夢野久作/ドグラ・マグラ (角川書店)
おすすめ度:★★★★★


「ドグラ・マグラ」は、昭和10年1月、1500枚の書き下ろし作品として、松柏館書店から自主出版された。
<日本一幻魔怪奇の本格的探偵小説><日本探偵小説界の最高峰><幻怪、妖麗、グロテスク。エロティシズムの極>とうたった宣伝文句は、読書会の大きな話題を読んだが、常人の頭では考えられぬ、余りに奇抜な内容のため、毀誉褒貶が相半し、今日にいたるも変わらない。
<これを書くために生きてきた>と著者がみずから語り、十余年の歳月をかけた推敲によって完成された内容は、狂人の書いた推理小説という、異常な状況設定の中に、著者の思想。知識を集大成する。これを読む者は、一度は精神に異常をきたすとさえ伝える、一大奇書。
まさに圧巻の内容!!
説明には「これを読む者は、一度は精神に異常をきたす」ってあるけど、
あまりそういう印象は受けなかった。
その時代によくこんなこと考え付くなあと、ただただ感心するばかりです。
話しの中に精神病についての記述がたくさん書かれてます。
精神病の者が他の病気の者に比べてどれだけ酷い扱いを受けてきたかとか、
病院ではどれだけいい加減な治療しか行っていなかったかとか。
今は精神病に対しての理解は深まってきてはいるけど、
まだまだ完全じゃない。
体の弱い人には優しい気持ちになれるのに
精神病の人には蔑みの気持ちをもってしまう。
なんで同じ病気なのにこうも人の気持ちは違うのだろう。
ってそんなことを考えてしまう小説でもあります。
さてさて、肝心の小説の内容ですが、、、
はっきり言って良くわかりません。
最後まで読んでも、結論というか真実は良くわかりません。
まあ、そういう小説じゃないんでしょうね。
「この本を5回読んだら5回とも違った感想を得られるだ」と著者が言っているとおり、
真実は読んだ数だけあるのでしょう。