私の研究日記(映画編)

ここは『智に働けば角が立つ』の姉妹ブログ。映画の感想や、その映画を通してあれこれ考えたことを紹介しております。

『ライフ・イズ・ビューティフル』(DVD)

2008-03-24 02:44:40 | ら行
 ここ何週間か、週末の土日を使って自宅でDVDを観るのが日課となっております。昨日は出勤前の空き時間を使って『ライフ・イズ・ビューティフル』を観ました。

 この映画を観たのは、これで何度目になるでしょうか。憶えていないほど、繰り返し観ている映画です。私は繰り返し同じ映画を観るということがほとんどないのですが、いくつか例外の作品があります。そのうちの一つがこの作品で、死ぬときに棺桶に一緒に入れてもらいたいほど大好きな映画の一つです。

 舞台は第二次世界大戦期のイタリア。ユダヤ人の主人公グイドは、偶然出会った小学校教師ドーラに恋をし、二人は結ばれる。やがて息子ジョズエが生まれ、三人は幸せな日々を送るはずだった。しかし、グイドとジョズエはユダヤ人収容所へと強制収用され、ドーラも二人を追う・・・。

 ストーリー、音楽などこの映画の好きな点を挙げていったらきりがありません。例えば音楽については、映画を観てから1日が経つのに、頭の中ではいまだに劇中曲がループしております。

 ただ何といっても、この映画の最大の魅力は主人公グイド(というよりもグイド役のロベルト・ベニーニ?)のキャラクターにあるといえるでしょう。特に、「収容所」以降の、ジョズエに対してウソをつき通す場面では、グイドの底抜けの明るさと、ドーラとジョズエに対する優しさや一途さが見事に調和しており、観るたびに胸が締め付けられるように切なくなります。最後の「戦車」以降のシーンは、やはり涙なしでは観れませんでした。

 本と同じで、映画にもまた悲しい時、うれしい時、その時々の心情や自分が置かれている状況に応じて、新鮮な感動を与える力があるものと思いますが、この映画はそれを痛感させてくれる映画です。何度観ても良い映画でした。


『バンテージ・ポイント』(Theater)

2008-03-21 14:42:44 | は行
 昨日は休日を満喫しようと、『ダーウィン展』の帰りに海浜幕張へ立ち寄りました。そこで観た映画が『バンテージポイント』です。

 この映画はスペインのサラマンカで起きたアメリカ大統領暗殺事件の犯人を追うというもの。

 主な登場人物は8人。わずか数十分間の事件が、次々に切り替わっていく8人の視点を通じて、展開していきます。従って、観ている側は、8人の登場人物の視点から、断片的に物語を追うことになります。断片化された筋書きが、終盤部分で一つに束ねられ、事件の真相が見えて来るというのが、この作品の特徴といえるでしょう。

 主演のデニス・クエイドは、私の好きな映画俳優の一人です。彼は現在55歳ということで、結構いい歳ですが、おじさんの体を張ったアクションは、別の意味で手に汗握り(年齢的に大丈夫かな?と)、そして励まされました(俺だってまだまだいけると)。他にもシガニー・ウィーバーなどが出演しておりました。

 頭を使わずに素直に楽しむことができる良い映画でした。祝日なのに観客が私を含め5人ほどと、いくら天気が悪かったとはいえ、余りにも少なすぎる人数でしたが・・・。

 早いもので、ブログを立ち上げてから1ヶ月たちました。始める前は、3日以上続くのかどうか不安もありましたが、今では、歯磨きをするぐらい記事を書くのが当然の日課となっております。自分の書いてきた記事を振り返ってみると、話題に偏りがあり、自分の生活の単調さに悲しくなります。もう少し活動の幅を広げなければいけませんね。今後の課題にしたいと思います。

『クレイマー、クレイマー』(DVD)

2008-03-16 14:44:27 | か行
 昨夜、仕事から帰った後、まとめ買いしておいたDVDの最後の1枚、『クレイマー・クレイマー』を観ました。

 物語は、次のように展開していきます。ある日、仕事から帰宅したテッド(ダスティン・ホフマン)は、ちょうど家を出て行こうとしている妻ジョアンナ(メリル・ストリープ)に出会います。結局、妻を引き止めることはできず、残されたのは息子一人。仕事第一人間だったテッドが、子育てを行うことになります。はじめは、慣れない家事や自分に懐こうとしない息子にいらつき翻弄されながらも、仕事と子育てを両立させようと奮闘します。仕事人間だったテッドは徐々に仕事より息子を優先するようになり、懐こうとしなかった息子も、次第に父に心開いていきます。そんなある日、出て行った妻ジョアンナが現れ、息子を引き渡すよう、テッドに迫る・・・。

 この映画は、原題のKRAMER VS.KRAMERが示すように、子供を巡る夫と妻の争いを描いた作品ですが、私には仕事を持つ夫の妻と子供を巡る心理的な葛藤の方が印象に残りました。

私は独身なのですが・・・、
ある日、帰宅すると妻が出て行こうとしている。
自分ならどうするか?
仕事か子供かの選択を迫られている。
自分ならどうするか?
妻が子供を取り返そうとしている。
自分ならどうするか?
といったように、最初から最後までテッドと自分を置き換えて観ていました。さすがに、独身で子供のいない私に、リアリティのある判断ができるはずもありませんが、自分がテッドの立場ならどうするか、思わず考えずにはいられませんでした。その意味では、主演ダスティン・ホフマンの素直に感情移入できる演技が見事だったのかもしれませんね。

 この作品がアカデミー賞作品賞、監督賞、脚色賞、主演男優賞、助演女優賞を獲得したのは1979年のことです。OECDのSociety at a Glanceを見ると、この頃のアメリカは1980年をピークに、夫婦の離婚件数が最も高まった時期に当たります。一方、日本でも離婚件数は年々増加し、2000年代初め頃をピークに飽和状態が続いております。その良し悪しはともかくとして、30年前の日本なら不道徳だと言われたかもしれない離婚は、約30年が経った現在それほど特別なことではなくなりつつあります。このような意味で、約30年が経った現在においてこそ十分に通用する、また共感が持てる映画なのではないでしょうか。

 仕事帰りで眠い目をこすりながらみたものの、睡魔がどこかへ行ってしまうほど大変すばらしい映画でした。

『バグダッド・カフェ』(DVD)

2008-03-15 14:43:58 | は行
 映画の舞台は、砂漠の中の寂れたモーテル「バグダッド・カフェ」。疲れ果て常にいらついたた女主人、毎日遊びまわっているその娘、自分のピアノを誰にも理解してもらえないピアニスト、生きがいを失った画家など、「バグダッド・カフェ」の住人たちは、砂漠のように乾いた人ばかり。そこへある日、一緒に旅行していた夫と喧嘩別れしたばかりの、ドイツ人観光客ミス・ジャスミン(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)がやってくる。

 静的な映画で、寝不足の私にはその単調さが若干辛かったです。テーマ曲「コーリング・ユー」(ジェヴェッタ・スティール)が、随所で流れますが、この曲のメロディが映画の雰囲気と非常にマッチしており、良い曲なのですが、眠気をいっそう誘います。

 見所は、風変わり、だけどチャーミングなミス・ジャスミンとの出会いが、乾いていた「バグダッド・カフェ」の住人たちを次第に潤おしていくところでしょう。

 できれば元気なときにもう一度見てみたいと思います。

『ショーシャンクの空に』(DVD)

2008-03-09 13:21:40 | さ行
 大学に入学するために上京した私が、東京の映画館で初めて見た映画が『ショーシャンクの空に』です。それから十年以上が経っており、内容についてはほとんど記憶にありませんでした。映画好きの友人たちの評価は高く話題にもよく上がります。しかし、いかんせん私には映画の記憶がないため話題から取り残されることしばしばです。そこでもう1度この映画を見ておこうと、1ヶ月ほど前にDVDを購入し、土曜日の午前中の時間を利用して鑑賞しました。

 物語は、妻とその愛人を殺害した容疑で終身刑を科された元銀行家アンディ(ティム・ロビンス)が刑務所に収容され脱獄するまでの姿を、受刑者仲間のレッド(モーガン・フリーマン)の視点を通じて展開していきます。

 登場人物のセリフが少なく、非常に静かな印象を受けます。ですが、アンディが受刑者に認められるはずのない尊厳、希望、心の豊かさを次第に勝ち取っていく場面では、アクション映画以上の爽快感を得ることができます。

 また、少ないセリフの一つ一つが味わい深く重みがあり、印象に残ります。特に、レッドがアンディからの手紙を読む場面での、「希望はすばらしい」というセリフはとても感動的でした。

 原作は言わずと知れたスティーブン・キング。考えてみるとキング原作の映画は、『スタンド・バイ・ミー』、『キャリー』、『シャイニング』、『バトルランナー』(原作はリチャード・バックマンというペンネームで書かれています)、『ペット・セメタリー』、『グリーン・マイル』、『アトランティスのこころ』、『シークレット・ウインドウ』とこれまで結構見てきましたが、こうした作品に全くひけをとらない、すばらしい映画でした。
 

『エリザベス ゴールデン・エイジ』(Theater)

2008-03-03 18:18:37 | あ行
 前作『エリザベス』の続編に当たる今作は、歴史上名高いメアリー・スチュアートの陰謀、アルマダ海戦を軸に、エリザベスを取り巻く愛憎劇が展開していきます。他にも、ヴァージニアの由来や海賊フランシス・ドレークなど、高校世界史の授業で聞いたことがあるような逸話が所々に盛り込まれ、歴史好きなら今作のストーリーも十分に楽しめる内容といえるでしょう。
 欲を言えば、アルマダ海戦にもう少し時間をかけても良かったように思います。物語の終盤に行われたアルマダ海戦の場面が短すぎて、勝利のありがたみが余り感じられなかったように思われます。とはいえ、女王の孤独、苦悩、威厳を表現するケイト・ブランシェットの演技は見事で、そうした物足りなさを十分補って余りあるといえるでしょう。
 大変に見ごたえある作品でした。