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本はスベテをカタル

何気なく手にとった本を読んで、人生についてほんの少しだけ考えてみる。

帚木蓬生/千日紅の恋人

2008-04-20 22:41:38 | は行

帚木蓬生/千日紅の恋人 (新潮社)
おすすめ度:★★☆☆☆

宗像時子は父が遺した古アパート、扇荘の管理人をしている。扇荘には様々な事情を抱えた人たちが住んでおり、彼女はときには厳しく、ときには優しく、彼らと接していた。ある日、新たな入居者が現れた。その名は有馬生馬。ちょっと古風な好青年だった。二度の辛い別離を経験し、恋をあきらめていた時子は、有馬のまっすぐな性格にひかれてゆく。暖かで、どこか懐かしい恋愛長篇。

閉鎖病棟がめちゃめちゃ良かったので、期待して読みました。
が、、、
うーん、期待し過ぎてしまったのか、ビミョーでした。

全体を通していえば、
イイ話しだったなあーとは思うんだけど、
ちょっと、「展開がありえなくねー」って。
なんか安物のドラマみたいな展開(ごめんなさい)でしたよ。

ただ、話しの雰囲気は良いですよ。
ほのぼの感はあるので、そういうのが好きな人にはオススメです。

帚木蓬生/閉鎖病棟

2008-02-04 23:37:35 | は行

帚木蓬生/閉鎖病棟 (新潮社)
おすすめ度:★★★★★

とある精神科病棟。重い過去を引きずり、家族や世間から疎まれ遠ざけられながらも、明るく生きようとする患者たち。その日常を破ったのは、ある殺人事件だった…。彼を犯行へと駆り立てたものは何か?その理由を知る者たちは―。現役精神科医の作者が、病院の内部を患者の視点から描く。淡々としつつ優しさに溢れる語り口、感涙を誘う結末が絶賛を浴びた。山本周五郎賞受賞作。

最高に感動できる作品!!

裏表紙の説明を読む限り、「精神病院で起きた殺人事件」なミステリー
だと思うかもしれないけど、そう簡単には済まされない。
解説を書いてる逢坂豪氏曰く、ミステリーだと思って読むと裏切られる。
まさにそのとおりだ。

話しは精神病院での出来事が、ただただ優しく描かれてます。
そこで起こった殺人事件。
なぜ彼は殺人を犯してしまったのか!?
その理由は…
この殺人は正しかったのか、間違っていたのか?
みんなにも、ぜひ考えていただきたい。

俺事の話しだけど、
俺も身内に精神病の人がいて(親父の弟なんだけどね)
生まれてから一人暮らしするまでの23年間を一緒に暮らしてた。

すげー大変だった。
俺が小学生くらいのときが一番酷くって、
毎日毎日、怒鳴り声を上げては親父と喧嘩してた。
母さんと姉ちゃんは泣いてばかりだったし、
小さいながらも、俺がしっかりしなきゃ!なんて考えてたな。

今ではもうかなり落ち着いて(というか、逆に進行してるのかもしれないけど)
たまに実家に帰ると、ニコニコしてるよ。

まあ、そんなこんなね。
だから、他人事じゃなく読んでた。
さすが、著者は精神科医だけあって、ものすごく共感できるね。

深町秋生/果てしなき渇き

2007-06-13 22:55:27 | は行

深町秋生/果てしなき渇き (宝島社)
おすすめ度:★★☆☆☆

元刑事・藤島秋弘のもとに、失踪した娘の加奈子を捜してほしいと、別れた妻から連絡があった。家族とよりを戻したいと願う藤島は一人、捜査に乗り出す。一方、三年前。中学生である瀬岡尚人は手酷いイジメにあっていた。自殺さえも考えていたところを藤島加奈子に救われる。彼は彼女に恋をし、以前、彼女がつきあっていた緒方のようになりたいと願うようになるが…。二つの物語が交錯し、探るほどに深くなる加奈子の謎、次第に浮き彫りになる藤島の心の闇。用意された驚愕の結末とは―?『このミステリーがすごい!』大賞第3回受賞作。

読んだあとの率直な感想は。
これが「このミス」大賞受賞作品??
全選考委員が圧倒された…ウソでしょ!?

正直、俺にはこの本の魅力がわかりませんでした。
現在と三年前の話しが交互に進んでいくんだけど、特に接点(リンク)もなく、
用意された驚愕の結末。。。
何がでしょう!?っといったかんじ。

とは言いつつ、ぜんぜん面白くないってわけではないですよ。
まあ、好き嫌いってのもあるしね。

こういうバイオレンスものっていうのかなあ、
俺はあんまり好きではないので、あまり魅力を感じなかったけど、
好きな人には面白いのかもしれないね。

興味ある方はご覧あれ!!

保坂和志/カンバセイション・ピース

2006-05-20 23:07:26 | は行

保坂和志/カンバセイション・ピース (新潮文庫)
おすすめ度:★★☆☆☆

小説家の私が妻、猫三匹と暮らし始めた東京・世田谷にある築五十年の一軒家。
友人が経営する社員三人の会社が間借りをし、妻の姪も転がり込んだ。
にぎやかだがゆったりと流れる日常のなか、
お盆にやってくる陽気なイトコたちの昔話や、同居人たちとの会話から、
かつてそこで暮らした人々の記憶が立ち上る。
濃密な時間が流れ、過去と現在がつながり、生と死がともに息づく長篇小説。


う~ん、正直、ちょっと疲れます。

保坂和志の作品って、季節の記憶とかプレーンソングとかにあるように、
ごくごく日常が、良い意味でダラダラと流れていくかんじで、
なんだか、ホっとするような気持ちになるんだけど、
この作品は、少し凝り過ぎてるというか、ホっとはできませんでしたね。

まあ、それは人の好みによるかもしれないけど、
俺は、ホっとしたくて、この作品を読んだので、ちょっと期待ハズレでした。


平安寿子/グッドラックららばい

2006-01-15 19:55:38 | は行

平安寿子/グッドラックららばい (講談社文庫)
おすすめ度:★★★★☆

プチ家出から何年も戻らない母、いいじゃないか、と言う"文鎮"こと父、
ダメ男に貢いで飄々と生きる姉、そんな家族にいらだち、
上昇志向を実現しようと邁進する妹・・・。
他人の迷惑顧みず、「自分の気持ち」に素直に生きるタフな4人がここにいる。
けちなモラルや常識なんて笑い飛ばす、新しい家族の物語。


家出をした母親。
まあいいじゃないか、と深刻に受け止めない父親。
母親が出て行こうが気にせず、自分のしたいことだけをする姉。
そんな家族に苛立ちを覚える妹。
なんだか、「不幸な家族」の暗い話しのように思えるけど、
ところが、どうなんでしょう。
まったくもって、不幸って感じがしないお話しに描かれてます。

家族といってもしょせんは他人。
結局、生きていくのは一人なのだ。
でも、家族はやはり他人とは違う。

ちょっと矛盾してるけど、その矛盾が、なんだか家族っぽい気がする。
だから、読んでて楽しいですよ。家族ってほんと不思議なかんじ。

「生きていくのは一人だもの」と言い切る姉の積子だけど、
妹の立子のことを、こんな風に思ってる。

「立子って、やたらと力む子でね。それが可愛いんだ。
あの子はいつになっても、どんなになっても、妹なのよね。
妹としてしか見られない。やっぱりまったくの他人とは違うんだな」

この言葉に「家族とは?」が集約されている気がする。

藤田宜永/転々

2005-11-12 13:24:48 | は行

藤田宜永/転々 (新潮文庫)
おすすめ度:★★★☆☆

借金をかかえた青年・文哉の前に現れた無頼な風体の男。
「百万円払うから一緒に散歩しろ」という奇妙な提案を受け、
文哉は男と共に歩き出す。井の頭公園から出発し、
東京を東へと横断してゆく二人。現実の歩みはいつしか記憶の中の風景と重なり、
文哉は今までの人生で失ったものを取り戻そうとするが、
短い旅の終わりには衝撃の結末が。夢と孤独が交錯する哀愁ロード・ミステリー。

借金取りから逃げるために引越しを繰り返す文哉の前に現れた福原。
彼はもちろん借金取り。
しかし福原は文哉に奇妙な提案を持ちかける。
「百万円払うから一緒に散歩しろ」
奇妙は二人の奇妙な旅(散歩)がはじまるのだが・・・。

「なぜ、僕を誘ったんです?」
「お前が何だか寂しそうにみえたからさ」
風がふたりの間を通り抜けていった。僕たちは黙って道を急いだ。
---本文より

旅をするにつれて、見えてくる福原の本当の姿。
そして、少しずつではあるけど、成長していく文哉。
俺の好きな成長系な作品だ!!って思ってたんだけど・・・。
やっぱり話しの内容はミステリーなんですかね。

終盤は、いろいろな事が結びついていって衝撃の結末が・・・
っていう展開なんだけど、
なんだか、無理矢理って感じがしましたね。

そこは主人公は知らなくてもいいとこじゃないのかなあ。
もう少し謎が残ってもいいのになあ。っていうのが俺の感想でした。

保坂和志/プレーンソング

2005-10-29 16:48:40 | は行

保坂和志/プレーンソング (中公文庫)
おすすめ度:★★★☆☆

うっかり動作を中断してしまったその瞬間の子猫の頭のカラッポが
そのまま顔と何よりも真ん丸の瞳にあらわれてしまい、
世界もつられてうっかり時間の流れるのを忘れてしまったようになる…。
猫と競馬と、四人の若者のゆっくりと過ぎる奇妙な共同生活。
冬の終わりから初夏、そして真夏の、海へ行く日まで。

良いですねえ。とても心地良いです。

性格も習慣も違う様々は男女四人の共同生活。
現実ではちょっと有り得ない設定なんだけど、それ以外はいたって自然。
あまりに自然過ぎて、ぜんぜん違和感なく物語が進んでいくかんじです。

ん~、物語が進んでいくっていうのはちょっと違うかな。
なぜなら、はっきり言って物語がないからです。
事件も謎もなく、ただ淡々と日常生活をつづっている日記みたいな小説ですね。
保坂和志!!ってかんじの小説です。

他に説明することはありません。
奇妙な四人の日常生活を楽しんでください!!って、それだけです。

保坂和志/季節の記憶

2005-10-17 20:53:22 | は行

保坂和志/季節の記憶 (中公文庫)
おすすめ度:★★★★★

ぶらりぶらりと歩きながら、語らいながら、
静かにうつらうつらと時間が流れていく。
鎌倉・稲村ガ崎を舞台に、父と息子、便利屋の兄と妹の日々…
それぞれの時間と移りゆく季節を描く。

この小説は好き嫌いがめちゃめちゃ出ますね。
お話しの内容はというと・・・はっきり言って、何もないんです!!

事件があるわけでもなく、謎があるわけでもなく、
海に散歩に行ったり、山に散歩に行ったり・・・、
父と息子と周囲の人々の日々を、ただただ淡々に綴ってあるだけです。

でも、何故かそれがものすごく良いんです!!
なんだか、ず~っと読み続けていたいような、ほのぼのした小説ですね。

かなりの俺好みということで、評価は★5つです。
みなさんはどうですか??

福井晴敏/亡国のイージス

2005-09-27 23:51:22 | は行

福井晴敏/亡国のイージス (講談社文庫)
おすすめ度:★★★★☆

在日米軍基地で発生した未曾有の惨事。最新のシステム護衛艦≪いそかぜ≫は、真相をめぐる国家間の策謀にまきこまれ暴走を始める。
交わるはずのない男たちが交錯し、ついに守るべき国の形を見失った≪盾(イージス)≫が、日本にもたらす恐怖とは?


冒頭は、登場する男たちの生い立ちから始まります。
それはただの人物紹介ではなくって、物語が進むにつれて、
絶妙にからみ合っていくので「おおっ!!」ってかんじです。

それぞれ異なった信念を持った男たちが自分の信じた道を進んでいく。
けれど、やはり人間は脆さがあり、弱さがあり、そして強さがある。
苦悩を繰り返し成長していく姿に心打たれること間違いなしです(たぶん)。

あまり、冒険小説は読まないんだけど、
これは先が気になって、いっきに読んでしまいました。

映画はどうなんだろう??
見てみたい気もするけど、期待はずれだったら嫌だなあ~。