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蘇れSL ボイラー修繕技守る…大阪の女性社長

2014-01-25 18:37:38 | 社会
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20140125-OYO1T00582.htm?from=newslist
2014年1月25日
読売新聞

 蒸気機関車(SL)を観光資源とする動きが各地に広がる中、SLのボイラー修繕を国内で唯一請け負う大阪・中津の町工場が、奮闘を続ける。

 JR東日本が東日本大震災の復興支援として、今春から岩手県で走らせる観光列車「SL銀河」の牽引けんいん機「C58形239号機」もよみがえらせた。女性社長以下社員7人の町工場が、技術力で、人々がSLに託す希望を下支えする。(児島圭一)

 町工場は、淀川沿いのボイラー製造会社「サッパボイラ」。1918年創業で、社長は颯波さっぱ郁子さん(52)。2001年から家業の同社で経理を担当、昨春に父基一もといちさん(87)の後を継いだ。

 SLは、石炭を燃やしてボイラーで水を熱し、発生した蒸気が動力となる。約200年前、英国で発明されてから原理は不変だ。日本では、近代化のため75年に旧国鉄SLが姿を消すと、旧国鉄工場が持つ修繕の技術は徐々に失われていった。

 同社は旧国鉄からSL以外のボイラーの修理を請け負っていたが、87年にJR東日本の依頼でSLに関わるようになった。JR西日本、九州各社などの約20両を復元、修繕。JR西の担当者は「サッパボイラの技術力があればこそ、運行を続けられる」と話す。

 C58形239号機は72年まで釜石線などを走り、地元で静態保存。昨年2月に運び込まれたボイラー(長さ約9メートル、重さ約16トン)は腐食が激しく、設計図を引き直し、ボルトなど数千点の部品を交換。溶接ではなく、昔ながらに鉄のびょう「リベット」を打って組み上げた。復元は7か月かかった。

 「SLは見た目の美しさだけでなく、汽笛の音色や石炭の匂いなど五感で味わえる。動く芸術品」と颯波さん。OL経験しかなく、SLは全くの素人だった。だが、家業に接するうちに魅了され、工場を旅立って各地を走るSLを撮影して回り、職人たちに専門用語や工程を教えてもらった。

 震災後の12年6月、別のSLが復興支援で臨時運行した釜石線などを訪ねた。釜石駅(岩手県釜石市)の周辺には、骨組みしかない建物など津波の爪痕が残る。「観光気分でSLに乗っていていいのかな」。心配を打ち消してくれたのは住民の笑顔だった。疾走するSLに手を振り、たくましい走りに涙を流す人もいた。

 颯波さんは今月30日、盛岡市で、C58形239号機の火入れ式に出席。「力強いSLの姿はきっと復興の力になる」。どんな汽笛を響かせるか今から楽しみだ。

SL銀河 宮沢賢治の代表作「銀河鉄道の夜」をモチーフにした列車。賢治の生誕地・岩手県花巻市と、被災した釜石市を結ぶJR釜石線を中心に、東北地方を走る。4両の客車には、ステンドグラスやガス灯風の照明をしつらえ、賢治が生きた大正~昭和の世界を表現。小型のプラネタリウムも設置する。観光面からの復興支援や地域の活性化を目指し、4月以降に年間80日程度運行する。


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