家庭医療学について

家庭医療学周辺,教育の話題とWONCA(世界家庭医療学会)やSTFMなどの学会の参加記を少し。

教育について2題

2005-06-08 08:47:09 | 教育 卒後研修
昨夜は5月から始まった、初期研修医の当直帯の指導医。今まで内科当直だけだったのを、外科系も一緒に診るようになった。(その分、指導に入る事の出来る指導医の数が極端に限定された。大半は家庭医の医師と救急の医師。やはりこういう仕事はgeneralistでなければ出来ない。)肘内障や、肩の外傷なども久しぶりに診た。英語ではbread & butterというが(日常ごく普通の事という意味)やっぱり診る疾患のバラエティが多いと楽しい。acuteもchronicも、大人も子供も。病気や訴えの種類にこだわらず。何でも見るのが楽しくて自分は家庭医になったんだと昔の自分を思い出した。できる限り「出来ません」といわずに目の前の患者さんのニーズに対応できる。やっぱりこのやりがいは何物にも代えがたい。  
初期研修医の初期対応の研修が充実してくれば、専門としてプライマリケアに従事する家庭医の研修はさらにレベルの高いものを目指さなくてはならない。
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今朝子供が鼻水。ブドウ味の鼻水止めシロップを味を知らせずに飲ませる。
「どんな味?」と聞くとしばらく考えて。





「ワインみたい」と。

まいった。飲んだ事あるんか?

「人間は自分が経験したものの範疇でしか世界を理解できない」
学習理論の原則。

うちの子供にとって、紫色のああいうにおいの液体といえば、ブドウジュースではなくてワインの方がずっと目にする頻度が高いのだろう。

大ざっぱな言い方をすると3次救急の医師にとって胸痛は大動脈解離、肺塞栓、心筋梗塞、緊張性気胸など。循環器の医師にとっては心筋梗塞、不整脈、大動脈解離、肺塞栓など、消化器の医師にとっては逆流性食道炎、胃潰瘍など。

でも本当の頻度は(全年齢をおしなべれば)器質的原因のないもの、不安によるもの、肋軟骨炎(筋骨格系)で8-9割だろう。

プライマリケアの現場を見たことのない医師にそのだいご味はわからない。鑑別診断も正しく挙がらない。

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