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「S&M」「薬草」隠語を駆使…覚醒剤広告を地下鉄車内に貼った男

2014-03-25 14:58:29 | 社会
「S&M」「薬草」隠語を駆使…覚醒剤広告を地下鉄車内に貼った男
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20140324564.html へのリンク
2014年3月25日(火)12:03
(産経新聞)

 「薬草“S”aruyo(あるよ)」

 地下鉄の車両内に張られていた不可解な紙は、覚醒剤や麻薬の“広告”だ。大阪府警は3月5日、大阪市営地下鉄の車両に薬物販売の広告紙を張ったとして、麻薬特例法違反(あおりや唆し)容疑で住所不定の無職男(40)=覚せい剤取締法違反罪で起訴=を追送検した。男は「人目につきやすい」と、地下鉄での宣伝・広告を思い立ったといい、1カ月ほどの間に15枚の広告紙をペタペタと張り付け、注文を待っていた。近年、インターネット上で「アイス」「キメ友」といった隠語を使い「大阪全域即手渡し」と覚醒剤などの売買を呼びかけるサイトも存在するが、時代に逆行するかのような今回の直接広告は、男の思惑通り宣伝効果を発揮したのだろうか。

■SとMの意味は…

 週刊誌の中づり広告やイベントの告知などさまざまな広告が並ぶ電車内。その中で「S&M 薬草“S”aruyo(あるよ)」「覚品物S」などの文字がポストイットのような小さな紙に携帯電話の番号とともに書かれていた。一見不可解な文字だが、男はこれを覚醒剤などを売る広告紙として使っていたのだ。

 府警によると、男は昨年10月10日から翌11月16日までの間、覚醒剤や大麻を販売する目的で、市営地下鉄谷町線の車両内に計7回にわたって15枚の紙をドアのガラス部分や、ポール部分に両面テープで張り付けていた。

 一般人には何が書かれているのかピンとこないが、「S」は覚醒剤の通称「シャブ」の略称で、「M」はマリフアナの頭文字をとって大麻を指す。「薬草」も薬が覚醒剤、草が麻薬を示しており、薬物使用者がこの紙を見れば売買を呼びかける広告紙であることが分かるようになっていた。

 紙の大きさは小さいもので縦2センチ、横10センチ、大きくて縦5センチ、横7・5センチでポストイットなどの付箋(ふせん)や名刺ほどのサイズ。携帯電話の番号はスタンプで、あとは手書きだった。

 谷町線以外でも大阪の大動脈・御堂筋線をはじめ、今里筋線、長堀鶴見緑地線の市営地下鉄の計4路線で計53枚の広告紙が見つかっており、男も関与を認めているという。

 府警によると、インターネット上で薬物の販売を促したとして麻薬特例法が適用されることはあるが、電車内に広告紙を張り付けたとして同法で摘発されるのは珍しいという。

■きっかけはシャブ

 「生活費や自分が使うための覚醒剤を稼ぐためにやった。人目につきやすい場所に張ろうと考えて思いついた」

 男は電車に狙いを定めた理由をこう供述しているという。

 捜査線上に男が浮上したのはやはり覚醒剤がきっかけだった。昨年8月に大阪市天王寺区のコンビニで万引事件が起きた。府警が調べたところ、コンビニ内に置かれていた手提げかばんから覚醒剤約1グラムと注射器が見つかり、同じくかばんの中にあった診察券から男の名前が判明したのだ。

 男には家がなく、日雇い労働者が集まる大阪・西成の「あいりん地区」にある簡易宿泊所を転々としていたが、今年1月8日に捜査員が西成区内の路上にいるのを見つけて覚せい剤取締法違反容疑で逮捕。持っていた携帯電話の番号が、広告紙に書かれていた番号と一致したため、“違法広告”も発覚した。

 この携帯電話は料金前払いのプリペイド式で、「平成24年秋に西成で名前も知らない人から買った」と説明しているという。

 男は広告を電車内に張り付けたものの、人に転売できるだけの覚醒剤は持っていなかった。「注文が入れば、どこかで手に入れて転売しよう」と考えていたらしい。

 広告の効果はどうだったのか。広告紙を見た人物から1回電話があり、会うことになったが、相手が約束の場に現れず「取引」は成立しなかった。注文の連絡があったのはその1回だけで、実際に取引が成立したことはなかったという。

■隠語を駆使して

 まさに日常生活の中に薬物の存在が紛れ込んでいる実態が浮き彫りとなった、ともいえる今回の事件。警察庁によると、24年の1年間で覚醒剤や大麻など薬物で摘発されたのは1万3466人で、覚醒剤に関する事件が全体の約86%を占める。

 覚醒剤事件で摘発された1万1577人のうち再犯者は7116人と全体の61・5%を占め、この割合は増加傾向にある。さらに24年の1年間で、殺人で摘発された薬物常用者は13人、強盗や放火などを加えた凶悪犯は計54人に上り、薬物の蔓延(まんえん)による治安の悪化が大きな問題となっている。

 警察も薬物の流通をなくそうと取り締まりを強化しているが、今回の事件のように隠語を使って薬物と分からないように販売する事案は絶えない。

 昨年5月にはインターネット掲示板に覚醒剤を意味する「アイス」などの隠語を使い、「大阪全域即手渡し」と書き込んで密売を持ちかけたとして、堺市内の30代の男が摘発された。21年には覚醒剤仲間を探すネット掲示板「キメ友募集サイト」を設置していたとして、麻薬特例法違反(あおりや唆し)幇助罪で、埼玉県内の主婦が起訴されている。

 ネットを舞台にした薬物の取引は摘発例がある一方で、覚醒剤を販売したり、一緒に薬物を使用する仲間を意味する「キメ友」を探すネット掲示板は今でも多く存在している。

 「都内アイス販売 ガッツリ効いて持ちも良い極上品」

 「極上クリスタル手渡しOK 24時間いつでも対応します」

 掲示板では覚醒剤という直接的な言葉は使われていないが、「アイス」や「クリスタル」といった隠語を使って堂々と宣伝している。

 ある大阪府警幹部によると、薬物を使用して逮捕された有名人の名前を使い「○○あるよ」と書かれているような掲示板も薬物の売買を呼びかけている可能性があるというが、「文字をみただけでは、その有名人の写真やグッズを販売しているだけなのか、密売をしているのかはわからない」と取り締まりの難しさを語る。

 大阪市営地下鉄で起こった今回の事件はほんの一例に過ぎず、取り締まりと密売人とのいたちごっこは続いている。


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