という位置付ということなので、それもしょうがないのかもしれないが、えらい中途半端なところで物語が終わったように感じた。魔法映像こそ大迫力だったが、若干消化不良気味である。

 『レッド・クリフ』や『二十世紀少年』のように、間髪入れずに続編が公開されるなら、あきらめもつくんだけどな~。また何年か待たされるのかと思うと、何だかやりきれない。じゃー続編は見ないかといえば、もちろん見るんだけど・・・。


『ショーシャンクの空に』(CATV) 2回目

2009-08-26 23:28:05 | さ行
製作総指揮:リズ・グロッツァー、デヴィッド・レスター
製作:ニキ・マーヴィン
監督・脚本:フランク・ダラボン
原作:スティーヴン・キング
撮影:ロジャー・ディーキンズ
美術:テレンス・マーシュ
音楽:トーマス・ニューマン
製作:1994年(アメリカ)
時間:2時間23分

 自宅CATVにて鑑賞(6月終わり頃だったか・・・)。

 あらすじ。「1949年、妻とその浮気相手を殺害した罪で終身刑の判決を言い渡されたアンディーはショーシャンク刑務所に収監される。物静かなたたずまいを見せるアンディーだったが、元銀行員の知識と不屈の精神によって、尊厳を取り戻し、そして自らの運命の切り開いていく…」(『映画生活』からの引用)。

 3度目の観賞である。
 この映画ほど説得力のある「希望」という言葉も珍しいと思う。
 「希望を持つことは素晴らしい」というアンディのセリフは、前後の文脈は関係なく、ただこの部分だけを聞いたら、社交辞令のように陳腐な言葉だと感じる。少なくとも私個人からすると、希望を実現するために努力し続けるのは辛いことだし、希望を果たせなかった場合の挫折感は怖い。色々な意味で希望を持つというのは難しいことだと考えているからだ。
 だから「希望を持つことは素晴らしい」などと突然いわれても、「希望の難しさに触れもしないで、希望を持てなんていうなよ」と思ってしまうのだ。

 そういう意味で、この作品で重要なのはレッドの存在。「お前に一言いっておくが、希望は危険だぞ」というセリフが代弁するように、レッドは希望の持つ苦汁を何度も味わってきた人物だが、そのレッドが最後の最後でようやく報われるからこそ、「希望を持つことは素晴らしい」というセリフに説得力がこもっている。この作品の良い所は、そうした希望の辛さと素晴らしさとを描こうという絶妙なバランス感にあるのだと思った。


『トランスフォーマー』(TV)

2009-08-11 22:43:28 | た行
監督:マイケル・ベイ
製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ、マイケル・ベイ、ブライアン・ゴールドナー、マーク・バーラディアン
脚本:ロベルト・オーチー、アレックス・カーツマン
撮影:ミッチェル・アムンドセン
美術:ジェフ・マン
編集:ポール・ルベル、グレン・スキャントルベリー、トーマス・A・マルドゥーン
音楽:スティーブ・ジャブロンスキー
製作:2007年(アメリカ)
時間:2時間24分

 自宅テレビにて鑑賞(2009年6月20日)。

 あらすじ。「探検家を祖先に持つサムは冴えない高校生。やっとのことでオンボロのスポーツカーを手に入れたものの、同じ高校のミカエラを家に送る途中に車はエンスト。 せっかくの関係を深めるチャンスもどこかしまらない。その日の夜、彼のスポーツカーが突然家から走り去った。自動車泥棒だと思い必死で追いかけるサム。その先で彼は常識を疑うような光景を目にする。それは、巨大なロボットが歩き回る姿だった…」。

 何を隠そう私も子供の頃、玩具のトランスフォーマーで遊んだ世代。滑らかな変身や戦闘シーンを見ては、子供の頃のような興奮を覚えた。

 物語の絶妙な構成や人間関係の妙味で観衆を魅了するというより、緻密な映像技術や滑らかさ、あるいはダイナミックさだけをひた押ししたような作品。ある意味こういう作品も名作と呼べるのかもしれない。でも140分は長かった・・・。


『いとこのビニー』(CATV)

2009-08-11 00:33:09 | あ行
製作:ポール・シフ
製作・脚本:デイル・ローナー
監督:ジョナサン・リン
撮影:ピーター・デミング
音楽:ランディ・エデルマン
出演:ジョー・ペシ、ラルフ・マッチオ、マリサ・トメイ、ミッチェル・ウィットフィールド、フレッド・グウィン、
製作:1992年(アメリカ)
時間:1時間59分

 自宅CATVにて鑑賞(6月)。

あらすじ。「大学生のビル・ガンビーニ(ラルフ・マッチオ)と、スタン・ローゼンシュタイン(ミッチェル・フィットフィールド)は、大陸横断の旅の途中で立ち寄った、アラバマ州ワーズ市のコンビニエンス・ストアの店員が殺害された事件の容疑者となり、困り果てたビルは、ニューヨークで弁護士をしている従兄のヴィニー(ジョー・ペシ)に助けを求めた。キャデラックでフィアンセのモナ・リサ(マリサ・トメイ)を連れてワーズ市に駆けつけたヴィニーは、ビルとの再会を喜んだが、弁護士になったのは6週間前で法廷に立ったことがなく、司法試験に合格するまで6年間もかかったことを明かし、ビルをがっかりさせる・・・」(『goo映画』からの引用。

 『運命の息子』の知事選の場面で、ルーシー(フレッチャーの娘)が見に行ったのがこの映画である。「どんな作品なんだろう?」と思っていたら、たまたまテレビでやっていたので鑑賞。とにかくビニーの不器用さには、不器用な私が見ていてもじれったくなるほど(笑)。好感が持てた。じらしにじらした上での最後の逆転劇は痛快。なかなか面白い作品だった。

『人生に乾杯!』(Theater)

2009-08-02 01:00:38 | さ行
監督:ガーボル・ロホニ
出演:エミル・ケレシュ、テリ・フェルディ、ユディト・シェル、ゾルターン・シュミエド
製作国:2007年(ハンガリー)
時間:1時間47分

 シネスイッチ銀座にて鑑賞(2009年6月20日)。

 あらすじ。「運命的な出会いを機に結婚したエミルとヘディも、今では81歳と70歳。互いに恋に落ちていた頃のことなどすっかり忘れていた。年金だけでは暮らしていけず、借金取りに追われる毎日の中、ついに二人の出会いのきっかけだったダイヤのイヤリングまで借金のカタに取られてしまう。高齢者に冷たい世の中に怒りを覚えた夫のエミルは、イヤリングを奪い返すために持病のぎっくり腰を押して20年ぶりに愛車のチャイカを飛ばし、郵便局を紳士的に強盗!それを皮切りに次々と紳士的強盗を重ねていく。一度は警察に協力した妻のヘディも、奮闘する夫の姿にかつての愛しい気持ちを思い出し、手を取り合って逃げる決心をする。二人の逃避行は、やがて民衆を巻き込んで思いもかけない展開に…」(『映画生活』からの引用)。



 シュールな笑いを誘う場面が多かったが、特に、二人のしたたかさが判明する物語の最後は、思わずニンマリしてしまった。また、時代を遡らせ、二人の馴れ初めをラストシーンに持ってきたのは、構成として絶妙な配置だったと思う。じーんと胸が締め付けられた。

 ところで、ハンガリー映画を見たのはこれが初めて。そもそもハンガリーってどんな国なんだろう? ドナウの真珠ブタペスト、ハンガリー動乱。う~む、知っていることを思い浮かべてみたが、これだけしか挙がらなかった。ハンガリーって未知の国。ということで調べてみると、ハンガリーは人口1000万弱の小さな国。東京よりも人口が少ない(というより東京の人口が多すぎるのだと思うが)。

 この作品のヒーローとヒロインは高齢者。ということでOECDの統計をみてみると、ハンガリーの高齢化率は16.1%(2007年)。日本ほどでないにしてもそこそこの高齢化社会である(日本は同じ年21.5%)。ちなみに、最近日本では、「高齢化」という言葉がトピックとして取り上げられなくなった気がする。例えば衆院選が今月末に控えているということで、自民党と民主党のマニュフェストで「高齢化」という単語の数を数えてみると、「えっ!たったこれだけ?」という程しか取り上げられていない。「高齢化」のように、将来の社会構造を左右するほどの要素を念頭に置いていないマニュフェストなんて、果たして意味があるんだろうか?
 
 それはともかくとして、話を元に戻すと、この作品が老夫婦を憐れみの目でも蔑みの目でもなく、したたかな人生の達人として、あるいは長年夫婦関係を維持してきた男女の先輩として、敬愛の目で描き出しているところに、私は共感を持てた。なかなか良い映画だったと思う。