グレゴリー・コルベール
「ashes and snow」:ノマディック美術館
”象の記憶”
昔、村上春樹の「象の消滅」を読んだせいか、そして、それをモチーフにしたサイモン・マクバーニー演出の舞台「エレファント・バニッシュ」はいままで観たお芝居の中でもベスト3に入る大好きな芝居であるけど、象というものに対して自分は不思議なデジャヴを感じるようである。そう、ずっと前にあるポスターを買った。サーカスの象とそこに属する少年が後ろ向きに椅子に腰掛けて座っている。巨体を小さな椅子に委ねた象と、それを横から支えるかのように手を差し伸べている少年の後姿がとても愛らしく、優しく、20年経った今でもそれは部屋に飾ってある。強いていえばこのポスターが原体験になるのだろうか。そう、象には自分をつきうごかす不思議な力がある。
そして、今回も象に会いに行った。
とにかく構図が素晴らしい。動物と人間のふれあいをモチーフにした映像、写真が展示されている。映像も芸術性に富んでいて素晴らしかったが、自分は写真のほうがよかった。
和紙にセピア色にプリントされているからか、質感が既存の写真にないものがあって、何とも味わい深いものがある。空や雲の色や、波紋を作る水の表情やら見入ってしまった。できたらずっと長い間そこに立ち尽くしていたかったくらい。館内が混んでいたので、それは叶わなかったけれど。悠久の時間がその二次元の世界に閉じ込められていたからなのか。同化はできないけど、その世界の中に入りこみたくなる感覚に襲われた。
自分も絵の中の象の隣に横たわりたかったからなのかもしれない。
つかの間だけれど、かの国への旅をすることができた。
「ashes and snow」:ノマディック美術館
”象の記憶”
昔、村上春樹の「象の消滅」を読んだせいか、そして、それをモチーフにしたサイモン・マクバーニー演出の舞台「エレファント・バニッシュ」はいままで観たお芝居の中でもベスト3に入る大好きな芝居であるけど、象というものに対して自分は不思議なデジャヴを感じるようである。そう、ずっと前にあるポスターを買った。サーカスの象とそこに属する少年が後ろ向きに椅子に腰掛けて座っている。巨体を小さな椅子に委ねた象と、それを横から支えるかのように手を差し伸べている少年の後姿がとても愛らしく、優しく、20年経った今でもそれは部屋に飾ってある。強いていえばこのポスターが原体験になるのだろうか。そう、象には自分をつきうごかす不思議な力がある。
そして、今回も象に会いに行った。
とにかく構図が素晴らしい。動物と人間のふれあいをモチーフにした映像、写真が展示されている。映像も芸術性に富んでいて素晴らしかったが、自分は写真のほうがよかった。
和紙にセピア色にプリントされているからか、質感が既存の写真にないものがあって、何とも味わい深いものがある。空や雲の色や、波紋を作る水の表情やら見入ってしまった。できたらずっと長い間そこに立ち尽くしていたかったくらい。館内が混んでいたので、それは叶わなかったけれど。悠久の時間がその二次元の世界に閉じ込められていたからなのか。同化はできないけど、その世界の中に入りこみたくなる感覚に襲われた。
自分も絵の中の象の隣に横たわりたかったからなのかもしれない。
つかの間だけれど、かの国への旅をすることができた。