アメリカ:闇の支配構造と略奪戦争

社会構造を分析しています。

「アメリカに食い尽くされる日本」を読んで

2012年10月03日 | 記事
アメリカに食い尽くされる日本
・・・小泉政治の粉飾決算を暴く・・・
森田実・副島孝彦共著/日本文芸社刊

は、渾身の対論集である。その内容を、いくつかを紹介したい。

>> アメリカは岸政権を徹底的に支援し、親米反共路線を確立させることに全力を注いだ。

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●小泉政治を解くポイントは岸信介と中曽根人脈

その岸内閣のもとで2人の若手代議士が抜擢されたが、それは田中角栄と中曽根康弘だった。岸信介とアイゼンハワー大統領(共和党)、中曽根康弘とレーガン大統領(共和党)という関係のなかで、日本の共和党人脈の総帥が推移し、中曽根はアメリカ共和党の意向を受けて亀井静香下ろしを図り、小泉支持に動いたので、2001年4月に小泉純一郎が自民党総裁に選ばれた。

2001年6月29日に通常国会が終わるや、小泉はワシントンに飛び、ブッシュと初めての首脳会談を行った。その会談はごく短時間で終わったというが、内容は、去る3月19日のブッシュ・森会談で森前首相が約束した「不良債権処理」という名目の金融改革(実は日本金融の対米奴隷化)を半年でやるということと、加えて、自由貿易・自由経済の実施の確約であったといわれる。

この時点で、小泉の従米路線は刻印された。

●「年次改革要望書」と小泉首相の郵政改革の狙い

小泉氏は非常に感情的で報復的情念の強い人物で、初出馬した選挙のライバルを特定郵便局長会が支持したので落選したことを恨んでいたという見方もある。

少なくとも、総理の座をめぐる1972年の角福戦争の時、福田派は田中派の牙城の郵政省の勢力を瓦解させたいという願望があった。そして、郵貯の膨張に脅威を感じた銀行業界と大蔵省銀行局は、陰で郵政民営化を要求して揺さぶりをかけていた。小泉氏は忠実な大蔵族でもあった。福田派の幹部は田中派に妥協的であったが、一匹狼的な小泉氏だけは、銀行業界の意向を受けて「郵政民営化」を提唱していた。

それを、郵政民営化を狙っていたアメリカ政府が利用した。

1985年のプラザ合意によって、日本の巨額の貯蓄を吸い上げる道を付けたレーガン政権の後を受けて、クリントンは日本の郵政資金をアメリカ政府のために活用しようと考え、1995年の「年次改革要望書」にその要望を盛り込んだ。そして、ブッシュ・ジュニアも350兆円の郵政資金を狙い、郵政民営化を小泉にやらせた。

小泉政権誕生の裏には、そのようなアメリカの狙いがあった。
アメリカの意向に従順な小泉は、今や、岸信介→中曽根康弘→小泉純一郎と引き継がれた日本の共和党人脈の中心に座っている。

●2004年に作られたアメリカ政府のレポート『2020年の世界』

1981年に「強いアメリカの復活」を掲げて大統領になったレーガンは、ソ連崩壊をさせるために大軍拡政策をとり、膨大な軍事費を投入した。また、アメリカ国民の支持を得るために、大減税を行った。そんなことをすれば、財政は大赤字で国家財政は破綻するのは当然。

そこでレーガン政権が取った方策が、70年代に経済的に成功した日本の金を為替レートの変更で吸い上げるというもの。それこそが1985年のプラザ合意。高くなった円でドルを買わせ、そのドルで米国債を買わせることで、日本マネーをアメリカに流し込み、アメリカ財政を支えた。それ以降ずっと、アメリカ政府も大資本も日本マネーを吸い取ってきた。

しかし最近では、アメリカの日本経済研究者の間では「2015年くらいまでは、日本の金を使ってアメリカの繁栄を支える。2015年になれば日本の金は尽きてしまう。その時は中国とインドをアメリカ財政の補給源にする。」という見方が強くなっている。

2004年作成の『2020年の世界』という政府レポートには、「2020年にはアメリカのパートナーは中国とインドだ」と書かれているし、著名な大学教授や有力な経済人も、同趣旨の発言をしているそうだから、

日本はアメリカによって使い捨てにされようとしている。
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小圷敏文