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おじさんが申し訳なさそうに振り返ると、一緒に来ていた天狗たちはガッハッハと大口を開けて笑いあった。
「なーに言ってんですかい! あっしらは若が行くとこならどこでも行きますぜ!」
「それにアルジャンナの遺跡が世界でも知られた秘境なのは事実ですぜ。そこを攻略して本家の奴らの度肝を抜いてやりやしょう!」
「ここで会ったのも何かの縁だろ、坊主も一緒にどうだ? 若の歴史的快挙を見届ける証人になれるぞ!」
最後の人だけ「そういう言い方は止めなさい」とデコピンをくらっていた。生まれて初めての『宝探し』につい惹かれて、僕は同行させてもらうことにした。
僕たちはおじさんを先頭に、南側の斜面をゆっくり下りはじめた。
「それにしても、ずいぶんと慕われておるようだな。そんな良い身分の者が宝探しとは」
「まさか! 生まれたのが歴史ある家で、彼らとは家同士の付き合いが長いというだけです。私は勘当された身ですから、本当は若と呼ぶのも正しくないんですよ」
困ったと笑う中にも、やっぱりわずかに嬉しさが滲んで僕には聞こえた。
「昔ちょっとした事故にあって、羽が傷ついて飛べなくなったんですよ。弟が家督を無事継ぎましたしお家は安泰、私はもうほとんど用済みです。それでも噂ばかりは聞くんですけどもね。私のような半端者にはここみたいな狭い空が似合いだとか……」
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