数学 TOY BOX ~数学から数楽へ~

数学の世界の入り口になれば幸いです。

フェルマーの最終定理であります。

2012-01-05 22:41:30 | 数楽書
今日は数学書、フェルマーの最終定理を紹介させて頂きます。

題名:フェルマーの最終定理
著者:サイモン・シン
翻訳:青木薫

これぞ数楽書の決定版!ともいうべき素晴らしい本です。
フェルマーの最終定理は3世紀に渡って数学者を悩ませた問題であること。
この問題が問うていること。それが遂に解かれたこと。
この3つはとても有名ですが、その3世紀もの間、数学者は一体どう奮闘したのか?
その道のり、過程を順に追っていくノンフィクションの作品です。

当たり前の話ですが1人の人間が3世紀ずっと考えたわけではありません。
何人もの色々な分野の数学者が挑戦し、そして敗れた…しかしそれだけではありません。
その挑戦の中で表れるアイディアも新たな数学の分野を開拓しました。
フェルマーの最終定理を巡る物語、はその問題そのものを見る視点だけでは収まらない広がりを見せてくれます。
数学者でなくても、もっと言えば数学が好きでなくても、このノンフィクションドラマは興奮と感動を与えてくれます。

挑戦的な書き込みを残した元凶(?)ピエール・ド・フェルマー。
人が呼吸をするがごとく計算をしたレオンハルト・オイラー。
女性に対する差別の中奮闘したソフィー・ジェルマン。
世界一の数論研究者カール・フリードリヒ・ガウス。
不完全性定理を発表したクルト・ゲーデル。
モジュラーの世界と楕円の世界を繋ごうとした谷山豊、志村五郎。
フェルマーの最終定理と谷山=志村予想を関連付けたゲルハルト・フライ。
そして子供の頃から最終定理に魅せられたアンドリュー・ワイルズ。
勿論これだけでは収まらず、もっと多くの数学者も関わっていますし、より掘り下げられてます。

数学は時を越え、場所を越え…そして繋がり、広がっていく。
この本は数学の深淵、数学者の思考をとても分かりやすく面白く伝えてくれます。
書いたのが数学者ではないということもあってか、難しい数学の公式なんてものは出て来ません。
しかし多くの解説や例えや数学者の言葉を用いて、その困難な道をナビゲートしてくれます。
やっていることは分からなくても、そこにある熱意や挫折、信念は伝わる事でしょう。

こんなに面白くドラマティックなノンフィクションが数学の世界であった!
これは是非読んで頂きたい一冊です。
映画化してもおかしくないと思うんですけどどうですかね(((

最新の画像もっと見る

コメントを投稿