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深空(mi so ra)

忘れたくないこと、憶えておきたいこと、心に留めておきたいこと・・・
記憶の受け皿に少しずつ並べていく。

2006年4月1日Ⅱ

2006-04-01 00:28:37 | 
最近、川原泉が自分の中でリバイバルブームで色々読み返していて、昨日も「フロイト1/2」を読み返していたところ、「笑う大天使」の映画化のニュースを知った。
http://www.cinematopics.com/cinema/c_report/index3.php?number=1893

「笑う大天使」はすごく好きな作品だけど、主人公の3人はもちろんのこと、いや、寧ろ周囲の人達のキャラが立っていて、その群像絵図につい惹きこまれてしまうのが好きな一因なのかもしれない。中でも和音の両親が特に気にいっている。二人の出逢いから現在までのエピソードを描いた短編がいい。本当はお互い好きなのに、ちょっとした誤解の積み重ねで、夫婦になって20年近く経ってから、やっとお互いの気持ちを知るという話なのだが、父親も母親もそれなりの年齢なのに、相手に対してはまるっきり子供。ああ純愛というのはこういうものなのかもしれないとまで思わせてくれる(笑)。

川原泉の作品は、切迫していたり、辛かったり、しんどい状況下に置かれていても、それを淡々と軽く飛び越えていくようなひょうひょうとした感じがどの作品にも溢れている。セリフもかなり多いので、見る小説という感もする。この“自然体な軽さ”と、ある意味相反した哲学的・思索的なセリフの応酬が彼女の作品の魅力だと思う。

「笑う大天使」実写版はどんな感じになるのだろうか。

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2006年3月24日

2006-03-24 22:18:52 | 
人間、生活の心配が無ければ創作するのはやさしいことだ。
だが利子生活者でもない以上、精神的売春をする以外、創作だけで生きていけるものではない。それが嫌なら他の仕事をすることだ。
しかしそうなるとまた、いろいろと不都合が出てくる。
数種の職業を持っていると、アマチュアというレッテルがつく。
だが、しかし、その世間でいうところのアマチュアが数種の職業において、それぞれプロであるということもあり得るのだ。

ボリス・ヴィアン
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7月21日

2005-07-21 17:57:11 | 
「兄貴」 今江祥智(著)

今江祥智の童話との最初の出会いは8歳の時、「星をかぞえよう」だった。主人公の女の子が転校先の同級生達と繰り広げる一騒動。長新太ののほほんとした挿絵と相まって、のんびりおっとりした雰囲気が作品全体に満ちていて、読むたびに優しい気持ちになれた。その後、読書感想文の課題図書になった「ぼんぼん」を読んだときも、戦前の少年達の純粋でまっすぐな気持ちが痛いほど伝わってきて、続編の「兄貴」「おれたちのおふくろ」も迷うことなく買った。高校の時は幸運なことに図書室に今江祥智全集が置いてあったので、置いてある巻を片っ端から読んだ。全集は自分でも欲しかったのだけど、数十巻もあって高校生に手が出せない。成人したら全集を買おうと思っていたのに、いつかそれは優先順位の下のほうに下がってしまって未だ実現されていない。。。
著者の代表作としては、ドラマ化もされた「優しさごっこ」があるけれど、同じ父子家庭を題材にした話では「星をかぞえよう」のほうが好きだな、と思う。どんな厳しく辛い現実があっても、気楽に明るく構えていこう、要は心の持ち様・・・そんなことを小学生の自分に教えてくれた気がするのだ。
作品の世界観を心の中に映し出したり、読んだときに触れた感触を反芻することで、泣きたくなったり投げ出したくなるスイッチを何とかして切り替える。あの頃はそんなことをよくやっていたなあ、と、今でもあの感覚をはっきりと思い出すことができる。
そして、子供時代に較べれば世界は広がったと思うけど、大人になった今でもあの頃と同じような気持ちに陥る自分を自覚する。
「海の日曜日」「山の向こうは青い海だった」「やさしいまなざし」「冬の光」・・・
子供の頃の大切な出会いだったのだと思う。そしてまた今読み返したくなっている。「星をかぞえよう」と出会ったのが夏休みだったせいだろうか。
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7月8日

2005-07-08 17:29:09 | 
「コミック・バトン」


shitoさんからまたBATONを頂きました。今回は「漫画」です。


Q1:あなたのコミックの所持数は?
現在70冊くらい。

Q2:今読んでいるコミックは?
コミックではないけど、毎日新聞に連載されている西原理恵子の「毎日かあさん」

Q3:最後に買ったコミックは?
「のだめカンタービレ」 二ノ宮知子
「月下の一群」 吉野朔美

Q4:よく読む、または思い入れのあるコミックは?
とりあえず、現在自宅の本棚に並んでいるものが自分にとって欠かせないものかなと考えて選んでみました。「あしたのジョー」は今コミックが手元にないので、特例除外にしておきます。あ、吉田秋生も(笑)。

☆「星の時計のリデル」内田善美
「草迷宮・草空間」とどちらにしようか迷いましたが、“夢”にまつわる話ということでこの作品にしました。“夢”についてここまで世界を広げてくれた漫画もそう無いのでは。。画も、背景も含めてとても緻密で、構図もよく考えられていて、一コマ一コマが独立した一枚画のようで。そして、そんな内田善美が作り上げた世界の中で生きる人々。完璧に確立された世界観に魅了されました。

☆「花きゃべつひよこまめ」篠有紀子
単純に藤井一家(祐二、リカ、ミキ)がいいなあ、と。こんな家族楽しそうだな、と。それが読み出したきっかけでした。でも、一見絵に描いたようなニューファミリーものに見えて、例えば、一人娘のミキがシニカルな視点で大人を見つめたり、祐二がリカに振り回されたり、藤井家と周辺の人々のエピソード等々、家族団欒に終始せずに、詩的に完結されていて、そこがこの作品に惹かれた一番の理由かもしれません。

☆「月下の一群」吉野朔美
文庫本化されているものを先日買ったばかり。久しぶりに読み返して改めて吉野朔美の才能に感嘆。前は見過ごしていた背景の絵や登場人物の表情が、実はとても繊細に描かれていて、ああ、よく表現されているなあ、と思いました。セリフも今読むと「ここでこう言っているのには、こういう意味があったのか」と気づかされたりすることもあって、20年くらい前の作品だけど全然色褪せていない。主人公の毬花の「月花を愛でるのとはわけが違う。人間を愛でるのは大変です。」という言葉は、最初に読んだときから好きだったけれど、やはり今も好きな言葉です。

☆西原理恵子の作品
「ちくろ幼稚園」が西原作品との出会い。当時何かのインタビューで「汚い仕事は廃れないから、いずれクリーニング業でもやりたい」と語っていたのが印象的で。自分を曝け出した作品が多いけど、でも、それは決して自虐的じゃなくて、そして胸に落ちるシーンがある。「SPA!」の“できるかな”シリーズで池袋のキャバレーで働いた話とか、泣けました。どんな状況下でも人に対する目線が崩れていない。彼女の作品を全て読んだわけではないけど、一つに絞るのがむずかしいので、とりあえずサイバラものということで挙げさせてもらいました。

☆「大阪豆ごはん」サラ・イイネス
これは先日、本ブログでご紹介させていただいたとおり。

Q5:バトンを渡す5名
またしてもけろ姫さん、いかがでしょうか??もちろん×でもOKです。

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6月29日☆

2005-06-29 17:21:27 | 
「大阪豆ごはん」 サラ・イイネス著

先日「あしたのジョー」のコミックを購入しようとネットを覗いたときに、サラ・イイネスの新作「誰も寝てはならぬ」が出ているのを発見。「大阪豆ごはん」以来の新作、是非買わなくては。。

サラ・イイネスの「大阪豆ごはん」はモーニング連載時から気に入って読んでいて、単行本も全巻揃えた。連載当時からもう10年は経つだろうか。。
大阪市中心部の、築100年は経っていそうな豪奢な(でも、メンテナンスが欠かせない)和式邸宅に住む安村家四姉弟(加奈子、美奈子、菜々子、松林、+加奈子の夫 湯葉勧三郎)と周辺の人々が繰り広げる何気ない日常の営みが何ともいえない味わいを醸し出していて、大阪式のライフスタイル、もしくはペースとでも言おうか、淡々としていて当人はマジメそのものにも関わらず、そこはかとなく可笑しくて、ゆるくて、和めるのである。バブル絶頂期や阪神大震災時のエピソードや、その時の流行(はやり)ものも取り入れられていて、当時の世相を垣間見ることもできるし、各話のタイトルも「スグヤル、スグスム」、「文句があるか!大阪人のフツーの会話」、「オオサカに育てられた子供」、「テッチリエボルツィオーネ」、「インフルエンザでおまんにゃわ」、「レッツゴー大阪トラフィック」、「よう知らんけど、そうらしいぞ」、「二元中継、大阪フィンランディア」等々、内容を体現していてタイトル名を見るだけでも面白い。

この作品を疲れているときに読むと気持ちが癒されるので、今でも折を見つけては読み返す機会が多い。ほんとうに今まで何百回読み返したかしれなくて、コマ割りまで浮かぶ位、頭にインプットされているのだけれど、いつ読んでも作品の世界にすんなり入り込んでしまう。
自分も登場人物達のようにひねもすのたりと過ごしていければよいのだけど、実際はなかなか難しい。というか、登場人物もそれなりに悩みや苦労を抱えているのだが、それを飄々と乗り切って生きているところが、この作品に惹かれる一番の理由なのかもしれない。
そして、関西圏の、何かをくるんとまるめこんだような響きのある言葉が前から好きなのだが、同じ言葉を発しても標準語と言われる言葉とはまったく違った様相を呈することもあって、本当に言葉は生き物だな、面白いと思う。

ちなみに、昨年この作品が文庫本化されていることを知ったときも、迷うことなく買った。熱心なファンの方達の努力で文庫本化されたらしく、まだ3巻までしか出ていないのだが、売れ行きによっては、続刊もあり得るとのこと。是非そうなってほしい。

コメント (2)
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