旅の楽しみは何といっても食事だろう。
うまい酒とうまい飯さえあれば 旅の疲れなど瞬時に吹っ飛んでしまうもの。
おかげさまで今回の出張も そこそこの食事にありつけたのはラッキーだった。
印象に残ったのは とあるホテルのバイキング
名前は忘れてしまったが 何を食べても満足いくものであり
なによりも作り手(コック)がプライドを持ってやっていた。
写真ではお分かりいただけないと思うが 常に料理人が奥で目を光らせて
何の料理か高評か どんなものが必要かチェックをしながら指示を飛ばしている。
常に背筋をピンと伸ばし 一挙一動無駄も隙もない。
プロとはかくあるべきだと教えてもらった。
大変参考になった。
それともう一軒 とにかく印象に残ったレストランがあったので紹介しよう。
名前はGALLERY CAFE
ホテルから歩いて5~6分のところにある 何の変哲もない町中のレストランである。
ここは名前のごとく店内がギャラリーになっており
タイ全土から集めた骨董品や美術品がさりげなく置かれいた。
実はこのレストラン スタッフ全員オネエだった。
オネエといっても おすぎとピーコやIKKOのようなぺちゃくちゃしゃべる汚いおかまではなく
身なりはきちんとした男性で しぐさが女性っぽい
無駄口は叩かず いい意味で繊細 いい意味で気遣いに長けている。
ベトナムの化粧品店でもそんなオネエたちに出逢ったが
繊細なサービス業(とくにいいお客を相手にするところ)は気遣いが出来ないとダメだ。
その点彼らは素晴らしい。
そのことについては後ほど触れるとしよう。
とりあえずはビールとジュースを注文し 料理を何品か頼んだ。
客はほとんどいなかった。
あとから常連らしい女性たちが数名入ってきただけで 他には誰も来なかった。
正直 料理は大丈夫だろうかと不安になった。
だがそれも思い過ごしだと気づくのに 何分もかからなかった。
料理をひとくち食べて絶句した。
タイ料理ってこんなに美味いもんなのか・・・・・
言葉が出なかった。
とくに常連さんたちが奨めてくれたトムヤムクンは絶品で
いままで食べてきたトムヤムはいったいなんだったのかと考えさせられた。
「能ある鷹は爪を隠す」の格言通りの店だった。
自信のある店は誇張しない。あらためて教えられた。
料理が凄ければスタッフの気遣いも素晴らしかった。
この店も我々の視界の外にスタッフが立っていて お皿が散らかったり
グラスにビールがなくなりそうになると 後ろからそっと注いでくれる。
しかも注いだ後は 完全にまた視界の外へ出て行っている。
絶妙な距離感。
痛いところに手が届くとはこんな感じだろうか。
この絶妙な気配りに サービスのあるべき姿をみた。
とにかく感心させられっぱなしだった。
実はその晩 同行したかみさんとケンカになった。
理由はチップをケチったからだ。
ケチったというよりも小銭がなかったからなのだが
私の気持ちのなかで「こんなに良くしてくれたのに」「すまない」という気持ちがあって
ついつい感情的になってしまったのだ。
もう次ぎに行くことができない。
そう思ってしまった。
だが翌日意を決して再び食べに行くと またぞろにこやかに出迎えてくれた。
「いらっしゃい」
おもわず叫んでしまった。 コップンカー!(ありがとう)