私の研究日記(映画編)

ここは『智に働けば角が立つ』の姉妹ブログ。映画の感想や、その映画を通してあれこれ考えたことを紹介しております。

『サマーウォーズ』(Theater)

2009-09-29 09:39:39 | さ行
 シネプレックス幕張にて鑑賞(2009年8月1日)。

 あらすじ。「小磯健二は少し内気で人付き合いが苦手な17歳。数学オリンピック日本代表の座をあと一歩で逃したことをいつまでも悔やんでいる理系オタクだ。健二はある日、憧れの夏希先輩からバイトを持ちかけられ、一緒に彼女の故郷まで旅行することになる。バイト内容は、『ご親戚』の前で彼女のフィアンセのフリをすること。しかし、仮想空間“OZ”のパスワードを解いてしまったことから、世界を揺るがすトラブルに巻き込まれてしまい…」(『映画生活』からの引用)。



【ネタばれ注意!】
 あらすじでは余り触れられていないが、物語の鍵となるのは、仮想空間システムOZ。といっても、OZはただの仮想空間ではない。いわば「ユキビタス」化した「セカンドライフ」といったシステムだ。しかも仮想空間と現実とが、驚くほどにリンクしている。詳しいことは、ホームページをご覧いただきたいが、例えばアメリカの大統領ならば、仮想空間から核ミサイルの発射ボタンを押すこともできるそうだ。



 『2001年宇宙の旅』のHALや、最近だと『マトリックス』などもそうだが、優秀な装置ほど人の手で制御するのが難しくなるというのは、映画ではよく見られるテーマである。この作品の背景にも、そうした昔ながらのテーマがあるようだ。そういう意味では、ありきたりな作品なのかもしれないが、そう思わせないほどに十分面白い映画だと思う。

 例えば、OZ内でプログラムが暴走し、水道管が破裂したり渋滞が起きたりとライフラインは大混乱。人工衛星など操作不能に陥ってしまう。こうした展開は、ネットワーク化が進んだ現代ならではである。ネット社会の弱さをよく描いていて「なるほどな~」とうなずかずにいられなかった。テーマは古いが、装いに現代社会の抱える問題をしっかりと組み込んでいる。古臭さを全く感じなかった。

 何より、暴走するプログラムと対決するのがITの専門家や技術者などでなく、上田市の旧家の一族という設定が面白い(上田の旧家で先祖が徳川と戦ったというから、きっと真田家の末裔ということなのだろう)。ITネットワーク内で暴れまわるプログラムに対して、いわば一族といういわば伝統的な人的ネットワークが対抗するというわけである。



 公開初日に見に行ったが、実はそれほど期待していた訳ではない。その日たまたま見ていた情報番組(「王様のブランチ」だっただろうか・・・)で絶賛されていたので、騙されたつもりで見に行ったはずが、想定外の面白さだった。個人的には、ここ数年の国内アニメ映画の中では一番のヒットである。


『トランスポーター2』(TV)

2009-09-29 09:39:25 | た行
 自宅にて鑑賞(2009年8月16日)

 あらすじ「契約厳守。名前は聞かない。依頼品は開けない――運び屋フランク・マーティン(ジェイソン・ステイサム)はこの3つのルールの下、高額な報酬と引き換えにワケありの依頼品であろうが正確に目的地まで運ぶプロ中のプロ。引退を決意した彼は例外的な依頼を引き受けた。それは金持ち一家の7歳になる息子・ジャックの送迎だ。いつも寡黙なフランクだったが、次第にふたりの間に愛情が生まれる。しかし、予想外の罠が仕掛けられていた…」(『映画生活』からの引用)。

 ただ純粋に楽しむことができる作品である、という点では前作と同様。華麗な運転さばきの見せ場が、前作より少なかった気がするが、アクションは相変わらず爽快である。タルコーニ警部役のフランソワ・ベルレアンが良い味出していた。個人的には、前作より本作の方が好き。

『トランスポーター』(TV)

2009-09-29 09:25:43 | た行
 自宅TVにて鑑賞(8月9日)。

 あらすじ。「退役軍人のフランク(ジェイスン・ステイサム)は、南フランスの美しい海辺の町に暮らす年金生活者。しかし、彼にはもうひとつの顔があった。それが、高額の報酬で何でも運ぶ、トランスポーター。契約厳守、名前は聞かない、依頼品を開けない。この3つのルールを完璧に守るプロの運び屋だ。ある日、預かった荷物がゴソゴソと動くのに気づいたフランクは、ルールに背いて依頼品を開けてしまう。そこには美しい女が! ルール違反をとがめるように、とんでもない危機がフランクを襲う!」(『映画生活』からの引用)。

 爽快アクションはもちろんだが、車の華麗な運転さばきが見もの。何も考えずにただ純粋に楽しむことができる作品だ。面白かった。

『ホリデイ』(CATV)

2009-09-07 16:28:56 | は行
監督:ナンシー・メイヤーズ
製作総指揮:スザンヌ・ファーウェル
撮影:ディーン・カンディ
音楽:ハンス・ジマー
美術:ジョン・ハットマン
出演:キャメロン・ディアス、ケイト・ウィンスレット、ジュード・ロウ、ジャック・ブラック、イーライ・ウォラック他
製作:2006年(アメリカ)
時間:2時間15分

 自宅CATVにて鑑賞(7月後半)。

 あらすじ。「傷ついた心を癒すため、見知らぬ土地に旅立つ事を衝動的に決心したアマンダとアイリス。ネットを通じて知り合った二人は、ロスとロンドン近郊にあるお互いの家を2週間だけ交換する事に。こうしてロスからロンドンにやってきたアマンダは、同棲していた恋人と手ひどい別れをしたばかり。一方のアイリスは、片思いしていた同僚の婚約発表により失恋…。新しい土地で彼女たちを待っていたのは、美しい家と思い掛けない出会いだった」(『映画生活』からの引用)。

 ラブコメ映画といえば必ず名前が挙がる映画監督ナンシー・メイヤーズ。この監督の作品を見るのは、今回が初めてである。

 アイリスとアマンダという、二人の女性を主人公とした二つの物語が、同時並行的に進んでいく。立場も性格も対照的の二人が、住んでいる家を交換するという設定は、なんだか『王様とこじき』のようだ。ラブコメにありがちなドタバタ劇もなく、かといって純愛物のようなどろどろした愛憎劇もない。極端な演出を極力抑えた感じの落ち着いた物語展開が、私としては好感が持てた。飛び抜けた作品というわけではなかったが、そこそこ楽しむことができる作品だと思う。

 それにしても、驚くのは豪華な出演陣である。キャメロン・ディアスとケイト・ウィンスレットはもちろん、ジュード・ロウにジャック・ブラック、それぞれ単独で主役をはれる役者が4人も出演してしまうとは。ファンなら、きっとこれだけで満足してしまうだろう。個人的にはアーサー役のイーライ・ウォラックが良かった。願わくはこのように歳をとりたいものである。

『DOA デッド・オア・アライブ』(CATV)

2009-09-04 23:22:48 | た行
 自宅CATVにて鑑賞(7月後半)。

 あらすじ。「人里離れた北海道の忍者村を去り、抜け忍として兄の行方を捜すかすみ。南シナ海でクルージングを楽しむ女子プロレス王者・ティナ。香港のホテルで警察に捕まりそうになるものの、警官隊を蹴散らして逃亡する強盗のクリスティー。そんな彼女たちに世界最強ファイターを決するトーナメント“デッド・オア・アライブ”への招待状が届く。3人を含めたファイターたちは飛行機で会場となる島ドアテク・アイランドへと向かうが…」(『映画生活』からの引用)。

 たまたまテレビを付けたら放映されていたので観賞。

 忍の里のお姫様って・・・。海辺にあんな巨大な大仏がそびえる島に、秘密の研究所なんて作るはずがないだろ! などと突っ込みどころ満載な作品だった。ここまで突っ込みどころが多いと、かえって潔くすがすがしいけど(笑)。

『ノウイング』(Theater)

2009-09-02 18:51:45 | な行
監督:アレックス・プロヤス
撮影:サイモン・ダガン
美術:スティーブン・ジョンズ=エバンス
編集:リチャード・リーロイド
音楽:マルコ・ベルトラミ
出演:ニコラス・ケイジ、ローズ・バーン、チャンドラー・カンタベリー、ララ・ロビンソン、ベン・メンデルスゾーン、ナディア・タウンゼント
製作:2009年(アメリカ)
時間:2時間2分

 シネプレックス幕張にて鑑賞(7月始め頃)。

 あらすじ。「大学で宇宙物理学を教えているジョンは、ある日、小学生の息子ケレイブが持ち帰った紙に書かれた数字に目を留める。そこには過去に起きた大惨事の日付と犠牲者の数が書かれていたのだ。しかもそれは、50年前に小学校に埋められたタイムカプセルから出てきたものだった。やがて数字に予告された日付に大事故が起きる。さらに数字の最後には、人類がかつて遭遇したことがない大惨事が待っていた…」(『映画生活』からの引用)。




 あらすじからは分からないと思うが、ある意味これ以上ないほどにスケールの大きな作品である。だが、スケールが大き過ぎたのか、物語の焦点がボケてしまっている点は否めない。

 黙示録的な終末と新たな創世記の始まりを描いた壮大なハプニング映画だったようにも思われるし、終末を迎えた人類の絶望や家族愛を描いたヒューマン・ドラマだったようにも思える。実は未知なる存在からのメッセージを巡るスリラー映画だったのかもしれない。

 どのジャンルに置くべきかに思わず迷ってしまうような、収まりの悪い作品の典型といえるだろう。こういう作品は批判も多い。実際、『映画生活』の評価を見ると、点数が50点台。きっと期待を裏切られた人が多かったのだろう。
 でも、ニコラス・ケイジは息子との関係に悩む男やもめの物理学者にピッタリだったし、ジョンの苦悩は独身の私ですら感情移入できた。迫力ある映像も見所の一つといえるだろう。パーツの一つ一つは、そんなに悪い作品ではなかった。何より、個人的には、この映画のスケールの大きさを評価したい。面白いかどうかはともかくとして、一見の価値あり的な作品といえるのではないだろうか。