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本はスベテをカタル

何気なく手にとった本を読んで、人生についてほんの少しだけ考えてみる。

貴志祐介/硝子のハンマー

2008-03-10 23:25:38 | か行

貴志 祐介/硝子のハンマー (角川書店)
おすすめ度:★★★★☆

日曜日の昼下がり、株式上場を間近に控えた介護サービス会社で、社長の撲殺死体が発見された。エレベーターには暗証番号、廊下には監視カメラ、窓には強化ガラス。オフィスは厳重なセキュリティを誇っていた。監視カメラには誰も映っておらず、続き扉の向こう側で仮眠をとっていた専務が逮捕されて・・・・・・。弁護士・青砥純子と防犯コンサルタント・榎本径のコンビが、難攻不落の密室の謎に挑む。

貴志祐介さんの待望の文庫化。
前に読んだのは「青の炎」だったかな。あれは傑作だったな。
「黒い家」とかホラー物も良いけど、ミステリーもやっぱり良いね!

さてさて、本作は、本格ミステリーです。
しかもミステリーの定番中の定番、密室モノです。

この物語は探偵側と犯人側の二部構成で話しが進みます。
なかなかイイ構成で面白いなあって思いました。

探偵はちょっと変わった個性的は合鍵屋(?)です。
最近、こういう個性的なキャラって多いよね。
インザプール・空中ブランコの伊良部先生だったり、
今話題、チームバチスタの白鳥だったりね。

この探偵と弁護士さんのコンビはシリーズ化しても面白いかも。

海堂尊/チーム・バチスタの栄光

2007-12-15 13:20:14 | か行

海堂尊/チーム・バチスタの栄光 (宝島社)
おすすめ度:★★★★☆

東城大学医学部付属病院では、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術の専門チーム「チーム・バチスタ」を作り、次々に成功を収めていた。ところが今、三例続けて術中死が発生している。しかも次は、海外からのゲリラ少年兵士が患者ということもあり、マスコミの注目を集めている。そこで内部調査の役目を押し付けられたのが、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者・田口と、厚生労働省の変人役人・白鳥だった……。

待望の文庫化!
単行本を何度買おうと思ったことか。

読んだ印象としては、かなり読み安いミステリーだったかな。
コテコテな医療系で、分からない医療用語とがかバンバン出てくるのかな
と思ってたんだけど、
そんなことなくって、ほどよく良いかんじでしたね。

そうそう、今度、映画化されるね。
田口は小説だと男だけど、映画は竹内結子さんなんだよね。
ちょっと興味あるな。
ただ、田口は出世を望まない万年講師っていう設定なんだけど、
竹内結子さんは、なんかキャリアウーマンってイメージがあるから、
そのへんはどうなるんだろう?

熊谷達也/邂逅の森

2007-08-13 21:08:27 | か行

熊谷達也/邂逅の森 (文藝春秋)
おすすめ度:★★★★☆

秋田の貧しい小作農に生まれた富治は、伝統のマタギを生業とし、獣を狩る喜びを知るが、地主の一人娘と恋に落ち、村を追われる。鉱山で働くものの山と狩猟への思いは断ち切れず、再びマタギとして生きる。失われつつある日本の風土を克明に描いて、直木賞、山本周五郎賞を史上初めてダブル受賞した感動巨編。

すごい!!そのひとことに尽きる。
「マタギ」富治の壮絶な生涯を描いた超大作、
直木賞、山本周五郎賞のダブル受賞も納得です。

この本を読むまでは、マタギって言ったら、熊を獲って生活してる人
っていうイメージしかなくって、(はずかしながら、、、)
よくわかんないし、マタギの生涯を描いた作品は面白いんだろうか??と、
半信半疑で読み始めました。
まあ、直木賞と山本周五郎賞をとってるだしって。

ところが、読み始めてみると、
なんとなんと、惹きこまれること、惹きこまれること!!

まさに、「これぞ小説!!」とう作品に出会えて幸せでした。


さてさて、ここからは余談ですが、
マタギといえば、「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」で、
くじらがやってましたね。(くじら、めちゃ~好き)

マタギスターシリーズ

・「『頭撃ちの松』でおなじみ」鈴木松治
  「しっ!話すな。熊だ!・・・お手柄だね」

・「俺の前では熊の方が死んだフリをする」大滝国吉
  「みんな、熊をマツバに追い詰めるぞ。ホーッホ、ホーッホ。ケーン!行ったぞー!撃てー!」

・「熊の生息地域に看板を立てておけ”俺出没注意”と」松橋金蔵
  「足場が悪い!気をつけろ!出やがったな熊っこぉ!ショーブー×3」

ではでは、、、

小杉健治/父からの手紙

2007-07-26 22:43:02 | か行

小杉健治/父からの手紙 (光文社)
おすすめ度:★★★☆☆

家族を捨て、阿久津伸吉は失踪した。しかし、残された子供、麻美子と伸吾の元には、誕生日ごとに父からの手紙が届いた。十年が経ち、結婚を控えた麻美子を不幸が襲う。婚約者が死体で発見され、弟が容疑者として逮捕されたのだ。姉弟の直面した危機に、隠された父の驚くべき真実が明かされてゆく。完璧なミステリー仕立ての中に、人と人との強い絆を描く感動作。

「父親の愛がもたらす、深い感動」って説明書きがあったから、
どんだけ感動するんだろう!!って期待して読んでたんだけど、
う~ん、それほどではなかった。。。
俺がまだ子供もいない(嫁もいないけど)若輩者だからなのかな、、、

話しの内容はけっこう楽しめるミステリー仕立てです。
ちょっと勘を働かせると、途中でネタはわかっちゃうんだけどね。
本格ミステリーをお望みの人には、少し物足りないかも。

ただ、最後の父からの手紙は、かなり感動しました。
泣きそうになりました。
いや、家で一人で読んでたら確実に泣いてたね。

桐野夏生/ダーク

2006-06-07 23:41:24 | か行

桐野夏生/ダーク (講談社文庫)
おすすめ度:★★☆☆☆
 
「私の中の何かが死んだ」出所を心待ちにしていた男が四年前に獄中自殺していた。何も知らされなかった村野ミロは探偵を辞め、事実を秘匿していた義父を殺しにいく。隣人のホモセクシャルの親友。義父の盲目の内妻。幼い頃から知っている老ヤクザ。周囲に災厄をまき散らすミロを誰もが命懸けで追い始めた。


探偵「村野ミロ」シリーズの続編。

そもそも、シリーズを読んでなくて、いきなりダークから入ったせいか、
イマイチ乗り切れず。。。

この後に「顔に降りかかる雨」と「天使に見捨てられた夜」を読んだんだけど、
こちらは、一転して、エンターテーメントな作品なんですね。
俺は、前作の方が好きです。

なので、改めて思うのは、
ちょっと設定が無理矢理過ぎるのでは??ってとこ。
そこまで、変えなくても・・・っていうか、崩さなくてもね~。

この作品は、賛否両論でしょうね。

桐野夏生/リアルワールド

2006-02-28 21:23:30 | か行

桐野夏生/リアルワールド (集英社文庫)
おすすめ度:★★★☆☆

高校三年の夏休み、隣家の少年が母親を撲殺して逃走。
ホリニンナこと山中十四子は、携帯電話を通して、逃げる少年ミミズとつながる。
そしてテラウチ、ユウザン、キラリン、同じ高校にかよう4人の少女たちが、
ミミズの逃亡に関わることに。
遊び半分ではじまった冒険が、取り返しのつかない結末を迎える。
登場人物それぞれの視点から語られる圧倒的にリアルな現実。
高校生の心の闇を抉る長編問題作。


高校生の仲良し4人組みの少女と母親を殺してしまった少年のお話しです。

彼女たちは、面白半分で母親殺しの少年ミミズの逃亡に加担する。
そして、取り返しのつかない結末が彼女達に待っていた。

その分岐点は何だったのか?
彼女たちそれぞれの分岐点は、ほんのささいなものだったかもしれないけど、
それがつながってひとつになってしまうと、
ささいなもはささいなものではなくなってしまう。

それぞれが違う価値観で関わり合っていたはずなのに、
なぜ最後はつながってしまうのだろうか??

でも、それが現実、リアルワールドなのだ。

この小説は登場人物のそれぞれの視点で話しが進んでいきます。
それぞれの心理とかが見事に描かれていて引き付けられますね。

いや~、ぶっちゃけ面白いっすよ!!

桐野夏生/柔らかな頬

2005-11-07 21:39:27 | か行

桐野夏生/柔らかな頬 (文春文庫)
おすすめ度:★★★★☆
 
<柔らかな頬(上)>
カスミは、故郷・北海道を捨てた。が、皮肉にも、北海道で幼い娘が
謎の失踪を遂げる。罪悪感に苦しむカスミ。実は、夫の友人・石山に
招かれた別荘で、カスミと石山は家族の目を盗み、逢引きを重ねていたのだ。
カスミは一人、娘を探し続ける。4年後、元刑事の内海が再捜査を
申し出るまでは。

<柔らかな頬(下)>
野心家で強引な内海も、苦しみの渦中にあった。ガンで余命半年と
宣告されたのだった。内海とカスミは、事件の関係者を訪ね歩く。
残された時間のない内海は、真相とも妄想ともつかぬ夢を見始める。
そして二人は、カスミの故郷に辿り着いた。真実という名のゴールを
追い続ける人間の強さと輝きを描き切った最高傑作。

桐野夏生といえば、『OUT』が有名だね。
主婦グループによる死体解体遺棄業の話でドラマ化も映画化もされてるしね。

この作品は『OUT』の後に発表されて、しかも直木賞を受賞した作品です。
なので、かなり期待し読んだのですが・・・。

話しの設定や内容は面白いし、テンポの良いし、
上下の2冊とけっこうなボリュームだけど、飽きることなく読めましたね。
でも、肝心のラストがちょっと「ん~」って感じでした。
もっとスッキリする終わり方を期待してたんだけどなあ。
まあ、こういう終わり方もアリなんだろうな~とも思うけど。

それで、かなり賛否両論となった最終章ですが・・・
あれはあって正解だったと思う。
なので、評価は★3つに上乗せ1つってとこです。
最終章がなかったら、ただの普通のミステリーになっちゃうよ。

とまあ、読んでない人には、何のことだかわかんないと思うけど、
気になった人は読んでみて下さい。
ゆうても直木賞受賞作品なので、満足度は高いです!!

貴志祐介/青の炎

2005-10-21 23:03:32 | か行

貴志祐介/青の炎 (角川文庫)
おすすめ度:★★★★★

櫛森秀一は、湘南の高校に通う十七歳。女手一つで家計を担う母と
素直で明るい妹との三人暮らし。
その平和な家庭の一家団欒を踏みにじる闖入者が現れた。
母が十年前、再婚しすぐに別れた男、曾根だった。
曾根は秀一の家に居座って傍若無人に振る舞い、
母の体のみならず妹にまで手を出そうとしていた。
警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意する。
自らの手で曾根を葬り去ることを…。完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。
その哀切な心象風景を精妙な筆致で描き上げた、
日本ミステリー史に残る感動の名作。

「こんなにも切ない殺人者がかつていただろうか。」のフレーズで有名な、
二宮和也、松浦亜弥出演出演の映画『青の炎』の原作です。

警察も法律も僕らを助けてはくれない。母と妹を守るには、奴を殺すしかない。
だけど、自分は捕まるわけにはいかない。
捕まれば、母も妹も殺人者の家族になってしまう。
だから、なんとしても完全犯罪を成し遂げなければならない。

この殺人は私欲のためでもなく、単なる狂気でもなく、
それが家族を守るために残された唯一の手段だから。
だからといって、殺人を肯定するつもりはないけど、でも気持ちは分かります。

読んでいると、どうしても主人公を応援したくなっちゃうんです。
「そんなことしちゃダメだよ」「そんなこと言っちゃダメだよ」って。
ほんと、「こんなにも切ない殺人者」の小説を、いままで読んだことないですよ。

貴志祐介の作品はホラー色の強いミステリーが多いけど、
こういう切ない系の小説を書いても、やっぱりスゴイんだね。
さすが貴志祐介です。

まだ読んでいない人がいたら是非とも読んでみて下さい。