活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

想説/活版印刷人あれこれ28

2010-04-19 14:06:33 | 活版印刷のふるさと紀行
 少年使節の一行が南蛮船で長崎に帰って来たのは1590年、
天正18年の7月21日でした。
リスボンを発ったのが1586年4月12日でしたから復路に
要した月日が約4年、実はこの復路4年間にこそドラードたち
の「印刷研修」の期間が当てられたものと私は想像します。

 なんとなれば、リスボン滞在の短い間にどれほど印刷実習が
できたかは疑問です。ことばのハンディもありました。前述の
ように、4人の使節の面倒見もありました。とても、印刷実習
に打ち込むだけの毎日は無理だったと思うのです。

 実際に彼らが手とり、足とりで「活版印刷術」を学んだのは、
復路のゴアでの1年足らずとマカオでの2年、あわせて約3年の
滞在期間中だったと見てよいでしょう。
 ヴァリニャーノは先見の人でした。リスボンから日本に向う修
道士の何人かは印刷キャリアの持ち主を当てたはずです。その修
道士たちが先生役をつとめたのです。

 ゴアで印刷した『原マルチノの演説』もマカオで印刷した『キ
リスト教子弟の教育』や『遣欧使節対話録』も、いわば、印刷実習
のカリキュラムとしてでであり、組版や整版や印刷・製本の練習台
になったのです。
 

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