邪馬台国・奇跡の解法

古代中国の知見と価値観で読む『倭人伝』解読の新境地

●良く使われる用語

2012-05-28 | ●『倭人伝』を読むための基礎情報
 『倭人伝』はむろん、これを収録した『三国志』は、古代中国の王朝制度下にあって、中国の知識人を読者対象として書かれた歴史書である。『倭人伝』の記録内容をよく理解するためには、中国王朝の儀礼・制度などをを知ることが不可欠になる。とくに文脈や行間のいうところ(書かないで告げている意味)を読むためにも非常に重要なことなので、これらについて簡単に解説する。 ●中原  中国の文明の中心。転じて天下中央の . . . 本文を読む

●冊封体制という用語の誤解

2012-05-28 | ●『倭人伝』を読むための基礎情報
●冊封体制という用語の誤解  朝貢外交に関連して誤解されやすいのが冊封(さくほう)という言葉である。誤解したまま、倭国が中国王朝に臣従していたという逆さまの歴史を語る傾向が強いので、誤解をなくすために特にこの件について触れておく。  1962年に西嶋定生氏が唱えた冊封体制とは、「中国の皇帝とその周辺諸国の君主とが名目的な君臣関係を結ぶこと。これによって作られる国際秩序」をいう。  「名目的な君臣 . . . 本文を読む

●歴史書の歴史

2012-05-28 | ●『倭人伝』を読むための基礎情報
●歴史記録の書かれ方  天子は神聖な存在であり聖人君子だから、オープンで公明正大を旨とする。そうしたことから、天子や高官らの周辺には張りつきの史官(書記官)がいて、その公式発言や行動を逐一記録した。これが歴史記録のはじまりである。歴史記録は天子の周囲だけに限らない、高位にある諸将・諸官に至るまで張りつきの史官が配されていたし、中国全土の諸王・諸侯が史官を抱えて個々の歴史を記録した。そうすることが、 . . . 本文を読む

●中国人のいう倭と倭人

2012-05-28 | ●『倭人伝』を読むための基礎情報
●倭人の定義  倭人については姉妹編の『倭人の来た道』で詳しく論証しているが、私は縄文後期から継続的に長江流域から渡来した非漢多系民族がその主流を占めていたとみている。ここではそれとは別に、そもそも中国人のいう倭・倭人とは何だったのかを確認するために、これらに関する文献記録を中心に、時代とともに倭と倭人の定義が変化した経緯を確認する。  「漢語としての倭人は、背が低く、猫背で、かがみ腰の人を意 . . . 本文を読む