
最期の数年間、この朝の「幕間」には親密な時間が流れていました。義兄のショーンや私がスイスの自宅、ラ・ペジーブルに滞在していたとき、朝食はキッチンの家事室で摂っていたのですが、私が一人でいると母はよくローブ姿で降りてきて、静かにマドレーヌとカフェラテを口にしていました。そんなときは、何気ない天気の話をしていても、いつのまにか母は自分のことを語り始めていたものです。父との辛い離婚について話してくれたこともありました。亡くなるまでの数年間のこの朝食の席で、私は母のことをより深く知るようになったのです。
しかし、いつもこんな風に話し込んでいたわけではありません。厳しい戒律で知られるオランダ人カルヴァニストだった彼女(祖母がオランダ人)は、休息の日を大切にしたので、日曜日などはわずかながらの贅沢をしました。母にしては意外にも、朝食をベッドで摂っていたのです。彼女の自分に対する小さなご褒美でした。トレイの上に乗せられていたのはコーヒーとトースト、ミルク、バター、そして庭から摘んできた一輪の小さなバラ。これに小さなお菓子が加わると、それは楽しい朝食になりました。
定番だったのは母特製のマドレーヌ。そのほかには、マルメロ・ジェリーが登場することもあったし、時間をかけて作ったチェリージャムが登場することもありました。
ルカ・ドッティ(オードリー・ヘップバーン次男)談
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます