熱望

2011-01-30 23:29:48 | 技工その他
最近ではすっかり忘れ去られた陶材、Duceragoldなんですが・・・。
私ゃ、個人的には今でもこの陶材が一番好きなんですよね。
一昔前に鋳造用白金加金に焼き付けられるということで、Ducera社(取り扱い:大信貿易)から販売されていました(Deguceramgoldというのもありましたが、こちらはDucera社からDegussa社へのOEMだったそうですが。)。

焼成温度800℃、ハイドロサーマルガラス(熱水処理ガラス)を成分とし、口腔内にセットされると口腔内のOH基がその表面に反応層「スミヤレイヤー層」を形成し表面強度がアップするため割れにくくなる、と当時プレゼンされていたものです。
ちなみに、その「スミヤレイヤー層」は口腔内などOH基のある環境下では削合しても繰り返し表層に発現するものということです。

なぜ今だにお気に入りなのかと言いますと、これほど粘りを感じる陶材はどこを探してもないからです。
色調も良く、エアータービンで小窩裂溝を思い切り深く掘り込んでもチッピングなど決して起こらないし、研摩面も非常に均一でキレイです。
少なくとも私はこれほど緻密に焼き上がる陶材はこれ以外に出会った事がありません。
「これなら口腔内でも割れずに咬耗してくれるのではないか?」、と期待するほどの感触がこの陶材には確かにありました。
ただ、これを焼き付ける専用の鋳造用白金加金が熱ヒステリシスによる変形を起こしやすいという欠点がある上、熱膨張率が非常に高くそれ以外には使い道がない陶材でしたけどね。そりゃあ、使うことも無くなってしまうわけでして・・・。


私は、これがジルコニア用ならどれだけ素晴らしいかといつも思っています。
とかく陶材の強度不足が問題視され、咬合面や隣接面にジルコニアが露出するほどのフレームワークが推奨される昨今ですが、ジルコニアという画期的素材を生かすためにも、陶材の物性面からのアプローチを各メーカーにはぜひ進めてもらいたいと思います。




EVANSPRO Dental Laboratory




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