[メキシコの伝統料理]食生活について語ろう

・メキシコの伝統料理Traditional Mexican cuisineめきしこのでんとうりょうり　　
　　2010年11月にケニアで開かれたユネスコ政府間委員会において、2010年にフランス美食術、地中海料理、メキシコの伝統料理、2011年にトルコの伝統料理(ケシケキ[麦がゆ])といった食文化が社会的慣習として登録がありました。
今回は、メキシコの伝統料理についてです。
７０００年という世界に類をみない長い歴史によって育(はぐく)まれてきたことによって「メキシコの伝統食文化」が無形文化遺産としての登録です。
メキシコは、食材の宝庫としてトウモロコシ、トウガラシ、トマト、インゲンマメ、カカオ、カボチャなど、今や世界の料理に欠かせない食材の原産地としても知られています。
トウモロコシ・トウガラシ・マメの３つの食材を基本とする料理が数多く残っています。かつてこの地に栄えた先住民族のマヤ文明やアステカ文明が生まれるはるか数千年も前に、現在のメキシコ料理の原型はすでに作り出されていたのです。
これらを母体として、地方では昆虫食(幼虫やアリの卵を油で揚げてサルタ・タコス)や16世紀に侵入者のスペインより地中海沿岸、ヨーロッパやアラブ原産の食材と牛肉や豚肉、玉葱やにんにくなどを持ち込まれ地中海地方の料理の影響を受け食文化の融合により、現代の伝統的メキシコ合衆国として発展しているようです。
土着の作物と多様なトウガラシ(Chies:チレ)を用いた、辛味の効いた肉、魚介、豆、野菜料理、アボガドなどのトロピカルフルーツとしてよく知られます。
主食としているトウモロコシは、メキシコで生まれ古代の人々の手によって改良が重ねられ、いまや米・小麦に並ぶ世界三大穀物のひとつに数えられるまでになりました。
トルティーヤtortillaはメキシコ人の主食で一般にトウモロコシないし小麦粉をすり潰して作るマサMasa（穀類の粉の生地）で作ったトルティーヤを焼いたものにさまざまの具材を包んだり、汁に浸してたべられています。
タコスTacoは 肉や野菜など様々な具をトルティーヤに挟んだ料理です。
赤色のサルサ・ロハSalsa・roja、緑色のサルサ・べルデSalsa・verdeなどトウガラシベースの香草を用いた代表的ソース、スープでさまざまの具材を付けて食べられています。
インゲンマメの料理はほぼ毎日食用として食べられ他に、レンズ豆、ソラマメ、ヒヨコマメなどもあります。
メキシカン風コーヒー、シナモン風味が特徴のホット・チョコレートが飲まれています。
メキシコの伝統料理の歴史は、メキシコの家族の歴史でもあります。家庭の味は代々受け継がれ、歴史を作り出しました。「死者の日の祭り」には家族、親戚みんなでごちそうを囲み、年に一度だけ現世に帰ってくる先祖の霊を弔(とむら)います。
　一日の食事としてアルムエルソAlmuerzoの遅めの朝食、コミーダ Comidaの遅めの昼食が取られています。昼が一日で最も重要な食事として供します。
ボタナBotana(伝統的なメキシコのおつまみ:チーズ・ソーセージ) またはアントヒートAntojito(軽食)の前菜があります。
ソパ・セカSopa secaで米またはパスタの料理で「乾いたスープ」のことです。
主菜としてフリホーレス・デ・オヤFrijoles de ollaはインゲンマメを玉葱とラードと一緒に煮込んだものでトルティーヤ(薄焼きパン)かスプーンですくって食べられています。
メキシコ祝典料理のチレス・エン・ノガーダChile en nogadaは チレ・ポブラノChies poblanoの肉詰めです。
名前の由来はスペイン語のnogal（ウォルナッツの木）からです。メキシコのポブラーノ唐辛子の中にピカディージョ（一般的に裂いた肉、スパイス、フルーツ等）が詰められて、メキシコの三色国旗をイメージして います。
メキシコ 国旗の由来の緑は国家の独立を、白はカトリックへの信仰心を、赤は民族の統一への象徴です。 中央の国章に描かれている鷲は国鳥で、アステカ建国の伝説に由来します。
食材として赤＝ザクロ・トマト、白＝胡桃・玉葱・生クリームソース、緑＝チレ・コリアンダー・パセリなどの3色を使ってメキシコの国旗としてのデザインです。
19世紀にメキシコ独立記念日の9月16日を主として、8月下旬から10月にかけて調理している料理です。この時期はザクロの収穫があり、獲れたての胡桃が手に入るころで、旬の味を大事にした季節料理でもあるのです。古代アステカ人は、砕いたカカオ豆を冷たい水で溶かし苦い状態で摂っていたと言われます。
さらに様々にブレンドしたテキーラが作られています。テキーラTequilaはメキシコを代表する蒸留酒で竜舌蘭（Agave, アガベ／アガヴェ）ヒガンバナ科、常緑草の多肉植物の茎の汁を発酵させから造られる無色透明の酒です。
メキシコ原産の食材には、
　トウモロコシ、インゲン豆、ひよこ豆、そら豆、ひら豆、エンドウ豆、トマト、かぼちゃ、サツマイモ、ジャガイモ（高地原産）、トウガラシ、ピーマン、アボガド、ピタヤ（ドラゴンフルーツ）、パパイヤ、チェリモヤ、カカオ、ウチワサボテン、バニラの類がありました。
夕食はコミーダ(昼食)の量が多く時間も遅いため、軽く済ませる習慣です。

メキシコの伝統料理は、豊富な食材と、伝統によって培(つちか)われ磨かれた技術とスペインの創作料理が入り混じったもので実に多彩に調理されたものでした。
無形文化遺産として健康的な食生活に寄与しているといえるでしょう。



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