

【一見普通の鉢植えだが…】

【枝はこのような状態】
写真の白い紐状の物体はヒモワタカイガラムシ(紐綿貝殻虫)Takahashia japonicaの雌成虫が産んだ卵のうでした。
ヒモワタカイガラムシは多様な樹種に付いて樹液を吸い、5月ごろに成熟して長い卵のうを形成します。
初夏になるとこの卵のうから幼虫が孵化、葉裏に付いた後、落葉前に枝に移動して幼虫で冬を越します。

【紐の中には埃のような卵】
ヒモワタカイガラムシはカメムシ目腹吻亜目カタカイガラムシ科の昆虫です。カメムシ目はカメムシ、セミ、ウンカ、タガメ、アメンボとよく知られた昆虫が多く含まれたグループです。
その中でもカイガラムシ、アブラムシ、コナジラミ、キジラミ等の農家や植物愛好家お馴染みの昆虫たちは、針状の口器が頭部ではなく前脚の間から出ていることから同じ亜目にまとめられています。
カイガラムシが付くと、植物は光合成で作った栄養分を吸われてしまうため成長に悪影響が出ます。またカイガラムシの排泄物には糖分が含まれ、これを餌にした「すす病」の発生が誘発されます。植物病原性ウイルスの媒介をする種類もあります。
カイガラムシは植物に付くと脚・触覚・複眼だけでなく体節までも消失し、昆虫とはとても思えない形となるものが多くいます。このようなカイガラムシは動けない代わりに糖分と排泄物から作られたロウ状物質や殻で全身や卵を保護してしまい、農薬がうまくかからず防除することが困難です。
そこで今回の防除として以下の方法を指導しました。
①卵のうのついた枝ごと切り取って燃やしてしまう。
困難ならばカイガラムシを根気強く取り除く
②6月中旬~7月上旬にかけて孵化する幼虫を狙って防除する。