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ライブこそ我がライフ。

とは言うものの、然して行っていないけれど。

浄土前夜

2005年05月23日 | その他、舞台
月見ル君想フ→http://www.moonromantic.com

~町田康&小嶋さちほ朗読とライア演奏の夕べ~

100席、オールスタンディングで200~250人という小ぶりなハウス。今回は椅子とテーブルが出ていて発売時は90席。

飲み物をもらって、待機。

開演20分くらい押して、演奏始まる。

小嶋さちほさんの、ライアという楽器は両手で抱えられる大きさの弦楽器。よくファンシーなイラストで天使ちゃんが持ってるハープの、木で出来たもの、と言ったら伝わりやすいかも。
パーカッションの男の人が民族楽器を操っていた。たくさんあって見てて面白い。金属の碗を擦って鳴らしたりとか、水をぱしゃぱしゃいわせたり。

小嶋さんの旦那さんの、どんと氏が、町田氏のファンで自宅の押し入れに[殿堂コーナー]を作って町田さんの小説を置いたりしていたほどらしい。で、どんとさんがイベントの縁をつくってくれたのかあ、と。MCで小嶋さんが。
沖縄の曲と、こきりこ節と、全部で3曲やってくれた。

暗転して、直ぐに町田氏登場。
黒いシャツ、黒いズボン、革靴、首からクロス、細身の眼鏡。

椅子に座って、紙を広げて舒に朗読の開始。
冒頭聞いていて、この話に覚えが無きにしもあらず、と思っていたら、文芸誌に書いてらした[一言主の神]だった。

なんたらの神とか、なんたら大皇とか、なんたらの皇子とか、名前の難しい登場人物がいっぱい出てきて、やべえ、話についていけるだろうかと思ったけど、杞憂。
気付いたら、あの、関西弁が少しくブレンドされた良え声で、解り易く語られていて、マチダらしい現代口語で会話がなされ、自分はとっくに物語の中にいた。
俳優もしている町田氏、さすが、上手い。
演技をする人が朗読をやるとむやみにテンション上がって身振り手ぶりで煩くなりがちだけれど、そういうんじゃなくて(町田さんの演技は元々そういうタイプのものじゃ無い、ってこともあるけど)、普通に、本を抑揚つけて読んでくれる感じ。
地の文と会話と、間の取り方とか絶妙。
笑う。すごい。引き込まれる。

話が終わって、題名を言ってくれた。来月出る短篇集に入ります、って。
読むのが楽しみ。

「今のは小説でしたが、次は詩を朗読します。さっきの小嶋さちほさんと一緒に」かなんかそういうことを言って「ちょっと休憩」っつって。

5分ほど後、パーカスの男の人、小嶋さん、町田氏が再登場。

二人の演奏の中を、[四肢を切り落とす・仏師屋ぬすっと]。[なめとったらあかんぞ」「なめとったらあかんぞ」「なめとったらあかんぞ」云々]のところがすごく良かった。
[洞。うつろな洞、ほほら。]も、目で見て字面で読むより、韻を踏んでる感触が軽快に思えて。

本人に読んでもらうのって贅沢で素晴らしい。
そういえば人に本を読んでもらうのって物凄く久し振り。こうやって人に(しかも作家先生ご本人に!)読んでもらうとすごく、自然に全てに納得がいく。なんで酢なんだ、とかも、彼はこれをせざるを得なかったんだろうな、とか。

そして、私は知らなかった詩を3つくらい。
[しかいしかいしかいしかい、暴徒]とかいうやつ。司会か視界か市会か斯界か、何だろう。耳では司会に聞こえたけど。
今年はこんな感じ、来年もきっとこんな感じ、で締められる詩。
あと、[だから、私たち、合体]というやつ。あれ、なんか雑ざってる?…かも。
これらも来月出るという本に入っているといいなぁ、と思う。

そして、[カネから未来]。
最近ライブで[退屈なレイニー]をやってくれなくて残念に思っていたので、「カネから未来を-」と始まった瞬間、うひょーとなってしまった。嬉しい。
「金から未来を逆算するなんて馬鹿げ過ぎてるってあいつ云ってたっけ」を言葉で聞く、なんつうか、感動。新しい聞こえ方。

最後に小嶋さんメインで、どんとさんの曲を。
ハワイ曲でダンサーも登場。
町田氏も書き下ろしっぽい短いのを読んでくれた。
ハワイの神や光や大きさや慈愛に対して[自分は卑小な存在で、でも、]みたいな内容。

おしまい。
すごく良かった。声という楽器、読むという演技、音読という音楽。
行って良かった。今度から、朗読も行こうっと。面白い。