ここのところ、立て続けにライブに行く機会が。
2006.6.22 渋谷CLUB QUATORRO
「面影ラッキーホール」
ライブを観るのは二度目 だけど、ボ ーカルのackyさんのエモーショナルな歌い方に聴き入ってしまう。
若い女性にのめりこむ老人の巣鴨デートの歌や、恋人を助けるために暴行事件を起こして甲子園出場を取消されてしまった野球部員の歌や、メロディーは昭和のグランドキャバレー風だったり、キャッチーなリズムにのったポップス調であったり様々だけど、歌詞をじっくり聴いているとじわっと泣けてくるものがある。きわどいMCを曲間に飛ばしたり、ホーンセクションとバックボ ーカルの綺麗なお姉さん方に囲まれながら、ピンクのスーツに身を包み、思い入れたっぷりに身体をよじらせながら歌う彼の姿に、今回も笑い泣かせてもらった。
「DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN」
ライブを観るのは久しぶり。一曲目 が今までと違った感じを受けて印象に残った。栗コーダーカルテットの栗原氏のベースを核に、ホーンやキーボ ードやギターの音がばらばらに、不協和に重なっていく。自分はポスト・モダン・ポリリズムというものをDCPRGではっきりと体感したのだが、ばらばらに無作為に音を出しているように見えても、菊地成孔氏のコンダクトの下、壮大なキャンパスに物語が描かれていくように、緻密に音が塗り重ねられていく。あとの2曲は既存の人気曲で、フロアは揺れんばかりの大盛り上がりだった。
2006.7.4 渋谷 ON AIR EAST
「DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN」
22日のライブ時間が短かったのと、アメリカをテーマにした新曲が披露されるということを聞いて、急遽チケットを買って観にいった。
披露された新曲は4曲くらいだったか。22日にも感じたことだが、今までリリースされている2枚のオリジナルアルバムの楽曲とはまた違った世界に入っていっている気がした。例えば、ジミ・ヘンドリックスのカバーである、ライブではお馴染みの「HEY JOE」を演ったりすると、フロアの客達は待っていましたとばかりに踊り出す。でも、新曲とおぼ しき楽曲群はそんなダイレクトでアッパーな感じでは決してなかった。中でも曲目 は分からないのだけど、中盤に演奏されたスローテンポな曲の旋律がとても美しく、こみ上げてくる涙を止められなくなってしまった。今回はたっぷり3時間、静謐と混沌の背反する世界をじっくり堪能することができた。
2006.7.7 東京キネマ倶楽部
「ROVO+ アルゼンチン音響派」
ROVOの勝井祐二氏曰く、便宜的にアルゼンチン音響派と名づけたのだとか。迎えられたアルゼンチンのミュージシャンはフェルナンド・カブサッキ、サンティアゴ・ヴァスケス、アレハンドロ・フラノフの3名。すべて即興で演奏されたのだが、ROVOのメンバーがディジュリドゥーを使ったり、三味線を奏でたり、様々なパーカッションで音を作ったり、いつもとは違う楽器を用いているのも面白かった。やんわり暖かい雰囲気の中、どこかほっとできる和んだ空間がそこにあって、穏やかな気持ちに浸された。通常ROVOのライブではロングプレイの中でどんどん高みに上り詰めていくその爆発力が際立っているのだけど、今回はそれに何かが附加された形で、ステージに映し出された万華鏡のような映像も音に色を添え、立って観ている自分は蜃気楼のようにゆらゆら揺れている感じ。音に音が反応するといった、ある意味とても原始的な感もあって、例えば赤ん坊は母親の胎内の羊水の中で、こんな感じで音を感知したりするのかな、と思ったりした。東京キネマ倶楽部は以前から一度行ってみたかった場所なのだが、旧いグランドキャバレーをそのままの形で残したものらしく、せりだした二階席、ステージ隅に設けられた階段つきの小ステージ、柱の唐草のような模様といった、当時の内装を留めたままのような場内の雰囲気も独特なものがあって、念願の会場で、心地良いひとときを得ることができた。ライブ終了後、会場近くの入谷で朝顔市が開かれており、道筋に所狭しと並べられた朝顔の鉢達をお祭り気分で眺めやり、満足感に心を充たしながら帰途についた七夕の夜となった。