邪馬台国・奇跡の解法

古代中国の知見と価値観で読む『倭人伝』解読の新境地

1・皇帝の詔書は軍事支援承諾宣言書

2011-07-28 | ●『倭人伝』を読むための必須条件
 冒頭で「『倭人伝』を読むための必須条件」を提示したが、それら個々の説明に入る前に、『倭人伝』全体を理解するためにぜひとも確認しておきいことがある。それが私の主張する「皇帝の詔書は軍事支援承諾宣言書」である。 ●皇帝の詔書の文言  「親魏倭王卑弥呼に詔を下す。帯方郡太守・劉夏が、部下に命じて汝の大夫難升米、次なる使者の都巿牛利を送り、汝が献じるところの男生口4人、女生口6人、班布2 . . . 本文を読む

2・里程・行程読みの鉄則

2011-07-28 | ●『倭人伝』を読むための必須条件
 冒頭で、以下の通り『倭人伝』を素直に読むための条件を提示した。 ①最もかんじんな女王の都に至る「日程・方角・行程手段・距離」の4つの要素のうち、どれかがどこかで不明になるような行程説明はあり得ない。(すべてが出そろう読み方は一つしかない)。 ②海路航行距離は正しい距離測定ができない。測定不可能なものを正しく表記しようがない。そこで中国の数多の歴史書は、実際の距離とは無関係 . . . 本文を読む

・やってはならない行程読み

2011-07-28 | ●『倭人伝』を読むための必須条件
●やってはならない行程読み「順次読み」  不弥国から投馬国まで水行二十日、投馬国から水行十日と陸行一月で邪馬台国。  これが『倭人伝』の行程説明を順次読みする典型例なのだが、まさに、私が滅茶苦茶だと酷評する『梁書』の倭伝とまったく同じ読みである。  先に提示した『倭人伝』の文章構成分析図を、もう一度みていただきたい。たて線で分割したブロックはそれぞれに説明手順が異なる。これを漫然と続け読みしてはた . . . 本文を読む

3・陸路距離表記の実態

2011-07-28 | ●『倭人伝』を読むための必須条件
●陸路距離尺度の実態  『三国志』魏書・明帝紀は、司馬懿軍が公孫淵討伐に向かうときの洛陽から遼東までの陸路行軍距離を、執拗に4000里としている。帝紀の距離表記だからこれが魏代の公式尺度とみなされる。厳密には当事者たちの口頭発言だから、端数を切り上げた大まかなな数値である。地理情報として信頼のおける数値は、『後漢書』郡国史・幽州の記録が参考になる。 ・遼東郡:洛陽の東北三千六百里。 ・玄菟郡:洛 . . . 本文を読む

4・海路距離表記の実態

2011-07-28 | ●『倭人伝』を読むための必須条件
●海路距離表記の実態  帯方郡から狗邪韓国までの朝鮮半島沿岸部の海路7000余里を、魏の公式尺度でいえば3000km強になる。 狗邪韓国・対馬間、対馬・壱岐間、壱岐・唐津間の渡海距離はそれぞれ1000里とあるが、魏の公式尺度でいえば432kmになる。海路距離はいずれも途方もない数値だが、従来は、この途方もない数値を「誇大表記」「いい加減」という逃げの詭弁でやり過ごしてきた。   中国では王莽の地 . . . 本文を読む

5・異常な記録の読み分け

2011-07-28 | ●『倭人伝』を読むための必須条件
●異常な記録の読み分け ●末盧国に官がいなかった異常さ  『倭人伝』は、対馬国、壱岐国、伊都国、奴国、不弥国、さにらは邪馬台国、投馬国、狗奴国の官名を執拗に記載している。ところが、九州の玄関口であり防衛上からも重要なはずの末盧国の官名を紹介していない。これについては誰しも気づいていることなのだが、私はこれを記載漏れではなく実際に官がいなかったのだとみている。つまり『倭人伝』のいう末盧国とは、末盧 . . . 本文を読む