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【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

沖縄県夏の県議選~会派別・地域別一覧~及び補足記事   櫻井 智志

2020-05-06 17:35:25 | 転載と私見
【序】
 沖縄県の県議会議員選挙が、5月29日告示、6月7日投票で実施される。この選挙では、金城デニー知事を支える「オール沖縄」勢力が確かな議席数を確保することが重要である。
 以下に現在の県議の実際を、会派別・地域別で整理して参考になるよう沖縄県議会の公式発表をもとに提示したい。


【第一部】会派別

❶沖縄・自民党(14議席)
➀大浜 一郎/石垣市 
➁具志堅 透/国頭郡 
➂座喜味 一幸/宮古島市 
④座波 一/島尻・南城市
⑤島袋 大/豊見城市 
⑥新垣 新/糸満市 
➆末松 文信/名護市  
➇照屋守之/うるま市
➈中川 京貴/中頭郡
➉仲田 弘毅/うるま市
⑪西銘 啓史郎/那覇市・南部離島
⑫花城 大輔/沖縄市
⑬又吉 清義/宜野湾市
⑭山川 典二/那覇市・南部離島

❷社民・社大・結連合 (11議席)
➀大城 一馬/島尻・南城市
➁亀濱 玲子/宮古市
➂狩又 信子/那覇市・南部離島
④崎山 嗣幸/那覇市・南部離島
⑤新里 米吉(議長)/中頭郡
⑥次呂久 成崇/石垣市
➆照屋 大河/うるま市
➇当山 勝利/浦添市
➈仲宗根 悟/中頭郡
➉比嘉 京子/那覇市・南部離島
⑪宮城 一郎/宜野湾市

❸おきなわ ( 8 )
➀赤嶺 昇(副議長)/浦添市
➁新垣 光栄/中頭郡
➂新垣 清涼/宜野湾市
④上原 正次/糸満市
⑤親川 敬/名護市
⑥瑞慶覧 功/中頭郡
➆平良 昭一/国頭郡
➇玉城 満/沖縄市

❹日本共産党 ( 6 )
➀嘉陽 宗儀/沖縄市
➁瀬長 美佐雄/豊見城市
➂玉城 武光/島尻・南城市
④渡久地 修/那覇市・南部離島
⑤西銘 純恵/浦添市
⑥比嘉 瑞己/那覇市・南部離島

❺公明党 ( 4 )
➀糸洲 朝則/那覇市・南部離島
➁上原 章/那覇市・南部離島
➂金城 勉/沖縄市
④金城 泰邦/浦添市

❻無所属の会 ( 2 )
➀大城 憲幸/島尻・南城市
②當間 盛夫/那覇市・南部離島

❼無所属(1)
➀山内 末子/うるま市

【第二部】地域別
❶名護市2
➀おきなわ
②沖縄・自民党

❷うるま市4
➀社民・社大・結連合
②沖縄・自民党
➂沖縄・自民党
④無所属

❸沖縄市4
➀日本共産党 嘉陽 宗儀
②公明党
➂おきなわ
④沖縄・自民党

❹宜野湾市
➀おきなわ
②沖縄・自民党
➂社民・社大・結連合

❺浦添市4
➀おきなわ
②公明党
➂社民・社大・結連合
④日本共産党 西銘 純恵

❻沖縄・南部離島10
➀公明党
②公明党
➂社民・社大・結連合
④社民・社大・結連合
⑤無所属の会
⑥日本共産党 渡久地 修
⑦沖縄・自民党
⑧社民・社大・結連合
➈日本共産党 比嘉 瑞己
➉沖縄・自民党

❼豊見城市2
➀沖縄・自民党
②日本共産党 瀬長 美佐雄

❽島尻・南城市4
➀社民・社大・結連合
②無所属の会
➂沖縄・自民党
④日本共産党 玉城 武光

❾糸満市2
➀おきなわ
②沖縄・自民党

❿宮古島市2
➀社民・社大・結連合
②沖縄・自民党

⓫石垣市2
➀沖縄・自民党
②社民・社大・結連合

⓬国頭群2
➀沖縄・自民党
②おきなわ

⓭中頭郡5
➀おきなわ
②社民・社大・結連合
➂おきなわ
④沖縄・自民党
⑤社民・社大・結連合
 
Ⅲ:2020年の現状 琉球新報(以下は有料記事部分は掲載していません)
オール沖縄 衆院候補者選考 政党間で駆け引き激化 2区と4区、作業長期化も
2020年1月6日 10:47
 今年の冒頭あるいは東京五輪後の衆院解散がささやかれる中、玉城デニー知事を支える「オール沖縄」勢力は2019年内に結論を出せず、週明け6日以降、候補者選考を再開する。選考では、社民や共産、立民、県議会会派のおきなわなどの間での駆け引きは激しさを増しており、今後の情勢次第では政党間や党内の関係にも影を落としそうだ。さらに、立民が呼び掛けている国民民主と社民との合流を巡っても、6月の県議選に向けて影響が出始めており、「オール沖縄」勢力は立民を中心に新たな局面を迎えている。

Ⅳ:地域政党「おきなわ」~沖縄タイムスが報道した「おきなわ」の様子
沖縄タイムス+プラス ニュース
沖縄県知事選:与党会派おきなわ、翁長氏再選へ新グループ 経済界など再結集狙う
2018年5月14日 07:42
 沖縄県議会与党会派の「おきなわ」が、今秋実施予定の知事選で翁長雄志氏の再選を目指し、保守中道の市町村議員や企業などで構成する新たなグループを月内に立ち上げることが13日までに分かった。翁長氏支援を表明している金秀、かりゆしの両グループも賛同しており、革新系や労働組合との連携により、翁長氏再選に向けた体制の再構築を図るのが狙いだ。
 グループの名称は「翁長知事を支える政治・経済懇話会」で、翁長氏を支持する企業や保守中道を中心とした県議や市町村議員、市町村長らで構成する。
 金秀、かりゆしは、県民投票の考え方の違いや特定の政党色が強くなったことを理由に、政党や労組、企業、市民団体などでつくる「オール沖縄会議」から離脱している。懇話会は、こうした企業などの「受け皿」となり、翁長氏再選へ向けた勢力の再結集を図る狙いがある。関係者によると、入院中の翁長氏も歓迎の意思を示しているという。
 13日には沖縄市内で初会合を開き、金秀、かりゆしや沖縄ハム総合食品など約15社のほか、一部の市町村長や市町村議員ら計50人超が参加。関係者によると、4年前の知事選で翁長氏を支援しなかった企業も加わっているという。富川盛武、謝花喜一郎両副知事も出席した。27日に結成総会を開き、正式に会を発足させる予定だ。
 懇話会では、知事選に向けた翁長氏の経済政策なども検討する方針で、引き続き中小企業などに参加を呼び掛けるという。
 一方、膵臓の腫瘍摘出手術を受けた翁長氏は20日の週に退院し、検査結果を発表する予定で現在まで知事選への態度は明らかにしていない。検査結果により2期目出馬が白紙になれば、人選は不透明になる。県政与党や労働組合などでつくる「調整会議」は翁長氏の擁立を前提に知事選への準備を進めている。(政経部・大野亨恭)




【結びにかえて】
 「オール沖縄と野党共闘」、「政権構想と衆院選」、2つの軸がクロスしている。あくまで沖縄県民の民意をもとに政治運動が展開されねばならない。保守革新を問わず、沖縄の歴史と県民の意思をふまえぬものとなってしまうと、それは沖縄に決してプラスとはならない。
 沖縄県民にとって、本土の運動が戦前からの勇気ある闘いをふまえた支援とならなければならない。


【転載】「2つの医療崩壊」概念の混同が混乱を招いている

2020-04-20 17:36:10 | 転載と私見
【序】
佐久総合病院の医師色平哲郎氏(写真)は、医学と社会についての見識が深く、自らもブログやSNSなどで啓蒙も熱心におこなっている。自らも定期的に専門雑誌に論文を執筆し広く世間に提供されている。今回はわだ内科クリニックの和田医師の論文を紹介なされたものを転載させていただいた。読みやすくするため若干の編集を施すが、内容は下手に変えるには無力な専門外なので変える余地はない。
(櫻井 智志)


わだ内科クリニック
和田眞紀夫
2020年4月20日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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❶【二つの「医療崩壊」】
「医療崩壊」という言い方が適切な表現であるかどうか、困窮した医療現場の状況を表すのに用いられているが、現在日本で起きている医療崩壊には2つの局面がある。

❷【新型コロナウイルス感染者を隔離・治療するために特化した「指定病院の医療崩壊」】
その一つは新型コロナウイルス感染者を隔離・治療するために特化した「指定病院の医療崩壊」という問題だ。そもそも準備されていたベッド数が少ないうえに、感染法の規定に従って軽症者まで隔離・入院をさせざるをえないという事情があった。そこへ持ってきて急速な感染拡大に伴って重症者が急増したために、あっという間に手いっぱいになってしまった。治療にあたる医者は疲弊し、医療資源も枯渇している。

ただでさえ少なかったベッドが埋まらないようにするために、極端に「PCR検査を抑制する」という対策が取られてきたが(現在も専門家会議や日本感染学会はその方針を変えていない)、とうとうベッド不足のために入院できずに自宅待機を余儀なくされている患者さんが溢れてきて、仕方なく軽症者をホテルに移すなどの対応がとられ始めているのが現状だ(これはもう感染症で定められた隔離義務が守られていない違法な状態ということになる。さらに言えば、もともと軽症者の検査をしないで経過観察としていたことも隔離の義務を果たしていなかったことになる。)。

❸【本来コロナ感染者を治療することを想定していなかった一般の「市中病院の医療崩壊」】
もう一つの医療崩壊の局面は、本来コロナ感染者を治療することを想定していなかった一般の「市中病院の医療崩壊」が始まっている問題だ。PCR検査を抑制する方針が取られてきたために水面下で市中感染が拡大し、一般病院の患者さんや医療スタッフから院内感染が広がった。感染を拡大させないために救急外来や一般外来を閉鎖せざるを得ない状況にまで追い込まれ、入院患者さんの感染拡大を防ぐことができずに多くの死亡者を出している。

このような現況に対する国や都道府県の対応は極めて遅く、もう任せてはいられないと判断した地方自治体の市・区が名乗りを上げ、独自に屋外に発熱外来や検査センターを設置して、市中感染の拡大阻止のために動き始めている。

❹【二つの「医療崩壊」議論の混乱】
「医療崩壊」と言ってもここで説明したような2つの局面があるのに、この2つの「医療崩壊」がごちゃまぜに議論されているために混乱が起きている。「指定病院の医療崩壊」を阻止するために検査が抑制され、検査が抑制されたために市中感染が拡大して「市中病院の医療崩壊」が起きているのだから何をやっているのかわからない。そして、もはや指定病院だけではコロナ患者を診られない状態になり(入院できず自宅待機の患者さんが溢れている)、結果的には一般病院でコロナの患者さんを診るような事態になってしまった。新興感染症の流入初期にウイルスを封じ込めるという指定病院の意義はもはや失われていて、指定病院を指定して区分けする意味もなくなっている。

❺【「壊れたラジオ」ーウイルス封じ込めのためのクラスター対策】
「ウイルスの封じ込め」は難しいことが明らかとなっているにも拘わらず、現在でも壊れたラジオのようにウイルス封じ込めのためのクラスター対策が続けられている。「指定病院の医療崩壊」を考慮するフェーズはとっくに終わっているのに、いまなお初期の対策に固執して「市中病院の医療崩壊」を防ぐ対策が置き去りにされている(新興感染症の流入初期には「ウイルスを封じ込めること」が厚労省や感染症学会に課せられた使命であったという事情にもよる)。

❻【感染症法の二類相当指定からはずすことが得策】
現在の行き詰った状況から抜け出すためには、「ウイルスは封じ込められなかった」ことを早々に宣言してこのウイルスを感染症法の二類相当指定からはずすことが得策だ。そうすればクラスター対策を続ける義務はなくなり、指定病院の指定がはずれて指定病院だけがすべての患者を一手に引き受ける責務からも解放される。
好むと好まざるとにかかわらず、これからは日本中のすべての医療機関が総力をあげて新型コロナウイルスに罹患した患者さんの治療にあたらなければいけないフェーズに来ている。

「市中病院の医療崩壊」の阻止こそが今、国や都道府県に課せられた課題であることを認識すべきだ。

❼【PCR検査が極端に抑制されてきたことの弊害】
最後にPCR検査が極端に抑制されてきたことの弊害について触れておく。新型コロナウイルスはかなり早期から日本に流入していて、すでに多くの日本人が罹患して免疫を獲得していることを示唆するデータもある。もしそうだとするとすでに新型コロナウイルスは日本に蔓延していることになり、検査をすれば検査をしただけ陽性者が出てきてもおかしくない。

そうなると、今急激に感染が拡大しているのではなくて、感染拡大が深く静かに潜行していたのかもしれない(にも拘わらず欧米のようなオーバーシュートを起こしていないとしたら、アジアに共通するような民族の特性、アジアに広がったウイルス亜型の毒性、BCG接種による免疫の獲得など、何らかの原因が影響しているのかもしれない。)。

感染の拡大が今急激に起きているのではないならば、この時点で厳しい社会封鎖をする必要がないのかもしれない。にも拘わらず、PCR検査が厳しく抑制されてきたために、このウイルスがどのぐらい社会に浸透しているかを今知ることができない。

❽【新たな感染確認者数の増加は急激な感染拡大を意味するとは言えない】
日々明らかになる新たな感染確認者数(韓国ではこのように呼ばれている)の増加が必ずしも今現在の急激な感染拡大を意味するとは言えない。死亡者数の統計もまたしかりで、現在明らかになっている死亡者数、罹患率、死亡率いずれも大きく修正される可能性がある。だとするとこれらの基礎データを元にした感染拡大や死亡者数増加のシュミレーションも大きく軌道修正されるかもしれないことを念頭に置く必要がある。

この問題を解決する救世主は何といっても抗体検査であり、いち早く広範な抗体検査が行なわれて集団免疫の状態が明らかになる事が望まれる。<了>


外出禁止令下の米国在住日本人が語る、NY「ロックダウン」の真実

2020-03-30 19:33:38 | 転載と私見
2020.03.27
高橋克明著『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』転載

【ニューヨーク、LOCK DOWNのリアル】
日本でも大々的に報道されている通り、現地時間22日の20時より、ニューヨーク州では、外出禁止令が発令されました。新型コロナウイルス拡大により、事実上の都市封鎖、LOCK DOWNということになります。そこから今、3日が経っています。 現在、現地時間の25日の夜8時にこれを書いています。 東京オリンピックが正式に延期になったニュースが流れてきた翌日です。


一昨日(23日)は、米国での1日の死者がとうとう100人を超え、合計500名以上の死者が米国だけで出たことになります。 感染者は4万3000人以上に拡大し、その中でも最も多いのが、ここニューヨーク。 さすが世界の首都。 先進国で最も人口密集率の高い街。 全体の約半数、2万人以上の感染者が出ました。完全に、パニック映画の世界です。有史以来、様々な人類が危機に直面する映画が作られ、見られてきたのは、この日の為の気持ちの覚悟、または予行練習の為だったのではないか、と思っちゃうほどです。

自宅禁止令が発令する約60時間前に、仕事として、タイムズスクエアに写真を撮りに行きました。 編集部から数ブロックの距離なのですが、まるでゴーストタウンでした。 途中、編集部裏の5番街は車1台通っておらず、写真だけ見ても、ここが5番街と言っても信じてもらえないであろう光景。 世界の交差点と呼ばれるタイムズスクエアに到着すると、渡米して20年、見たことがない光景が広がっていました。


目の前に広がる景色は、完全に映画です。 「バニラスカイ」のオープニングや、「アイ・アム・レジェンド」に出てきた光景を現実の世界で見ることになるとは。 不謹慎覚悟で言うなら、「ウォーキング・デッド」のゾンビが今にも出てきそう。 一日十数万人の観光客が行き来する交差点が、今や無人、無音。 その中で無数のオーロラビジョンの電子広告だけが、いつものように流れている空間は、少し異様でした。


これまでの経緯の時系列はざっと以下の通りです。

3月5日、ニューヨーク市長は会見において、最近中国、韓国、イタリア、イラン及び日本を訪問したNY市民は、帰国後14日間、自宅待機すること及び自宅待機中に症状が出た場合は医療機関に必ず連絡することを求める旨発言しました。ちょうど、この3月5日、僕個人は1ヶ月に及ぶ東京出張のフライトが予定されている日でした。 このあたりはアジア圏の方が被害は大きく、「今、あえてこの時期に東京に行くのは不用心ではないか」「わざわざ、今、渦中に飛び込むそれなりの事情を説明する必要がある」というのが、株主、社員、そしてクライアント、取引先の見解でした。 なので延期にしました。 なにより、東京で会う予定になっていたお客さんから次々と、「予定されていたミーティングなんだけど、スカイプでいいかな」と連絡が入り、スカイプだったら、ニューヨークにいたままでも一緒じゃないか、と出張自体を取りやめにしました。 その時は、まだ対岸の火事だったような気もします。


9日、ニュージャージー州バーゲン郡では、感染拡大と初の死亡者が出たことを受け、非常事態宣言を発出しました。

12日、NY州は、500名以上が参加するイベントや集会の禁止。 収容能力が500名以下の施設は収容率を50%に削減するように、と非常事態宣言を発出します。 それに伴い、ブロードウェイのすべての劇場、メトロポリタンオペラ劇場、カーネギーホールでのすべての公演の中止を発表しました。 ミュージカルのない街になってしまいました。このニュースは結構、衝撃でした。 アメリカ人の心がメジャーリーグであるなら、ニューヨーカーのハートはブロードウェイ。 それを、しかも全館クローズするのは、本気だな、と感じました。 本気で、州はできうる限り早期解決に向けて動いているな、と。

16日、とうとう公立の幼稚園、小学校、中学校、高校と学校が封鎖になりました。 うちの4歳児の双子も、幼稚園に行けなくなりました。

19日、州内の全事業者に対して、在宅勤務を促し、出勤者を25%未満に制限することを義務付けると発表しました。 食料や保健関連など不可欠な事業・サービスは除く、ということから、まだ街には人を見かけることができました。 あくまで推奨。 25%と言っても、そこは自己責任なので、厳密に守っている企業がどれほどいたのかはわかりません。

そして、20日。 知事は、NY州の感染者数が7000人を超えさらに拡大していることを受け、主に(1)原則として全労働者は在宅する、(2)州民は可能な限り自宅に待機する、という行政命令を発表しました。 この行政命令が、3月22日(日)午後8時から発効されたということになります。

その時点で、僕たちマスメディアは事実を伝える、という職務から、発効の除外対象になっていました。 なので、この時点で、タイムズスクエアに足を運んだわけです。 ニュースを伝える仕事のため。 完全防備で行きました。 なので、興味本位で野次馬的に行ったわけではありません。 ある芸人さんがインスタにアップするためだけに、オシャレな感じで、マスクもせずに現地に向かったのとは根本的に違います。


でも、そこからわずか48時間後には、感染者は倍に拡大していました。 仕事とはいえ、街を出歩いたことに少し、ゾッとしました。

22日にクオモ知事が発表したメッセージは、「ヘタしたら、80%の方々が感染する可能性もある。 特に高齢者や現在病気の方々が罹患した場合、死に至る場合もある」というものだったからです。そして、その翌日、日本でオリンピックが正式に延期になるというニュースが飛び込んできました。

、、、そんな歴史的、世界的、国民イベントの延期発表のあとに報告するのもアレですが。 。 w
5月に予定していた、僕の福岡ー広島ー岡山ー京都ー名古屋ー日比谷、の講演会、トークショー、書店サイン会の全国ツアーも、当然のごとく無期延期となりました。 (五輪延期決定の後に書くと、これ以上ないほどしょうもないお知らせだなっww)ただ、すでにFacebook上でチケットを購入して下さった方も多く、お知らせする必要があると判断しました。 それに伴い4月に高田馬場で開催される予定だった某医療系パーティーで1000人の前でスピーチさせて頂くお仕事も飛んじゃった(^_^;) 先々週は、日本から来ていた神戸女子大学生たちの前で、ここニューヨークで講演させて頂くことにもなっていたのですが、土壇場で彼女たちが強制帰国(~_~;) それら、すべての予定が白紙になりました。


では、一切、街には人の姿を見かけることはないのか。ここ数日、僕のツイッター、フェイスブック、ブログでは、日本の多くの方から心配のメッセージを頂きました。中には「食糧を送りましょうか」とか、「子供たちも一歩も外に出れないならストレスも溜まるでしょう」とか。非常にありがたいのですが、今、現在、グロッセリーに食料品は溢れています。 十分な注意のもと買い出しにも出かけられます。 幼稚園の先生から送られてきたEメールは「毎日、少しは外に出て遊びましょう」という内容でした。 ZOOMでの授業は驚くほど充実しています。

おそらく「LOCK DOWN」の概念を日本の方は誤解されている。報道で受ける印象と、実際は違います。20年前の同時多発テロのその日、僕は映画館に行きました。 館内は満員でした。
日本の方の中にはテレビでニュースを見て、街には人間の姿は一人もなく、ガスマスクをつけている当局のスタッフが消毒液を撒き散らし、一般人が道を歩こうものなら、これまた当局の人間が、捕獲し収監するくらいの勢いなのではないか、と。 (さすがにそこまでの誤解をしている人はいないか)確かに、人の姿はまばらです。 マッサージ店や美容院など、お客さんと直接接触するサービス業はどこも営業していません。 レストランもクローズしているところが多い。

ですが、レストランも店内での食事は禁止でも、テイクアウト専門で営業をしているところは結構、あります。 スーパーマーケット、グロッセリー、デリなどの食料品店は、変わらず、営業しています。 食糧の買い込みでの最低限の外出は許可されています。 うちの奥さんもマスクの上からスカーフを巻いて、毎日、買い出しに出かけています。 スターバックスは全店舗閉店ですが、マクドナルドは全店舗、時間制限はあるものの、開店しています。 そのあたりのルールはわかりません。 おそらく企業それぞれの考えとポリシーと主張なのだと思います。 どちらも正しいと、個人的には思います。スーパーや食料品店は、確かに缶詰とシリアル(コーンフレーク)は品薄ですが、従来の食品はすべて従来通り陳列されています。 ないのは消毒液(サニタライザー)くらいなものです。


では、そのまばらな人たちはみんな完全防備かというと、そうでもないです。 マスクをしている人の数は半分くらい。 インフルエンザが流行っている時期の東京の方がマスクしている人の割合は多い気がします。それでも半数はしているので、まったくマスクをする習慣のない人たちのコミュニティーの中では、異様な光景でもあります。

当然のごとく、デリバリーサービスは、かつてないほど儲かっているようで、街はウーバイーツなどのドライバーだらけです。 こんな時期なので、特にありがたがられ、チップに50ドルとか渡される、みたいな話を聞きました。 ニューヨーカーのいいところでもあるのですが、こんな時にはありえない額のチップをはずむそうです。 「助かってるよ!」と。 面白いのは、州も市も公式サイトで、「こんな時だからこそ、みんなデリバリーを頼もう!」と呼びかけていることです。


公式サイトといえば、市長は自身のTwitterで、10日「いいか、この街ではヘイトクライムも差別も違法だぞ。 アジア系のみんな、市は味方だからな」とツイートしました。 市長がわざわざそんなツイートをするということは、それだけこの街のアジア系がヘイトクライムを受ける可能性があったということの裏返しだと思われます。


NY市のデブラシオ市長と、NY州のクオモ州知事は、政策においていつも対立することで有名です。

どちらかと言うと、デブラシオは革新派。 とにかく経済や子供たちの教育を止めるのは最後、という考え方です。 なので、最後まで学校閉鎖に踏み切りませんでした。 やたら、トランプ大統領と気が合うコンサバなクオモは、とにかくすぐに学級閉鎖をしたかった。 結果、二人のそれぞれの妥協点が16日、公立の学校機関すべての閉鎖だったのだと思われます。 タイミング的にはベストだったのかもしれません。

そうは言っても、共働きで4歳児の双子を抱える、我が家としては、幼稚園がクローズするなんて、当初は、とんでもないこと!という感想でした。 言ってみれば、送り迎えさえすれば、朝10時から昼2時まで見ていてくれる、無料の育児所のようなもの。 その時間が丸々、なくなります。 しかも、この時期、電車通勤のベビーシッターさんをわざわざ自宅まで来させるわけにはいきません。 外に遊びに行けない、エネルギー満タンの4歳児の双子と、屋内だけで一日、過ごすのはハッキリ言って、コロナよりも驚異です。

国外への出張も多く、ニューヨークにいる際も、早朝から深夜まで働くことが当たり前の零細新聞社の経営者の僕は、今回、皮肉なことに、朝から晩まで家族と過ごす日々になりました。 コロナ拡大防止の自宅謹慎の副産物として、家族との時間が増えました。 エンドレスに遊んでくれと騒ぐ二人を相手しつつ、2時間でもギブアップ寸前なのに、母はすごいな、と妻に感謝する気持ちまで芽生えました。 これもコロナが産んだ副産物と言えなくもない。

実際、ニューヨークはキャリアを積む街です。 世界一晩婚の街。 子供を産んだ後もすぐに職場復帰する女性が多く、今回の謹慎で、初めて子供達と向き合った、というキャリアウーマンも後を断ちません。 ネット上で「大切なモノにやっと気づいた」と書き込む働く女性が増えたとか。 それだけ非日常の日々、が始まっているということでもあるのですが。

食べ物と言えば「NO KID HUNGRY NEW YORK/お腹を空かせた子供たちをゼロにする)」と銘打って、市が無料で朝食とランチを配っています。 やはり、なにをおいても、子供達を優先する街です。 実際に、一度、フードをもらいに行きました。IDを見せる必要もなく、「子供二人!」という自己申告だけで、二人分の食糧を渡してくれました。 アメリカの素晴らしいところだと思います。 そのカウンターにいたスタッフがマスクをしてないことに少し引っ掛かったけど。 アメリカのバカっぽいところだと思います。 で、ブラウンバッグ(茶色の紙袋)なので、リンゴやらサンドイッチが入っているので、すぐに底が抜けます。 出口で全部、ぶちまけてしまった僕に、黒人の縦より横に長い女性スタッフが、「あなたのせいじゃないから、戻って新しい紙袋もらっておいで!」としつこく言ってきます。 アメリカの素晴らしいところだと思います。 戻ると、新しい紙袋をくれました。 でも、まったく同じ紙袋でした。 アメリカのバカっぽいところだと思います。


自宅に持って帰ります。 妻は買い出しに行くことも限定的な今、すごく助かると言いました。 アメリカの素晴らしいところだと思います。 紙袋を開けてみると、ピーナッツバターたっぷりのサンドイッチと、ブルーベリージャム、べったりのサンドイッチと、砂糖まみれのクッキーと。 。 。 素晴らしくないところです。 でも、子供達を何より優先するところは素敵だなって思います。 この街で子供達を育てることができるのは、幸せだなと思いました。 砂糖まみれのクッキーは僕が食べたけど。


子供達と言えば、今、幼稚園に通園は出来ないのですが、毎朝、ZOOMでクラスメイトとホームルームをやっています。 それぞれの親御さんが膝に園児を乗っけて、HELLO! と参加しています。 お遊戯も充実しています。食べ物と言えば、飲食店にとってはロックダウンそのものが生存危機に直結します。 だって、お客さんがゼロになるのだから。 その中でも、ある意味、僕たち消費者にはラッキー、、と言えば、不謹慎ですが、有名ステーキ店が、あり得ないディスカウントで、デリバリーサービスを始めました。 このままでは仕入れの肉が傷んでしまう。 だったら、タダ同然の額でも売り捌こうというわけです。 ニューヨークの有名老舗ステーキハウス「ベンジャミン」のフィレステーキが90%オフの価格で食べられました。 たまたま、うちの愛犬、名前がみりんという雑種が9歳の誕生日を迎えたので、高級フィレステーキを800グラム誕生日ディナーにしました。 多分、本体(みりん)より日頃は高い価格。 それが1割の値段で手に入りました。


不謹慎と言われるかもしれませんが、そのくらいを楽しみにしていないとやっていられない現状です。世界がこのような状態になると誰が予想したでしょうか。 テレビに出演する占い師が、本物だと言うのなら、絶対、予想出来ていなければおかしいほどの歴史的事件です。


予想と言えば、昨年11月。 東京に行った際に、いつもご挨拶に行く、ベストセラー作家の本田健先生のご自宅にて。 健さんと何気なく、世間話をしていた時のことでした。 「そういえば、来年、とうとう東京オリンピックですね」という話題になった際、何気なく、健さんは「でも、なにがあるかわからないよね。 ちょっとしたら、戦争にならないとは言い切れないし、世界的なウイルスのパンデミックになる可能性だってゼロじゃない」とおっしゃってました。 もちろん、ただの偶然です。 でも「世界的な変革の時期ってなにがあるか、わからないから」とも言っていました。 偶然だとしても、いつも世界に目を向けて、アンテナを張り巡らしている彼にしてみれば無意識的にも、どこかで予見していたのかもしれません。 すごいなと思わされました。

そして、今、これを書いている真っ最中に、知り合いに頼まれて、急きょZOOMにて数十名の方々が参加する中、ニューヨークの今の現状、LOCK DOWNについてお話しさせて頂きました。急きょだったので、それが何の会合かわからないまま、お話させて頂きました。SNSのグループみたいです。他にもカリフォルニア郊外に住まれている方、ロザンゼルス、シアトル、そしてドイツに住まれている、すでに今現在、世界でLOCK DOWNをしてる都市の方々が参加されました。主旨は、彼らによる、これから封鎖される可能性のある日本の他の参加者に対しての現状報告、そして心がまえ。 西海岸やヨーロッパの現状も知ることができ、非常に有意義なZOOMセミナーでした。 だからこそ、この有意義な情報を身内だけでなく、知り合いに伝え、拡散して欲しいと思いました。各国のダウン経験者から、少しずつ買い出しに出かけ貯蔵しておこう、とか、急にダウンした際パニックにならないよう、とか、撹乱する情報を見極めよう、とか、LOCK DOWNそのものに役立つ情報が数多く出てきました。

僕的には、少し、違う角度からお話させて頂きました。それは
ー、死ぬな、ということ。
大袈裟に言ってるわけでも、イタズラに煽っているわけでもありません。 感染そのものについての発言でもない。 今回のパンデミックが収まったとして、確実に訪れるであろう「経済破綻」について、です。 結構、真剣に思っています。今回、個人的に感染以上に怖いのは、エコノミック的に大打撃を受ける個人が日本で続出するのではないか、ということ。 いや、すでに出ていると思います。 僕が零細新聞社の経営者だから特にそう感じるのかもしれませんが、経営者に限りません。 個人事業主、大企業、オーナー、雇われ、サラリーマン。 どの職業であれ、破綻する可能性が出てくるー。
そして、こんな有事によく言われるのが「状況に合わせて、切り替えが必要!」というロジック。 テロであれ、バブルが弾けた後であれ、「その状況に合わせて、今の状況に固執せず、ビジネスモデルをうまく変えて、何とか切り抜けよう」という理論。 業種によっては利益が出ている、という理屈。 もちろん100%賛成です。 それに越したことはない。 でも、全員が全員、そううまく作用するわけがない。 なにより、僕の周囲の経営者で、当たり前ですが、当然、活路を見出すため、方向転換を考え、そっちにハンドルを切っています。 今のままでいいと思う経営者なんて皆無、です。
でも、それでも、うまく行かない場合もある。 1番いいのは、経済破綻が起きないこと。 2番目は、それを利用しモデルチェンジし、うまく切り抜けること。 でも、それすらできなかった場合も出てきます。 少なからず。
その場合、絶対に、ヤケを起こさないでください。 炎上覚悟で言うなら、破産しても「たかが金だ」くらいに思った方がいい。 その場合に限ってだけど。 ニューヨークで、外国人経営者として、紙媒体を運営しているー。 ( ←自分で書いてて嫌になるくらい、ハンデだらけだな・笑)その僕から言わせれば、仮りに一回破綻しても、絶対に活路は見出せると信じています。 絶対に復活できる、と。
同時多発テロの直後に業界に入り込み、イラク戦争真っ最中にメディアカンパニーを立ち上げた。 ブラックアウトで創刊の邪魔をされ、紙の時代はもう終わると言われる中、無料の日刊紙を発刊し続けた。 リーマンショックの影響で、当時雇われ社長だった元の会社と決裂したときは、NYの日系社会で「高橋はもう終わった」とささやかれました。 「ニューヨークBIZ」を創刊した翌年にはサンディにより、オフィス業務はすべてストップ。 歴史上、外国人が最も嫌いな大統領が誕生した際は、せっかく育てた優秀な社員がのきなみビザを拒絶され、強制帰国になりました。 もちろん、それらのたび、売り上げは底辺まで毎回落ち込みました。 毎回、毎回。
プライベートでは、ドSなのに、ひょっとしてビジネスにおいては、オレ、Mなのかな、と最近は自分に感心すらしています。 そんな経緯だったので、調子がいい時があったとしても、いつまでも続くわけがないと、どこかでいつも思ってる。 いつだって、ゼロになる覚悟が出来ている。 毎回、毎回、ゼロにされることに、免疫がつきました。 いつか、息子が大きくなった際、武勇伝として聞かせて、ウザがられるのを楽しみにしている。 ゼロになったとして。 またゼロから始められる。 そう思えるくらいにしておきたい。 絶対に、活路は見出せるからー。 だから、ー、死ぬな。
そして、ニューヨークは、僕が渡米してからの20年間に限ったとしても、いろいろとありました。 なので、今回も乗り越えると思います、結局。 そして、僕たちも。


コロナが蔓延しても、ニューヨークは今年も桜が咲いてます。



高橋克明この著者の記事一覧
全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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私見

 この高橋克明氏の記事がどの程度、事実を全面的に記述しているか、私にはわからない。けれど、諸外国の実態を、管理され政府の広報として飼育された日本の大手マスコミ以外のメデイアからも情報にふれることが、有効なことだと考える。
 認識は対象の全面的側面に及ぶことによって、偏見や予断から、対象の総合的把握に至ることができる。
だから、私の主義主張や思想信条とは無関係に、多くの情報に接することで、新たな認識に至る道を私たちは獲得できる。それがこの長文記事を転載させていただいた理由である。(終)

沖縄県議選:新基地阻止へ共産7議席で、 オール沖縄のさらなる発展を

2020-03-25 17:59:27 | 転載と私見
序文
沖縄の歴史は、ヤマトンチューによる侵略と差別の歴史であった。第二次世界大戦からはアメリカ軍とアメリカ政府、さらに日本政府が植民主義の宗主国と、二重の抑圧下にある。沖縄人民党はその弾圧にも屈せず闘争の炎を燃やし続けた。やがてその歴史は日本共産党沖縄県委員会として、ウチナンチューの抵抗の歴史を継承している。
 さらに特記すべきは、沖縄県では建設的な保守勢力が「オール沖縄」に結集し、本土ではできなかった沖縄県民統一戦線を樹立。画期的な解放闘争の歴史が始まった。以下に日本共産党による県議選への闘争開始の宣言を、しんぶん赤旗の記者が綴った。ここに転載する。

以下転載
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2020.02.10日本共産党沖縄県委員会
必勝を誓う(左から) しまぶく、 ノブコ、比嘉、とぐち、ニシメ、たまき、セナガの各氏
しんぶん赤旗 2020年2月9日(日)

沖縄県議選(5月29日告示6月7日投票)
新基地阻止へ共産7議席、オール沖縄 勝利必ず

 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設を断念させるたたかいに大きく影響する、沖縄県議選(5月29日告示、6月7日投票)まで4カ月を切りました。日本共産党は予定候補7人(現有6議席)の必勝と新基地反対の「オール沖縄」勢力による安定多数確保が、安倍政権打倒と野党連合政権実現の「決定的な保障」になるとして、連日奮闘しています。(小林司、洞口昇幸)

 日本共産党は県議選で、現職は那覇市・南部離島区(定数11)から、とぐち修(党県議団長)と比嘉みずき、浦添市区(4)はニシメ純恵、島尻・南城市区(4)は、たまき武光、豊見城市区(2)はセナガ美佐雄の5氏が立候補します。

 糸満市区(2)では玉城ノブコ前県議が議席奪還をめざし、沖縄市区(5)は、勇退する嘉陽宗儀県議(7期)の議席をなんとしても守るため、新人で元自衛官の、しまぶく恵祐氏が出馬。党史上初の公認7議席を目標としています。

 6日早朝、南城市内の交差点で、たまき県議はマイクを握り、安倍政権が県民の声を無視して工事を強行し、ますます県民の怒りは高まっていることを強調。「あきらめずに声を上げていけば、必ず新基地建設はストップできます。玉城デニー県政を支える与党県議の安定多数確保のため、お力を貸してください」と訴えました。

 定数48の県議会の現構成は、デニー知事を支える県政与党県議が日本共産党を含め26人で過半数を占めています。自民や公明など県政野党は20人、欠員が2人です。

 自民党・安倍政権は、2年後の県知事選でオール沖縄県政を転覆させるため、今度の県議選で日本共産党の議席の追い落としと、自公など県政野党の過半数獲得を狙っています。

 1月7日に行われた自民党県連の集いでは、2013年に県民の民意を裏切って新基地建設の埋め立てを承認した仲井真弘多元知事(同県連最高顧問)があいさつ。新基地建設を「推進しよう」と呼びかけ、オール沖縄勢力について「えたいの知れない集団が沖縄を牛耳っている」と中傷しました。

 県議選の結果が、その後のたたかいや情勢に影響し、大きく政治を動かしてきたことは、過去の結果を見ても明らかです。

 08年の県議選では、新基地建設容認の仲井真県政の下で、当時県政野党だった日本共産党が3から5議席に躍進。県政与党の自公は後退して県議会の半数を割り、与野党逆転となります。

 その後、県議会は辺野古新基地建設に反対する決議を可決。県議会として初めて新基地建設反対を表明し、県民の意思を忠実に示すことになりました。

 12年の県議選では、日本共産党は5議席を維持し、引き続き仲井真県政与党の自公は半数を割ります。

 同県議選の結果が、県民の総意である米軍機オスプレイ配備撤回、普天間基地(同県宜野湾市)の閉鎖・撤去、辺野古新基地建設断念を求める「建白書」(13年1月に安倍政権に提出)、オール沖縄の翁長雄志県政の誕生(14年)につながります。

 同年の総選挙で日本共産党の赤嶺政賢衆院議員(沖縄1区)など、沖縄の四つの小選挙区全てでオール沖縄が勝利する確かな土台にもなりました。

 16年の県議選では県政与党の日本共産党は5から6議席に前進し、オール沖縄の与党県議の議席も増えて過半数を確保。この結果も、18年の知事選で故・翁長前知事の遺志を引き継ぐ玉城デニー現県政の誕生と、7割超の新基地建設反対の明確な民意を示す県民投票実施(19年2月)の、大きな原動力の一つとなりました。

 7日の豊見城市内でのセナガ県議の集いに駆け付けた照屋義実・オール沖縄会議共同代表は、県議選のスローガンとして「デニー県政を支える強力な与党の実現、オール沖縄の前進的な展開」と強調しました。

 照屋氏は「安倍政権は本当にひどい。ウソ、ごまかし、はぐらかし、もみ消しのオンパレードだ。わが国の将来が絶対に危うくなる」と批判。「(県議選を)勝ち抜くことが安倍政権に痛撃を与え、退陣を早める。どうしても今度の県議選は勝利しないといけない。私も全力を尽くす」と述べました。

 参院会派「沖縄の風」の伊波洋一議員も、「オール沖縄で私たちが6年前に翁長知事を誕生させたときにつくり上げた力を、県議選でも最大限に発揮しよう。それによって沖縄の未来が、本当に豊かで平和なものになると確信している。共に頑張ることを表明する」と、あいさつしました。

 同集いに参加した男性(75)は、「日本共産党の県議選での躍進が、安倍政権に新基地建設を諦めさせる確実な原動力の一つになるし、オール沖縄のような共闘が本物だということを、さらに実証すると思う」と力を込めました。



新型肺炎検査の民間委託を妨害する国立感染研の「OB」とは誰か?

2020-03-06 16:38:46 | 転載と私見
転載
新型肺炎検査の民間委託を妨害する国立感染研の「OB」とは誰か?
2020.03.06 1363  新恭(あらたきょう)

Ⅰ:岡田晴恵特任教授の発言で浮かび上がった「感染研OB」とは
このところ、新型コロナウイルス感染症がらみでテレビに出ずっぱりの白鴎大学、岡田晴恵特任教授が、ある政治家から聞いたという驚愕すべき話をぶちまけた。

テレ朝「モーニングショー」(2月28日)のオンエア中、新型コロナウイルスの遺伝子検査(PCR)を医師が受けさせたくても断られる現状に話題がおよんだ時のことだ。

岡田教授は「私はあまり言いたくないんですが」と、切り出した。


いわく、「中枢にある政治家」。誰をさすのかはともかく、岡田教授のもとに何人かの「中枢にある政治家」から電話がかかってきたそうである。

用向きは「(担当者から)こういう説明を受けたけども、解釈はこれでいい?」というようなたぐいだが、その機をついて岡田教授のほうからも「検査費用の公的負担」や「PCR検査を拡充する体制づくり」について、要望を出していたらしい。

この件で、「中枢にある政治家」から返事があった。「公的負担に関しては、もうできたよ」。しからばと、岡田教授が検査の拡充についてたずねると、「クリニックからの直接依頼はちょっと待ってくれと言われてる」との答えだった。

そこで、岡田教授は「待ってくれっていうのはどういうことなんですか。オリンピックのために汚染国のイメージはつけたくないという大きな力が働いているんですか」と、かねてから抱いていた疑問をぶつけた。

すると、その政治家は「ハハハ」と笑って「そんな肝が据わった官僚は今どきいない」と言い、次のような話をしたと岡田教授は証言する。

「これはテリトリー争いだ。このデータはすごい貴重なんだ。衛生研から上がってきたデータは全部、感染研が掌握する。このデータを感染研が自分で持っていたいと言う感染研のOBがいる。そこらへんがネックだったんだよ」

どういうことなのか。自分の研究や論文作成のため、データを感染研が独り占めにすべきだと思っているOB研究者がいて、民間に検体をまわすのを渋っている。ほんとうなら、心得違いも甚だしい。

厚労省の一機関である感染研は、地方の衛生研究所からの検査データを集め、感染症についての研究を進める立場にある。検査機関ではなく、研究機関だ。多くのデータを確保したい気持ちはわからぬでもない。

しかし、さしあたって重要なのは、感染拡大と重症化を食い止めるための大量検査体制の構築だ。政府はヤルヤルと言いながら、検査を民間委託する数量を抑えているが、衛生研や感染研だけでは、検査できるキャパシティに、おのずから限界がある。

現場の医師が必要だと診断をつけて検査を保健所に申し入れても断られるケースが相次いでいる理由が、ジコチューな研究者心理にあるとしたら、患者はたまったものではない。

いったい誰なんだ、検査データ囲い込みのために民間委託を妨害する、そのOBとは。筆者ならずとも怒りを込めてそう思うだろう。しかしここは、落ち着いて考えてみたい。

ほんとうに「OB」のせいなのかは、わからない。しょせん政治家の言っていることだ。政権の思惑だとか、感染研の都合とは言えないから、「OB」なる便利な用語を駆使しているのかもしれない。

それを承知のうえでも、「OB」発言はやはり聞き捨てならない。実在するとしたら、国立感染症研究所にかつて在籍し今も影響力の及ぶ研究者で、とくに新型コロナウイルスの検査データを必要とする分野の専門家ということになるだろう。


そこで筆者は、「OB」を現役の研究者と仮定したうえ、それならどこかから研究費の援助を受けているはずだと想像をめぐらして感染症研究に資金援助するいくつかの機関のウェブサイトにアクセスした。資金提供先リストを探すためだ。

Ⅱ:浮かび上がった,あの大学の教授

その作業のなかで、筆者が目をとめたのが、内閣府所管の国立研究開発法人「日本医療研究開発機構」の資料だ。


同機構は厚労省、経産省、文科省がこれまでバラバラに支援を行っていた医療研究を一本化し、産学連携で治験や創薬を行う司令塔たらんとして2015年に設立された。2019年の予算は1,267億円である。

新型コロナウイルスに関しては、感染研の迅速診断キット開発、治療法開発、ワクチン開発を支援しているほか、東大のワクチン開発、藤田医科大学の臨床開発研究への支援も決定している。

注目した同機構の資料とは、「平成31年(令和元年)度・実施課題一覧 感染症実用化研究事業」とタイトルがつけられた表である。


つまり、感染症研究に関する支援先のリストだ。82件の研究開発課題と実施機関名、代表者名が縦一列にずらりと並んでいる。

「国立感染症研究所に今も影響力が及び、新型コロナのデータを必要とする研究者」という条件に合う機関なり、人物はこのなかに入っているはずだとめぼしをつけた。

まず行ったのが消去作業である。感染研現職や、感染研とは無関係の研究者を除いていけば、感染研OBが残るはずだ。

やってみて残ったもの、すなわち感染研OBが代表になっている研究は

木村博一代表の群馬バース大学「下痢症ウイルス感染症の分子疫学および流行予測」
野崎智義代表の東京大学「原虫・寄生虫症の診断、疫学、ワクチン・薬剤開発」
鈴木哲朗代表の浜松医科大学「ジカウイルス感染動態」
モイ メンリン代表の長崎大学「デングウイルス感染防御のメカニズム解明とワクチン開発」
森川茂代表の岡山理科大学「動物由来感染症の制御に資する検査・診断・予防法」
―以上5件である。

このうち、代表者の経歴や研究内容から、当てはまると思われるのは一つしかない。岡山理科大の「動物由来感染症」だ。

代表者、森川茂氏は国立感染症研究所の獣医科学部長だったが、2019年3月31日に退職し、岡山理科大学獣医学部微生物講座の教授となった。2018年4月に開学した同学部には、同じ感染研でウイルス第一部主任研究官だった渡辺俊平氏が准教授として、非常勤のウイルス第一部研究員だった藤井ひかる氏が助教として赴任していた。

森川氏の教授就任とともに、まさに感染研の別動隊が岡山理科大に誕生したわけである。同学部のサイトを見ると、微生物講座の説明に以下のような記述がある。

新興感染症ウイルスに対する対策・研究を国立感染症研究所において、いわば最前線で体験してきたスタッフメンバーによって微生物学講座は、起ち上げられます。我々は、バイオセーフティーレベル(BSL)3の実験室を活用して、また日本の、または海外のBSL4施設とも共同研究を実施しながら、最前線での戦いを継続していきます。

森川氏は感染研時代の2017年2月、内閣官房「感染症研究拠点の形成に関する検討委員会」に、現在の感染研所長で「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議座長」をつとめる脇田隆字氏の代理として出席したほどの実力者であり、感染研に対する発言力はいまも維持しているとみられる。

だからといって森川氏がくだんの「OB」であると決めつけるつもりは毛頭ない。感染研に影響力を及ぼしうる「OB」は、ほかに何人もいるだろう。

たとえば、「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」のメンバー構成に注目すると、12人のメンバーのうち、座長の脇田氏を含め3人が感染研関係者であり、うち岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長がOBである。岡部氏はテレビ出演も多く能弁で著名であるため、座長の脇田氏が立場上言えないことでも発言できるかもしれない。


だが、森川氏ら岡山理科大の感染研OBらには、他の研究者にないミッションがある。

Ⅲ:込められた「安倍官邸」の思いとは

安倍首相が「腹心の友」と呼ぶ加計学園理事長、加計孝太郎氏。その長年の宿願であった獣医学部の創設を、国家戦略特区制度を使った特例によって実現させた安倍官邸の思いが、岡山理科大への感染研メンバー投入にはこめられている。


「動物由来感染症の防疫、創薬など、ライフサイエンス分野における連携研究に対応する」。これが開学前のうたい文句だが、実現性を疑問視する声が絶えなかった。鳥インフルエンザ研究で定評のある京都産業大を押しのけてまで、岡山理大の獣医学部を開設する必然性がどこにあるのかという意見もあった。

森川氏ら感染研から岡山理大獣医学部へ送り込まれたメンバーには、そういう世評を見返すだけの業績を示す役割が求められているであろう。彼らには、加計学園問題で野党やメディアに激しく追及された安倍首相と加計孝太郎氏、さらには実現を後押しした竹中平蔵氏や加戸守行元愛媛県知事らの期待が重くのしかかっているはずだ。

PCR検査をあえて制限しているように見える現況は、東京オリンピックをひかえ、検査の拡充による感染者の急増を避けたい安倍政権の願いと迷いがもたらしたものだという疑いが依然としてぬぐえないのだが、ここへきて浮上した「OB」疑惑、あるいは感染研のかかえる問題も、無視はできない。



「防疫」より「研究」。それが国立感染症研究所の基本的なスタンスとすれば、そこに各地の衛生研も含めPCR検査をほとんど丸投げした政府の判断に、そもそも大きな問題があったのかもしれない。検査体制の拡充にはまだ越えなければならないヤマがありそうである。

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新恭(あらたきょう)この著者の記事一覧
記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。その実態を抉り出し、新聞記事の細部に宿る官製情報のウソを暴くとともに、官とメディアの構造改革を提言したい。記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。


【私見】
驚いた。
あのモリカケ事件がこことも関連していることに。
日本の医学ー文化ー教育ー行政の連環は、腐敗し底なし沼だ。
安部晋三氏ひとりの問題ではなく、日本国家全体がドレイの宮殿を構築している。
真面目な日本人によって残虐な行為が連綿と続いている。
日本は,いま日本史上最大の瀬戸際に瀕している。

【日刊ゲンダイDIGITAL】 元研究員が衝撃告発 司令塔・感染研に“検査拡大”妨害疑惑

2020-03-05 07:09:42 | 転載と私見
公開日:2020/03/04 14:50 更新日:2020/03/04 16:41

専門家会議の座長は感染研所長(右)/(C)共同通信社

 なぜ、医師が必要と判断した患者の検査まで拒否するのか――。いつまで経っても、新型コロナウイルスの検査態勢が整わないことへの批判は強まる一方だ。安倍政権の方針も二転三転。安倍首相と加藤厚労相の国会答弁まで食い違うありさまだ。


 ついに、感染症対策の“司令塔”である「国立感染症研究所」(感染研)に疑惑の目が向けられ始めている。

 衝撃だったのは、感染研の研究員だった岡田晴恵白鴎大教授の告発だ。先月27日、テレビ朝日系の番組で、「国立感染症研究所のOBがデータを独占したがっていることが背景にある」と暴露したのだ。

 岡田教授は「論文がどうだ、業績がどうだということよりも、人命を取るもともとの感染研の方針に返っていただきたい。一部のOBのせいで、人命にかかわってくるのは怖いことです」と涙ながらに訴えていた。

 さらに、国会でも野党議員が感染研の対応を問題視。北海道に派遣された感染研職員の“指導”の結果、「北海道の道庁の職員や保健所の職員は、検査をあまりしちゃいけないのかと思ってしまっている」と実情を明かしている。


 感染研のトップである脇田隆字所長は、政府の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」の座長も務めている。専門家会議のメンバー12人中、感染研から“3人”が選ばれている。事実上、感染研が安倍政権の“コロナ対策”の方針を決めている状況だ。もし、その感染研が“検査拡大”を妨害しているとしたら、恐ろしいことだ。

 感染研は厚労省に所属する研究機関。1947年に設立されている。歴代所長や幹部には戦前、人体実験をしていた「731部隊」の軍医が就任していると報じられている。感染研に「白鴎大の岡田教授の発言内容は事実か」「職員の天下り先は」など、8項目の質問状を送ったが、締め切りまでに回答がなかった。

 政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。


「新型コロナウイルスのデータは、非常に貴重なものです。独占できれば、ワクチン開発や特効薬の開発など、巨額な利益を生む可能性があります。もし、感染研と民間の製薬会社に癒着があれば大問題です。はたして天下りがあるのかどうか。国会で徹底的に追及すべきです」

 国民の疑心暗鬼を晴らすためにも、国会で説明させた方がいい。

【私見】
日刊ゲンダイの記事は、驚くべき内容を世に問うた。国立感染研が国立予防衛生研究所の名前を変えたものだが、その前身は石井「731」部隊である。外国人捕虜の生体実験で、戦争犯罪を問われる寸前までいった。アメリカ軍GHQは、「731」部隊に、研究結果をすべて米軍に渡すことと戦時中の生体研究をすべて極秘に処すこととを交換条件とした。

今回のコロナウイルス事件の背景に、このような歴史的犯罪が絡んでいることは、ほとんどのマスコミは報道していない。日刊ゲンダイ編集部の勇気は、称賛に値する。

宮坂昌之教授「日本は感染症リテラシーを育てていく必要がある」の意義

2020-03-03 20:55:56 | 転載と私見
【序】
 以下に掲載する宮坂昌之教授「日本は感染症リテラシーを育てていく必要がある」は、2020年3月3日の色平哲郎佐久総合病院医師の評論に拠る。色平氏は、環境感染学会、医療機関の「対応ガイド」(第2版)公表についての「レポート 2020年3月3日 (火)配信 橋本佳子(m3.com編集長)」とともに、宮坂昌之教授「日本は感染症リテラシーを育てていく必要がある」を紹介なされている。

 その中で宮坂教授の「国立感染症研究所」についての叙述が、強く私の関心を引いた。感染研の前身「国立予防衛生研究所」が新宿区戸山の早大や住宅街に移転を強行してから、地元住民団体が反対し続け、強行移転後も、予研=感染研の住宅地での細菌組み換え実験などの諸行に、哲学者・社会科学者芝田進午元広島大教授を団長として裁判を闘ってきた。
 感染研は、戦時中の石井731細菌部隊の人脈をほぼそのまま受け継いだ。外国人捕虜に生体実験で様々な病原菌を試みた。詳しくは芝田進午氏の晩年の諸著作や森村誠一『悪魔の飽食』に詳しい。
 国会質問2020年3月3日に、日本共産党の議員が「アメリカのCDC(疾病予防管理センター)」なみに国立感染研に予算を増額し、研究をもっと充実すべしと総理に迫った。CDCについて宮坂教授は基礎的位置づけを明記し、感染研との根本的相違点を明確にしている。
以下に転載する。

【本論】
宮坂昌之教授「日本は感染症リテラシーを育てていく必要がある」

――日本国内の感染状況を把握するためPCR検査をもっと拡大しろと声高に主張する人がいます

「インフルエンザには迅速診断キットがある。ウイルスを増幅する必要もなく5分か10分で答えが出る。一方、PCR検査は何時間もかかり、その割に偽陽性も偽陰性も出る」

「なぜ手間がかかるかというと、コロナウイルスの場合は喉(のど)のぬぐい液、痰(たん)からRNA(リボ核酸)を抽出しなければならない。日本ではこれをロボットでできるところは少ない」

「ぬぐい液や痰から抽出したRNAを増幅して何度も何度もサイクルを回した上で陽性シグナルを探す。陽性シグナルがあってもそれがウイルスの遺伝子かどうかは塩基配列まで見ないと最終確認までつかない。そしてこの手技にはある程度の熟練が必要」

「それに、感染材料が入ってくるので部屋も機器も全部コロナウイルス専用にしか使えなくなる。また、やろうと思っても人材の問題がある。感染材料が入ってくるわけだから感染に関する手技を十分に出来る人が必要。でも実際はそれは少ない」

「国立感染症研究所(感染研)はそういう仕事をある程度は行うが、基本はウイルスや微生物の研究所であってアメリカのCDC(疾病予防管理センター)のような機能はほんの一部。検査機関としては十分なキャパシティー(処理能力)がない」

――PCR検査はどんな問題を抱えているのでしょう

「別のコロナウイルスの感染が原因のSARS(重症急性呼吸器症候群)や中東呼吸器症候群(MERS)の時にも散々、問題になったが、PCR検査の感度が不十分。陰性だと思ったら実は陽性だった、陽性だと思ったら陰性だったということがかなりあった」

「陽性と出ればほぼ陽性という確率が高いが、陰性と出た時には本当に陽性ではないという証明にはならないという大きな問題がある。それはなぜかというと喉や痰の中にウイルスが見つからないが、他の体のどこかに隠れている場合が常にあるからだ」

「新型コロナウイルスの感染細胞の主なものは肺の中の2型上皮細胞という非常に奥の方にある、しかもそんなに数がたくさんある細胞ではない。そこにウイルスがたくさんいても必ずしも喉にいるとは限らない」

「ただ、不思議なのは感染細胞の主なものは2型上皮細胞であることが分かっているにもかかわらず、人にうつすという感染性がこのウイルスは非常に高い。だから喉のどこかにはウイルスがいるとは思うのだが」

「喉の上皮細胞をとってもウイルスのレセプター(受容体、ACE2)を発現する細胞が非常に少ない。どうして喉にウイルスがいられるのかあまりよく分かっていない。主なウイルスの貯蔵庫は肺の中。しかし現場でのサンプル採取の場合、実際は主に喉のぬぐい液しかとれない」

「鼻からサンプルをとる方法もあるが、とったらくしゃみをされて医者に感染リスクが生じる。気道下部の細胞も病院ならカテーテルを入れてとることができるが、手技的に大変で、しかも看護師も医者も汚染される可能性がある」

「ということで、実際は喉のぬぐい液しか簡単にとれない。痰が出るケースは比較的少ない。新型コロナウイルスの感染の場合には空咳が出て、痰は必ずしも出ない。痰が出るのは30%か40%ぐらい。サンプルを喉のぬぐい液に頼らざるを得ないので、PCR検査が陽性になる確率がどうしても下がってしまう」

――日本のテレビではクリニックの院長が出演してPCR検査を自由にできるようにして欲しいと話しています

「PCR検査は手間がかかる、お金がかかる。さらに検査を受けるとしたら開業医や病院で受けなければならない。そこに感染者が集まったら、クルーズ船『ダイヤモンド・プリンセス』で起こったようなことが今度は開業医や病院の待合室で起きる」

「テレビでもクリニックの院長が出てきて自分のところでは感染しそうな患者とそうでない患者の導線を分けて別々の部屋で検査をしていると説明している。そんなことはどこでもできるわけではない」

「開業医のところに患者がPCR検査をしてほしいと来たらどうなるのか。クリニック全体が汚染される可能性がある。日本は感染症リテラシーを育てていく必要がある」

――PCR検査にはお金がかかるとのことですが

「開業医や病院がこの検査を自由に発注するようになると一つ1万円ぐらいかかる。インフルエンザの場合、年間多い時には患者が2000万人ぐらい出る。PCR検査をやったら年間1億検体を超える。1億検体×1万円=1兆円。医者は儲かるからどんどん検査を出す」

「コロナ疑いと書けばいくらでも出せる。医者はイエス、ノーが言えるから是非やりたい。患者もイエスかノーか言ってもらった方が家で単に休みなさいと言われるより心理的には楽になる」

「私も、もっと件数をできた方が良いと思う。重症の患者でも今までは湖北省由来でないとか、いっぱい縛りがあったために検査をしてもらえないケースがいくつもあった。厚労省がそういう設定をしたからだ」

「開業医がフルに検査にかけたら、えらいことになるぞという思慮が一つ。そして日本は皆さん心配症。イギリスでは風邪なら来るなというのは日本では通用しない」

「日本でPCR検査が開業医や病院でできるとなったらおじいちゃん、おばあちゃんはじめ一家でやってくることになりかねない。証明書をもらいにね。でもこの検査で証明書なんか出せるわけがない。不確定性が高い検査なんだから、その時に陰性でもウイルス陰性にはならない」

「日本には隔離する病棟が1000とか2000のオーダーしかない。総合的な判断で厚労省はPCR検査を限っているという方策をとったという可能性も一部にはあると思う」

――PCR検査のキャパシティーについて日本の1日3800件というのをどう評価しますか

「やむを得ないと思う。マイクロプレート1個96検体しかできない。PCR検査の機器が10台あれば960検体できるが、それを動かす人、ロボットが必要になる。しかも感染性検体を扱う技術をもった人でないといけない」

「コロナウイルス用に使ったら他の検査には使えないので感染研でそんなことをしたら他の検査ができなくなってしまう。民間会社で検査をやりますと手を上げるところがどれだけあるだろうか。自分が感染するかもしれないわけだから」

「感染性のあるサンプルでRNAを抽出するという一つ余計な作業が加わると普通の研究室なら1日100件できて精一杯。それが感染研で数百、民間会社を合わせて1日3800件という数が出てきたのだろう。ただし、頑張ればそれを1万件にすることはできなくないと思う」

「しかし民間会社をどうやって説得するのか。民間会社もお金が来ると分かっていなければやらない。今度、保険適用の対象にすると言ったのは民間会社のためであろう。そうしないと絶対にやってくれない」

「PCR検査は誰もができるわけではない。トレーニングをしないといけない。偽陰性や偽陽性を出したら社会的な影響が出る。品質保証ができる場所でないとこの検査はできない。都道府県の衛生研究所に頼んだら技術的な問題だけでなく、感染の恐れがあるので誰でも引き受けてくれるというわけではないだろう」

「間違ったらいけないし、感染するかもしれない。日本政府はなぜ3800件しかできないかをもっと分かりやすく説明したら良いのではないかと思うが、厚労省も言えないことがあると思う。一方、それが日本の感染者数を少なく見せるための謀略であるということを言う人がいるようだが、そんなわけがない。現状ではもろもろのことが飽和状態というのが悲しい現実だ」

「もう一つ大きな問題はこの試薬がどこから来ているかだ。日本のタカラバイオは当初はPCR試薬の多くを中国の大連で作っていた。ところが中国での大流行で大連から来るのがゼロになった。今は日本での生産に切り替えているようだが、当初の試薬の配給にはそういうネックがあった」

――韓国では1日にPCR検査を1万3000件行ったと報道されています

「韓国が1日に1万以上の検体をこなせるのは医療関係のベンチャービジネスが非常に多いから。日本よりはるかに多い。PCR検査の機器をいっぱい持っている。韓国の医者はすぐにそういうところにサンプルを出す」

「韓国は普段から検査件数が物凄く多い。今回も1日に1万以上の検体を検査したというのを聞いてなるほどと思った。日本ではこれまでPCR検査に関してはそういう体制はなかった」

「日本のベンチャーや検査会社は小ぶりでその用意があるところは少ないと思う。ソウルには医療関係のベンチャーが大学のそばに山のようにある」

「日本のベンチャーは大学とちょっとつながっているか、大学を外れた人がやっているぐらいで、お金儲けの道具にはなかなかならない。日本はアメリカや韓国のようにベンチャーが育ちやすい環境ではない」

――後知恵で結構ですのでクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の集団感染をどう見ておられますか

「政府が乗員乗客3711人を船内で隔離しなければならなかった一番の理由は、日本国内にそれだけの人を収容できる施設がなかったからだ。素人考えでは船室に隔離しておけば安全だろうということだったが、夫婦や家族で入っていたり窓のない部屋があったり。空調も全部つながっている。また人々の導線が複雑に絡み合っていて、とても感染者を隔離できる環境ではなかった」

「あとから考えてみたら濃厚感染が起こり得る密閉空間だった。中国から医療関係者の感染が物凄く多いというニュースが入ってきた。なぜゴーグルや防護服、N95のマスクも着用している彼らが高頻度に感染したのかを考えると、飛沫感染以外の接触感染が起こっていたということだ」

「防護服を来たままトイレに行く、ご飯を食べる時にマスクを外す、いろいろな所に触る。防護服を着用していても隙間があって中に入ってしまう。手袋をはめていてもカルテを書く時にカルテが汚れる、ペンが汚れる。訓練を受けていた医療関係者でもあれだけの高率で感染したのはそういうことだ」

「そのニュースを見たとたん『ダイヤモンド・プリンセス』もまずいぞと思った。でも隔離を始めてしまったのでどうしようもない。決して政府のやり方を擁護するわけではないが、ベストの解決法はなかったと思う」

「唯一あったとすればオーストラリアのやっているようにクリスマス島のような孤島に隔離するしかなかった。しかし日本はそのような設備を持っていなかった」

――コレラが流行した時代には患者が出た船は沖で隔離されました。その時の経験は残っているのでしょうか

「コレラ船の時代の経験はほとんど残っていない。私は1973年に京都大学の医学部を卒業したが、コレラのことはほとんど習わなかった。今の役人でもご存知の方は皆無だと思う」

――感染症対策の経験の空白にグローバリゼーションやクルーズ船の超大型化という新しい問題が加わったことが問題を大きくしてしまったのでしょうか

「世界的にはSARSがありMERSがありわれわれは生命にかかわるような感染拡大の経験はしていたのだが、喉元過ぎれば熱さ忘れるということ。日本にしてみればSARSはいわば他国のことであったわけで、大変な事件として当時は理解していたはずだが、その時の役人は厚労省にはいない。厚労省の役人は2年か3年で異動する」

「日本にはアメリカのCDCに相当するものはない。感染研がその一部を担っているが、研究者のほとんどはウイルスや細菌の基礎的な研究をしている」

「これは公衆衛生の問題、危機管理の問題、政治的な問題、経済的な問題も含めての話だが、感染研にはそれを専門とする人は少ししかいない」

「制度上の日本の弱みがある中でこの事件が起きた。欧州の場合、SARS、MERSはよその問題だったのかもしれないが、おそらくはその教訓を覚えていたのだろう。驚くのはイタリアにしても欧州各国は町の閉鎖など非常にタイトな施策を打ち出しているという気はする」

――イギリスでは感染症対策は確立しています

「公衆衛生の概念が最も進んでいたのは当初からイギリス。今でもアメリカとイギリスは進んでいて公衆衛生の本物の専門家がいる。大学だけではなくて政府の機関にもいるし、医学の中の非常に重要な分野だ」

「日本は公衆衛生の分野が手薄。感染症の方はウイルスか細菌の研究をして教授になった方で、感染症の公衆衛生の研究で教授になった人はまずいないと思う。専門家会議にはウイルスや細菌感染の専門家、内科の人ぐらいは行くが、公衆衛生の専門家が手薄」

「日本ではワクチンの副作用を審査する予防接種・ワクチン分科会が厚労省の中にあるが、ここにも感染症のことを良く知る公衆衛生の人はほとんどいない。こういう人選をするのは政府の役人。役人が自分たちの意見を聞いてくれる人を選ぶから政府のやり方に一言ある人は呼ばれない」

「公衆衛生の専門家が少ない上に、官僚制度の弊害があり、自分たちの意見を聞いてくれる人しか呼ばない。公平にやらなければいけないというので法律の人やらマスコミの人が入るが、こういう人たちは専門家ではないので抑止力にならない」

「厚労相にレクチャーしているのは誰かというのが問題だが、それが分からない。日本は公衆衛生の人材を育てる場所も少ないし、実際に活躍できる場所も非常に少なくなっている」

――日本では「白衣の天使」として知られるフローレンス・ナイチンゲール(1820〜1910年)は統計に基づく医療衛生改革で有名です。英インペリアル・カレッジ・ロンドンは新型コロナウイルスの感染について数理モデルを使って予測を出しています

「日本では感染症にかかわる公衆衛生をご存知の方は非常に少ない。ましてや統計学的手法で感染が今後どれぐらい拡大していくのかとか、どの程度で終息するのかとか非常に重要なポイントだが、日本でそれができる人というのは本当に少ない」

「日本は1918年のスペイン風邪の時にたくさんの人が死んだ。ところが日本の医学が当時は十分に成熟していなかった。あの時にどういうことがあったのかということは私たちも全く習っていないし、感染症の歴史というのは日本ではほとんど役立てられていないと思う」

宮坂昌之氏
1947年長野県生まれ、京都大学医学部卒業、オーストラリア国立大学博士課程修了、スイス・バーゼル免疫学研究所、東京都臨床医学総合研究所、1994年大阪大学医学部バイオメディカル教育研究センター臓器制御学研究部教授、医学系研究科教授、生命機能研究科兼任教授、免疫学フロンティア研究センター兼任教授。2007〜08年日本免疫学会長。現在は免疫学フロンティア研究センター招へい教授。新著『免疫力を強くする 最新
科学が語るワクチンと免疫のしくみ』(講談社)。

https://news.yahoo.co.jp/by…/kimuramasato/20200228-00165104/
新型肺炎「日本は感染症と公衆衛生のリテラシーを高めよう」 2/28
免疫学の大家がPCR論争に苦言  木村正人  在英国際ジャーナリスト

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【結】
私たちをとりまく国際社会では、科学=技術革命が畸形的に発展している。現代の災難は、人類の存在を生物学の視点からも、自然環境学の視点からも、危機的な自然史地点においこんでいる。ひとつひとつの問題に丁寧にたちどまり考えたい。慎重な吟味と、さらに、「歴史的趨勢の中で現時点がどのような位置にいるか」を常に忘れてはならない。

【転載と私見】訂正版:新型肺炎はカナダで作られた?2つの有力説を検証してわかった生物兵器説より恐ろしい事態=高島康司著

2020-02-25 21:47:51 | 転載と私見

❶ 拡散する疑惑。生物兵器説が出回ることで得するのは誰なのか…?

『「コロナウイルス Made in China」?』


新型コロナウイルスによる感染の拡大が止まらない。全世界での感染者数は2万600人を超え、前日の約1万7,000人から増えた。厚生労働省は4日、日本国内で確認された新型コロナウイルスの感染症例が新たに3人増え、計23人になったと発表した(※原稿執筆時点:2020年2月6日)。一方、2月4日、「世界保健機関(WHO)」の緊急委員会の疫学者は、684人が新型ウイルス感染から回復したと述べた。「WHO」によれば、新型ウイルスによる死者は少なくとも560人に達したという。現在、重症例は13.6%、致死率は2.1%だ。1918年から19年に流行し、全世界で5000万人が死亡したとされる「スペインかぜ」とほぼ同じ致死率だ。そうしたなか、各地で中国人、ひいては東洋人全般に対する差別的言動が広がっている。新型コロナウイルスにかこつけて、中国人、ひいては東洋人全般に対する差別的行為だ。ドイツでは、大手誌「シュピーゲル」が、真っ赤なケープにガスマスクを身につけた東洋人男性の写真と「コロナウイルス Made in China」というタイトルの扇情的なカバーを使用し、グローバリゼーションの進展による中国人旅行客の拡大が、蔓延の背景にあると主張した。

❷ 世界経済に深刻なダメージ

他方、経済への影響も深刻だ。ほぼ世界中が日々、同ウイルスの影響を痛感している。航空便の運航は停止され、サプライチェーンは混乱。需要の減退と物価の下落は、東南アジアや南米などの新興市場の経済成長の押し下げ圧力になると予想される。春節の連休は通常1週間だが、今年は帰省ラッシュによる感染拡大を回避するために3日間延長されて2日までとなっていた。そのため名目上は各企業とも3日から営業を再開する予定だったが、ほぼ全ての地域では少なくとも9日まで休暇が延長されており、学校や大学の再開はさらに遅くなる見通しだ。感染の中心になっている武漢は、中国の製造業の中心地のひとつで、特に自動車産業やIT関連産業が集積している。こうした産業のグローバルなサプライチェーンの中核になっているのが武漢だ。ウイルス蔓延による春節休暇の延長で工場が一斉に休業しているため、韓国や日本の自動車産業でも影響が出ている。部品調達が困難になりつつある。エコノミストの予測によると、中国の2020年のGDP成長率が最終的に2019年の6%とさほど変わらなかったとしても、第1四半期の成長率は大幅に下落するだろうという。下手をすると4%台後半の成長率もあり得るとしている。

これが、2020年の世界経済を大きく減速させる最大の要因になる可能性すら指摘されている。

❸専門家の証言

こうした情報だが、これは他の専門家によっても同じような内容が確認されているので、信頼できる情報としてすごい勢いで拡散している。
その専門家とは、フランシス・ボイル博士だ。ボイル博士はイリノイ大学法学部の教授で、生物兵器を禁止した1989年の「生物兵器反テロ法」をまとめた人物のひとりだ。ボイル博士によると、中国は間違いなく生物兵器を開発しており、「WHO」もそれを知っていることは私は分かっているという。さらに、カナダの「国立微生物学研究所(NML)」からコロナウイルスが武漢に運ばれて使われたという情報もおそらく事実だろうとした。
ネットラジオのインタビューでボイル博士はこのように発言したため、中国のエージェントである邱香果博士とそのチームによって新型コロナウイルスが「武漢ウイルス研究所」に運ばれたという情報は信憑性を増し、すごい勢いで拡散している。

❹ 果たしてこの情報は本当か?

先のカイル・バスがこの情報を投稿した後、陰謀系も含め、あらゆる情報を紹介している「ゼロヘッジ」に紹介された。その後、さらに詳しい情報が加えられ、インドを中心とした地政学のオンラインメディア、「グレートゲームインディア(GreatGameIndia)」でまとまった記事となり、さらに拡散した。このサイトはインドが地域覇権国となることを主張するナショナリスティックなサイトだ。パキスタンと中国に対する敵愾心が強い。
筆者はこの情報の信憑性を知りたかったので、調べて見た。そうしたときに頼りになるのが、「ファクトチェックドットオルグ」というサイトだ。ここは中立の立場から、拡散している情報を片っ端から調べるサイトだ。メールなどでソースを取材し、情報の信憑性を確認している。新型コロナウイルスがカナダから武漢に中国人科学者の手によって運ばれたという情報もチェックの対象になっていた。
まず分かったことは、カナダの「国立微生物学研究所(NML)」に聞いてみたところ、邱香果博士は解任されておらず、同研究所に在籍しているという事実だった。
ただ、「王立カナダ騎馬警察」に確認したところ、邱香果博士を取り調べたことはあるという。だが理由はプライバシーにかかわる私的なもので、コロナウイルスとはまったく関係がないということだった。
さらに「国立微生物学研究所(NML)」から武漢にコロナウイルスが邱香果博士の手によって運ばれた件だが、たしかに2019年8月に「カナダ国営放送」は、「国立微生物学研究所(NML)」から北京の研究所にエボラウイルスとヘニパウイルスの2つが、3月に輸送されたことを報じた。ただこの輸送には、邱香果博士はまったくかかわっていなかった。これは、カナダ保健当局の規制を順守した合法的な輸送だった。
また「カナダ放送協会」の報道によると、邱香果博士は著名なウイルス学者なので、「武漢ウイルス研究所」をはじめ、「中国科学院」、「天心大学」、「中国医学科学院」、「北京理工大学」、さらに「中国ウイルス学会」や「WHO」の主催する国際会議で講演を行っているという。
どうもこれが実際に起こったことのようだ。
これを見ると、カイル・バスがツイートで拡散した情報は、邱香果博士が私的な理由で「王立カナダ騎馬警察」の取り調べたを受けたこと、そして「国立微生物学研究所(NML)」が北京の研究所にエボラウイルスなどを送ったこと、さらに邱香果博士が「武漢ウイルス研究所」で講演をしたことという、相互に関係がない3つの出来事を一緒にして「創作されたストーリー」であったことになる。
これを拡散したカイル・バスは、スティーブン・バノンと行動をともにする徹底した反中国活動家の一人だし、この情報の拡散に貢献した「グレートゲームインディア」も、中国に敵愾心を燃やすインドナショナリズムのメディアだ。
そのように見ると、新型コロナウイルスは中国の生物兵器であるに違いないという強い思い込みから、3つの出来事を一緒くたんにしたシナリオができあがり、それが拡散したものと思われる。

❺ 拡散する疑惑

そうした状況で、あいかわらずネットでは新型コロナウイルスの起源に関する疑惑が拡散している。さすがに当メルマガで前回ご紹介したビル・ゲイツ犯人説のような根拠が怪しい説は消え去ったものの、それとは異なる説が拡散している。
それらには、具体的な根拠となる事実があるように見えるものもいくつかある。
今回はそうしたもので、比較的に信用されているものを2つ紹介する。それらはすでに日本でも有名ブロクなどで紹介されているので、知っている読者も多いかもしれないが、この記事では、そうした情報の根拠を確かめるファクトチェックを行うことにする。
意外な事実が見えてくる。

❻ 新型コロナウイルスは人工的に組成?

最初は、今回の新型コロナウイルスが人工的に組成された可能性を示唆した論文の発表である。
1月30日、現在武漢をはじめ感染が拡大している新型コロナウイルスから、自然界には通常存在し得ない「不自然な組成」を発見したとの論文が、プレプリントサーバ「bioRxiv」に投稿された。投稿したのは、インド、ニューデリーの研究者らである。以下が論文の題名だ。
「Uncanny similarity of unique inserts in the 2019-nCoV spike protein to HIV-1 gp120 and Gag」
普通、科学論文が発表される場合、同じ分野の研究者による査読が条件となるが、「bioRxiv」サーバーは、生化学の分野で査読される以前の、いわば未完成の論文を自由に投稿できるサーバーだ。「コールドスプリング・ハーバー研究所」という機関が運営しており、科学的な発見をすぐに発表できるサイトとして活用されている。
この論文によると、現在流行している新型コロナウイルスを、同じ祖先をもつ「SARS」のコロナウイルスと比較すると、他のコロナウイルスには存在しない4種のアミノ酸残基の配列が見られたという。普通、短期間でこのような突然変異は見られないという。そして、この変異した配列が、人に感染した際のウイルスの生存率と感染力を増大させ、また、宿主の範囲も増やした可能性もあるとも指摘した。
そして、この論文が注目されたのは、この変異した配列が、「ヒト免疫不全症候群(HIV)」と一致していたということだった。論文の著者は、これは「自然界で偶然、起こるとは考えにくい」と述べ、今回の新型コロナウイルスが、実は人工的に組成された可能性があることを匂わせた。

❼ 批判と論文の撤去

前回の記事でも紹介したように、今回の新型コロナウイルスは中国が開発した生物兵器ではないのかとの疑念があったため、この論文はそれを裏付けるものとして受け取られ、一気に拡散した。
しかし、これが科学論文であったため、多くの医学者や研究者から批判があった。
そうした批判には研究の手法に疑問を呈したもののほか、たとえ「ヒト免疫不全症候群(HIV)」と一致した4種のアミノ酸残基の配列があったとしても、これが自然な突然変異ではないと結論づける根拠はまったく提示されていないという批判が多かった。
つまり、突然変異ではないことが証明されていないので、意図的に作られたかもしれないという論文の主張は成立しないということだ。
論文の思わぬ拡散とこうした批判を受け、2月2日、論文の著者はこれをサーバーから撤去した。また、ジャワハルラルネルー大学分子医学特別センター准教授のアナンド・ランガナタン氏は、中国が新型コロナウイルスの組成に関与していたのではないかとするコメントをツイッターにしたが、これも削除した。
こうした経緯で論文とツイートが削除されたので、論文の信憑性にも疑問が出ている。
しかし、この未証明の論文の拡散は止まっておらず、あたかも新型コロナウイルスが中国の生物兵器であることの動かぬ証拠としてネットでは拡散している。

❽ 否定はできないが、証拠も不十分

筆者は、新型コロナウイルスが生物兵器である可能性は否定できないと思っている。しかし、この論文だけではその証拠としては十分ではないだろう。
事実、「bioRxiv」サーバーには現在多くの新型コロナウイルスに関する論文のが投稿されているものの、それらは査読を受けていないので、なんらかの結論が出たものと解釈したり、臨床実践などに用いたり、メディア等で取り上げるべきではないという注意喚起が、同サーバーではなされている。
やはり感染者の広がりのパターンを見ると、野生動物の肉などを売っていた「武漢海鮮市場」から感染は拡大している。また、コウモリが持つコロナウイルスと今回のウイルスが96%一致していることから、コウモリから感染して「武漢海鮮市場」で売られていた野生動物が感染源になった可能性が一番大きいようだ。

❾ 新型コロナウイルスはカナダから運ばれた?

次に、いますごい勢いで拡散しているのが、今回の新型コロナウイルスはカナダの研究所から中国のエージェントによって武漢に運ばれ、リークされたものであるという情報だ。
これは、有名なヘッジファンドのマネージャーで、日本国債の先物売りを仕掛けながらも何度も失敗しているカイル・バスという人物の行ったツイートが情報源だ。
ちなみにカイル・バスは、ホワイトハウスの元主席戦略官であったスティーブ・バノン、そして中国の不動産王でいま中国の反政府活動を主導しているマイルス・クワークと一緒に、中国共産党を打倒する運動を中国国外から行っている。
その情報によると、今回の新型コロナウイルスは、カナダ、ウィニペッグにある「国立微生物学研究所(NML)」から「武漢ウイルス研究所(正式名称は「中国科学院武漢防毒研究所」)」に中国のエージェントと思われる人物によって運ばれ、そこからウイルスが漏洩したとする情報だ。
2012年にサウジアラビアで「MERS」の感染の拡大があった。2013年にカナダの「国立微生物学研究所(NML)」は、オランダの研究機関から研究用としてこのコロナウイルスを分けてもらった。その後、「国立微生物学研究所(NML)」では数年にわたりこのコロナウイルスの培養と研究が行われた。
しかし、2019年3月、コロナウイルスは何物かの手によって運び出され、「武漢ウイルス研究所」に送られた。運び出した人物は、邱香果博士(Dr. Xiangguo Qiu)とその夫でやはりウイルス学者の成克定博士(Keding Chang)であった。
ちなみに邱香果博士は、同研究所の「ワクチン開発と抗ウイルス治療部門」の責任者である。邱香果博士は、2017年から18年の1年間で少なくとも5回、「武漢ウイルス研究所」を訪れている。こうした経緯で運ばれた新型コロナウイルスが、意図的にか、またはなんらかの事故で武漢で漏洩して、いま感染を広げているという。
中国共産党は、生物兵器の開発のみならず、これを脳科学、スーパーコンピューター、そしてAIなど最先端技術と融合する新技術を開発している。2016年に「中央軍事委員会」は、こうした新しいコンセプトの技術開発のプロジェクトに資金を提供している。邱香果博士とその夫、そして彼らと協力した数名の中国人科学者は、生物兵器の開発を急ぐ中国政府のエージェントであるのではないかという。
現在、邱香果博士とその夫は「王立カナダ騎馬警察(カナダの警察)」によって逮捕されている。「ワクチン開発と抗ウイルス治療部門」の責任者を解任され、また、「国立微生物学研究所(NML)」も解雇された。

❿ これは生物兵器か?もっと驚くべき事態

では、こうした情報が否定されたのであれば、新型コロナウイルスはやはり自然に発生したもので、生物兵器ではないと断言することはできるのだろうか?
筆者はそうは思わない。中国が作ったにせよ、アメリカが作って中国に仕掛けたものであるにせよ、はっきりした証拠はないものの、やはりこれが兵器である可能性は、まだ完全には否定できないように思う。
ただ、いまネットで拡散している情報には、はっきりした根拠がないというだけだ。
しかし、このように情報をファクトチェックしながら追うと、生物兵器説よりももっと恐るべき事態が進行しているのが見えてくる。
おそらく、今回の新型コロナウイルスの蔓延で、現代の社会機構の一部が根本的に変化してしまう可能性がある。これは次回に書くことにする。(MONEY VOICE)

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【私見】
 新型ウイルスによる肺炎は、容易ならざる状態を呈している。ここでは、医学的、医療政策など危機的事態に立ち向かうスタンスから、「なぜこのような不自然な異常なウイルス蔓延に至ったのか?」の一点に絞って、評論を転載した。
 もとより医学的に素人の私に、これが断定的な結論だ、というような言説はわからない。いくつもの見解にひとつひとつ庶民として、素朴な疑問を解いていきたい。そのような考えが転載の動機である。


転載と私見『衆院選へ共通政策づくり議論加速 4野党、市民連合と確認』

2020-02-20 08:32:10 | 転載と私見
2020年2月19日 19時19分


 立憲民主など野党4党の幹事長、書記局長らは19日、安全保障関連法廃止を訴えるグループ「市民連合」と東京都内で会合を開き、次期衆院選に向けて共通政策づくりの議論を加速させる方針を確認した。会合開催は昨年11月以来。

 立民の福山哲郎幹事長は「安倍政権に代わる選択肢を提示する責任がある。行動に移し、うねりをつくる段階に来ている」と強調。4党が競合しない小選挙区については、協力して選挙準備を始めることも提案した。会合後、記者団には「選挙はいつあるか分からない。速度を上げなければいけない」と語った。

 参加したのは立民、国民、共産、社民の4党。

(共同)
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私見

 以上の記事は東京新聞デジタル版。新聞は、少し内容が違う。
「れいわ新選組」の記述が皆無。前回、今回と都合がつかず欠席、とある。
私は「市民と野党の本気の共闘」を主張する日本共産党と、京都市長選や参院選でも共闘したれいわ新選組に共感をもつ。
前回の都知事選でも、旧民進党はいきあたりばったりで、宇都宮健児氏の共産党への不信感を一気に高めた。
立民党は、立党のときの日本共産党が自党候補を全面的におろして立民フイーバーで躍進したことをすっかり忘れている。もとの民進党に逆戻りしている。
「市民と野党の本気の共闘」を共産党以外で考えているのはれいわ新選組だ。
また緑の党、新社会党はよびかけられもしていない。

この枠組みでも政権へつながる衆院選へ一歩踏み出したことは、意義はある。同時に各政党の実際をよく見ることだ。

現実の具体的なテレビ界における国民教化の実際と異議申し立て ~リテラの報道に即して~

2019-09-03 19:55:33 | 転載と私見
櫻井 智志
第Ⅰ部 現実の具体的なテレビ界における国民教化の実際
~玉川徹がワイドショー嫌韓報道の舞台裏を告発!「専門家が『他局では韓国に厳しいことを言ってくださいって言われる』と」2019.09.03 06:58リテラ~
序章
第一章【玉川徹が「「韓国に厳しいことを言ってください」って言われる」という専門家の証言を明かす】
第二章 【武田邦彦・東国原英夫のヘイト暴言を生んだワイドショーの責任】
第三章【日韓対立を仕掛けた安倍政権の責任や歴史修正主義を検証するテレビは皆無】
第四章【 テレビでリベラル発言が後退する一方、韓国ヘイトはエスカレート】
第Ⅱ部 異議申し立て   櫻井智志

写真:玉川氏が『大竹まこと ゴールデンラジオ!』でワイドショーのヘイト構造に言及!(文化放送HPより)


第Ⅰ部:玉川徹がワイドショー嫌韓報道の舞台裏を告発!「専門家が『他局では韓国に厳しいことを言ってくださいって言われる』と」2019.09.03 06:58リテラ
https://lite-ra.com/2019/09/post-4942.html

序章
 狂ったように嫌韓報道を連日続けているワイドショー。そんななか、2日放送『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)の日韓対立をめぐる特集のなかで、気になるやりとりがあった。
 番組後半の「ショーアップ」コーナーで、訪日している韓国人への街頭インタビューを特集したのだが、コーナー前の予告で、「さらにこんなデマも!」というナレーションで煽り、大阪観光に訪れていた韓国人女性のこんな発言を紹介した。
「韓国人に暴行を加えるという情報がネットで流れているので…」
 CMをまたいで本編が始まると、「韓国人に暴行を加えるという情報がネットで流れているので、父が訪日を心配していました」と女性が語る映像があらためて流されたあと、コーナーを仕切る野上慎平アナが「正直言って暴行事件のこともあり来る前は心配したが、実際に来てみたら、日本人は親切で全然心配いらなかった」という女性のコメントを読み上げ紹介すると、羽鳥慎一は「そりゃそうですよね、暴行しないでしょ」と暴行などありえないと言った感じで苦笑。野上アナも「考えてみればそうなんですけど、そういう気持ちや心配が韓国国内ではあった。でも、来る前と来てみた後では反応が違った」と解説し、まるで「韓国人に暴行が加えられるという情報」という女性のコメントを韓国の過剰な被害妄想か何かに基づいたデマのように扱った。
 すると、ここで、玉川徹がこんなツッコミをした。
「でも、だって、テレビ番組で『暴行したほうがいい』とか言ってる人、出てんじゃん。日本のなかで」
 
 羽鳥が驚いたように「暴行したほうがいい!?」と聞き返すと、石原良純が「あれは特異な発言」と玉川を諌めるが、玉川は続ける。
「誰とは言いませんけど、どの番組とは言いませんけど、羽鳥さんが(夏休みで)いないときに、そういうふうな発言があったんです。日本で」
「へええ」「に、日本人が暴行したほうがいいって?」と驚く羽鳥に、良純が「ひとり、そういう人がいた」、玉川が「そういうニュアンスのことを」とそろって認めると、ようやく野上アナも「まあ、その番組自体で謝罪というか訂正するような声もありましたけどね」「そういうことも、あるはあったんですけどね」と認めたものの、それ以上この問題が掘り下げられることはなく、コーナーは進んだ。
 誰もどの番組の誰とは明言しなかったが、これは明らかにTBS系ワイドショー『ゴゴスマ〜GOGO!Smile!〜』(CBCテレビ)での武田邦彦・中部大学教授の「日本男子も韓国女性を暴行しなけりゃ」というヘイトクライム煽動発言のことだ。
 しかも実際、武田のヘイト発言動画は韓国語訳とともにSNSで拡散しており、韓国人のあいだで広く知られていても、まったくおかしくない。
 にもかかわらず、玉川の指摘がなければ、まるで「韓国人に暴行を加えるという情報がネットで流れている」というのがまったくのデマで、韓国では被害妄想で無根拠のデマが流されているという誤った印象を視聴者に植えつけた可能性が高い。
 そもそも顔出しNGの人も多かったなか顔出しで街頭インタビューに応じてくれた韓国女性の発言に「こんなデマも!」というナレーションをつけて放送する演出も、女性が「デマを吹聴している」などと誤った印象を与え、一歩間違えば女性に対するなんらかの危害を誘発しかねない危険なものだ。
 このコーナー自体は日韓両国の市民に悪感情はなく日韓交流は大切という趣旨だったが、こうした一見差別的ではなさそうなコーナーですら、このようにディテールでつくり手の韓国ヘイトがダダ漏れになり、無自覚に韓国ヘイトを拡散・煽動しているのだ。
 いまのワイドショーがいかに嫌韓脳に毒されているかが、よくわかるだろう。

第一章【玉川徹が「「韓国に厳しいことを言ってください」って言われる」という専門家の証言を明かす】
 そういう意味では、『ゴゴスマ』で、白昼堂々、武田教授が「日本男子も韓国女性を暴行しなけりゃ」とヘイトクライム煽動発言をしたり、東国原英夫が金慶珠教授に「お前は黙っとけ」「嫌いだよ、俺は!」と韓国ヘイト・ミソジニーのダブルヘイト発言をぶつけたりという異常な事態が起きたのも、武田教授や東国原の個人的な資質の問題だけではない。
 実は今回、『モーニングショー』で武田教授のヘイトクライム煽動をチクリとやった玉川徹だが、先日、ラジオでこの問題にもっと深く踏み込み、番組の責任にまで言及していた。
 それは8月30日放送の『大竹まことゴールデンラジオ』(文化放送)でのこと。同番組の金曜日レギュラー・室井佑月が旧知の間柄ということもあり、玉川がゲストで登場した。
 その番組中盤、アシスタントの太田英明アナが、『ゴゴスマ』での武田教授の「日本男子も韓国女性を暴行しなけりゃ」というヘイトクライム煽動発言について説明。室井も「その2日後に東国原(英夫)さんが、きょう玉ちゃんの番組(『モーニングショー』)に出てた金(慶珠)さんに対して『黙れ』って。この野郎みたいなこと言っちゃったんだよね」と同じく『ゴゴスマ』での東国原の金慶珠に対する韓国ヘイト・女性蔑視発言についても補足した。
 すると、『ゴゴスマ』でのヘイト発言について玉川がこんな指摘をしたのだ。
「もしかしたら番組が煽っているんじゃないですかね」
「うちの番組はそうじゃないんですけど、さっきも言ったように、制作側がね、けしかけているところが、どうもあるらしいんですよ。出演者をね」
 実は、この話題の少し前に、玉川が『モーニングショー』における自身の立ち位置について、局の代弁ではなく多様性の担保のため自由に発言していると説明するなかで、『モーニングショー』では玉川自身もゲストも発言が自由だとしたうえで、こんな裏話を明かしていた。
「ゲストの方は、ほかの番組だと『こういうことを喋ってください』とか、いまのこの、韓国のね、この問題でも、『こういうことを喋ってください』って、いうふうに言われるらしいんですよ。
 僕ね、ちょっと名前は出せないんですけど、うちの番組に出ていただいた専門家の方がね、『他局の場合は韓国に厳しいことを言ってください』って言われるんですって。局の、なんていうか、演出というか方針らしいんですよ。で、彼はそういうの好きじゃないから、事実だけを述べて、なんとかそれを回避するようにしてるんです、って話をしてくれたんですよ、僕に」


第二章 【武田邦彦・東国原英夫のヘイト暴言を生んだワイドショーの責任】
 今回の『ゴゴスマ』での武田・東国原のヘイト発言の背景について、実際にそうした指示があったかどうかはわからないとしたうえで、そういう下地があることが暴走を生んでいるのではないか、と玉川は分析したのだ。
 これに対して室井は「でもけしかけられてだよ、あたし、ないけど、けしかけられたことって、女優じゃないのにできる?」と疑問を呈し、大竹まことも「それはバラエティでしょ。バラエティだったら大竹さん、ちょっとヒールお願いしますよ、わかりました。やりますよ、いつもより厳しめにヒールを、って。バラエティだよ、それ」「けしかけられたとしてもさ、そういうふうに自分が思われるわけでしょ。その人が。それはその人の全能というか全方向性を自分で否定してることになるじゃない」と、にわかには信じがたいというような反応を見せていた。
 たしかに自分がまったく思っていないことや真逆のことを、番組側の明確な指示により俳優のように演じるというのは、陰謀論めいているところもあり想像しづらいだろう。
 また、今回の『ゴゴスマ』に関しては、そもそも武田教授はヘイト番組の常連だし、東国原もミソジニー発言が散見される人物。両氏の今回のヘイト暴言は、番組の指示があったからというより、本人たちの思想や感情・生理の表出であることは明らかだろう。
 しかし、明確な指示などはなくとも、玉川が指摘したとおり、武田・東国原ヘイト発言の背景に、現在のワイドショーが暴走を許している、煽っている構造があることは、間違いない。
 思ってもいないことを言ったり、演じたりはしていなくとも、たとえば、本当は思っていることを言わない、両論併記ふうなエクスキューズを付けて発言する、自分の意見ではなく他人の意見の伝聞として語る、といった方法で発言の強弱を調整しているコメンテーターはいくらでもいるだろう。
 実際、「韓国に厳しいことを言ってください」と言われたことがあると玉川に明かしたコメンテーターも、「事実だけを述べて、なんとかそれを回避する」と話していたという。
 しかしそのときに取捨選択されている事実というのは、韓国を批判するための事実であって、たとえば「輸出管理に関して国際機関から日本も問題を指摘されている」とか、「個人請求権は消滅していないと日本政府も認識を示してきた」とか、「対韓国輸出規制が参院選にぶつけて実施された」とか「輸出規制は徴用工判決に対する報復措置であると安倍首相みずから発言している」とか「日本軍『慰安婦』が存在し人権を蹂躙されたことは事実」「安倍首相は歴史修正主義者である」といった、日本政府に都合の悪い事実や日本による植民地支配や加害責任を認めるような事実は含まれていないだろう。

第三章【日韓対立を仕掛けた安倍政権の責任や歴史修正主義を検証するテレビは皆無】
 また、コメンテーター自身がそうした事実や日本側の問題点について発言しようにも、そもそも番組のトピックの立て方じたいが、韓国だけを一方的に批判する文脈でつくられている。
 現在の日韓対立は、本サイトでも先日検証したように(https://lite-ra.com/2019/08/post-4923.html)、すべて安倍政権の仕掛けから始まっているが、そうした見方に基づいた検証も指摘も、この間テレビでお目にかかったことは一度もない。普段は両論併記や中立の建前にあれだけ固執し、韓国側の問題点を並べ立てる報道は連日これだけ溢れているのに、だ。
 たとえば、反日デモのひどい様子や韓国政治家の過激発言のVTRや詳細なパネルは用意されていても、日本の嫌韓デモや日本の政治家の韓国ヘイト発言はまったく取り上げられない。また、日韓対立の根本的な原因は、安倍政権の嫌韓政策と歴史修正主義にあるが、そうした歴史問題をきちんと検証するようなトピックもパネルもフリップもVTRも用意されていない。
 日本政府に批判的なコメントや韓国に理解を示すようなコメントをした者が、次第に呼ばれなくなったりいつのまにか降板させられたりし、一方で韓国批判でどれだけ暴走してもなんのお咎めもない。
 明確な指示はなくとも、こうした状況を客観的に見れば、番組の求めているコメントがどういうものかは誰でもわかる。
 そんななか、残り少ないリベラルなコメンテーターたちも、嘘はつかなくとも、空気を読み、許される範囲を推し量りながら喋っている。日韓対立問題について、いま日本のテレビ番組やワイドショーやニュース番組で流されるいちばんギリギリのまともなコメントは、せいぜい「韓国政府にも日本政府にも責任がある」「韓国市民と文在寅政権は別と考えなくてはいけない」などの、“どっちもどっち論”レベルにすぎない。
「嘘は言ってない」「どっちもどっち」というエクスキューズ。大手メディアがこれを長年繰り返してきた結果、「韓国政府も日本政府もどちらも問題がある」という中途半端な“どっちもどっち”論でお茶を濁す程度で、よく言ったと言われるようなところまで後退しているのが、現在の言論状況だ。
 しかも、その程度の“どっちもどっち”発言ですら、コメンテーターたちは「韓国の味方をした」と炎上にさらされる。それでも、そうした発言すら、テレビからなくなってしまうよりはマシだという思いのコメンテーターもいるだろう。


第四章【 テレビでリベラル発言が後退する一方、韓国ヘイトはエスカレート】
 リベラルなコメンテーターたちが後退を強いられる一方で、逆に韓国バッシングに関しては、完全にタガが外れていて、エスカレートする一方。「嘘はついてない」というのも、もはや怪しいレベルで、韓国に関するニュースなら、平気でデマも垂れ流されている。
「NO安倍」と掲げられた「反安倍デモ」を「反日デモ」と報じたり、「ホワイト国除外」を閣議決定した際、韓国の文在寅大統領が使った「賊反荷杖」という四字熟語について、せいぜい「悪いのはあなたでしょ」程度の言葉にもかかわらず、日本マスコミは一斉に「盗人猛々しい」と訳し、その後毎日新聞などがその“誤訳”を指摘しても、各局ワイドショーはいまだに何週間も前のこの発言に「盗人猛々しい」とテロップ付きで繰り返し流している。
 さらに、韓国に詳しい専門家として引っぱりだこの人間も、『韓国人に生まれなくてよかった』などというヘイト本を出している武藤正敏・元駐韓大使のような輩ばかりだ。あからさまな韓国蔑視や、韓国右派の受け売りのトンデモ陰謀論まがいの為にする文在寅批判を垂れ流している。
 いまの日本の嫌韓感情の爆発は、安倍政権が完全にタガが外れた状態で嫌韓を煽っていることにあるが、テレビはその安倍政権の韓国ヘイト政策を支える共犯者に成り下がっている。本来、テレビの報道に必要なのは、久米宏が指摘したように「国民がやや暴走するようなときにそれを抑える」こと、「世論をなだめる」ことのはずだ。ところが、ワイドショーは揃って韓国叩きに精を出して視聴者の劣情を煽るだけ。世論が嫌韓一色だから、多少のデマや暴言も構わないと踏んでいるのだろう。
 その果てに生まれたのが、武田教授のヘイトクライム煽動発言であり東国原の韓国ヘイト・ミソジニー暴言パワハラ実況だ。しかも、そうした発言が、その場で謝罪も撤回もされず許容されてしまうほど感覚が麻痺している。
 こうした感覚麻痺は、武田教授や東国原、『ゴゴスマ』に限ったことではない。本サイトで度々批判している『ひるおび!』(TBS)や『大下容子ワイド!スクランブル』(テレビ朝日)の嫌韓報道も『ゴゴスマ』に負けず劣らずひどいものだし、比較的まともな番組ですら、冒頭の『モーニングショー』のように、無自覚な韓国ヘイトを撒き散らしている。
 いま日本の大手メディアのやっていることは、ルワンダ大虐殺を煽動した「千の丘ラジオ」と変わらない。メディアに携わる者は、そのことを自覚するべきだろう。
(リテラ編集部)

第Ⅱ部 異議申し立て   櫻井智志
 このような事態に危惧を覚える。
① テレビメデイアの国民意識のコントロール
② 国民の言論や心理の「空気」の醸成

 ①は、国民に一方的情報を与え続けて、実際の事実とはかけ離れた情報のもつ危険である。戦時中に「大本営発表」は、「満州事変」「日中事変」以降のアジア15年戦争でも、真珠湾攻撃以来の太平洋戦争でも、初期の戦争成果を大々的に国民に報道した。だがじきにアジアの抵抗やアメリカの物量の圧倒的差異に、しだいに敗色は濃厚となり、決定的惨敗・玉砕事態でも、大本営発表という名の報道は止まなかった。
 ついに沖縄戦の惨劇事態や広島・長崎への核兵器投下という惨い事態になって、支配層は事態を糊塗できなくなった。
 ②は、和辻哲郎の『風土』、戦後の山本七平の『空気』の概念に近いのかも知れない。しだいに、日本人は意思表示することよりも、その場の雰囲気を察して、自分を適応させることを優先させることを行動の原理とする国民となっていた。明治期でも、自由民権運動が弾圧され、明治天皇暗殺というでっち上げの「大逆事件」により、幸徳秋水らの死刑がなされると「冬の時代」(石川啄木)が続くようになる。
 「空気」という場の雰囲気が、庶民自身の自己規制fとして、長く続く。権力の横暴への「笑い」も、権力に阿り権力に媚びることで、社会的弱者や社会的少数派をいじり、いびり、虐めることで歪んだ嗤いを、世間の風潮に見ることが,安倍¬=令和時代はいっそう際立つ。
 私たちがふだん日常的に見る芸能やテレビの芸能ワイドショー、ニュースに、第一部リテラ転載の《玉川徹がワイドショー嫌韓報道の舞台裏を告発!「専門家が『他局では韓国に厳しいことを言ってくださいって言われる』と」》が詳細」に伝えるように、日本社会は公私・硬軟・聖俗のすべてに、確実な変貌をとげている。
 権力に批判を示すことだけでなく、政権政治権力にとって否とみなされた庶民・市民は、放送マスコミの世界から追放されてきた。
前田武彦・・「夜のヒットスタジオ」司会者、放送作家、気象予報士
西山太吉・・新聞記者。沖縄返還時の日米密約を暴露、これは米公文書公開で事実と公認される。
岸井成格、国谷裕子・・TBS、NHKの代表的キャスターは安倍晋三自民党総裁首相に反感をもたれ番組降板
論と表現は蝕まれていく。
 さらに残念なことは、反権力にたつ政治団体・政党、反権力の場にたつメデイアの人々の中でも、この問題に自覚的に認識したとは言えない傾向は部分的にあるということである。
 それら反権力側の部分的傾向も悪用して、安倍自民党政権に代表される《好戦勢力》は、日本国民と自らが支配権を握る日本国家を、国際社会で戦後憲法とそれに立脚した民主的、平和的な政治・運動・貢献によって占めた名誉ある平和・立憲国家の座を、いま、かなぐり捨てている。-了―