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motoの徒然なるままに…

日々是好日日記

「愛語の心」

2014年01月02日 | 日々徒然

良寛さんには、次のエピソードがあります。

良寛さんが子供たちや村人から慕われているのを、快く思わない人がいました。その人は渡し船の船頭でした。小さい頃からひねくれ者で嫌われ者だったその船頭は、良寛さんをねたみ「もしこの舟に良寛がひとりで乗ってきたら、舟を揺らして良寛を落としてしまおう」と思っていました。
その機会がやってきたとき、船頭は舟を川の中央まで漕ぎ出すと、舟を揺らして良寛さんを川に落としてしまったのです。
良寛さんが川の水を飲み、死にかけたのを見てうっぷんが晴れたのか、船頭は良寛さんのえり首をつかんで舟に引き上げました。
水を吐いたり、呼吸を整えたりして、やっと言葉を発せられるようになった良寛さんは、口を開いて、こう言ったそうです。
「あなたは命の恩人だ。私は生涯あなたのご恩を忘れない。助けてくれてありがとう」
その言葉の中に、舟を揺らして落とした船頭に対する非難、中傷・攻撃の言葉は、ひと言もありませんでした。
良寛さんは先にも述べたように「愛語」をいつも心がけている人でした。
自分は貧しい僧であるから、贈りものをしたくても何も贈れない。金も物も贈ることはできないが、せめて言葉だけでも、“贈りもの”にしよう。自分の口から出てくる言葉は、常に、人を温かくするもの、明るくするもの、安らげるもの、元気にするもの、勇気づけるもの、励ますもの、力づけるものでありたい…。
そのときも「口から出てくる言葉」は、お礼と感謝の言葉だけでした。
船頭は、心の底から自分の非を悔いたそうです。こんな素晴らしい人にどうしてこんなにひどいことをしてしまったのだろう、と。
そして、そのときから真人間になることを誓ったのでした。
実際、この船頭は以後、村人からとても好かれ、信頼される人になって生涯を終えたということです。(小林正観「すべてを味方、すべてが味方」)

むかひて愛語をきくは、おもてをよろこばしめ、こころをたのしくす。
むかはずして愛語をきくは、肝に銘じ魂に銘ず。
しるべし、愛語は愛心よりおこる。愛心は慈心を種子とせり。
愛語よく廻天のちからあることを学すべきなり(道元禅師「正法眼蔵」)

良寛さんのように「芳香を放つ花の種」(愛語)を蒔き続けたいものです。
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