・低温調理Low temperature cooking ていおんちょうり
低温調理は、1979年にフランスで開発の調理法のようです。 焼く、煮る、蒸すといった今までの調理法に続く、第四の調理法として近年日本でも注目しています。
フランス語でSousvide(スーヴィッド)は、真空調理を意味し、別名で低温調理とも呼ばれ真空包装した食材を一定温度(恒温)で加熱する調理方法です。耐熱性の袋に食材を入れて真空にし、40〜60℃の低温で4時間からの長時間湯煎をする調理法です。 低温調理で食中毒を起こしやすい菌が死滅する温度は、肉の中心で食中毒菌を殺菌するのに必要な温度と時間で 63℃で30分間以上、70℃で3分間以上、75℃で1分間以上といわれます。
茹でる調理法では通常は100℃の沸騰したお湯を使いますが、低温調理法では、だいたい40℃〜60℃の間で時間をかけて調理することになります。これをすることで、肉で、柔らかくジューシーな仕上がりになるというのです。
低温調理器で主に作られているのは、ローストビーフ、チャーシューで芯温63度を30分保つ位の加熱です。
50℃になると たんぱく質が変化して、噛み切りやすく美味しくなるようです。62℃まで温度をあげるとたんぱく質の凝固が始まり肉はやわらかさを失うといいます。65℃になると肉(ミオシン・アクチン・コラーゲン)の中のコラーゲンは65℃で収縮をはじめ肉はますます固くなり、やわらかさを失うのですが80℃程度で軟化し始めます。 軟化は、3本の糸がらせん状に巻かれた縄のような形をしたコラーゲンの分子が、熱によってほぐれゼラチンになるために起こります。
普段食べる肉類では、ミオシン60%程度、アクチン20%程度、コラーゲンの3種類のタンパク質を主に含みます。タンパク質は熱を加えると細胞が壊れる「変性」という性質を持ちタンパク質によって変性する温度が異っています。ミオシンは、50℃以上で変性し、肉ならではの柔らかさに関係し弾力が出て咀嚼しやすくなります。アクチンは、66℃以上で変性しアクチンの変性で肉の水分が抜け色が変わり、固くなりパサパサの食感のようになるのです。このミオシンとアクチンの2つからわかるのは、調理温度を50℃〜66℃の間に設定することで、肉の旨味を引き出すミオシンのみの変性で旨味のある肉料理になるろというのです。
ローストビーフは、この温度帯での調理することにより理想的な柔らかさになるとしています。
コラーゲンについては、75℃から80℃以上になると変性し、その温度になるとアクチン自体も変性し固くなっているのですが、コラーゲンは65℃付近で一旦収縮するのですが、75℃以上で分解・ゼラチン化して、つまり、60℃〜66℃の間では、アクチンが変性(66℃から固くなる)せずミオシン(50℃)とコラーゲン(一旦収縮)のみが変性することになります。
肉が硬くなる理由のひとつとしているアクチン(66℃で硬化)の凝固や肉汁の流出が抑えられるので、柔らかく旨味のある触感、口当たりを楽しめるというのです。
食中毒の原因となる菌が繁殖する5℃~55℃の温度帯は極力避けるようにしなければなりません。牛、豚、鶏などの生肉には、食中毒の原因となる大腸菌(Oー157で中心温度75℃1分)、サルモネラ菌、カンピロバクターなどが生息していることがあります。
サルモネラ、病原性大腸菌、カンピロバクターなどの食中毒菌の多くは、75℃以上1分間の加熱でほとんど死滅します。エタノールは、芽胞を除く多くの細菌に有効でなのですが、瞬間的な除菌力となります。
アニサキスは、熱に弱く、60度で1分以上の加熱で死滅します。さらに冷凍庫に入れ、マイナス20度以下で24時間以上でも死滅します。
保存には急冷するのですが、完全に冷えてから冷蔵または冷凍保存が必要です。
低温調理には長時間の調理が必要になり、24時間以上必要になる場合もあります。「75℃で1分」と同等の食中毒予防効果のある加熱の目安について、40〜60℃の低温だと2時間以上も加熱する必要があるといわれます。加熱時間、衛生管理に特に気をつけて加熱調理する必要があるようです。
家庭での低温調理は、なかなか高度の技術を必要であり避けた方が無難なように思われます。カレーを作る時のように最初高温にして後弱火でコトコトと2時間位も加熱したら肉も野菜も軟らかくなり美味しくなります。
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