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本はスベテをカタル

何気なく手にとった本を読んで、人生についてほんの少しだけ考えてみる。

重松清/熱球

2007-12-09 21:20:36 | 重松清

重松清/熱球 (新潮社)
おすすめ度:★★★☆☆

20年前、町中が甲子園の夢に燃えていた。夢が壊れたとき捨てたはずの故郷に戻った悲運のエースは38歳、目下失業中。父と、小学5年の娘と3人の同居生活がはじまった。留学中の妻はメール家族。とまどう日々で見つけたあふれる思いとは。

あっさりしてるなあ、ってのが感想。
良く言えば、読みやすいけど、
悪く言えば、物足りない。かなあ。

でも、良い話しです。泣けます。

毎年1回戦で負けるような弱小野球部を、ずーっと、何十年も
ネット裏で応援し続けてくれたザワ爺。

試合が終わると、勝っても負けても(負けの方があっとうてきに多い)
「ようやった。ようがんばった。」
と言って泣いてくれたザワ爺。

高校野球は、甲子園で優勝する高校以外は、必ず負ける。
負けるのが高校野球、スポーツなんだよな。

もしかしたら、人生も同じなのかもしれないね。

勝つことの大切さと負けることの大切さ。

きっと、ザワ爺が教えてくれますよ!

重松清/いとしのヒナゴン

2007-09-23 00:11:53 | 重松清

重松清/いとしのヒナゴン (文藝春秋)
おすすめ度:★★★★★

謎の類人猿ヒナゴンが目撃されてから三十数年。昭和の記憶と思われていた怪物騒動がふたたび甦った! 伝説の悪ガキ「イナゴのイッちゃん」を町長にいただく比奈町は、さっそく類人猿課を再設置したが、目撃情報をよせる地元の老人たちはヒナゴンより孫代わりの話し相手が欲しいらしく……。ハートウォーミングな痛快長篇小説。

謎の類人猿ヒナゴン?類人猿課を再設置?
重松清にはめずらしく、かる~い感じのコメディーなのかなって
読んでみたんだけど、、、
いやいや、重松さんはそんなに甘くないですね。
やっぱりイイ小説書くなあ~。

過疎化のすすむ田舎町の合併問題。
田舎町の良い部分と嫌らしい部分。
切ないくらいに伝わってくる。
切ないけど、でも温かい。。。それが田舎なのかな。

田舎を離れて都会へ出る若者と田舎に残る若者。
彼らのリアルな気持ちが憎らしいほどに描かれてます。

いやいやほんとにイイ作品でした。

重松清/カシオペアの丘で

2007-07-17 21:26:23 | 重松清

重松清/カシオペアの丘で (講談社)
おすすめ度:★★★★★

肺の腫瘍は、やはり悪性だった――。40歳を目前にして人生の「終わり」を突きつけられたその日、俊介はテレビ画面に、いまは遊園地になったふるさとの丘を見つける。封印していた記憶が突然甦る。僕は何かに導かれているのだろうか……

文庫になるまで待てませんでした。
で、、、最高でした!!
確かに、クドイ部分もあったけど、泣かせるのが見え見えだったけど、
それでもイイじゃない!!間違いなく傑作です。

死ぬ前に家族にどんな言葉を残せばいいのか、
その答えを見つけるために、俊介は、一度は捨てた故郷に帰ります。
恨み続けた祖父との再会。
そして、その祖父も、もうじき死を向かえようとしています。
そこで得た答えとは。。。

「許す」「許される」というのがこの小説のテーマになってます。
許す人、許される人、許したい人、許されたい人、、、

許されたいのに、許されないまま死んでいくのと
許したいのに、許せないまま死んでいくのとでは、どっちが苦しいのかな。

やっぱり重松清の作品は、ただ涙を誘うだけじゃなくって、
重~い課題を掲げますね。

ここからは小言です、、、

ほんと、何度泣きそうになったかわかんないよ。
外で読んでるときは、涙を堪えるのに必死だった、、、はは。
俊介が息子の哲生に病気を打ち明けるところのくだりは、マジでやばかったよ。

重松清/卒業

2007-07-16 00:22:03 | 重松清

重松清/卒業 (新潮社)
おすすめ度:★★★★★

「わたしの父親ってどんなひとだったんですか」ある日突然、十四年前に自ら命を絶った親友の娘が僕を訪ねてきた。中学生の彼女もまた、生と死を巡る深刻な悩みを抱えていた。僕は彼女を死から引き離そうと、亡き親友との青春時代の思い出を語り始めたのだが―。悲しみを乗り越え、新たな旅立ちを迎えるために、それぞれの「卒業」を経験する家族を描いた四編。著者の新たなる原点。

「卒業」という言葉にどんな印象を抱いてるでしょうか。
別れ、旅立ち、区切り、、、
いずれにせよ、明るい未来への出発点であってほしいと俺は願っています。

さて、重松清の「卒業」のテーマは、親の死です。
いずれ訪れるであろう親の死から卒業したときに、
そこに何が残り、そこから何が始まるのでしょうか。

俺のところは幸いにも、まだまだ両親は健在で、
年齢的に考えても、俺が「卒業」するのは、まだまだ先なんだろうけど、
人生何があるかわかんないし、
出来るうちに思いっきり親孝行したいなって思いました。

この小説はどの世代の人にもオススメしたです。
青春真っ只中の人。
結婚して新たな家庭を持ち始めたばかりの人。
いままさに卒業を迎えようとしている人。
それぞれの世代にそれぞれのメッセージを残してくれると思います。

重松清/くちぶえ番長

2007-07-05 22:59:07 | 重松清

重松清/くちぶえ番長 (新潮社)
おすすめ度:★★★☆☆

小学四年生のツヨシのクラスに、一輪車とくちぶえの上手な女の子、マコトがやってきた。転校早々「わたし、この学校の番長になる!」と宣言したマコトに、みんなはびっくり。でも、小さい頃にお父さんを亡くしたマコトは、誰よりも強く、優しく、友だち思いで、頼りになるやつだったんだ―。サイコーの相棒になったマコトとツヨシが駆けぬけた一年間の、決して忘れられない友情物語。

重松清は児童書を書いても一級品ですなあ。

ほのぼのしてて良いですね。
ボリュームもそんなにないし、あっという間に読めるので、
あまり本を読まない人にもオススメです。

なつかし~くって、良い思い出に浸れますよ~。

重松清といえば、いま「カシオペアの丘で」が出てるね。
ひさびさの長編だし、早く読みたいんだけど、
単行本で2冊というのは、、、なかなか手が出ないよ~。

重松清/小さき者へ

2006-07-17 23:50:07 | 重松清

重松清/小さき者へ (新潮文庫)
おすすめ度:★★★★☆

お父さんが初めてビートルズを聴いたのは、今のおまえと同じ歳―十四歳、中学二年生の時だった。いつも爪を噛み、顔はにきびだらけで、わかったふりをするおとなが許せなかった。どうしてそれを忘れていたのだろう。お父さんがやるべきこと、やってはならないことの答えは、こんなに身近にあったのに…心を閉ざした息子に語りかける表題作ほか、「家族」と「父親」を問う全六篇。


「はぁ~」思わずため息がでちゃいます。
「家族」の小説を書かせたら、右に出る者はいないですね。

全六篇の中で、俺が一番印象に残ったのは、やはり「小さき者へ」ですね。

息子の前で、苛立ちを覚えてしまう父親。
息子の前で、優しくしてしまう父親。
息子の前で、本音が言えない父親。
その息子へ父親が綴った「読まれることのない手紙」。

手紙には父親から息子への本当の気持ち、伝えたい言葉で埋め尽くされている。
世の中の息子達よ。父親はこんなにも「あなた」のことを想っているのだ。

まあ、ちょっと重~いけどね。。。

あと、好きなのは「団旗はためくもとに」かな。
これはけっこうほのぼのしてて良い感じです。


重松清/トワイライト

2005-12-24 22:47:17 | 重松清

重松清/トワイライト (文春文庫)
おすすめ度:★★★☆☆

小学校の卒業記念に埋めたタイムカプセルを開封するために、
26年ぶりに母校で再会した同級生たち。
夢と希望に満ちていたあのころ、未来が未来として輝いていたあの時代・・・。
しかし、大人になった彼らにとって、夢はしょせん夢に終わり、
厳しい現実が立ちはだかる。
人生の黄昏に生きる彼らの幸せへの問いかけとは?

希望に満ち溢れていたあの頃。
26年経ったいまは・・・。

のび太と呼ばれていた天才少年は、リストラ寸前。
ジャイアント呼ばれていたガキ大将は、妻と娘に見放され、
ジャイアンの妻となった、しずかちゃんと呼ばれた少女は、
ただ弱いだけの女性だった。

理想と現実はあまりに違い過ぎる。
あの頃の21世紀はもっと輝いていた・・・。

俺はどうだったんだろうって振り返ってみようとしたけど、
まだ振り返るには、ちょっと早すぎるかなって思いとどまってみた。
ちょっと読むには早すぎたかなっていうのが率直な感想です。
まだちょっと感情移入は出来なかったですね。

もう少し時が経って、
過去を振り返る時がきたら、もう一度、読みたいですね。
今とはちがった感覚で読めるような気がします。

重松清/口笛吹いて

2005-12-15 23:16:56 | 重松清

重松清/口笛吹いて (文春文庫)
おすすめ度:★★★★☆

偶然再会した少年の頃のヒーローは、その後、負けつづけの人生を
歩んでいた。もう一度、口笛の吹き方を教えてくれたあの頃のように
胸を張って笑って欲しい―。
家庭に職場に重荷を抱え、もう若くない日々を必死に生きる人々を
描く五篇を収録。
さり気ない日常の中に人生の苦さをにじませる著者会心の作品集。

作品自体は決してハッピーエンドではないけど、
自分の中でハッピーエンドとなるような続きを考えたくなるような作品です。

5つの物語の中で、個人的に気に入ったのは「かたつむり失踪」かな。
会社をリストラされて、曾孫会社に勤めることになった父親と
高校生の息子のお話しです。

その中で、息子がリストラされた父親について語っている部分で
ちょっと印象に残った箇所があって、
同じ箇所を解説で嘉門達夫さんも書いてたので、「おおっ」って感じでした。


親父も仕事の合間にオレの学校を見たりするんだろうか。
「浩樹、勉強がんばれよ、お父さんも仕事がんばってるからな」
なんてつぶやいていたら、嫌だ。
親父ならマジにつぶやきかねないと思うから、もっと嫌だ。
前向きになんてならなくていいのに。
もう負けたんだから、やる気をなくしたってもいいし、
落ち込んでもいいし、愚痴ってもいいし、
家族に八つ当たりするのだって、まあ、許す。
オレはまだガキだからなにもできないけど、
負けた親父を笑ったり嫌ったり軽蔑したりするような
バカじゃないつもりなのに。


子供は大人が思っている以上に、物事をちゃんと理解してるよ。
ただ、表現が下手なだけなんだよね。
でも、表現が下手なのは大人も同じかな。

重松清/カカシの夏休み

2005-12-13 21:12:08 | 重松清

重松清/カカシの夏休み (文春文庫)
おすすめ度:★★★★☆

ダムの底に沈んだ故郷を出て二十年、旧友の死が三十代も半ばを過ぎた
同級生たちを再会させた。帰りたい、あの場所に―。
家庭に仕事に難題を抱え、人生の重みに喘ぐ者たちを、
励ましに満ちた視線で描く表題作始め三編を収録。

この小説は作品集なんだけど、全三編なので、
ひとつひとつにそれなりのボリュームがあります。

家族、父親、いじめ、自殺・・・
実に重松清らしい作品集ですね。

個人的には三編目の「未来」が印象的でした。

主人公の少女は高校生の時、自殺予告の電話を掛けてきた
クラスメートの自殺を止めることが出来ず、
周りから非難を受け、泣くことも笑うことができなくなってしまった。
そして、今度は彼女の弟が、いじめで自殺したクラスメートの遺書に
いじめの加害者として名前が載っていた。

マスコミから非難を受ける弟、両親を彼女の視点で描いた作品。

毎度のことながら、重松清の世界は「リアル」ですね。

重松清/見張り塔からずっと

2005-12-06 23:26:11 | 重松清

重松清/見張り塔からずっと (新潮文庫)
おすすめ度:★★★☆☆

発展の望みを絶たれ、憂鬱なムードの漂うニュータウンに暮らす一家がいる。
1歳の息子を突然失い、空虚を抱える夫婦がいる。
18歳で結婚したが、夫にも義母にもまともに扱ってもらえない若妻がいる…。
3組の家族、ひとりひとりの理想が、現実に浸食される。
だが、どんなにそれが重くとも、目をそらさずに生きる、僕たちの物語―。
「カラス」「扉を開けて」「陽だまりの猫」。

この作品は「夫婦」をテーマにした3つの物語です。
「夫婦」をテーマといえば、この前に紹介した『リビング』もそうなんだけど、
雰囲気はちょっと、いや、まったく違うかも・・・。

この作品は、どれもこれも話しが重いし暗い。
中でも一番重くて暗いのは1話目の「カラス」かな。
あまりに現実的で、ありえないだろうと思うけど、ありえそうで怖い。

「カラス」
バブル崩壊とともに地価はどんどん下がっていくニュータウン。
そこへ、1千万近く安い値段で家を購入した家族が引っ越してきた。
そして陰湿な「いじめ」が始まる・・・。

「お宅のお買いになったときから比べると、千5百万円値下がりですね。
でも、よかったんじゃないですか?これくらい下がって。
今度入る人の、いじめ甲斐があるでしょう。
千5百万ですよ。1千万であれだったんだから、千5百万なら・・・ねえ」

「でも・・・新しい人が入ってこなかったら、今度は誰になるんですか?」
「お宅は、だいじょうぶだといいですね」